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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!松島編
347/364

松島編第55話 M4の快進撃

ミルキークイーン「あらあら、、、まさかの外から行かれましたわ〜......♡」


若林「M4がいったァァァァ!! 抜かれたミルキークイーン、全く動じていないッ!! それどころか、アウト側から弾丸のように自分を追い越していった二台の後ろ姿を、楽しそうに眺めていますッ!!」


柳津「今までタイヤを温存してきたが、、、もう我慢ならんッッッ!!! 一気に視界からこのまま消えてやる!!」

「ハイパワーコーナリング..舐めんじゃねエエエエエ!!!!!!!!」


若林「来たぁぁぁーーーッ!! 8位を走行していた柳津雄介、ついにリミッター解除だぁぁ!! BMW M4 DTMのエンジンが咆哮を上げ、バイパスのアスファルトを焼き切るような加速を見せるッ!!」


「ゴォォォォォォォォッ!!」


ドイツツーリングカー選手権(DTM)の血を引く怪物が、その巨大なリアウィングでダウンフォースを極限まで生成。

柳津はステアリングを握り直し、前方の美保、花、そしてカナタの三台を射程距離に収めた。


フェルリア「……凄まじい決断力! 柳津選手、タイヤの摩耗を度外視した『スクラップ・アンド・ビルド』の走法です!! 今この瞬間にすべてを賭け、バイパスの風そのものを切り裂こうとしています!!」


美保「何……!? 後ろから……熱気が……っ!!」


花「このスピードで後ろから来るなんて……嘘でしょ!?」


柳津は一瞬の迷いもなく、美保のR33と花のWRXの間、わずか数センチの隙間にM4をねじ込んだ。

時速280キロの世界で、二台のサイドミラーをかすめ取りながら、柳津は一気に二人をごぼう抜きにする!!


若林「抜いた! 抜いたぁぁ!! 柳津雄介、一瞬で7位、6位をパス!! さらにその勢いのまま、5位を走るカナタの86の真横に並びかけたぁぁッ!! まさに死神の鎌が、バイパスを横一文字に切り裂いたぁぁッ!!」


柳津「カナタァァッ!! 86の伝説、俺のM4がここで塗り替えてやるぜッ!!」


カナタ「柳津さんが来たのか、、、ッ!! やっぱりM4はコーナー速いし、このバイパスでも隙がない……ッ!!!」


柳津「へへッ、感心してる暇なんてねぇぞ、カナタ!! このままお前の視界から——」


柳津が5位を確信し、加速を続けようとしたその刹那。

M4の右側、バイパスの最も外側の車線から、空気を切り裂くような凄まじい過給音が響き渡った。


美保「……言ったはずだよ。この地平線は、

私と33の『海』だってェェェッッ!!!!!」


若林「来た、来た、来たぁぁぁーーーッ!!! 相川美保のR33 GT-R!! 柳津の放つ熱気を氷のオーラで切り裂き、時速280キロの限界領域で、死神のM4を外側から被せ打ちだぁぁぁッッ!!!」


美保の「ブルーシャーク」が再び巨大な影を成し、R33の巨体が柳津の視界を蒼く塗り潰す。

450馬力のパワーが路面に叩きつけられ、RB26の咆哮がM4のエンジン音を飲み込んでいく。


柳津「なっ、何だとッ!? 抜かれた俺のM4のスリップを使って、さらに加速しやがったのか……ガキが、なんて度胸してやがるッ!!」


フェルリア「……凄まじいカウンターです! 美保ちゃんは柳津選手の加速で乱れた空気を、逆に自分のダウンフォースに変えた。R33のロングホイールベースが、この極限のハイスピード領域で『弾丸』のような安定感を生んでいます!!」


美保「抜かせないし……止まらない!! 5位は、私がもらうッ!!」


蒼き閃光が、温泉の死神を地平線の彼方へと突き放した!!


