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ピーポー君との出会い

それから、少女と共に俺と桐生さんで家に帰った。

「ただいま~」

「お疲れ様です」

「本当ですよ、もうなんで一日でこんなにモンスターと相対さないといけないのやら」

俺はリビングのソファーに横になる。

取り敢えず今は目先の問題と思ったが、リビングに少女はいなかった。

「あれ?」

「どうかされました?」

「さっきの子」

「え?」

立ち上がって、見回すと玄関に立っていた。

「何してんの?」

「え?」

「いや、早くリビングに来なよ」

「良いんですか?」

「良いも何も、そんなとこにいたら連れて来た意味ないでしょ」

少女はおどおどしながらリビングに来た。

「広いんですね」

「まあね」

「私は何をすれば良いのでしょうか?」

「うーん、先ずは風呂に入ろうか」

「え?」

「桐生さん、風呂沸いてる?」

「はい」

「それじゃあ、温まっておいで」

「本当良いんですか?」

「なんで?」

「いえ、私何もしてないのに」

「別に何かして欲しくて連れて来たわけではないからね」

「そうですか」

「うん、あ、着替えは~桐生さんこの家に女性用の服とかないよね」

「流石にないですね」

「着替えはなくて大丈夫です。この制服で」

「折角風呂に入ったのに濡れてる服着たら意味ないでしょ。それらな今日だけ俺の服着なよ」

「そんな、本当に大丈夫です」

「良いから、桐生さん俺の部屋で適当に服持って来て」

「はい」

「それじゃあ君は風呂に」

少女は困惑しながらも頷いた。

「じゃあ風呂場は此処だよ」

「ありがとうございます」

「うん、十分に温まっといで」

「はい」

それから数分経って桐生さんが俺に服を脱衣所に持って行った。

「どうでした?」

「恐らく湯船に浸かっているのかと」

「そうですか」

「はい、それよりなんであの子を家に?」

「手を伸ばした時に腕に痣が見えたので、それから家に帰ったら更地になっているって普通におかしいでしょ」

「そうですね、ですがここは警察に任せるのが一番良いのでは?」

「うーん、まあそれが無難でしょうね」

「では、警察に」

「いや、ちょっと待った」

「え?」

「話を聞いてからでも遅くはないだろう」

「しかし、犯罪は犯罪ですし」

「青嶋さんってに相談したら大丈夫かも」

「青嶋さん?」

「うん、俺が高校の時に学校に行けなくてそれでお台場をうろついてる時に気にかけてくれた刑事さんなんだ」

「そんな人が?」

「うん、あの人なら普通の警察では理解してくれないこともちゃんと話を聞いてくれるから」

「御影さんがそう言うなら」

「明日青嶋さんに電話するから」

「分かりました」

「ちょっと部屋で探し物するからあの子が出てきたら、コーンスープでも作ってあげて」

「はい」

俺は二階に行って自分の部屋に行き青嶋さんの名刺を探した。

名刺はずっと財布に入れてたので机の上に置いてある、名刺を持った。

「懐かしいな…」

青嶋さんは俺が学校に行けなくていつも、お台場の海を見ていたらピーポー君の格好をして俺に話しかけに来た刑事だった。


「こんな真っ昼間からそんな顔してどうした、高校生」

「え?」

ピーポー君が俺の隣に座った。

最初は変質者かと思ったがどうやら、刑事さんらしい。

「いや、特に意味はないんですけど、今は俺のことを知ってる人に会いたくなくて」

「学校で何かあったのか?」

「そうです、って言うか頭取ってくださいよ」

「おう」

頭を取った刑事さんは四十代くらいの男の人だった。

「名前は?」

「御影です、おじさんは?」

「おじさんか、まあいいや、俺は青嶋」

「警察ですか?」

「ああ、湾岸署の刑事だ」

「広報の人じゃなくて?」

「いやいや、俺は警察官だぞ」

「刑事さんがなんで着ぐるみを?」

「俺は上の人間に嫌われてるからね~、刑事課なんだけど無茶して交番に戻されちゃってそれから最近刑事課に戻って来たのにこんな仕事されて、もうまいっちゃよ」

「そうなんですね」

「って言うかなんで俺が愚痴ってるの」

「いや、知りませんよ」

「まあいいや、もう少ししたら刑事の仕事も出来るって言われたし。それより御影君のことだよ」

「俺ですか?」

「高校生が学校行かないで平日の昼に海見ながらいるから気になったんだよ」

「なんで俺が学校に行かないって分かったんですか?」

「昨日と一昨日もずっと此処にいただろ?」

「え?」

「今週、ずっとあそこでビラ配ってたから」

「そうなんですね」

「うん、まあそれで目についたんだけどな」

「学校に連絡入れないんですか?」

