松島編第41話 ミルキークイーンの誘惑
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若林「ライブでの中継をご覧ください……ッ!!
日本三景、松島ッッ!!!!!!!!
ここを19台のマシンが、まるで弾丸のように突き抜けていくッ!!
ご覧ください、この光景をッ!!
昼の海が反射して……まるで路面まで煌めいているッ!!」
フェルリア
「はい。松島は“日本三景”として知られています。およそ260の島々が、海上に静かに点在しているんです。
レーサーから見ると……景色の美しさより、潮の流れと風向きが重要ですね」
若林「潮の流れ……?」
フェルリア
「ええ。松島は地形が入り組んでいて、
小さな入り江が連続しています。
その影響で“風の巻き方”が均一じゃないんです。
特に……海沿いのストレートでは、横からの海風が突然向きを変えることもあります」
若林「うわっ……それ、普通に考えたら危険では?」
フェルリア
「危険です。実際、この区間は湾岸線とは違って“木々の影”と“海風の瞬間的変化”が混ざるので……車体のダウンフォースが不安定になる可能性もあります」
若林「なるほど……つまり、美しい景色の裏側では、地形そのものがレーサーに牙を向いてくる……?」
フェルリア
「そういうことです。
特に“松島街道のセパレート区間”。
海と山が近すぎて、路面温度のムラも大きい……
タイヤの熱ダレや、トラクション抜けが起きやすいポイントですね」
若林「しかも今は昼……!
海から跳ね返る光が直撃して……視界まで歪む!!そんな場所を……19台が200キロ近くで突っ込んでいくんですよ!!!?」
フェルリア
「それでも攻めるのが、この松島戦。
ここは“地形の読み”が勝負を分けます。
海風、路温、潮の匂い……
そういった“環境のすべて”を感じ取れるドライバーこそが勝つでしょうね」
若林
「皆さん……いま走っている舞台は、日本三景のひとつ!松島!!美しき静寂の景色を……
レーサーたちが轟音とともに切り裂いてゆくッ!!」
フェルリア
「そういえば……松島名物の牡蠣、大量に持ってきましたが……どうでしょうか?」
若林
「おお、いいですねー!
この中継席で牡蠣なんて贅沢ですよ!昼の海見ながら食べる牡蠣なんて最高じゃないですか!」
フェルリア
「ただ……私独特の“ホイップみたいに甘い香り”が強烈に混ざってますが……本当に食べます?」
若林「……ホイップ……?牡蠣に……ホイップ……?」
フェルリア
「雲の上の世界で育った“スウィートホイップ香草”という植物があって……私の周囲の空気には、どうしてもその香りが溶け込むんです。
甘い生クリームの匂いと、ほんのり冷えた香気が……牡蠣にうつりますね」
若林
「いやそれ……絶対おいしいやつじゃないでしょ!?え、牡蠣ってもっと……磯の香りがして……潮の甘みとかで……」
フェルリア
「潮の甘みなら残ってますよ。
ただ上から“ホイップの香りの雲”がふわっとまとってるだけです」
若林「いやいやいやいや!!
ふわっとのレベルじゃないですよね!?
中継席がすでに甘い匂いで満たされてるんですけど!!
こんな海沿いの実況席で“お菓子の工房の香り”するのおかしいでしょ!?」
フェルリア「ちなみに……その香り、レーサーたちにもほんの少し届いてます」
若林「届いちゃダメでしょ!?!?」
フェルリア「でもあれなんですよ。
私、この香りがあると落ち着くんです。
この戦いの観戦にもぴったりで……
はい、牡蠣どうぞ。ホイップ香り付き」
若林「…………よ、よし……
覚悟決めますわ……いただきます……」
フェルリア「どうぞ〜♪」
若林「……甘ッ!!?なのに牡蠣の旨味しっかり!!なんだこれ!!?
スイーツと海鮮の奇跡のコラボやんけ!!!」
フェルリア
「よかったですね。
私の世界では定番の味ですよ?」
――松島街道に響くエンジン音の中、
実況席には甘い香りと磯の香りが奇妙に混ざり合っていた。
フェルリア
「普通の牡蠣もありますのでー。こちらは甘い香りなしの、海そのままの味ですよ?」
若林「最初からそっちを出してください!!
なんで“ホイップ牡蠣”から行くんですか!!?」
フェルリア
「えへへ……私の世界では、あっちがスタンダードなんですけどね。
ほら、こちらが松島の牡蠣。蒸しても生でも大丈夫です」
若林「うわっ……これですよこれ!!
潮の香り、身の大きさ……完璧!!
