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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!松島編
359/364

松島編第67話 最終区間突入

1位:相川 美保(R33 GT-R V-spec)

2位:黒川 海斗(EVO IX MR)

3位:山吹 花(WRX STI VAB)

4位:腹切 カナタ(TOYOTA 86 NA)

5位:サテラ(EVO VII MR)

6位:佐藤 大河(Corvette C8)

 → 背後からの猛攻にさらされながらも、まだ6位を死守。

7位:小岩 イオリ(Ferrari 812 Superfast)

8位:山吹 芽衣(Porsche 911 Carrera GTS)

 → イオリとともにC8へ襲いかかる2台体制。

9位:古賀 加奈子(BMW M3 E46)

10位:柳津 雄介(BMW M4 DTM)

11位:岡田 大成(GR Corolla)

12位:霧山 トオル(Lamborghini Veneno)

13位:伊藤 翔太(Swift Sport ZC33S)

 → 佐藤ジュンに一度はオーバーテイクを仕掛けたが……!?

14位:佐藤 ジュン(RX-7 FD3S・ネオンレッド)

 → 一時は怯えていたが、突如として赤いネオンが点灯。ロケット加速で伊藤を再逆転!

15位:高村 圭吾(Fairlady Z Z33)

16位:ミルキークイーン(Lexus LC500)

17位:柊 蒼真(Civic Type R FL5)

18位:川村 修一(K-Works)

19位:湯川 サトル(S2000)


【リタイヤ】

内藤 セリナ(Audi R8 V10)他

赤く光るロータリーの咆哮が、海沿いの断崖を震わせた。

ジュンの手はもう震えていない。クラッチは滑らかに、シフトノブは吸い込まれるように動く。


若林「佐藤ジュンがァァァァ!!!

ZC33Sスイスポを抜き去ってしまうゥゥゥゥゥ!!!!」


わずかに左に傾いたコーナー出口。

ターボブーストのかかったFDが、軽量FFのスイスポを置き去りにして加速。


若林「しかもォォォ!! そのままァァァァ!!!

前を走っていたヴェネーノに!! 赤い閃光が突っ込んでいくゥゥゥ!!!!!

瞬殺だァァァァァァァァァ!!!!」


霧山「な、なぜだ……なぜボクが……こんな泥被りの奴らなんかに……ッ!!

ヴェネーノのパワーが……ッ、こんなにあっさり通じない……って……うわァァァァァ!!!!!」


ジュンのFDが、まるで重力を無視するように、

ヴェネーノのアウトからスライドして、スムーズに再加速を決める。


ロータリー音が高く鳴き、ネオンレッドの軌跡が夜空を裂く。


佐藤ジュン「……甘いよ……

ボクが……それにやられるとでも?」


その声には、かつての怯えはなかった。

あるのは、静かで確かな意志。


若林「さらにァァァァッ!!!

ヴェネーノを!!! FDが!!!

まさかのッ!!!!

瞬殺してしまうゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!」


霧山の漆黒のヴェネーノが、ハイスピードS字を抜けようとした、その刹那。


真っ赤な閃光――ジュンのFDが、リアの巻き上げた風圧ごとサイドへ吸い込まれるように現れた。


若林「インもアウトも関係ないッ!!

今のジュンのラインは……コースそのものを、再定義しているゥゥッ!!!

車体が滑ってるんじゃない!! 地面がズレてるんだァァァァッ!!!」


ロータリーの爆音が、リプレイ映像を割る。

カメラが追いつかない――映像がブレるほどの速度差。


若林「速い!!!

軽量じゃない!!四駆でもない!!

ただ――“赤い魂”だけが今ッ!!!

ランボルギーニ・ヴェネーノを……ッ!!

飲み込んでいくゥゥゥゥゥッ!!!!!!」


リプレイが終わっても、スタジオの空気は張り詰めたまま。


フェルリア「……ジュンちゃん。あの一瞬、ヴェネーノを“見てなかった”ように思えました。

霧山くんでは、あの速度域の判断に……対応できなかった。

“見える人間”と、“感じる人間”の違い……出ましたね」


若林「ひとつだけ確かに言えるのは……!!