若林「あっさりと! 本当にあっさりとR33がM4と並び、一瞬で抜き去っていくゥゥゥゥ!!!! やはりGT-Rは格が違うのかァァァ!!? 2.6リッター・ツインターボ、RB26DETTの咆哮が、バイパスの空気を力で支配しているぅぅッ!!」


美保「……言ったでしょ。この道は、33が本物になるための場所なんだって。お兄ちゃんが見ていた世界を、私は今、追い越していく……ッ!!」


蒼い弾丸と化したR33は、柳津のM4が発生させていたダウンフォースの塊を、ナイフで切り裂くように突き破った。

追い抜かれた柳津の視界には、一瞬だけ「BLUE SHARK」の文字が刻まれたリアウィングが残像として残り、次の瞬間にはもう数車身先へと消えていた。


柳津「(バ、バカな……ッ! 俺のM4が、加速だけでこれほどまでに千切られるなんて……。あのガキ、本当に14歳かよ……!?)」


カナタ「......クッ、、、、!」


カナタの86は、エンジンの回転数をこれ以上ないほどに上げているが、バイパスの「馬力パワーの壁」が厚く立ちはだかる。

すぐ隣で柳津を葬り、さらに前方のサテラへと迫る美保の背中。その圧倒的な「格」の差に、カナタはハンドルを握る手に一層の力を込める。


フェルリア「……これが『不敗神話』の末裔。バイパスのような、空気抵抗が物理的な壁となる速度域では、大排気量のトルクと計算された空力を持つGT-Rは、もはや別の物理法則で走っているかのようです。カナタくん、ここを耐え凌がなければ、トップ争いの権利を完全に失いますよ……!!」


フェルリア「それにしても腹切カナタくんはよく追いつくものです、、、ターボのないNAで200馬力ですからね、、、、、、」


若林「たったの200馬力ィィ!!? 相手は倍以上の450馬力、しかもここは東松島バイパスという名の『パワーの聖域』ですよ!! 物理法則が、彼の86を後方へ引き摺り下ろそうとしているはずだッ!!」


カナタ「(……っ、エンジンが……壊れる……!!)」


86の4スロットルが全開のまま固定され、タコメーターの針はレッドゾーンを遥かに超えた領域で微動だにしない。


パワーで勝るR33やM4が切り裂いた「空気の穴」――スリップストリームの中に、カナタは文字通り命を預けて飛び込んでいる。


フェルリア「……本来なら、遥か彼方に置いていかれて当然のスペック差です。でも、彼はライバルたちが作った『風のトンネル』から一分一秒たりとも外れない。たった200馬力で彼らと並走するために、マシンの空力、タイヤの転がり抵抗、そして自身の神経を極限まで削って……『死の並走デッドヒート』を続けているのです。」


若林「まさに執念!! カナタの86から、赤い火花が散っているように見えます!! 250馬力の差を、彼は『魂』という名の過給機ターボで埋めているのかァァァ!!」


カナタ「……まだだ。まだ離されない……ッ!! 翔太が……美保ちゃんが……あんなに必死に走ってるんだ。俺だけが、ここでアクセルを緩めるわけにはいかないんだよッ!!」


バイパスを吹き抜ける強風の中、200馬力の赤い戦闘機が、怪物の群れの中で牙を剥き続けていた。


若林「おっとぉ!! 前方の5位争いが激化する中、後方からも熱い火花が飛んでいるぞォォ!! 8位を走る山吹花のWRX STIに、佐藤ジュンのネオンレッドFDが猛烈な勢いで接近中だぁぁぁッ!!」