最初からこれ出してくれてたら、僕も変な覚悟しなくて済んだのに!!」
フェルリア「でも若林さん、さっき“奇跡のコラボ”って叫んでましたよね?」
若林「あれは……その……勢いというか……
なんかこう……甘さと海鮮が脳みそに飛び込んできて……脳が一瞬バグっただけです!!」
フェルリア「つまり、おいしかったと?」
若林「認めたくないけど……
……おいしかったです!!!」
フェルリア「ふふ、よかった。それじゃあ普通の牡蠣もどうぞ。
あ、レモン絞ります?」
若林「お願いします!!
こっちは普通に味わわせてください!!!」
そして――
実況席のすぐ下では、
19台のマシンが松島街道を駆け抜けていた。
甘い香りと潮騒の中で、戦いはなお激しさを増していく。
若林「レースに戻ります!!」
松島街道。
太平洋の光がアスファルトに刺さる真昼。
19台のマシンが、海沿いのセパレートを吠えるように駆け抜けていく。
LEXUSLC500対SUBARUWRXSTI VAB!!!!
山吹花「……カナタくん……次のコーナーで……! 抜けそうだよね? ……いけそう。勝てそう。負けないでカナタくん――ッ!!」
花の駆るスバルブルーのWRX STIが、猛然とインを突き、前方の背中へ手を伸ばした――その瞬間だった。
世界から音が消えた。カチィン……カチン……コチン……。
硬質な、それでいてどこか粘り気のある凍結音が鼓膜を叩き、空気が白く“固まった”。
流れるはずの風が死に、降り注ぐ陽光さえもが分厚い乳白色のヴェールに遮られる。
キイイイインッ!!
耳の奥を突き刺すような高周波の氷鳴。次の瞬間、WRXの車体ごと山吹花の身体は、逃れようのない《ミルク氷》の奔流に飲み込まれていた。
山吹花「……っ……ぁ……!? な、なに……これ……っ!?」
それは透明な氷ではない。白く、濃く、底知れない深みを持った、まるでスプーンで掬い上げたばかりの濃縮ミルクをそのまま凍らせたかのような質量。その巨大な塊が、意思を持つかのように四角く“寄って”いく。
花のWRXを中心に、縦横無尽に張り巡らされた乳白色の壁。それは完璧な立方体――《ミルク氷キューブ》となり、光をねじ曲げ、外界からの干渉を一切遮断した。
内部に閉じ込められた花の視界は、瞬く間に白一色に染まる。呼吸すらゆっくりと、重く、肺の奥が凍りつくような感覚。
山吹花「…………ッッ!? ……寒……い……! 体が……動かない……っ!」
冷気は単なる低温ではなかった。それは“熱という概念そのものを奪う”魔力。身体の外側からじわじわと体温を吸い上げられ、魂の輪郭までが薄く削り取られていく。
路面の摩擦熱さえもが瞬時に消失し、WRXのハイグリップタイヤは、その機能を完全に停止させて温度を失っていく。
そこへ、音もなく白い影が滑り込んできた。
ミルキークイーンのレクサス・LC500。
乳白色のパールボディが太陽光を妖しく跳ね返し、周囲にはミルク氷特有の、甘くも冷酷な光の粒が舞い散る。
ミルキークイーン「ふふ……お久しぶりですわぁ〜。でも……前に出るのは……わたくしですのよ〜……?」
LC500が、カナタの86のテールに吸い付くように貼り付く。その瞬間、花を閉じ込めたキューブの表面が、生き物のように「ふるり」と波打った。
それは“呼吸する氷”。花の指が震え、感覚を失いかけた手でハンドルを握り直すが、氷はさらに密度を増し、角を鋭く尖らせて光を吸い込んでいく。
若林「なんだァァァァァ!!!?? 山吹花のWRXが……まるで……冷凍庫どころではない……ッ! 乳白色の……巨大な氷の立方体に閉ざされているゥゥゥゥ!!!!」
フェルリア「ミルキークイーン……! 復帰した途端……これは……やりすぎです……!! あの氷……計測不能のマイナス温度……相当“キンキン”に冷えてます……!」
ミルキークイーンの細い指先が、車窓から差し出され、氷のキューブにそっと触れた。
ミルキークイーン「まだ……甘く冷やしますわ〜……うふふ……」
キィン……!