あの瞬間!!ジュンのFDは!!

“抜いた”んじゃない!!

“置き去りにした”んだァァァァッ!!!!!!」


若林「こんなオーバーテイクを目にするのは――初めてですッッ!!!!

コースの幅は、車一台ぶんギリギリ……!!

それなのにッ!!! ネオンレッドのFDが、まるでそこに“道”があったかのように……!!

ねじ込んでいきましたァァァァァァッ!!!!!」


スローリプレイ。


ヴェネーノのリアがわずかに揺れる瞬間――

そのアウト側、通常ではありえない角度と速度で、赤い閃光が滑り込む。


若林「路面は荒れている!! 傾斜もある!!

なのに今のジュンの動きは……一切のブレがない!!

インもアウトも関係ないッッ!!!

コースそのものが彼のために“開いた”とでも言うのかァァァァァァッ!!!!」


マイクが割れるほどの声。

観客席は静まり返る。誰もが「何が起きたのか」よりも「何を見せられたのか」に圧倒されていた。


フェルリア「……ジュンちゃん。

今のは……“奇跡”じゃないわ。

積み重ねたものが、本能に変わっただけ。

これはもう、“天啓”の領域です……」


若林「……FDが……コーナーで、スーパーカーを……“狩った”……。

これはもう、ネオンレッドの……伝説の始まりだ……ッ!!!!」


若林「WRXが動きませんねぇ……っ!? おっとォォ!!?? 言った矢先にッ!!

山吹花のスバルブルーがァァ!!!黒川海斗のEVO IX MRに迫るゥゥゥゥゥゥ!!!!!」


カメラが一気に切り替わる。

松島の中腹、鮎川区間。

海風が吹きすさぶ山影のワインディングを、青と銀の閃光が絡み合うように駆け抜けていく。


若林「いくかァァァァ!?!?

花のWRX STI、立ち上がりの加速が凄まじい!! 黒川のエボに真っ向から食らいつく!!!」


フェルリア「ここは立ち上がり重視の区間、WRXのシンメトリカルAWDが効くんですよ。

けど、まだ……“いけない”です!」


若林「いや!!まだいけない!!!

最高速度はエボが上!!!ここで仕掛けたらッ!!

逆にブースト切れでカウンターをもらうッッ!!!!」


黒川のEVOが、鋭い排気音とともにコーナーを抜ける。

花のWRXはインを刺しかけるが、寸前で踏みとどまる。

青いスバルブルーのボディが、ブレーキランプの赤を残してラインを外側へ振った。


若林「WRXが……焦らないッ!! 山吹花ッ!!ここはまだ……牙を研いでいるッ!!!」


フェルリア「……彼女、冷静です。エボの最高速を知っている。

次のS字の立ち上がり、“フミッパスライダー”が決まる角度を……探してますね」


黒川「フン……花ァ、来るなら来いよ……このEVOは、海風の向かい風ごと呑み込む……!!」


若林「黒川海斗ッ!!ブースト全開!!

だが花は離れないッ!! ブレーキングで詰めてくる!!

この二台!!完全に別のマシン特性でッ!! まったく互角の勝負だァァァァァァ!!!!」


――海を背に、二台のテールが小刻みに揺れる。

エボの白煙とWRXの青き軌跡が、松島の峠に一本の“螺旋”を描いた。


花「絶対に食らいつく……ッ!! 前が見えたからには――離さないッ!!!」


ステアリングを握る手に力がこもる。

彼女の視界の先、白いEVOのリアウィングが微かに揺れていた。

黒川海斗。ブースト圧を上げ、路面の荒れごと押し潰す走り。

だが花は、彼のラインの“わずかなズレ”を見逃さなかった。


若林「おおっとォォ!!!? 花のWRXが再びインに寄ったァァァ!!!」


ターボの笛が鳴る。

シンメトリカルAWDの駆動が四輪すべてに均等に力を送り、スバルブルーのボディがグリップを掴み直す。

フロントの荷重移動――完璧。

次の瞬間、花の右足がアクセルを深く踏み込んだ。


フェルリア「……来ます。“あの技”ですね……」


花「――フミッパスライダーッ!!!」


タイヤが悲鳴を上げる。

だがスリップはわずか0.1秒。

花のWRXが、EVO IX MRのイン側に吸い込まれるように並ぶ。

海風が二台の間を切り裂く。


若林「きたァァァァァァァァァァァッ!!!!!

