松島編第56話 バイパス追い抜き合戦
若林「14位から17位に大きく変動がアアアア!!!!
コーナー後半の立ち上がり、カレラが仕掛けてきたアアアア!!!」
ドン!!ギャアアアアアアアアアア!!!!!!!
芽衣「......このラインを進めば行ける、、、ッ!!」
山吹芽衣のポルシェ911カレラGTSが、まるで磁石に吸い寄せられるかのように、イン側の縁石ギリギリをトレースする。
前方を走る佐藤大河のコルベット、柊蒼真のシビック、岡田大成のGRカローラが、立ち上がりの加速でラインを迷う中、芽衣だけは迷わずアクセルを踏み抜いた。
ギュリィィィィンンッ!!
佐藤大河「カレラが俺のC8に!?なんでパワーはそっちがないのに並べる!??」
岡田大成「さすがはポルシェってところか....!だが、こっからはもう遠慮しねエエ!!!抜かれたらすぐさまもう一度抜きにかかる!!!!!」
柊蒼真「...ふざけてんじゃねエエエエ!!!!俺の駆動力はFFだぞ!??
ラインをくれよ..なあ、頼むから..ぎゃあああああああああ!!!!!!」
リアに荷重を乗せ、路面を掴んで離さないRRのトラクション。
ポルシェが放つ「銀色の閃光」が、三台のマシンを内側から一気に切り裂いていく!!
若林「抜いた! 抜いた! 抜いたぁぁッ!! 山吹芽衣、一気に三台をゴボウ抜きだぁぁ!! 17位から14位へ、ポルシェの魔法がバイパスに奇跡を呼んでいるぅぅッ!!」
フェルリア「……お見事です、芽衣ちゃん。バイパスの継ぎ目や路面のうねりを、ポルシェの精密な足回りがすべて吸収している。お姉さんの花ちゃんのような力強さはありませんが、彼女の走りはまるで『一本の細い糸』を針穴に通すような、完璧な正確無比さを持っていますね」
芽衣「(……お姉ちゃん。待ってて。私も……あの場所に追いついてみせるから……ッ!!)」
銀色のポルシェが、前を行く中堅集団の背中を、静かなる闘志を燃やしてロックオンした。
若林「見ろぉぉ!! 4位を走っていたエボ7、サテラがトップ集団の背中に手をかけたぁぁ!! 2位イオリのフェラーリと3位加奈子のM3に迫るのは、東松島の風を味方につけたサテラァァァ!!!!!」
サテラ「あはは! 先輩方、ちょっとお邪魔するよ! 別に……アンタたちを追い抜いて1位になりたいわけじゃないんだからね。ただ、ちょっと前の方が景色が良さそうだからさッ!!」
サテラのEVO VIIが、3車線を目一杯使った変幻自在のライン取りで、加奈子のM3のインサイドを執拗に突き刺す。
加奈子「……あらあら、元気な坊やね。でも、お姉さんのM3はそんなに安くないわよ?」
若林「サテラ、ついに3位争いに参戦!! そしてその後方では、死神のM4を『蒼きサメ』R33が再び外側から仕掛けています!! まさにバイパス全域が戦場だぁぁぁッ!!」
美保「柳津さん……コーナーでは負けたけど、直線の『格』を教えてあげる。GT-Rがバイパスで負けるなんて、お兄ちゃんが許してくれないからッ!!」
柳津「(……また外からか。だが、今度は俺のM4も逃がしはしない。死神の鎌からは、サメといえど逃れられないぞ……!!)」
時速290kmに迫る超高速域。
外から被せる美保のR33と、内側で不動の安定感を誇る柳津のM4。
二台のマシンから放たれる風圧が、バイパスの防音壁を激しく共鳴させる!!
