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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!松島編
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松島編第50話 変なM4

ミルキークイーン「あらあら〜...そんなあなたとその変なM4、、、ミルク氷のキューブにして差し上げますわ〜....ほら〜....」


ミルキークイーンが白い萌え袖を優雅に一振りした瞬間、松島の大気が「カチリ」と音を立てて結晶化した。


若林「な、なんだぁぁ!? 柳津のM4が……巨大な四角い氷の塊に閉じ込められたぞぉぉ!!?」


走行中、時速200キロを超えるM4が、刹那の間だけ完璧な立方体の「ミルク氷」の中に完全凍結される。

それはまさに、巨大なカキ氷のシロップ漬けにされたような、あまりにも非現実的で美しい、そして恐ろしい光景だった。


フェルリア「……氷の封印。彼女は一瞬だけ、柳津選手の『時間』そのものを凍りつかせました……」


パリンッ!!


次の瞬間、氷のキューブは粉々に砕け散り、ミルキークイーンの慈悲(?)によってM4は解放される。

しかし、その車内に残されたのは、絶対零度を遥かに下回る極寒の残留物だった。


柳津「……ガッ……ガハッ!! こ、呼吸が……肺が凍る……ッ!! ま、前が見えねぇ……フロントガラスの内側まで真っ白だぁ……!!」


若林「柳津、致命的なダメージ!! マシンの計器類も凍りつき、スピードメーターがゼロを指したまま動かない!! ミルキークイーンの冷気が、死神の鎌を氷の棒に変えてしまったぁぁッ!!」


ミルキークイーン「ふふっ、少しは涼しくなりましたかしら? 柳津さん……。そのまま、おやすみなさいませ……♫」


「変なM4」


LC500のテールランプが、氷の霧の向こう側へと優雅に遠ざかっていく。

一方で、柳津は凍死寸前の極限状態の中、ステアリングを握る指の感覚を失いながらも、その瞳に「地獄の底の熱」を灯していた。


柳津「なめんなよ……お嬢様……。

俺の血は……42度の……源泉掛け流し湯なんだよォォォッ!!」


内藤(暗め)「……アハッ、、、柳津さん、真っ白になっちゃってダサいよ。

……くたばってきなー☆」


9位のセリナが、凍えきった柳津の横を、R8の咆哮と共に強引にすり抜けようとする!

松島の出口、気仙沼へのハイスピード区間を前に、柳津は凍死リタイヤしてしまうのか!?


若林「映像が切り替わる!! 13位から15位の中継です!!! ここも上位に負けず劣らずの超至近距離バトル!!」


13位:柊 蒼真(Civic Type R FL5)

14位:佐藤 大河(Corvette C8)

15位:岡田 大成(GRカローラ)


蒼真「まーたこの3人かよ、、、、、ッ!!

こいつらと同じレベルにされてもらっちゃ余計に困るぜ、、、、ッ!!!」


※86伝説エーペックス三陸編参照


柊蒼真のシビックType R(FL5)が、鋭い吸気音を響かせてコーナーを刺す。

ニュル最速のプライドを持つ彼にとって、この順位で停滞していること自体が屈辱だった。


佐藤大河「能書きはいらない、、、ッ!!

排気量こそが正義だってことを、そのちっこいエンジンに叩き込んでやる......ッ!!!!」

「執着させればあとは最強モンスターにコイツはなれる、、、、、、ッ!!!!」


佐藤大河のコルベットC8が、6.2L V8の爆音を松島の山々に響かせ、直線でシビックの背中を強引に押し出す。


岡田「俺はとにかく食らいつけばいい、、、そう思っているから、、、、、、ッ!!! とにかく最短ラインを選び、そして奪う、、、、ッ!!」


後方15位の岡田大成は、GRカローラの4WDシステムをフルに活かし、前の2台が競り合って膨らんだわずかな隙間――「最短の道」を見逃さなかった。


若林「岡田のGRカローラがインを突く!! 三台が横並び状態で次の複合コーナーへ!! 蒼真が外から抑え込み、大河がパワーで押し返し、岡田が最短距離で潜り込む!! まさに三つ巴だぁぁ!!」


フェルリア「……この3人は、互いの癖を知り尽くしています。ミスをした者が脱落する、極限の心理戦ですね……」


蒼真「ふざけんなッ! どけよ岡田!! お前のカローラじゃ、俺のシビックのリズムにはついてこれねぇんだよぉッ!!」


岡田「……リズムなんていらない。俺はただ、前に行く……それだけだッ!!」


GRカローラのタイヤが縁石を激しく叩き、シビックのサイドミラーに接触せんばかりの距離で岡田が並びかける!!