氷の角がさらに鋭利に光を反射し、花の意識を白く塗り潰す。
山吹花「……ひっ……こんなの……ありえない……っ!」
氷は溶けない。熱を奪い、時間を凍らせ、まるで“甘い牢獄”のようにWRXを路面から切り離す。
ミルキークイーン「そのままキューブ状のミルク氷のまま……戦線離脱してください〜……うふふ……。大丈夫〜……すぐに寒さで……動けなくなりますわ。そのまま……安全に……コースアウトしてくださって……いいんですのよ……?」
慈愛の仮面を被った圧倒的な支配。ミルキークイーンが指先を持ち上げると、氷のキューブは花の意志とは無関係に、右へ……滑るようにコース外へ移動を始めた。
若林「山吹花のWRXが……強制的に……コースアウト方向へッ!!!! 運転……してない……いや……できていない!? なんだこれはァァァ!!!??」
フェルリア「完全に……“操作を奪われています”……! ミルキークイーンのミルク氷……あれはタイヤだけじゃなく……車両ごと……“凍結拘束”しているんです……!」
ミルキークイーン「ふふ……あとは……ゆっくり滑ってくださって……。レースは危険ですもの〜。冷たく静かに……お休みになって?」
摩擦のない世界。氷上を滑るような無抵抗な死の滑走。
だが、その極限の冷気の中で、花の瞳に再び意志の光が宿った。
山吹花「……負けたくない……こんな……氷なんかに……! 私は……まだ……っ!」
ミルキークイーン「そのミルク氷のキューブ……もっとキンキンにしますわ〜……うふふ……」
ミルキークイーンがLC500のステアリングを片手で軽やかに操りながら、もう片方の指先を空中で優雅に躍らせた。
その瞬間、山吹花を閉じ込めている乳白色の立方体に、更なる異変が起こる。
キィィィィィィィィィィン……!!
先程までの凍結音が可愛く思えるほどの、鼓膜を裂くような高周波。
キューブの表面に、幾何学的な氷の結晶が猛烈な勢いで増殖していく。白く、そして青白く輝くその層は、もはや「氷」という物質を超え、光さえも凍りつかせる「静止した時間」の塊へと変貌していった。
内部の花を襲うのは、もはや「寒さ」という言葉では形容できない衝撃だった。
吐き出す息は瞬時にヌルコチとしたミルク氷の塊となって足元に転がり、WRXのフロントガラスは内側からバキバキと音を立てて白濁していく。
山吹花「……っ……ぁ……っ……!! 息が……っ……!!」
花の視界が、極低温による神経の麻痺で細くなっていく。
デジタルメーターの針が、エンジンの熱を失い、油温・水温ともに「LOW」の表示を突き抜けて消滅した。
WRXの心臓部であるEJ20エンジンさえもが、ミルキークイーンの「キンキン」に冷えた魔力によって、その鼓動を止めようとしている。
ミルキークイーン「あらあら〜……そんなに顔を真っ白にして……。わたくしのミルク氷は、とっても口溶けが良いんですのよ〜……? そのまま、心までトロトロに凍らせて差し上げますわ〜……」
LC500から溢れ出す冷気が、路面を這い、周囲の海風さえもが白い結晶となって降り注ぐ。
キューブはもはや光を透過させず、内部の花からは外界の景色が一切見えない「完全なる白銀の密室」と化した。
若林「山吹花のWRXが……消えたッ!? 巨大な……光り輝くミルク氷の塊が路面を滑っているだけだァァァ!!! 内部の温度は一体どうなっているんだ!!?」
フェルリア「……マイナス273度……絶対零度すらも過去にする、ミルキークイーンの『再定義された冷気』……。花ちゃん、これ以上は……命に関わります……!!」
だが、その絶望的な白の世界の中で、花の指先がわずかに動いた。
凍りついたステアリングに、彼女の「桜風」の残り香が、微かな熱となって宿る。
山吹花「……まだ……。私は……ここで……溶けるわけには……いかないのよ……ッ!!」
花の叫びが、氷の牢獄の内壁を震わせた。
外側では、その様子を観察していたミルキークイーンが、楽しげに目を細めている。
ミルキークイーン「うふふ……素敵ですわ〜。その足掻き……もっと、もっとキンキンに冷やし甲斐がありますわ〜……☆」
キィン……!
空気がひび割れる音。本部からの「走行許可」という特例を受け、ミルキークイーンはさらにその力を解放しようとしたが、ふと悪戯っぽく微笑んで指を弾いた。
ぱき……ぱきぱき……ッ!