イオリ「エボ7がまた来たの、、、、ッ!? あれほど内陸セクションで引き離したはずなのに……信じられない加速だわッ!!」
加奈子「悪いけど、、、抜かせないッ!!! 私のM3は、若造に道を譲るほど安っぽくできてないのよッ!!」
若林「トップ集団に激震ッ!! 2位イオリのフェラーリ812、3位加奈子のBMW M3!! 欧州の至宝とも言える二台の背後に、国産スポーツの意地・サテラのエボVIIがピッタリと張り付いたぁぁ!!」
サテラ「あはは、お姉さんたち怖い顔しすぎだって! 別に……アンタたちを困らせたいわけじゃないんだからね! ただ、このエボが『もっと前に行ける』って、勝手に加速しちゃうんだから、しょうがないじゃないッ!!」
サテラはフェラーリとBMWが発生させる巨大なスリップストリームの渦の中に、果敢にノーズを突っ込む。
4G63エンジンのブースト圧が限界まで高まり、アフターファイアを撒き散らしながら、二台のわずかな「隙間」を強引にこじ開けにかかる!
フェルリア「……サテラくん、恐ろしい度胸です。イオリさんのフェラーリは時速300km付近でもビクともしない『氷岩』のような安定感、加奈子さんのM3は『精密機械』のようなライン。その二台の間に割って入るのは、一歩間違えればトリプルクラッシュですよ……!!」
サテラ「抜くよ? ……あ、勘違いしないでよね! アンタたちが遅いから、道を開けてあげようとしてるだけなんだからッ!!」
若林「サテラ、ついに2位・3位の間に鼻先をねじ込んだぁぁ!! 東松島バイパス、時速300キロの世界で、三台が火花を散らすサイド・バイ・サイドだぁぁッ!!」
若林「おっとぉ!! 大外、バイパスの最も海側の車線から信じられないパワーが押し寄せてきたぁぁ!! 相川美保のR33、潮風をその巨大なウィングに孕んで、大外から仕掛けてきましたァァァ!!!!! ターゲットは柳津、サテラ、そしてトップ3の全台だぁぁッ!!」
柳津「なんだと、、、、ッ!!? この速度域でまだ加速の余力があるのか!? 嘘だろ、外側は風圧が一番きつい場所だぞ……ッ!!」
サテラ「もー☆ ルーキー強すぎるね、、、、。別に、アンタに華を持たせたいわけじゃないけど……その潮風、ちょっと凄まじすぎない!?」
美保「……33はね、海に一番近いGT-Rなんだよ。この潮風は、お兄ちゃんと私を繋ぐエール。ブルーシャーク……加速ッ!!」
「ゴォォォォォォォッ!!」
RB26の咆哮が、バイパスを吹き抜ける海風と共鳴する。
美保のR33は、外側から柳津のM4を瞬時に抜き去り、そのままの勢いでサテラ、加奈子、そしてイオリのフェラーリにまで並びかける!!
フェルリア「……『海風の整流』!? 美保ちゃん、バイパス特有の強い横風をあえて利用し、R33のボディを路面に押し付けるダウンフォースに変換しました。大外車線は最も風の影響を受けますが、彼女はその風を『翼』に変えたんです!!」
若林「信じられない!! 14歳の少女が、並み居る強豪たちをバイパスの大外からまとめて飲み込もうとしている!! 蒼きサメが、東松島の地平線を完全に支配したぁぁぁッ!!」
イオリ「(……なんて冷たくて、力強い風……。私のフェラーリが……押し戻される!?)」
イオリ「こっちも負けていられない、、、この真っ白な雪が降るような亜麻色の岩である氷岩のフェラーリは抜かさない、、、、ッ!!」
若林「来たぞぉぉ!! 2位の小岩イオリ、フェラーリ812スーパーファストのV12エンジンが咆哮を上げるッ!! 彼女の周囲に舞い散るオーラは、まるで真冬の吹雪!! 亜麻色の岩肌を思わせる堅牢な氷壁が、バイパスの全車線を封鎖しようとしているぞォォッ!!」
美保「(……冷たい。外側から被せているのに、フェラーリから放たれる『拒絶』の冷気が、R33の潮風を凍らせようとしている……ッ!!)」
