第89話 ライン崩しの天才
注意
ここから第99話程度までは長い話が続きます。
疲れたら休暇してください。
あと無理に読まなくても大丈夫です。
ギャォオオオオオン!!!!
ズドドドドドドドンッッ___......!!
相川のR35が早めにブレーキング!!!!!!!!
そのスキを松川浦大橋で腹切カナタが内側へとねじ込んで仕掛ける!!!!
完全なフェイント!!油断もスキも本当にないみたいです__!!!!
フルスロットルで大橋のストレートを駆ける紅い戦闘機の前を死守できるのかァァァ!!!???
紅いマシンも黙ってはいない!!
両車引かない対決がこの狭い大橋でまさかの勃発してしまったァァァァ1!!!!
ふたりの間にスモークが大きく立ちこめていきます!!!!!
コツン......ッ!!
なっ.......!コイツーーッ!!
自分のラインがそこにあるのかよ...!!
普通そんな所からいったら事故るだろぉが......。こんなに怪物してたとは思わなかったぜ。腹切カナタ......ッ!!
これは、想像を遥かに上回る存在になりそうだなーーッ!!!
俺の後輩が...こんなに成長しているぜ__。おばあちゃん。
――初夏の陽が差し込む、峠の奥地。
その日はRカテゴリー、エボ勢、M4系など様々なマシンが集結する、新人限定のデビューレースだった。
真っ白なR35 NISMOが、誰よりも静かに佇んでいた。
その横で椅子に座っているのは、一本の木陰に寄り添う一人のおばあちゃん。
相川のおばあちゃんだった。
「律坊……ほんに、あんたは車が好きじゃのう……。」
細い手で麦わら帽子を押さえながら、優しく微笑んでいた。
その瞳は、まるで“あの日”を想起するような静けさをたたえている。
「......わたしゃもヨタハチや2000GT乗ってた頃が懐かしいねぇ~......」
ギィ……とドアを開けて乗り込む律。
彼の目には不安も焦りもなかった。ただ、まっすぐに前を見据えるだけ。
――このGT-Rで、俺は誰にも負けない。
スタート直前、ブリッピングの音が静寂を破る。
ボンッ!!ボボンッッ!!
周囲のレーサーが振り向くほどの、太く鋭い排気音。
そして――
「律坊……その白い車が、お前の剣かい……?」
おばあちゃんがぽつりと呟いたその時――
「スタートォォォッ!!!」
爆音が響いた。
白きGT-Rが地面を蹴り飛ばすように発進し、山肌を震わせる加速でコーナーへ突入。
キイィィィィンッ!!!!!
ギャアアアアアアン!!!!!!
M4の咆哮を飲み込みながら、R35がコーナーへとねじ込んでいく。
一切のブレなく、最短のラインをえぐり取っていく相川。
「……あの子、ほんとうに行っちまったねぇ~...」
おばあちゃんの声に、周囲のギャラリーは静まり返っていた。
誰もが理解していた――あの白いGT-Rは、たしかに“異質”だった。
相川律は勝った。準優勝、新記録達成。
その初戦で、華々しく優勝をもぎ取った。
――だが、彼は誰よりも静かだった。
勝利後、誰にも目を合わせず一人だけ静かにコクピットに座り、
ふぅ……と長く息を吐いて空を見上げた。
「……見てたかよ、ばあちゃん。」
その日を境に、彼は“冷静なる白の獣”として知られていくことになる。
爆音と共に――
白のR35 NISMOが、霧のような朝の空気を切り裂きながら帰ってきた。
――静かな勝利。
ピットの脇、木陰に座っていたおばあちゃんは、その音にゆっくりと立ち上がる。
「……律坊……」
その時だった。
背後から小さな足音が駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん!!」
振り向く相川――目を見開く。
「……美保?」
白のシャツに膝丈のスカート。髪をひとつ結びにした、まだ中学生くらいの少女。
涙を浮かべながら、彼の元へ駆け寄る。
「美保、お前……まさか……」
「うん……学校抜け出してきちゃった。
どうしても……お兄ちゃんの初レース、見たかったの。」
相川律が言葉を失う。
それを見ていたおばあちゃんが、くすりと微笑んだ。
「よう来たねぇ、美保。……あんたも“見届け人”の一人だよ。」
「お兄ちゃんのレース見逃すわけに...いかないからね?」
白きGT-Rのボンネットに、そっと手を置く相川律。
「……そうか。おばあちゃんだけじゃなかったんだな……
美保、お前まで来てくれてたのか……」
その声はいつになく、震えていた。
「当たり前だよ...、だって……お兄ちゃんの夢の始まりだもん……っ!」
言葉に詰まった美保は、思わず兄に抱きついた。
律は少し戸惑いながらも、優しく彼女の頭を撫でる。
「……ありがとう、美保。お前がいてくれて……ほんとに、良かった。」
その瞬間、初夏の空が少しだけ晴れて、三人の周囲にやさしい光が差し込んだ。
GT-Rの白いボディが、その光を反射し、どこまでも眩しく煌めいていた――。
おばあ...それに美保___。
見てくれているのかな?