乳白色の立方体が、まるで桜の花弁が散るように、美しい薄片となって宙へ解けていく。
ミルキークイーン「ずっとやってても違反になりそうですもの〜……一瞬だけでも、効果バツグンですわ〜……☆ きっとヌルヌルになれますわ〜……」
ミルキークイーン「中身はぷるんなのに外はキンキンに冷えた硬いミルク氷……たまらないことでしょう〜……」
ミルキークイーンが恍惚とした表情で指先をスッと横に薙ぐ。
その瞬間、WRXを包み込んでいた「ヌルコチ」の立方体の表面が、凄まじい速度で結晶化を開始した。
内部のプルンプルンとした弾力はそのままに、外殻だけがダイヤモンドにも匹敵する硬度へと急冷され、光を乱反射させる鋭利な「装甲」へと変貌する。
キィィィィィィィン……ッ!
空間が悲鳴を上げ、ミルク氷キューブの四辺が白く輝く。
外側は一切の干渉を許さない鉄壁の「硬い氷」、しかしその内側は、逃げようとする花の身動きをどこまでも優しく、そして冷酷に絡め取る「ぷるんぷるんのミルク氷」。
山吹花「……っ、が……っ! 外に……出られない……! 氷を……壊そうとしても……中が柔らかすぎて……力が……伝わらない……っ!」
WRXのフロントガラスを叩こうとした花の拳は、車内に充満したヌルコチのミルク氷に沈み込み、その衝撃を「ぷるん」と無効化されてしまう。
絶望的なのは、その柔らかい氷そのものがマイナス無量大数度の冷気を放ち続けていることだった。
花の視界の端々から、意識が白く凍りついていく。
ミルキークイーン「ふふ……そうですわ〜。外からは決して壊せず、内側からは決して逃げられない……。花さんは今、世界で最も甘く冷たい『宝石箱』の中のお姫様なんですのよ〜……☆」
若林「信じられんッ!! ミルキークイーンのLC500が、その巨大なミルク氷の塊を悠々と牽引するように加速していくッ!!
もはやレースではない! これは美しき氷の女王による、一方的な『コレクション』の作成だァァ!!」
フェルリア「あの外殻の硬度……物理的な体当たりではビクともしませんよ。しかも内部は超伝導すら超える冷却効率……花ちゃんのWRX、このままだと金属疲労どころか、分子レベルで『ミルク氷の彫刻』に固定されてしまいます……!」
その時、後方から迫る相川美保の瞳が、静かな怒りに燃えた。
彼女の駆るR33 GT-Rの周囲に、深海のような重圧を伴った「冷気」が渦巻く。
相川美保「……そんなにキンキンにしたいなら、私がお相手する。……花ちゃんを、その『箱』から出して……!」
美保のR33が、海風の湿気を一気に凍らせ、巨大な氷の槍のようなオーラを纏って突進する。
だが、ミルキークイーンはバックミラー越しにそれを見ても、余裕の笑みを崩さない。
ミルキークイーン「あらあら〜、美保さんも一緒に冷やされたいですの〜? 構いませんわよ〜。最高に『ぷるん』として差し上げますわ〜……うふふ……」
キンキンに冷えた硬い外殻が、美保の接近に反応して、さらに鋭く、白く、その輝きを増していった。
解放されたWRXのボディからは、激しい温度差により白い蒸気が立ちのぼる。タイヤは冷え切り、グリップはゼロに近い。それでも、山吹花はステアリングを全力で抑え込んだ。
山吹花「……っ……ふざけないでよ……! まだ……走れる……! ミルキークイーン……あんたのために凍るほど、私……弱くない!」
ミルキークイーン「……またさっきみたいな極寒を味わいます〜……? 今度は氷すら止まるほどですわ〜……」
ミルキークイーンがそう囁いた瞬間、彼女の瞳が極光のような淡い蒼に輝いた。
LC500の周囲から立ち昇る蒸気が一瞬で凍りつき、さらにその「凍結」という現象そのものが凝固していく。
キィィィィィィィィィ……ン……ッ。
もはや音すらも振動を許されない世界。
先程まで「ぷるん」と揺れていたミルク氷キューブの内部が、一瞬にして超高密度の「ヌルコチ絶対零度」へと変貌した。
それは「冷たい」という感覚を通り越し、原子の活動そのものを無理やり停止させる、神の領域の静寂。
山吹花「…………っ!? …………ッッ!!」
キューブの中に閉じ込められた花の悲鳴は、喉元でミルク氷の結晶となり、声として発せられることさえ叶わない。
WRXのエンジンのピストン、タイヤの回転、そして花の心臓の鼓動までもが、ミルキークイーンの「氷すら止まる」極寒の鎖に繋がれていく。
時間は流れているはずなのに、その空間だけが、まるで1枚の完璧な写真のように固定されていた。
若林「な、なんだ……!? 山吹花のWRXが……動いていないッ!?