佐藤ジュン「(……怖い。時速270キロの世界は、いつ死んでもおかしくない……。でも、ここで引いたら、ボクは一生一匹狼ひとりぼっちのままだッ!!)」


FD3Sの13Bロータリーエンジンが、1万回転に近い超高回転域で「ピーーッ!」という鋭い警告音ワーニングを奏でる。

ネオンレッドのボディがバイパスの街灯を反射し、まるで赤い流星のようにWRXの背後に突き刺さる。


花「なっ……!? あのFD、さっき柳津さんに抜かれたばっかりなのに、まだあんなパワーが残ってるの!? 電撃が……追いつかれるッ!!」


フェルリア「……佐藤くん、素晴らしいですね。FDの軽量なフロントを活かして、バイパスの乱気流をあえて受け流さず、その『揺れ』を推進力に変えている。WRXの安定性に対し、FDは『危ういまでの鋭さ』で勝負を仕掛けています!!」


若林「捉えたぁぁ!! ジュンのFDが、花のWRXのスリップストリームを完全にロックオン!! 13Bの咆哮が、EJ20の排気音を上書きしていくぅぅッ!!」


ジュン「山吹さん……! ボクも、あの人たちのいる『前』に行きたいんだァァァッ!!」


若林「東松島バイパス、直線が終わるッ!! ターゲットは前方の中速コーナー!! ここで柳津のBMW M4が4位サテラに追いつき、4位グループの集団へと変貌していきます!! 4位から9位まで、わずか数メートルの間に6台がひしめき合う究極のドッグファイトォォッ!!」


時速280キロからのフルブレーキング。

柳津のM4のカーボンブレーキが真っ赤に焼け、静かな殺気を放つ。


柳津「(……計算通りだ。直線で美保に抜かれたのは、このブレーキングでインを刺すための布石。サテラ、お前の精密機械のような走り、俺がここで狂わせてやる)」


柳津の声は氷のように冷たく、沈着。

サテラのEVO VIIのテールランプが迫る中、彼は最短の制動距離でM4の巨体をねじ込んでいく。


サテラ「……追いついたー?柳津くん☆効率的な走りだね。でもボクの計算を上回るには、まだ温度がひんやりすぎるね......??」


若林「サテラと柳津、クールな二人が火花を散らす!! その背後には、蒼きサメ・美保! 限界を超えた200馬力のカナタ! 電撃の花! そしてネオンレッドのジュン!! 6つのオーラがコーナーの入り口で一つに混ざり合うぅぅッ!!」


フェルリア「……地獄ですね。この速度域でのブレーキング勝負は、わずか数センチのミスで全員が消し飛びます。柳津選手がクールにラインを支配し始めたことで、後続の5台もまた、その『死神の背中』に吸い込まれるように突っ込んでいく……!!」


美保「(……っ、柳津さんのブレーキが深すぎる! 止まりきれない……!? いや、あれがM4の限界点リミットなの!?)」


カナタ「(……ここだ。みんなのブレーキが重なる瞬間に、一番タイヤが残っている俺が……最短の弧を描くッ!!)」


若林「全車、フルブレーキングッ!! 4位から9位の6台が、まるで一つの巨大な鉄の塊になったかのようにコーナーへ吸い込まれていくぅぅ!! 追突寸前、いや、もはやバンパーが触れ合っているぞォォォッ!!!」


「キィィィィィィィィッ!!!」


タイヤの焦げる臭いと、真っ赤に焼けたブレーキローターの熱気がバイパスの終端を支配する。

最後尾のジュンのFDが、前を走る花のWRXのリアを突き上げんばかりの勢いで突っ込み、さらにその前ではカナタの86が美保のR33のディフューザー数ミリまで肉薄している。