若林「おっと、ここでカメラが最後尾を捉えた!! 信じられない光景だぁぁ!! 19位争い、なんと軽自動車の川村修一が動いたぁぁッ!!」


湯川サトル「な、なんだ……!? 後ろから突っついてくる、この黄色い塊は……ッ!!」


湯川の駆る青いS2000のバックミラーに映るのは、不気味なほど安定した姿勢でコーナーを詰めてくる川村のK-Worksだ。

本来なら圧倒的な馬力の差があるはずの2台。しかし、松島のテクニカルな下り坂、そして川村の「軽さ」を活かした狂気的なレイトブレーキが、その差をゼロにした。


川村「……軽自動車コイツをナメるなよ。排気量じゃ負けても、魂の重さじゃ負けてねぇんだよッ!!」


川村はステアリングを叩き込み、S2000が立ち上がりで僅かにリアを滑らせた隙間へ、黄色いボディを強引にねじ込んだ!!


若林「入ったぁぁ!! 黄色のK-Works、青のS2000を鮮やかにパス!! 川村修一、意地のオーバーテイクだぁぁッ!!」


フェルリア「……驚きましたね。川村選手、マシンの限界を120%引き出しています。S2000の湯川選手は、軽自動車に煽られたプレッシャーで、自分のリズムを完全に見失ってしまいました」


湯川サトル「嘘だろ……。俺のS2000が……Kカーに抜かれるなんて……ッ!!」


川村「(ハァ、ハァ……)……見たか。これが俺たちのレースだ。一番後ろにいたって、テッペンを諦めたわけじゃねぇぞッ!!」


黄色い閃光が、青い残像を置き去りにして加速していく。

最後尾から始まった「小さな革命」が、コース全体を震わせ始めた。


若林「実況席も言葉を失っております!! あの湯川サトルのS2000が……名機F20Cユニットを積むピュアスポーツが、660ccのK-Worksに背後を獲られたぁぁ!!」


フェルリア「……これは屈辱以外の何物でもありません。湯川選手、コーナーの立ち上がりで無理にアクセルを開けすぎましたね。焦りが挙動を乱し、そこを川村選手の『執念』が射抜いた……」


湯川サトル「……っ、ハァッ、ハァッ……!! なんで……なんで離せねぇんだよ……ッ!! 相手は軽トラの親戚みたいな車じゃねーか!!」


青いS2000のコクピットで、湯川はパニックに陥っていた。

バックミラーで黄色いK-Worksが、まるで煽り運転のように左右に顔を出し、プレッシャーをかけ続ける。

そして、松島のタイトな左コーナー。川村はブレーキを残したまま、信じられない角度でノーズをインにねじ込んだ。


川村「……悪いな。お前がマシンのスペックに胡座をかいてる間に、俺はコイツのネジ一本一本と会話してきたんだよッ!!」


キュキュッ、と短いスキール音を残し、黄色いボディが青い残像を鮮やかにパス。

そのまま、18位の高村が駆るフェアレディZ33のリアにまで迫る勢いを見せる!!


若林「オーバーテイク成功!! 川村修一、19位浮上!! 20位に転落した湯川は、あまりのショックにアクセルが踏めないか!!」


川村「……まだだ。まだ行ける。86にできたことが、俺にできないはずがねぇ……ッ!!」


最後尾から始まった「小さな革命」が、上位陣の耳にも届きそうなほどの咆哮を上げ、昼間の松島を駆け抜けていく。


若林「昼間の初夏の松島で激しい攻防戦が続いています!!! こんなに順位が切り替わっていくのはエーペックスカップでも初めての出来事です!!!! フェルリアさん! 今のケイワークスのオーバーテイクを振り返ってみてくれませんか?」


フェルリア「……驚異的、の一言ですね。この初夏の高い路面温度が、皮肉にもS2000の湯川選手を苦しめました。S2000は大パワー故にリアタイヤへの負担が大きく、この暑さでグリップが垂れ始めていた……。対して川村選手のK-Worksは、圧倒的な『軽さ』という武器があります。タイヤへの攻撃性が低く、あのタイトな旋回でS2000が外に膨らんだ瞬間、針の穴を通すようなラインを見事に射抜きました」