いや、路面を滑っているはずなのに、車体の振動も、排気の揺らぎも、一切が消えた! まるで空間ごと切り取られて、乳白色の琥珀の中に閉じ込められたようだァァァ!!」
フェルリア「ミルキークイーンの……真の能力……。
『マイナス1無量大数度』。それはエントロピーを強制的にゼロにする、終末の冷気……。
あのキューブの中では、氷の結晶化という変化さえも止まってしまう……。まさに、永遠に変わらない『究極の宝石』です……!!」
ミルキークイーンは優雅に、氷の塊と化したWRXをレクサスのサイドミラー越しに眺めた。
その表情は、愛するコレクションを眺める少女のように無垢で、そして残酷。
ミルキークイーン「ふふ……とっても綺麗ですわ〜、花さん。
その驚いた表情のまま、ずっと……わたくしの傍で冷えていらして?
大丈夫、痛みも……時間も……なにもかも、わたくしのミルクが優しく止めて差し上げますわ〜……☆」
その時。
絶対静止の結界を切り裂くように、背後から重厚な金属音が響いた。
相川美保「……止まらないよ。……私のトルクは……海の底の圧力と同じ。……止まってたまるもんか……っ!」
美保のR33 GT-Rが、ミルキークイーンの放つ「静止の冷気」に対し、RB26エンジンの全回転を叩きつける。
海水の湿気を纏った美保のオーラが、絶対零度の壁に真っ向から衝突し、激しい火花ならぬ「氷華」を散らした。
若林「相川美保が逝くゥゥゥッ!!
静止した世界をこじ開けるように、R33がミルク氷のキューブにその牙を立てるッ!!
桜と、深海と、そして絶対零度!!
この海沿い区間は今、この世のものとは思えない氷の戦場と化しているッ!!」
その時、背後から爆音と共に、深い海の底を思わせるブルーの影が迫る。
山吹花「美保ちゃん……!? 嘘、あのお兄ちゃん……仙台港に三回転半ひねりでR35をダイブさせてリタイヤしたのに……よくやるわね……!」
相川美保「……花ちゃん。前、空いたら行くよ。海のにおいが濃くなるこの区間……私の得意な“深層のトルク”が効くから……」
若林「ここでェェェェッッ!!!!! 9位・相川美保のR33 GT-Rが急接近ッ!! 桜のWRXを飲み込まんとする勢いで、直6の咆哮が響き渡るッ!!」
ミルキークイーン「あらあら〜……仲良しさん同士で競い合うのは素敵ですわ〜……。でも〜……その前に〜……ちょっとだけ“ミルクの香り”を撒いて差し上げますわ〜……」
海風に混じる、甘く冷たい死の香り。
路面に舞うミルク氷の粒子を切り裂き、WRXとGT-Rの、そして氷の女王の、三つ巴の戦いが加速する。
ミルキークイーン「もっとぷるんぷるんに〜……」
ミルキークイーンが、指先でタクトを振るように空間をなぞる。
その瞬間、絶対静止していたはずのミルク氷キューブが、内側から爆発的な「弾力」を取り戻した。
ボヨォォォォォンッ!! ぷるんっ! ぷるんぷるんっ!!
もはや氷という概念すら置き去りにされた。
山吹花のWRXを包み込む乳白色の巨大な立方体は、まるで意志を持つ超巨大なゼリーのように、路面を叩きながら激しく波打ち、蠢き始める。
若林「なんだぁぁぁ!? 止まっていたはずの氷の塊が、今度は生き物のように跳ね回っているッ!
あの山吹花のWRX、立方体の中心で、まるでミルクプリンの具材のように振り回されているぞォォ!!」
キューブの内部では、花の身体にさらなる衝撃が走っていた。
山吹花「……っ、ぁ……っ!? ぷるん、ぷるん……って……っ、体が……揺れ……っ!?」
車内に充満したヌルコチのミルク氷が、ミルキークイーンの言葉に応えるように脈動する。
冷たさはさらに増し、キンキンに冷え切った花の肌に、ミルク氷の触手が吸い付くように「ぷるん」と弾ける。
ハンドルを握る手、シートに沈む背中、そのすべてがマイナス無量大数度の弾力体に愛撫され、抗う力さえもその柔らかな質感の中に吸収されていった。
ミルキークイーン「うふふ……素敵ですわ〜……。もっと、もっと揺らして差し上げますわね〜。
中身も、外も、花さんも……すべてが溶け合って、最高にぷるんぷるんな『わたくしのおやつ』になるんですのよ〜……☆」
ドッ、ボヨンッ!! ぷるぅんっ!!
