第54話 ケリ
S字による最終セクション終盤!!!
NSX吉田が後続車を突き放していくーー!
圧倒的に誰にも勝ち目はないーー!!
そんなオーラが彼からは強く感じられます......!!!
一方、S字終盤の右回りコーナー!
86がインベタで突っ込み!!花が大外にラインを変えてインへ差していく!!!!
ラストの区間への侵入___!
カナタも腹をくくった。
「ここしかない___!」
腹切カナタが黒い絶対王者のNSXにクルマ自身が飛びかかるように行きましたアアァァァァ!!!!
後ろでタイトに詰めると、吉田はゆっくりとミラーに手を挙げて、片手でハンドルをくるりと切り返しはじめる。
「焦らなくていいさ。楽しく走ろうや。」
低く渋い声が全ファイター専用のボイスチャット内に鳴り響いた__。
カナタは食らいつくことでさえ必死の状態ーーー。吉田のNSXは終始リラックス。
まるで、隙ありと思わせて、実際は自分の土俵へと誘っているようだった__。
ここで抜けなければこの先やっていけないーー。
なんとかして抜けなければ......。
最初の頃は、1位を取れることに喜んでいた。
けど、今はゲームそのものに集中している気がするんだ.......。
花「ラインをクロスさせればもうカナタくんでも....!」
後方のWRXが加重を一気に掛け込み突っ込んできたアアアアアアア!!!
大外から差した....?
カナタ、やばいなそれは。
絶対王者の俺でも...まずいなー......。
AWDが大外から......か。
まだまだだな。ハラキリカナタくんーー。
このままなら負けるぞ。お前ーーーー。
ついに2台完全にサイドバイサイドへ突入ーーー!!!
並んだアアアアアァァァァァァァァ!!!!!
カナタ「ッ!コイツ...さっきまで伊藤たちとやり合っていたのにーー!?もうこんなに距離が縮まっていた......!??」
ゴギャアアアアアア!!!
赤い戦闘機のリアが悪い方向へと滑り出してしまうーー!
そこを青い電撃の桜狼は、見逃すはずがなかったーー。
花「カナタァ!!私の“怒り”の音、聞きなさいよォォォォオオ!!!」
バシュゥゥゥゥウウウウ!!!!!!!!
吸気が悲鳴を上げ、エンジンの内部が“爆発”のように震えた!
その瞬間――
後輪にビキィィィィィ!!と伝わる衝撃!!4輪全てが“地面を割る”ように駆け出す!!!
バギャァァァァァアアアアア!!!!!!
路面が砕けるようなグリップ音!!“叫ぶタイヤ”、“燃える駆動系”、すべてが剥き出しだ!!
“風のように”じゃない――“爆風のように”前に出た!!!
カナタ「ッ……今の音……なに!?爆発かよ……!?いや――あれが青い電撃……!!」
「まずいーー!このままでは、立ち上がりの差で圧倒的に不利になる!まずい!!!!」
腹切カナタが...紅い戦闘機が抜かれてしまうのか!???
腹切カナターーーーー!!絶体絶命ーーーーーーーー!!!!!
花「これが……あたしの“全開”よォォォォオオオオオ!!!!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
タービンが真紅に焼け、ゴォォォオオオオ!!ッ!!と爆風のような音を吐き出す!!
排気が火柱を生み、マフラーの奥から赤い閃光が閃いた――!
WRX STIが“破裂”するように前へ飛び出す!!
ギュギャアアアアアアアッ!!!!!!
4輪が路面を引き裂くように蹴る!!左右のリアタイヤが一瞬だけ浮いた――!!
それほどの衝撃だった!!
カナタ「ッ……なッ……!!視界が――一気に真っ白に!?!?」
煙と火花の霧の中から、花のWRXが
まるで“爆心地”から飛び出すミサイルのように姿を現す!!!
車体の左右に渦巻くのは、風じゃない――“熱と怒り”を帯びた爆風だ!!
爆音が地面を跳ね返し、エアロの縁が軋み、ボンネットがわずかに揺れた――
それでも、花は止まらなかった。
花「抜くのよ……あんたを……必ずあんたを……!!」
カナタ「山吹花ァァァァァァアアアア!!!!!」
2台のフロントがピッタリと並んだ……が――
次の瞬間、
ドグゥゥゥウウウウン!!!!!!!!!
WRXの怒りが文字通りの“爆風”として路面に叩き込まれ――
86が、わずかに、たった数十センチ、後ろへ押し戻された。
カナタ「くっ……!押された……!?マジか……ッ!!」
86の車体が一瞬、気流に持っていかれたかのように揺れた――
まるで、爆弾の余波で飛ばされた羽のように。
山吹花のWRXSTIが、紅い戦闘機を吹き飛ばすように
強烈な“爆風で”、カナタをオーバーテイク!!!!!!!!!!
土壇場で腹切カナタが3位後退だァァァァ!!!!!
そこに3台同時にテール・トゥー・ノーズしたところでチェッカアアアァァァァァァ!!!!
長き戦いについに幕が降ろされましたァァァァ!!!!!
1吉田ノリアキ NSXNA1
2山吹花 WRXSTI
3腹切カナタ トヨタ86 紅い戦闘機
4以下 まだレース中ーー。