若林「なるほど! 排気量の差を、マシンの軽さとタイヤマネジメントで逆転したというわけですね!!」


フェルリア「ええ。それだけではありません。川村選手の『覚悟』が、湯川選手のプライドを完全に粉砕しました。格下のマシンに詰め寄られるという恐怖……それがVTECの咆哮を沈黙させたのです。これは単なるマシンの性能差ではなく、乗り手の『執念』の勝利ですよ」


湯川サトル「……っ、そんな……! 俺のS2000が、タイヤのせいだってのかよ……ッ!! 川村ぁ!! 逃がさねぇぞ、次で必ず抜き返してやる!!」


川村「(バックミラーを一瞥して)……悪いな。俺のK-Worksは、もう次のターゲットをロックオンしてるんだ。お前を見てる暇はねぇんだよッ!!」


初夏の輝く海を背景に、黄色いK-Worksがさらに加速し、18位のZ33へとその牙を剥く!!


若林「そして伊藤翔太ァァァ!!!! 思うように先頭に食い付けない!! そこに赤いネオンレッドに煌めくFDが、、、横から飛び出してオーバーテイクしていくゥゥゥゥ!!!!」


伊藤翔太「なっ……!? どこから沸いて出たんだ、あのFDはッ!!?」


伊藤のスイスポのインサイド、わずかな隙間に滑り込んだのは、佐藤ジュンの駆るFD3S。

チューニングの施されたロータリーエンジンが、「キィィィィィィンッ!」という独特の高周波を響かせる。


佐藤ジュン「あ……っ、ご、ごめんなさい……。ボク、ここにいたら怖いから……先に、行かせてもらうね……っ!!」


ジュンはガタガタと震える手でシフトノブを握りしめ、必死にアクセルを踏み込む。

彼女は争い事が嫌いだ。でも、この鉄の塊に囲まれた戦場の中にいるのはもっと怖い。

だから、少しでも前へ。誰もいない「安全な場所」を求めて、臆病な狼は加速する。


フェルリア「……佐藤ジュン選手。彼女、震えていますね。でも、その恐怖が彼女の集中力を極限まで高めている。無駄のないライン取り……まるで針の穴を通すような正確さです。気弱な一匹狼が、牙を剥きましたね」


佐藤ジュン「はぁ、はぁ……っ。ボク……頑張るから。……ボク……!!」


ネオンレッドのFDが、初夏の陽光を反射して紅い残像を残し、伊藤のスイスポを置き去りにした。

11位浮上。しかし、彼女の震えはまだ止まらない。


若林「そして! 古賀加奈子が小岩イオリの812スーパーファストを再び視界へ!!! M3が再び準位の座を獲得することは可能なのか!? 熟練の技が、イタリアの跳ね馬に牙を剥くッ!!」


古賀加奈子「……いい走りね、イオリちゃん。でも、その綺麗なフェラーリの後ろ姿、そろそろ見飽きちゃったわ」


加奈子のM3 E46が、シルキーシックスの咆哮を上げながら、イオリの812スーパーファストの背後にぴたりと張り付く。

それに対し、先行するイオリはバックミラーを見つめ、少しだけ困ったように微笑んだ。


小岩イオリ「加奈子さん、やっぱり追いかけてくるんですね……。でも、私の後ろは少し……冷えますよ?」


イオリがステアリングを優しく撫でると、初夏の陽光の下、812の周囲にだけ「雪の降る亜麻色の岩」――巨大な氷岩が幻影のように浮き上がる。

それは彼女が司る、静寂と力強さを秘めた氷の守護。


フェルリア「……来ましたね。イオリ選手の『氷岩ひょうがん』の結界です。あれは単なる幻覚ではありません。マシンの周囲の空気を極限まで圧縮・冷却し、後続車へのダウンフォースを乱すと同時に、精神的な威圧感を与えます。優しい性格とは裏腹に、彼女のディフェンスは鉄壁ですよ」


加奈子「(……っ、このプレッシャー! まるで雪山の中を走らされているみたいね。でも、この銀色の翼は……氷くらいじゃ折れないわよッ!!)」


加奈子は氷岩の隙間を縫うように、M3のノーズを右へ、左へと振る。

初夏の熱気と、イオリが放つ氷の冷気がコース上で激突し、松島の空に霧のような蒸気が立ち込めた。


イオリ「私……負けたくないんです。黒川さんに追いついて、みんなに光を見せたいから……ごめんなさい、加奈子さんっ!!」


氷岩が砕け、その破片がキラキラと光り輝きながら加奈子の進路を塞ぐ!

トップ3の争いは、もはや物理的なレースを超えた、魂と力のぶつかり合いへと突入していく!!

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