LC500のリアから放出される冷気の波動を受け、キューブはさらにその激しさを増す。
外側はキンキンに凍りついたまま、内部だけが「ヌルコチ」の極致に達し、物理法則を無視した弾性運動を繰り返す。
若林「実況席まで甘い香りが漂ってくる……! しかし、これは死の香りだッ!!
山吹花の意識が……あの『ぷるんぷるん』の衝撃の中で、白く溶け始めていくッ!!」
フェルリア「……いけない。あの振動……『ヌルコチ』の共鳴現象です……!
このままでは花ちゃんの身体そのものが、細胞レベルでミルク氷の弾力に同調させられ……本当に、形を保てないほど『ぷるんぷるん』にされてしまいます……!」
相川美保「……そんなこと……させない……っ!!」
美保のR33が、波打つミルク氷の衝撃波を突き抜け、その巨大な弾力体の側面へ食らいつく!
美保「花ちゃんを……返して……っ!!」
しかし、ミルキークイーンは、追撃する美保の方を優雅に振り返り、さらに深く微笑んだ。
ミルキークイーン「あらあら〜。美保さんも、一緒にぷるんぷるんになりたいんですのね〜……?
いいですわよ〜……まとめてキンキンに冷やして、ヌルコチにして差し上げますわ〜……うふふ……っ☆」
ピキィィィィィィィン……ッ! ドボォォォンッ!!
狂気と慈愛の入り混じった冷気が、さらに色濃く、路面を乳白色に染め上げていく。
R33が海風を切り裂く。
そのすぐ後方――
キューブから解放されたばかりのWRXが、まだ氷の余韻をまとって震えている。
花「っ……まだ冷たい……でも……いける……!」
ミルキークイーン「ほら〜……ぷるんぷるんにいたしますわ〜……」
その優雅な指先が、空中で柔らかく何かを握りつぶすような仕草を見せた。
その瞬間、山吹花を閉じ込めた《ミルク氷キューブ》が、生命の鼓動のような凄まじい躍動を始めた。
ドボォォォォンッ! ぷるんっ! ぷるんぷるんっ!!
もはや視覚が追いつかないほどの弾力。
立方体の外殻はキンキンに凍りついた結晶の輝きを放ちながら、その内側では超高密度のヌルコチが、激しく、そして執拗にWRXの車体を、そして花の身体を「ぷるんぷるん」と揺さぶり、愛撫し、形を書き換えていく。
若林「なんだこの動きはァァァ!! 氷の塊が、路面をバウンドしながら……いや、まるで巨大なスライムのように形を変えながら突き進んでいるッ!! 山吹花の声が聞こえない! あの乳白色の濁流の中で、彼女はどうなっているんだ!?」
キューブ内部。
花の意識は、絶え間なく襲いかかる「ぷるんぷるん」の衝撃と、骨の芯まで貫く極寒によって、甘く、白く、ドロドロに溶かされかけていた。
山吹花「……ぁ……っ……ぷるん……って……全身が……揺れて……っ、脳が……真っ白に……っ……!」
車内に充満したヌルコチのミルク氷は、もはや液体でも固体でもない。
花の肌に触れるたびに、マイナス無量大数度の冷気が「ぷるんっ」と弾け、彼女の体温を、そして人間としての確かな形を奪っていく。
花の指先は、ステアリングを握りしめたまま、ヌルコチとした弾力を持つ「ミルク氷の彫刻」へと変質し始め、彼女自身がキューブの一部へと同化させられていく。
ミルキークイーン「ふふ……いいですわよ〜、花さん。もっと、もっと力を抜いて……。わたくしのミルクと一つになって、最高にぷるんぷるんな『幸せ』を感じてくださいませ〜……☆」
ドッ、ボヨォォォンッ!! ぷるぅんっ!!
LC500の背後で、巨大な立方体が生き物のようにのたうち回る。
そのたびに、周囲には甘いミルクの香りと、すべてを凍死させる絶対零度の霧が噴き出した。
若林「相川美保のR33が、その弾力に弾き飛ばされそうになっているッ!!
近づくことすら許されない、このぷるんぷるんの結界!! ミルキークイーン、この女……恐ろしすぎる!!」
フェルリア「……花ちゃんのバイタルが……!
心拍数まで『ぷるん、ぷるん』という氷の律動に同期させられています……!