「理由によるけど、何か悪いことでもしたのか?」

「いや、俺は何も」

「じゃあなんで此処に?」

「刑事さんには関係ないでしょ?」

「市民の困りごとを解決するのも警察の仕事だよ」

「そんなことしてたら人手不足じゃないんですか?」

「もう既に人手不足だけどな」

この人人手不足って言ったのになんでこんなことしてるんだろうとは思ったけど、それは言わずにいた。

「そうなんですね」

「うん、まあこれも立派な仕事だよ。世の中に無駄な仕事なんてないんだから」

「大人の発想ですね」

「そう考えて仕事するのが俺の流儀、あ、犯罪は駄目だぞ」

「はい」

「で、何考えてたんだ?」

「俺、高校に入ったら友達一杯作って楽しい高校生活しようって思ってたんです」

「高校デビューってやつか?」

「はい、でも本当の自分は根暗で小学生、中学では一言も喋らないで家に帰るのが普通だったのに明るくてお調子者を演じていたんです。それでサッカー部にも入って楽しい感じだったんですけど一年が経てば自然と心に重い十字架を背負ったことを知りました」

青嶋さんは黙って話を聞いてくれた。

「普段の生活では物が無くなって俺のその反応を見て楽しんで、撮られたくもない写真を撮られて物を取られてそれで追いかけて、四階からバックを投げられて下まで行かされて、トイレのトイレットペーパーを顔にぐるぐる巻きにされて、掃除ボックスに入れられてどんどん蹴られて、やりたくもないゴミを一階まで持って行ったらそれを落としてしまった時は笑われて俺なんでこんなことやってるんだろうって思って、でも悩みなんてない感じのキャラで皆に知られてしまったから誰にも相談できなくて」

「それは大変だったな」

「そうですね、部活では頭が悪いことを知って分からないと分かってるのに顧問に、皆の前で馬鹿にされて、いつも同級生には馬鹿にされて後輩にもなめられて、後輩には朝一で体育館に入るとサッカーボールを俺を的にして蹴ってきてやめろって言っても辞めなくて、合宿の時に布団に入って誰よりも早く寝てたら俺が寝てる上にテーブル置いてお菓子置いて葬儀ごっご。もう部活の中にも学校の中にも俺の居場所ってないのかなって」

「それは御影君が悪いんじゃない、学校の中自体が荒んでたんだろうな」

「学校に段々行けなくなって、それで理由は朝起きれないからってありきたりな理由を顧問に話したらそれは甘えだなって言われて、その時教師の中でも一番近しい教師にそんなこと言われてもう誰も信じれなくなりましたよ」

「俺もそんな時期あったよ」

「え?」

「俺、高二までテニス一筋だったんだ、でも怪我で引退せざるを得なくなって。それで部活に行かなくなって友達は普通に部活行くんだけど俺は行けない、そうなって俺を気遣ってくれる友達がいないことに気づいてさ、それが辛かったな~」

「そうだったんですね」

「うん、正直死のうと思ったよ」

「そっか」

「うん、でもそんな時に救ってくれたのは学校に来ないでゲーセンで遊んでるヤンキーっだった」

青嶋さんは懐かしそうに過去を振り返っていた。

「ヤンキー?」

「うん、まあそう言う奴らは気楽に居られるから」

「そうなんですね」

「うん、それに大学出て最初はサラリーマンやってたんだけどそれも最悪だったぞ」

「なんか言われたんですか?」

「うん、パソコンを売ってる会社だったんだけど、営業で行った先でお前が来ると社員の手が止まる、お前は寄生虫かって言われた」

「寄生虫…」

「うん、その日に会社辞めた。人間でいたかったから」

「酷いですね」

「でも、それで刑事になる決心がついたんだ。まあ刑事の現実知ってたらなってなかったけどね」

「大人になればそう言うことも自然と鈍感になって行くのかと思ってました」

「そうでもないよ、歳は取っても心は変わらないから」

「そっか」

「うん、それに俺の上司はいつも眉間にしわ寄せて、何考えてっか分かんないけど頼りにはなるから期待してるんだ。それに刑事になって悪いことばっかじゃないし。生きてる行くのも悪いことばかりじゃないよ」

「悪いことばかりじゃないか…」

「うん、まあ気楽に生きてみて味方を作ることだね」

「味方」

「うん、じゃ、俺仕事行かないと」

「ありがとうございました」

「うん、それからこれ」

渡されたのは名刺だった。

「なんかあったら電話して、いつでも歓迎するから」

そう言ってピーポー君の頭を付けて肩にグリーンのコートを掛けて去って行った。


これが青嶋さんとの出会いだった、あれ以降会ってないし電話もしたないけどそれでもあの人なら助けてくれるかもしれない。


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