第82話 レースの裏の挑戦者
カナタが中団グループが混戦でオーバーテイクした直後のお話。
サテラが赴いたのがまさかのコンビニ”ヤマブキモーターズ”。
中にはかすかな雪と桜の匂いがする。四季の匂いがした。
どこか暖かそうな甘い匂いも漂っている。
その一角でチラシコーナーに目をとどめた男が一人。
水色のパーカー、前髪を指でいじりながらチラシをひょいっと取る。
サテラ。
軽そうな笑みを浮かべながら、その眼だけが鋭く細められていく。
サテラ「......ん?これが黒川くんのでてるやつか~...なになに~?...エーペックスカップ?」
ぺらっと指でチラシをめくりながら名前を見つけていく。
口元を緩めながら軽やかにくるっと回ってレジのほうを見ながら
にやりとしてつぶやいた。
サテラ「......いいねこれ☆黒川くんのことじ~っくりじわじわ叩き潰せるじゃ~ん☆」
その声にちょっとだけちとせが振り返るも、サテラは知らないふりしてドリンクコーナーへ。
サテラ「わざわざ23区からきてよかったよ~久しぶりに吉田さんの顔も見れるし~」
ちとせは感じたーー。ふっと浮かんだなつかしさと少しの警戒さ。
それからほんの少し戦士としての鋭さが混じっているーー。
ちとせ「......君の走り覚えているよ。RVの時はヘルメットで出ないといけなかったからね~。まるで水の流れみたいだったね~」
サテラ「うわぁ~君がちとせか~褒められているのかすこしわからないな~」
2人に流れるのはかつて首都高で争った仲。
白いS30Zとエボ7MRで競い合ったトップ争いの二人......。
またどこかで走るときはくるのだろうか......?
ちとせに一人の少女が頭に浮かび上がった。
ニャンコ...アイツ......。今、どこにいるんだろうな~......
きみはまるでもうひとりのわたしのようだった......。
あの子がきたら相当面白そうなんだよなーー......。
ちとせやサテラはかつて首都高でトップ争いを競い合っていた。
夜明け前の湾岸線。白いZであるホワイトホルスとやや金色のベースカラーの外注カラーであるニャンコの2000年代式クラウンマークII ツアラーV
とても速かったーー。最高速仕様の720馬力仕様だったーー。
しかし、ある日壊れた。二人の車は同時に塵になり消えてしまった。
次回!
第83話SP信じてる