このままでは、彼女の存在そのものが、巨大なミルクプリンの核として固定されてしまう……!!」
ミルキークイーン「さぁ……仕上げですわ〜。もっと……もっとキンキンに、もっとぷるんぷるんに……いたしますわ〜……うふふ……っ☆」
氷と弾力の狂宴は、さらにその速度を上げ、夜のコースを乳白色の絶望で染め上げていく。
ミルキークイーン「ほら〜……ぷるんぷるんにいたしますわ〜……」
その優雅な指先が、空中で柔らかく何かを握りつぶすような仕草を見せた。
その瞬間、山吹花を閉じ込めた《ミルク氷キューブ》が、生命の鼓動のような凄まじい躍動を始めた。
ドボォォォォンッ! ぷるんっ! ぷるんぷるんっ!!
もはや視覚が追いつかないほどの弾力。
立方体の外殻はキンキンに凍りついた結晶の輝きを放ちながら、その内側では超高密度のヌルコチが、激しく、そして執拗にWRXの車体を、そして花の身体を「ぷるんぷるん」と揺さぶり、愛撫し、形を書き換えていく。
若林「なんだこの動きはァァァ!! 氷の塊が、路面をバウンドしながら……いや、まるで巨大なスライムのように形を変えながら突き進んでいるッ!! 山吹花の声が聞こえない! あの乳白色の濁流の中で、彼女はどうなっているんだ!?」
キューブ内部。
花の意識は、絶え間なく襲いかかる「ぷるんぷるん」の衝撃と、骨の芯まで貫く極寒によって、甘く、白く、ドロドロに溶かされかけていた。
山吹花「……ぁ……っ……ぷるん……って……全身が……揺れて……っ、脳が……真っ白に……っ……!」
車内に充満したヌルコチのミルク氷は、もはや液体でも固体でもない。
花の肌に触れるたびに、マイナス無量大数度の冷気が「ぷるんっ」と弾け、彼女の体温を、そして人間としての確かな形を奪っていく。
花の指先は、ステアリングを握りしめたまま、ヌルコチとした弾力を持つ「ミルク氷の彫刻」へと変質し始め、彼女自身がキューブの一部へと同化させられていく。
ミルキークイーン「ふふ……いいですわよ〜、花さん。もっと、もっと力を抜いて……。わたくしのミルクと一つになって、最高にぷるんぷるんな『幸せ』を感じてくださいませ〜……☆」
ドッ、ボヨォォォンッ!! ぷるぅんっ!!
LC500の背後で、巨大な立方体が生き物のようにのたうち回る。
そのたびに、周囲には甘いミルクの香りと、すべてを凍死させる絶対零度の霧が噴き出した。
若林「相川美保のR33が、その弾力に弾き飛ばされそうになっているッ!!
近づくことすら許されない、このぷるんぷるんの結界!! ミルキークイーン、この女……恐ろしすぎる!!」
フェルリア「……花ちゃんのバイタルが……!
心拍数まで『ぷるん、ぷるん』という氷の律動に同期させられています……!
このままでは、彼女の存在そのものが、巨大なミルクプリンの核として固定されてしまう……!!」
ミルキークイーン「さぁ……仕上げですわ〜。もっと……もっとキンキンに、もっとぷるんぷるんに……いたしますわ〜……うふふ……っ☆」
氷と弾力の狂宴は、さらにその速度を上げ、夜のコースを乳白色の絶望で染め上げていく。
ミルキークイーン「さらに外側はミルキートルネードでキンキンにしますわ〜……」
ミルキークイーンがそう告げ、人差し指を天高く突き上げた。
その瞬間、LC500の排気口から、そして路面のミルク氷の粒子から、猛烈な勢いで乳白色の旋風が巻き起こる。
ヒュオオオオオオオオッ!! キィィィィィィィィンッ!!
《ミルキートルネード》。
それは甘い香りを撒き散らしながら、周囲の熱を一切合切奪い去る死の暴風。
旋風は「ぷるんぷるん」と蠢くミルク氷キューブの周囲を高速で回転し、ただでさえキンキンだった外殻を、さらに絶対零度の深層へと叩き落としていく。
若林「なんだぁぁぁ!? ぷるんぷるんの氷の塊の周りに、巨大な乳白色の竜巻が発生したッ!!
視界がゼロだ! まるでコース上に、巨大なミルクの繭が作り上げられていくようだァァ!!」
フェルリア「……いけない! 外側からのミルキートルネードによる超高速冷却と、内側のヌルコチによる強制的な弾力運動……。
この二重の熱力学無視の攻撃は、花ちゃんのWRXを『絶対静止』と『無限振動』の狭間に閉じ込める……!