俺はこの壁を超えたい......ッ!頂点へといきたい___!!!!
だからこそ見守っていろよな......!
今度は勝てなかった自分に勝ってくるからなァァ__......。
相川「まじか......。お前のラインがすでにそこにあったのか__!??」
「そんなのを見るのお前が初めてなんだよ......!
すでにそこに自分だけのラインが創造図のようにあるかのようにそこへと飛び出すやつは___!!」
「何者なんだ!?カナタァァ!!!」
何しやがる.....ッ!俺は__こんなところで......!!!!
紅い戦闘機はもはや道路上ではなく、空間の中に造られた幻の道を駆け抜けていくようだった。そのさまに相川は後方で唖然となってしまう。
その瞬間、相川律のR35に向かって、カナタの86が――**「ボフッ!!」**と軽くリアタイヤを当てながら、あっという間にその横を抜き去っていったァァァァァ!!!
なにが起こったァァァァァァ!???
紅い戦闘機が特定の見えないラインに吸い込まれるかのように相川のR35に向かって思い切りソフトに当てながらあっという間に抜き去っていきましたァァァァ!!!!
腹切カナタが相川律をオーバーテイクゥゥゥゥゥ!!!!!!!
紅い86が小さなガードレール沿いの縁石を利用して一気に加速ッ!!!!!
とんでもない事態が巻き起こっているぅぅぅぅ!!!!!
これで紅い戦闘機は3位へ!!前回の大玉村戦でゴールしたときは3位でした!!!
ーーしかし、レギュレーション違反の山吹花のWRXが消え去ったことで繰り上がりで
2位になりました!
......さぁ、ここから腹切カナタは大きな加速を見せつけることでしょう!!!!
なぜなら...この低速バンクをくぐり抜けた先は、巨大なスラローム多めの
シーサイドダウンヒル!!!!
紅いマシンとチャンピオンイエローがここから大きな爆発音とともに
根強い加速をすることでしょう!!!!!!
......ファンのみなさまもご注目ください!!!!
腹切カナタと後方の中団グループで様子を見ていた伊藤翔太が
一気にスーパーカーをも大量に追い抜き去っていく瞬間が
見られることでしょう______!!!!!!!!
ここから少し進んだところのセクターポイントで問題になるのが
コース序盤のポイントのストレートです!!!!
再び、紅い戦闘機らはこれらをもう一度駆け抜けることになります!!!!!!
果たしてどこまでスーパーカーに手を伸ばすことができるのでしょうかァァァァァァ!????
全てのレーサーのレーダー探知機には相手との距離による位置情報やエンジンの回転数の詳細情報が表示されている。
腹切カナタのレーダー探知機には前方にNSXが24秒ごと表示されている。
ちらっとカナタがそれをアクセルを思い切り振りながら軽く見る。
カナタ「24秒.....吉田さんまでのマージン......」
追いつけるのか......?あの絶対王者に......?
この86でNSXに追いつこうとするだけ夢のまた夢なのにーー
…だけど、何か挑戦心がくすぐられてしまうんだよなーー。
身体の奥がエンジンの加速音によってくすぐられる感覚....それでニヤリとしてしまうのがどこかたまらなく感じてしまうんだよな......。
カナタが先程の様子と様変わりして真剣な赤い瞳を細めながら絶対王者のNSXを標的にするかのように曲がる方向だけ見守っている。
「このレース...このラップですべてを終わらせるッッ!!!!!」
「終わらせてやる____ッ!!!!!!!」
そしてパブリック通信だったためかカナタのその叫びは、
周辺に瞬く間に広がっていくのだった。
ーーー更なる高みを目指すために紅い戦闘機トヨタ86が火を吐いて加速するのだった。
灼熱のレースはまだまだ終わらない。
吉田「あの若いの___...昇ってきたみたいだね.....」
MRTAKA「俺はこのまま一位でホンスタスターレイルのストーリークリアを....」
ギャァァァアアアアアアン!!!!!!!
ブチ上がったエンジン回転数が唸り声を上げる!!!!!!
前方を走るのは――
スズキ・スイフトスポーツ、赤黒のボディに身を包んだ小さな狼――伊藤翔太!!!
後方から襲いかかるのは――
GRカローラの猛禽、紅の巨躯を揺らして突撃してくる岡田大成!!!
伊藤「前には出させねぇぇええええ!!!!」
伊藤が牙を剥いた!!!
右足をアクセルから一瞬だけ離し、微妙なブリッピングでシフトダウン。
そして、立ち上がりの瞬間に――
ヴオンッッ!!!
火を吹くような勢いで2速へぶち込む!
伊藤「スイフトじゃねぇ……スイスポだ……!!」
「スポーツの……この紅いエンブレムはッ!!!外さねえええええ!!!!!!」
爆裂のようなアクセルオン!!!!
コンパクトな車体が地を這うように、タイトな左コーナーを舐めるようにクリア!!!
一瞬でもラインを狂わせれば、背後のGRカローラが飲み込んでくる!!!