花のWRX!!黒川のEVOに並んだァァァァァァァッ!!!

鮎川の狭い下りで!!

こんな距離でありえないッッ!!!」


黒川「……チッ……!! 来やがったな……花ァ!!」


二台のテールがかすかに触れた。

火花が散る。

花は目を閉じない。視界の中で、海と空と道路が一直線に溶けた。


花「(負けない……!!あなたに……だけはッ!!)」


EVOの加速力、WRXのトラクション。

それぞれの特性が衝突し、松島の空気が振動した。


フェルリア「……限界同士のバランスです。

この二台の間には……もう“技術”じゃなく、“信念”しか残ってませんね……」


若林「この距離でブレーキをかけたらッ!!

どちらかが吹き飛ぶ狭い半島区間のデットヒートッ!!!!

二人とも止まる気なんて全くありませんッッ!!!

花と黒川ァァァァァァァァァァ!!!!

いくのかァァァァァァァァッ!!!!??」


花「この……“フミッパスライダー”は……ッ!!

私の技じゃない……!! 内藤のパクリだ……ッ!!

完成度はイマイチだけど――それでも!!!」


スバルブルーのWRXが、わずかに車体を揺らす。

ブレーキングのタイミングが黒川とはまったく違う。

減速よりも、踏み抜く――あの“内藤セリナ”が見せた、伝説の踏み込みの模倣。


だが、花のマシンはR8ではない。

四輪駆動のスバル。

彼女はその差を理解した上で、あえて“未完成のまま”叩き込んだ。


花「(内藤みたいに華麗にはいかない……でも、あの人が見た景色……

自分も、そこに届きたい……!!)」


ブレーキペダルをほんの一瞬だけ抜き、すぐにアクセルを重ねる。

“踏みっぱなし”――それが名の由来。

四輪が同時に路面を噛み、EVOのリアへ突っ込む。


黒川「なんだとッ!?

さっきまで引いてたWRXが……!!

トラクションで押してきやがるッ!!」


海沿いのガードレールが近づく。

外したら即、崖。

それでも花はステアリングを戻さない。

シンメトリカルAWDの駆動が、わずかな路面の傾斜をものともせず、黒川のEVOの外側へ並びかける。


若林「いやぁぁぁぁッ!!!?

まだいけないと思っていたァァァァ!!!!!

花のWRX!!! 黒川海斗のEVOに!! 外からッ!! 重ねたァァァァァァッ!!!!」


ブレーキの火花が散る。

花のWRXがわずかに浮き上がり、黒川のEVOがスリップ気味に膨らむ。


フェルリア「……あの技は、模倣ではなく“継承”ですね。

未完成でも……魂だけは、確かに受け継がれてます……」


若林「フミッパスライダーッ!!!

その血統がァァァァァァァァッ!!!

松島の峠で今!!蘇るゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!」


花「(……ありがとう、内藤……

でも――ここからは、私の走りだッ!!)」


スバルブルーのWRXが、EVOのテールを押し上げるように前へ出た。

海風が、二台のあいだを白く裂く。


――その瞬間、WRXは“内藤の幻影”を超えていた。


花のWRXが、フミッパスライダーの勢いで黒川のEVOの外へ浮き上がった、その刹那。


海風が止んだ。


まるで空気そのものが震える。


次の瞬間。


黒い影が、花の視界から消えた。


花「え……ッ!?」


聞こえたのは、EVO IX MR特有の過給圧限界の破裂音。

タービンが一瞬でフルブーストに跳ね上がり、黒いボディが弾丸のように前へ飛び出す。


若林「黒川ァァァァァァ!!!!

一瞬ッ!!

