松島編第62話 バイエルンの双璧!! BMWMシリーズ対決!!!!
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若林「さあ、コース中盤でも熱い火花が飛び散っているぞォォッ!! 8位・古賀加奈子のE46 M3に、9位・柳津雄介のM4 DTMエディションが急接近中だァァッ!! まさに新旧BMW、Mの称号を懸けた身内同士のガチンコバトルだぁぁッ!!」
フェルリア「……これが見たかった。E46はBMWの歴史の中でも最高傑作の一つと言われる名車。加奈子さんの精密なハンドリングが、そのポテンシャルを120%引き出しています。対する柳津くんのM4は、世界限定200台、DTM(ドイツツーリングカー選手権)の技術を詰め込んだ公道の怪物です……ッ!!」
柳津「……加奈子さん、尊敬はしていますが……レースは別だッ!! DTM直系のダウンフォース、その身で味わってもらうッ!!」
柳津のM4が、ヘアピンの立ち上がりで強烈なブーストをかけ、加奈子のリアにピタリと吸い付く。
夕日に輝くマットグレーのボディが、加奈子のバックミラーを威圧的に埋め尽くす。
古賀加奈子「(いいわよ柳津くん、来なさいッ! 最新の電子制御が、このE46の『呼吸』に勝てると思っているの……ッ!?)」
若林「加奈子、ヘアピンの頂点で敢えてリアをスライドさせる! 向きを瞬時に変え、M4のラインを封じるッ!! だが柳津は引かないッ!! ターボのトルクを活かし、わずか数メートルの直線で加奈子のサイドへ強引に鼻先をねじ込んでいくぅぅッ!!」
フェルリア「……世代を超えた『M』の魂が、石巻の峠で共鳴していますね。高回転域で鳴り響くNAの叫びと、空気を切り裂くターボの咆哮……。どちらが勝ってもおかしくない、極限のシンクロです……ッ!!」
加奈子「ウソでしょ、、、M4に並ばれる、、、ッ!!?? この狭いR398のヘアピンの立ち上がりで、私のラインを力ずくでこじ開けてくるなんて……ッ!!」
若林「信じられないッ!! 鉄壁のブロックを誇っていた古賀加奈子のE46 M3に対し、柳津雄介のM4 DTMエディションが、コーナー出口のわずかな隙間にフロントノーズを叩き込んだァァァッ!! まさに新旧Mシリーズの真っ向勝負だぁぁッ!!」
フェルリア「……柳津くんの『覚悟』が、加奈子さんの『経験』を上回りましたね。M4 DTMに搭載された水噴射システムが、吸気温度を下げ、エンジンの爆発力を限界まで高めている……。あのターボの蹴り出しは、もはや反則に近い加速力です……ッ!!」
柳津「(加奈子さん……あんたが教えてくれた『Mの魂』は、形を変えて、今も進化し続けてるんだッ!! これが今の……俺たちの『M』だァァッ!!)」
キィィィィィィィィィッ!!
サイドバイサイド。二台のBMWから放たれるスキール音が、夕暮れの牡鹿半島に重なり合って響く。
加奈子のS54エンジンが、レブリミット直前の悲鳴のような高音を奏でる横で、柳津のS55エンジンはドスの効いた重低音を響かせ、アスファルトを力強く蹴り上げる。
加奈子「(……速い。車が、というより……彼の中に宿る『時代を掴もうとする意志』が……ッ!! でも、教え子に簡単に背中を見せるほど、私は優しくないわよッ!!)」
若林「加奈子、一歩も引かない!! 1台通るのがやっとの道幅で、ガードレールとM4に挟まれながらもアクセルを緩めない!! 二台のバイエルンの猛獣が、火花を散らしながら第12ヘアピンへと突っ込むぅぅッ!!」
若林「ヘアピンを立ち上がり、コースは再びストレート区間へ!! だが……信じられない、依然として並んでいるッ!! 柳津のM4がターボのトルクで引き離しにかかるが、加奈子のE46がスリップストリームに吸い付くように離れないィィッ!!」
加奈子「……っ!! 直線になっても並んでくるなんて……ッ!! 柳津くん、あんた本気で私を越えるつもりなのね……ッ!!」
柳津「……加奈子さん! 時代は止まってくれない……俺だって、止まるわけにはいかないんだッ!! 届け、Mの魂ッ!!」
フェルリア「……凄まじい光景です。M4 DTMのパワーウェイトレシオを考えれば、この直線で車身一つは前に出るはず。ですが加奈子さんは、ヘアピンの脱出速度を極限まで高め、M4が加速に移る一瞬のラグを完璧に突きました……!!」