美保「(……っ! 止まりきれない……!? 誰か一人でもミスをしたら、ここで全員おしまいだよ……ッ!!)」


この極限のパニック状態の中、柳津だけは、まるで時間が止まっているかのように冷静だった。


柳津「……騒がしいな。ブレーキを詰めすぎるから、そうやって余裕がなくなるんだ」


柳津のM4は、サテラのEVO VIIのインサイドに、まるで「精密な針」を通すように滑り込む。

追突の恐怖を完全に排除した、計算され尽くした制動。

サテラがラインを死守しようとするわずかな「揺らぎ」を、柳津は見逃さなかった。


サテラ「(……この男、この状況で一度も瞬きをしていない……。この『無機質な静寂』こそが、死神の正体か……ッ!!)」


若林「柳津、ノーブレーキに見えるほどのレイトブレーキングでサテラをこじ開けたぁぁ!! だが後ろはカオスだッ!! カナタが、美保が、花が、そしてジュンが、互いのスリップを奪い合いながらコーナーの頂点へ同時になだれ込むぅぅッ!!」


若林「コーナー後半、立ち上がり勝負ッ!! あぁっと、インを刺したはずの赤い戦闘機・カナタがわずかに膨らんだぁぁ!! その隙を逃さず、ラインを鮮やかにクロスさせて潜り込むのは……ブルーシャークの33だァァァ!!!!」


美保「……甘いよ、カナタさん。外に逃げるなら、その内側は私がいただくッ!! 行け、33!!」


RB26のトルクが立ち上がり、R33が86を抜き去る。だが、そのすぐ前方ではさらに激しい火花が散っていた。


サテラ「へへっ、柳津クン! クールに決めてくれたけどさ、ボクを置き去りにしようなんて100年早いんだよッ!! 別に……アンタと走りたくて追ってるわけじゃないんだからね。ただ、ボクの前を走られるのが癪なだけなんだからッ!!」


若林「なんとぉぉ!! 5位に落ちたサテラ、気さくな笑顔の裏で負けず嫌いな本性が爆発!! 4G63エンジンのブーストを全開にし、前方のM4に猛然と仕掛けるゥゥゥゥ!!!」


柳津「(……しつこいな。だが、その熱さは計算外だ。サテラ、お前のドライビングには『ノイズ』が混じっている。だが……悪くない)」


柳津はミラー越しにサテラの猛攻を冷静に受け流そうとするが、エボVIIの変幻自在な4WDのライン取りが、M4の「静かなる領域」を強引にこじ開けていく。


フェルリア「……面白いことになってきました。冷徹な柳津選手に対し、感情を剥き出しにするサテラくん。正反対の二人が、バイパスの出口で火花を散らしています!! そしてその後ろでは、美保ちゃんとカナタくんが再び順位を入れ替える、目まぐるしいドッグファイトです!!」


サテラ「あれー? もしかしてコーナー抜けてからうちの加速にビビってる? M4って意外と立ち上がり、慎重なんだね〜」


柳津「うるせぇ、、、って言ってんだろォォ!!! さっきからチカチカとミラーに映り込みやがって……!!」


サテラ「あはは、怒った怒った。でもさ、レースは結果がすべてでしょ?……抜くよ?」


若林「エボ7がM4を再び抜き去り前に出ているゥゥゥゥ!!!! なんという鮮やかな加速! サテラの『気さくな煽り』が柳津の冷静さを削り取り、その一瞬の隙を4WDの暴力的なトラクションで突き抜けたぁぁぁッ!!」


若林「柳津、屈辱の5位後退!!

クールな死神が、ついにサテラの術中にハマったかァァァ!!?」


フェルリア「……サテラくん、策士ですね。わざと軽口を叩いて柳津選手の『リズム』を狂わせました。柳津選手はコーナー立ち上がりでアクセルを開けるタイミングを0.1秒失った。その0.1秒が、バイパスでは数メートルの差になるんです。エボVIIの4G63エンジンが、今、勝利の咆哮を上げています!!」


サテラ「あーあ、そんなに怖い顔しないでよ。抜かれるのが嫌なら、もっと速く走ればいいじゃない。……ね?」


柳津「(……クソが。このガキ……、完全に俺を弄んでやがる。だが、ここからが本番だ。バイパスの直線が、お前のエボを絶望させてやる……ッ!!)」

「お前の車が30年ほど前の車だということを...恥を知れ......ッ!!」

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