第63話 86伝説再び!!!!
ーーー前回のレースである大玉戦から2か月後。
7月21日海の日 福島県ー相馬市ー松川浦
静まり返るピットロードのガレージ。潮の匂いがわずかに混ざった風が流れる中、一台のマシンがゆっくりとガレージから現れた---。
そこにはひときわ注目を集める86….腹切カナタの紅い戦闘機がレースを待ち望んでいた......。
腹切カナタのトヨタ86。
本宮、三春戦ではクリスタのフェラーリを追い詰めて後半で怒涛のオーバーテイクを披露し、須賀川戦では柳津のM4とノーマル86でバトルして、大玉戦ではEVO9MR
黒川海斗をあっさりオーバーテイクして絶対王者NSXNA1である吉田に並びかけてついに世界も隠せぬ人物になってきた。
あれから2カ月もの時間が経ち、ノーマルだった86もついに生まれ変わったーーー!
真新しいTRDフルエアロが太陽光をきらりと反射していく__。
そして、新たに4本出しのTRDマフラーが高回転のボクサーエンジンの音をきれいに奏でるーー。巣r独、地を這うような音を響かせた。
ブゥゥゥゥォォォン......ッ!!
重低音のアイドリングが海沿いの空気を震わせる。
どよめきと拍手が起こる中ーーカナタが86から降りる。
マシンに視線を向けたまま、静かにつぶやいた。
「この音、この姿.....今日は誰にも譲らない。」
ゆっくりとドアを閉め、マシンに乗り込む。
スパルコのバケットシートに背を抜けたカナタの瞳はすでに戦闘モードに包まれている。
キーON、エンジンスタート。
「ボンッ!ボンッ!バンッッ!!!」
TRDマフラーが4発の音の砲撃を打ち出す。
あまりの音圧にピットの壁がビリッ!と揺れるほど......!!
ピットクルーたちもその轟音には息をのむほどであった。
その中で、実況が静かに言葉を紡ぐ。
「これは......まさか......。
TRDフル装備でマフラーも純正ではない!!
腹切カナタが完全武装で帰ってきましたァァァ!!!
86伝説が再び巻き起ころうとしています!!!」
カナタ「そう......これは、ただの続きじゃない。」
これは、”伝説”の続きだー。
次回第64話第64話 シーサイドPK開幕
6月25日夜公開予定!