若林「二台の『M』が、夕闇のR398を並走する!! 右は断崖、左は壁!! わずか数センチの間隔を保ったまま、時速200kmオーバーの領域へ突入していくぅぅッ!! 加奈子のNAエンジンが悲鳴のような咆哮を上げ、柳津のターボがそれを力でねじ伏せんとするッ!!」
フェルリア「……まさに意地の張り合いです。加奈子さんのE46は、もはや機械としての限界を超えている。柳津くんも、彼女のプレッシャーに冷や汗を流しながらも、アクセルを床まで踏み抜いている……。どちらかが先に瞬きをした方が、負ける……ッ!!」
若林「再びストレート区間、、、それでも並ぶ、、、! この『バイエルン内戦』、決着の時は近いぞォォォッ!!」
加奈子「抜かせない...ッ!!! 私とこの子の歩んできた道を、たかが最新型というだけで汚させはしないわッ!!」
若林「凄まじい気迫ッ!! 古賀加奈子のE46 M3、直線の終わりで柳津のM4を弾き飛ばさんばかりの勢いでラインを死守しているゥゥッ!! フェルリアさん! 改めて伺いますが、このMシリーズ二台、性能以外に決定的な違いはありますか!?」
フェルリア「……簡単ですよ、、、。M3がセダンで、M4がクーペなんです」
若林「セダンとクーペ……!? それがこの極限状態での走りにどう影響すると言うんですか!?」
フェルリア「クーペであるM4は、走るためだけの洗練された剛性と空力を持っています。柳津くんの武器は、その『鋭さ』。対して加奈子さんのM3はセダン……四枚のドアを持つ、日常を背負った形。ですがその分、セダン特有の重量バランスの粘りと、加奈子さんの執念が車体を『太く』見せているんです。柳津くんが刺そうとしても、その四枚の扉が壁となって立ちはだかっているんですよ……ッ!!」
加奈子「(……そうよ! 家族を乗せ、買い物に行き、そしてサーキットで牙を剥く。それがM3セダンの……私の誇りッ!!)」
若林「加奈子、ストレートエンドで一切引かない!! 柳津のM4が横に並び、ドアミラー同士が触れ合うほどの超至近距離!! 17時15分、石巻の闇を切り裂くヘッドライトの光が、二台の直列六気筒を白日の下に晒し出すぅぅッ!!」
柳津「(クーペの軽さが、セダンの重厚さに押し負けている……!? 加奈子さん、あんたのM3……なんて『デカい』んだッ!!)」
若林「実況の若林です!! 皆さん、ご覧下さいッ!!!! 激闘を繰り広げるマシンたちの横に見えるのは、石巻の至宝、石ノ森萬画館ですッ!!!」
フェルリア「……美しい。夕闇の中に浮かび上がる、あの白い宇宙船のようなシルエット。萬画の王様、石ノ森章太郎先生の夢が詰まった聖地ですね」
若林「そうですッ!! サイボーグ009、仮面ライダー……数々のヒーローを生み出したこの萬画館は、震災の荒波を乗り越え、石巻の復興の象徴として立ち続けています!! まさに不撓不屈の精神!! 今、その聖地の前を、現代のヒーロー(レーサー)たちが命を懸けて駆け抜けていくゥゥッ!!」
加奈子のM3と柳津のM4。二台のBMWが、萬画館の白い壁面をヘッドライトで激しく照らし出しながら並走する。
若林「萬画の中のヒーローたちは、いつだって絶望的な状況から立ち上がりました!! 今、8位争いをしている加奈子も、柳津も、そして2位から1位を狙うカナタも!! 彼らの走りは、まさに石ノ森先生が描いた正義の系譜そのものだァァッ!!」
柳津「(……ヒーロー、か。だったら俺は、自分の時代を切り拓く新しい主役になってやるッ!!)」
加奈子「(萬画館が見えたわね……。あの場所を通るたびに思うの。諦めない心が、一番の武器だってことをッ!!)」
若林「石巻の魂に見守られながら、バトルはさらに加速する!! 万画館の横を通り抜け、コースは再び鮎川の深いワインディングへと吸い込まれていくぅぅッ!!」
若林「ヒーローになれるのは誰だァァァァ!!!?? 旧北上川に架かる内海橋を渡るレーサーたち!! 萬画のヒーローたちが見守る中、今度は三台の猛獣が火花を散らすゥゥッ!!」
若林「先行する古賀加奈子のM3! 喰らいつく柳津雄介のM4! そして、、、正式初参戦ながら驚異の追い上げを見せる、山吹芽衣のポルシェ911カレラGTSだァァァッ!!! 三つ巴のバトルから目を見逃すなァァァァ!!!!」
フェルリア「……芽衣さん、来ましたね! ポルシェ911特有のRRが生み出す圧倒的なトラクション……! 内海橋へ進入する一瞬のブレーキングで、二台のBMWの僅かな隙間に食い込みました!!」
芽衣「(……ポルシェは、この瞬間のためにある。……インがガラ空き、、、、ッ!!