時速300km。世界が静止するような超高速域。
イオリのフェラーリは、まさに「氷岩」の名に相応しく、一切の揺らぎを見せない。
美保がどれだけ潮風のパワーで加速しようとも、イオリはその巨大な排気量とイタリアの芸術的空力で、蒼きサメの進路をミリ単位で遮断し続ける。
フェルリア「……美しい。イオリさんの走りは、もはやドライビングを超えた『芸術』です。彼女のフェラーリが切り裂く空気は、そのまま後続への『氷の壁』となる。美保ちゃんのブルーシャークといえど、この絶対零度の防御を突破するのは至難の業ですよ!!」
イオリ「雪の中に沈みなさい……。氷岩を砕けるものなら、砕いてみてよッ!!」
若林「イオリ、突き放すか!? だが美保も引かない!! 蒼いサメと亜麻色の氷岩が、東松島の夜明け前のバイパスを火花と冷気で染め上げていくぅぅ!!」
若林「なんとぉぉ!! ここに来て12位から15位争いが一気にヒートアップ!! 佐藤大河のコルベットC8が、内藤セリナ、山吹芽衣、高村圭吾の三台に真っ向から仕掛けてきたァァァ!!!!!」
「ドォォォォォォォォン!!」
6.2リッターV8エンジンの重低音が、バイパスの空気を物理的に震わせる。
大河の瞳には、遥か前方で怪演を続けるカナタの86のテールランプしか映っていない。
佐藤大河「ハラキリ......ッ! お前の永遠のライバルは俺だ......ッ!! 俺がいなくて、どうしろって言うんだハラキリィィィィッ!!!」
大河の叫びとともに、コルベットの極太のリアタイヤがアスファルトを噛み砕くように加速する。
ミッドシップへと進化したC8のトラクションが、先行する三台を「暴力的な馬力」でねじ伏せにかかる!!
セリナ「ちょ、ちょっと! 何あの音、心臓に悪いわね! アウディのV10が鳴き負けてるじゃないのッ!!」
高村「へっ……熱いねぇ、アメリカン・マッスル。だが、枯れ木(Z33)を抜くのは容易じゃねぇぞッ!!」
芽衣「(……凄い。あの人、執念だけでスピードを上げてる……ッ!!)」
若林「大河、凄まじい気迫ッ!! セリナをパス、高村のZを横に並べる!! まさに『カナタへと続く道』を無理やりこじ開ける重戦車だぁぁッ!!」
内藤「この4にそこないがァァァァァァ!!!
4ねッ! 4ねェェェ! スピンしてくたばれェェェェ!!!!」
若林「あぁっとォォ!! 内藤セリナ、完全にキレたぁぁ!! お嬢様風の余裕はどこへやら、口から飛び出すのは呪詛の言葉!! そしてアウディR8 V10の挙動が、常軌を逸した動きを見せるッ!!」
内藤セリナの奥の手――『フミッパスライダー』。
それは、アクセル全開のままステアリングを強引にこじ開け、4WDのトラクションで無理やり車体を斜めに押し出しながら加速する、バイパス全車線を横断するような超高速スライド走行だ!!
高村「な、なんだぁありゃあ!? アウディがカニ走りで迫ってきやがるッ!!」
芽衣「(……っ! 怖い、あの車から殺気しか感じない……!!)」
若林「セリナ、凄まじい勢いだ!! 高村のZ、芽衣のポルシェを、横滑りしながら弾き飛ばさんばかりの風圧で抜き去る!! 狙うは前方、コルベットの佐藤大河だぁぁッ!!!
セリナ「アタシのR8の前をチョロチョロ走りやがって!! その極太タイヤ、切り刻んでやるよォォ!!!!?」
フェルリア「……正気ではありません! あの速度域で四輪を滑らせながらフルスロットルなんて……。路面のわずかなギャップで空中分解してもおかしくない!! でも、今のセリナさんには『恐怖』というブレーキが壊れてしまっているようです!!」
黄色のアウディR8が、バイパスにV10の絶叫を響かせ、逃げる大河のコルベットのリアバンパーへ狂気の牙を剥いた!!