一方、岡田は――
GRカローラを右に思い切り振る!!
あえてインに切り込み、フェイントをかけて外に展開してくる!!!
「はアアアア!!!」
ハンドステアを大きく切った岡田!!
リフトオフのスナップを利かせて、リヤをスライドさせながら、
アウトへ“寄るぞ”と見せかけて……
しかし!!伊藤は焦らない!!そして譲らないィィィ!!!!!
いや、むしろ見えている____ッ!?
もうやばいぞこのレース!!!!!!!!
伊藤「分かってんだよ、岡田……お前の得意技は“外振りフェイント”だろ……!」
「お前の弱点はオレなら得意だ___!!絶対に抜かせない!!!!!」
ステアリングの感覚で読み取った。
踏み込み方で、理解していた――。
『こいつ、まだ本気で刺してこない……様子見のスラローム……』
――次だ!!!
岡田が仕掛けるのは、この先の右のダブルコーナー!!!
そこにはタイトなS字が待っているッッ!!!
GRカローラの低重心、ワイドな足回りは……
たしかにスイスポよりコーナリングでは“理論上”勝る。
だが!!!
伊藤「こっちには“軽さ”と“キレ”があるッッ!!」
目が鋭くなる!!
「こっちは……今までこの車で生きてきたんだァァァ!!!!!!」
立ち上がりッ!!!
伊藤はドリフト寸前のギリギリまでスライドを抑え、
鬼のようなアクセルON→OFF→ONを連続で行う!!!!
ンンパパパパパァァンッッ!!!!
火花を散らしながら、スイスポが吠える!!!
岡田「まだだ……まだ前を譲らねえええええええ!!!!!!!」
GRカローラの巨大な姿が横に見えるッ!!!
……だがその瞬間!!!
伊藤は左足でスッとブレーキを当てた!!
岡田「なッッ!?!?!?」
左足ブレーキによる“軽い減速”!!
それで“フェイント対策”のディレイラインを作る!!!!
伊藤「お前がそこに来るの……見えてんだよ!!」
ガコンッ!!!!
岡田「......おお、やるねッ___!!!」
伊藤、3速から2速へシフトダウン!!!
ギアが嚙み合い、エンジンが叫ぶ!!!!
グヴァァァァアアアアアン!!!!
スイスポが吠えた――!!!
岡田のGRカローラの突っ込みを、その“半歩の遅れ”で抑え込む!!
岡田「くッ……!」
スライドしようとしていたリヤが、ほんの少し空転する――。
この瞬間、ラインがズレた!!!
横に出るはずだった空間が、伊藤のラインで塞がれた!!!
伊藤「ッッしゃあああああああ!!!!!」
伊藤翔太、胸の奥で吠える!!
「どんな高性能な車だってな……この紅いエンブレムの魂は、超えられねえ!!!!」
――それは、スズキ・スポーツの魂。
エンジンルームに、魂を込めて組み込まれた1.4Lブースタージェット。
それに自分の“意思”が乗ったとき……
どれほどの大排気量でも、超えられない“速さ”になる!!!
その言葉を証明するかのように、
前に出られなかった岡田が、悔しげに歯噛みしていた。
岡田「くっそ……!!スイスポって……こんなに……!!」
ギャァァァァアアアアアアン!!!!!!
スイスポが唸り、次のコーナーに向けてフル加速!!!!!!
伊藤翔太、魂の加速ッッ!!!!
観客席からも歓声が上がる!!!
出さない!!前には絶対出させない!!!
伊藤翔太ァァァァ!!黄色の猛獣の牙、絶叫のスイスポォォォォォ!!!!!!!!!
これこそまさにチャンピオンにふさわしいようなイエローが輝き出しているゥゥゥ!!!!!!
ベルギー「彼……本当にスイフトスポーツを“身体の一部”のように操ってる……。
まるで、意志で走ってるみたい……!」
さあああ!!次のストレートに入っていく!!
R35の相川が迫ってくる!!さらにその背後に、腹切カナタの86が見えてきたあああああ!!!!!スイスポの黄色ののボディが、突き抜けるように走り抜けた――!!!
1MRTAKA ブガッティ・シロン
2吉田 NSX NA1
3腹切カナタ TOYOTA86 (紅い戦闘機)
4相川律 R35
5ユナ TOYOTA86(白色)
6陽太 ロードスター
7伊藤翔太 スイスポ OB阻止!
8岡田大成 GRカローラ OB失敗!
9黒川海斗 エボ9MR
10柳津 BMW M4
11内藤セリナ AudiR8
12クリスタ フェラーリ488GTS
13石井 NV100クリッパー
14古田 BMW Z4 2.0s drive
15東條ヒカル 80スープラ
16濱さん GR86 黒色
17ゾフィア シボレーC8
次回第90話長いダウンヒルストレート
山吹花「気を取り直していこう!!!」
店員「それにしても今回、相川くんと伊藤くんすごかったけど、次回は黒川くんとクリスタ、内藤が久しぶりに出てくる__。」