私の力、見せてあげる、、、ッ!!!!)」
柳津「(後ろからポルシェが、、、!? 姉の花さんだけじゃない、妹の芽衣までこの速さかよ……。いかせるかよッ!!!)」
加奈子「(最新のMも、ドイツの貴婦人も……このワイドフェンダーを誇るセダンが通さない、、、、ッ!!!!)」
若林「内海橋の上はまさに戦場だッ!! 赤いM3、マットグレーのM4、そしてブルーのポルシェ!! 三色の閃光が、夕闇の川面を激しく照らし出しながら、橋を渡りきる一瞬に全てを懸けるぅぅッ!!」
フェルリア「……加奈子さんのライン取りが絶妙です。セダンの『幅』を最大限に使い、M4の鼻先を押さえながら、インに飛び込もうとする芽衣さんのポルシェをギリギリのところでブロックしている……!!」
若林「ヒーローになれるのは誰だァァァァ!!!?? 旧北上川を跨ぐ内海橋、三色の閃光が火花を散らす!! 先行する二台のBMWに対し、ポルシェ使いの山吹芽衣が牙を剥くッ!!」
フェルリア「……にしても、ポルシェ使いの芽衣ちゃんは高速区間で有利ですね。それに、この先の入り組んだセクションでも、彼女には強力な武器があります……そう、ストップアンドゴーがあるんですよ……!!」
若林「えっ!? Step and Goですか? ジャ〇ーズの? あの、腰を振って踊るやつですか!?」
フェルリア「何言ってるんですかw ストップアンドゴーです!! ポルシェのアクティブクルーズコントロールですよ!!ACCッ!!!!」
若林「あ、あっちですか!! びっくりした、実況席で踊りだすところでしたよッ!!」
フェルリア「笑い事じゃないですよ。ポルシェのACC『Stop & Go』は、渋滞時だけでなく、こうした急減速と急加速が繰り返される過酷な公道でも、マシンの挙動を極限まで最適化するんです。ブレーキから再加速への繋がり……その精密な制御が、芽衣ちゃんの右足と完全にシンクロしている……ッ!!」
芽衣「(……そうよ。最新のポルシェを、ただの高級車だと思わないでッ!! 止まる、曲がる、加速する……そのすべてが、私の意志を超えた次元で繋がっている……ッ!!)」
若林「芽衣のポルシェ911 GTS、内海橋の出口で急減速からの一気の蹴り出し!! 加奈子のM3と柳津のM4、二台のBMWが立ち上がりで一瞬遅れたぁぁッ!! その隙間、わずか数センチの空間へ、ブルーのポルシェが強引に潜り込むぅぅッ!!」
柳津「(クソッ、あのポルシェ……加速に移るまでのタイムラグが全くねぇ……ッ!! これがポルシェの……最新技術の力かよッ!!)」
加奈子「(……面白いじゃない。でも、機械がどれだけ賢くても、ラインを引くのは人間よ。芽衣ちゃん、簡単には通さないわよッ!!)」
若林「確か、、、ポルシェのトラクションが凄いのはエンジンレイアウトだけじゃなかったはず……!!」
フェルリア「はい、PDKですね、、、。デュアルクラッチ・トランスミッション……!
二つのクラッチを持つ、ポルシェが誇る究極の自動変速機ですよ……ッ!!」
若林「2つクラッチ、、、、? クラッチって一つじゃないんですか!? 芽衣ちゃんは手が四本あるんですか!?」
フェルリア「違いますw 内部で奇数段と偶数段、二つのクラッチが常にスタンバイしているんです。一速で加速している間に、二速がすでに『握られている』状態……。シフトアップの瞬間、クラッチを切り替えるだけで変速が終わる。その時間はわずか数ミリ秒!! 人間の手では絶対に到達できない領域のシームレスな加速……それがPDKの正体です!!」
若林「数ミリ秒!? 瞬きする暇もないじゃないですかァァッ!! 見て下さい、内海橋を抜けた直後の立ち上がり!! 8位を死守する加奈子のM3に対し、芽衣のポルシェがシフトチェンジの瞬間にグイッと前に出たァァッ!!」
芽衣「(……そうよ。私がアクセルを踏み抜くだけで、ポルシェが最適解を叩き出してくれる。シフトミスの恐怖も、加速の途切れも……今の私には関係ないッ!!)」
フェルリア「加奈子さんのE46はマニュアル……あるいは初期のSMG。どんなに腕が良くても、変速のたびにコンマ数秒の『空白』が生まれます。ですが芽衣ちゃんのPDKには、その空白が存在しない。この『止まらない加速』こそが、ポルシェが峠で最強と言われる理由なんです……ッ!!」
加奈子「(……くっ、シフトアップのたびに離される!? これが最新のテクノロジー……二つのクラッチの力なの……ッ!!?)」
若林「芽衣のポルシェ911 GTS、ついに加奈子の真横に並び、その鼻先が1センチ、また1センチと前に出る!! 石巻の風を切り裂くPDKの電光石火の変速音が、内海橋に木霊するぅぅッ!!」