花ちゃんの精神が……形を保てなくなります……!!」
竜巻の内部では、花の視界はもはや色彩を失い、乳白色の濁流に支配されていた。
外側からはキンキンに冷えた暴風がキューブを叩き、内側ではヌルコチのミルク氷が、花の身体を「ぷるんぷるん」と執拗に震わせ続ける。
ドボォォォォンッ! ぷるんっ! ぷるんぷるんっ!!
山吹花「……ぁ……っ……もう……なにが……っ……!! ぷるんぷるん……して……っ、頭の中まで……凍って……ぷるぷるに……っ……」
花の意識は、ミルキートルネードの轟音の中で遠のいていく。
彼女の指先、腕、そしてステアリングを握る感覚さえもが、マイナス無量大数度の冷気によって「ヌルコチ」とした弾力体に置き換わっていく。
キンキンに冷え、ぷるんぷるんに揺れる。
それはミルキークイーンが提唱する、残酷なまでに甘い「永遠」の形だった。
ミルキークイーン「ふふ……いい音ですわ〜。トルネードの風に乗って、花さんの鼓動が『ぷるんっ』と響くのが聞こえますわ〜。
そのまま……わたくしの手の中で、最高にキンキンでぷるんぷるんな『宝石』になってくださいませね〜……うふふ……っ☆」
若林「相川美保のR33が、ミルキートルネードの暴風に押し戻されるッ!!
近づけない! あの乳白色の嵐は、すべての動力を、すべての熱を……そしてすべての意志を凍結させていくッ!!」
コース上を滑る、巨大な、そして激しく蠢く「キンキンでぷるんぷるん」なミルクの塊。
その中心で、山吹花は静かに、その存在をミルク氷へと溶かし始めていた。
極限までキンキンに冷やされ、外側を《ミルキートルネード》が荒れ狂う絶望のミルク氷キューブ。その中心部、もはや脱出不可能なWRXの車内に、恐るべき事態が起きた。
物理的な質量を超え、乳白色の冷気そのものが人の形を成す。
密閉された車内、花のすぐ隣に、ミルキークイーンの分身が音もなく現れた。
山吹花「……え……っ……嘘……っ……あな……た……っ!?」
花の震える身体を、分身のミルキークイーンが背後から優しく、しかし抗いようのない力で「ぎゅ〜っ」と抱きしめる。
それは《ミルク氷の抱擁》。
触れた瞬間に、マイナス無量大数度の冷気が花の服を透過し、肌を、そして心臓の鼓動さえも「ヌルコチ」の弾力で包み込んだ。
ミルキークイーン「ふふ……花さん……。そんなに震えて……可愛いお顔がキンキンになっていらしてよ……。わたくしが、もっと美味しくして差し上げますわ〜……」
逃げ場のない密室内、分身の腕が花の身体に沈み込むように食い込み、彼女を「ぷるんぷるん」のミルク氷の檻へと完全に固定する。
そして、ミルキークイーンは白く透き通るような唇を、花の耳元へと寄せた。
ミルキークイーン「右耳に……ふー……」
ヒュゥゥゥゥ……ッ!
花の右耳に注ぎ込まれたのは、お日様の匂いなど微塵もしない、魂までを凍結させる絶対零度の吐息。
鼓膜がキンキンに凍りつき、花の思考回路が「ぷるんっ」と音を立てて白濁していく。
山吹花「ひ……っ……あ……ぁ……っ!! こ、凍る……っ……脳が……っ!!」
ミルキークイーン「次は……左耳にも……ふぅ〜〜〜……」
ヒュウゥゥゥゥゥゥゥ……ッ!!
反対側からも注がれる、濃厚なミルクの香りを纏った死の冷気。
右から、左から、逃げ場のない「耳ふー」が花の精神の核を直撃する。
耳の奥から脳漿までが「キンキン」に冷やされ、中身までもがヌルコチとした弾力を持つ「ぷるんぷるん」のミルク氷へと書き換えられていく。
山吹花「…………ぅ…………ぁ…………っ…………」
花の声はもはや言葉にならない。
耳元で囁かれる甘い死の呪文と、全身を支配するミルク氷の抱擁。
WRXの車内は、ミルキークイーンの分身による「愛の拷問室」と化していた。
ミルキークイーン「あらあら〜。耳までぷるんぷるんになってしまいましたわね〜……☆
そのまま……わたくしの腕の中で、最高に冷たい『ミルクの妖精』になりなさいな……うふふ……っ☆」