若林「黄色のR8と赤のC8が並走!!! ハイパワー対決はどうなる!!?? 時速300キロの限界領域、どちらが先にアクセルを緩めるのか、それともガードレールの藻屑となるのかァァァッッ!!!」
内藤「どけぇぇ! どけよアメリカン・マッスル!! アタシのクワトロ(4WD)が、その安っぽいV8をバイパスの外まで弾き飛ばしてやるわよォォ!!」
内藤の『フミッパスライダー』が炸裂。黄色いR8は車体を斜めに、カニ走りのような不気味な姿勢でC8のサイドに体当たりせんばかりの勢いで迫る。
佐藤大河「うるせぇぇ! どくのはお前だ、茶髪ポニーテール女!! 俺の視界には、ハラキリの背中以外は邪魔なんだよォォォ!!」
佐藤大河は6.2L V8の強大なトルクでC8をねじ伏せ、R8の風圧を真っ向から受け止める。
ミッドシップ同士、互いのエンジン熱がバイパスの空気を歪ませ、排気音が重なり合って一つの巨大な爆音へと変わる!!
フェルリア「……狂っています。セリナさんは四輪駆動の安定性を『攻撃』に使い、大河くんはV8の重いトルクを『防御』に使っている。サイドミラーが火花を散らしながら、互いに一歩も引かない!!」
若林「あぁっと!! 内藤セリナがさらにステアリングを切り込む!! C8を路肩のガードレールへ押し付けようというのかァァァ!!」
佐藤大河「……ハラキリィィ!!
見てろよ、こんな女、一瞬で置き去りにしてやるッ!!」
若林「黄色のR8と赤のC8が並走!!! ハイパワー対決はどうなる!!?? 東松島バイパスを切り裂く、時速280キロオーバーのサイド・バイ・サイドだぁぁぁッ!!!」
内藤「ハァッ、ハァッ……!! どけって言ってんだろこの脳筋アメ車がァァ!! アタシのR8の『フミッパスライダー』からは、誰も逃げられないんだよォォォォォッ!!」
内藤の駆る黄色のR8が、四輪を小刻みにスライドさせながら、佐藤大河のC8のサイドに激しく空気を叩きつける。
4WDのトラクションを攻撃に転じ、巨大な風圧でC8の挙動を乱そうとする狂気の走りだ。
佐藤大河「……うるせぇ!! お前の呪詛なんて、このV8の爆音でかき消してやるッ!! ハラキリだけを見てりゃ、お前の揺さぶりなんて微風に等しいんだよッ!!」
佐藤大河はコルベットのミッドシップ・レイアウトが生む完璧なトラクションを信じ、アクセルをさらに踏み抜く。
アメリカンV8の重厚なトルクが爆発し、赤のC8が黄色のR8の鼻先へ強引に割り込みにかかる!!
フェルリア「……凄まじい!! 内藤さんの『フミッパスライダー』による横方向の圧力に対し、佐藤大河くんは『縦の加速力』だけでねじ伏せようとしています!! 超高速域での押し相撲、どちらが先にハンドルを切った方が負けのチキンレースです!!」
内藤「4ねェェェ!! オラアアアアア!!!!
アタシのラインを塞ぐヤツは、全員地獄に堕ちろォォォッ!!」
ドガアアアアアアン!!!!
ヴォヴォオオオォォォン!!!!!!
佐藤大河「ハラキリィィィッ!! 見てろよ、今すぐそこまで行ってやるからなァァッ!!!」
若林「両者一歩も引かない!! 黄色と赤の残像が、バイパスを火の海に変えんばかりの勢いで立ち上がりの直線へ向かうぅぅッ!!」