ほんの一瞬で花を抜き返したァァァァァァァァッ!!!!!」


黒川海斗のエボ――

それは、白でも赤でもない。

今だけは、闇そのものの“黒いエボ”だった。


イブニングブルーの光を吸い込んだボディは影の塊と化し、WRXの前を裂く。

花が詰め込んだラインの外側を、**まるで“重力を無視する速度”**で飲み込んでいく。


花「うそ……っ……速い……!?」


黒川「……舐めんなよ、山吹花ァ……!!

EVOは……“触れた瞬間”に噛みつくんだよッ!!」


並ばれた瞬間、黒川はすでに“先のコーナー出口”を見ていた。

アクセルオフなし。

ブレーキングすら最小。

四駆の本能だけで曲げ、トラクションで引きちぎる。


フェルリア「黒川くん……完全に“殺気の走り”ですね……。

花ちゃんのミスでも技不足でもありません。

あれは――黒川の一撃が違いすぎるんです……」


スバルブルーの前で、黒いEVOが地面を蹴る。

黒い残像――

それはタイヤスモークではなく“速度の影”。


若林「花のフミッパスライダーで並んだァァァ!!

しかしその一瞬後!!

黒川が!!

黒いEVOが!!

すべてを無に返すように抜き去ったァァァァァァァッ!!!!!」


花「(……くやしい……!!

でも……黒川海斗……

あなた、本気で走ってる……!)」


黒川の背中は遠い。

だが、その遠さが、逆に花の心に再び火を灯す。


花「……まだ終わりじゃない……ッ!!

ここから追いつく……!!

絶対にッッ!!!!」


黒いEVOの咆哮が、鮎川の崖に響き渡る。

それは“暴走期”の黒川海斗そのものだった。


花「ハァァァ……!!」


息が震える。

だがその震えは恐怖ではない。

桜が咲く直前の、張り詰めた空気の震え。


次の瞬間――

山吹花のWRXから、**さっきよりも濃く、強く、熱い“桜風のオーラ”**が溢れ出した。


桜色の残像が、スバルブルーのボディを包み込み、

海沿いの鮎川区間に淡い光の粉が舞う。


若林「うわッ……!!?

なんだこの……桜色のオーラは……!?

さっきより明らかに強いッッ!!

花のWRXが!! まるで春嵐みたいに空気を薙ぎ払っているぅぅぅ!!!」


黒川のEVOのすぐ背後。

花の視界が“奥行きのない一本の道”に変わる。

黒いボディが呼吸するように上下するたび、

彼女の桜風が、その影に触れる。


フェルリア「……花ちゃん……あれは……

“桜風の第二段階”ですね……」


花「ッ……見える……!

さっきよりも……はっきり見える……!!

黒川の……呼吸も……ラインも……全部!!」


スバルブルーのWRXが、

スリップストリームに入り――

一瞬で、黒いエボの真横に飛び込む。


黒川「ッ……!! なんだその色……!!?」


花のボディの周囲で、桜色の粒が舞い散る。

排気音が振動と共鳴し、まるで桜吹雪を引き連れて走っているようだった。


若林「再びィィィィ!!!

山吹花が黒川海斗に並んでいくゥゥゥゥ!!!!

WRX!! あの黒いEVO IX MRに再接近ッ!!

スピード差を……力でねじ伏せてきたァァァァ!!!」


黒いエボの横で、花のWRXが揺れる。

堅い四駆の骨格が軋む音がした。

だが、桜風はやまない。


花「私は……絶対に……負けたくない……!!

黒川海斗……あなたを!!

ここで……!!!」


黒川が眉をひそめる。

EVOのバンパーに、花の桜風の光が反射する。


黒川「……花ァ……舐めるなよ……!!

俺のエボは……“影”だ!!

簡単に掴めると思うなッ!!!」


だが――

その“影”に触れられるほど、

花の桜風は強く吹いていた。


フェルリア「……黒川くんが“影”なら……花ちゃんは“光”ですね。

そして今、光が影を、照らし始めています……」


海風が、桜風と黒い影を巻き込み、山肌に渦を作る。


二台は――再び完全な横一線へ。


若林「並んだァァァァァァッ!!!!

山吹花ァァァァァァァァ!!

黒川海斗の黒いエボに再び勝負を挑むッッ!!!!!」

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