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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!松島編
324/364

松島編第33話 スイスポの奇跡のOB劇

─利府の海沿いセクション。

月光が微かに波を照らす中、赤いGRカローラが唸りを上げて滑り込む!

12位・岡田大成(GRカローラ)

その視界の先には、クールグレーのヴェネーノが背中を見せていた。


岡田「霧山……見えた……!」


だがその瞬間!!

後方から牙のように突き上げてくる、もう一台の鮮やかな色。


ギャアアアアアアアアアアン!!!!!!


チャンピオンイエローの光が、闇夜の波に揺れて一瞬の閃光のように――

右アウト側からGRカローラへ並びかけてきたのは、11位に迫る男、

伊藤翔太(ZC33Sスイフトスポーツ)!!!!


岡田「はぁ!? アウトォッ!? こんな海ギリギリのラインを走るだとッ!? お前、それ死ぬぞォ!!?」


――伊藤のチャンピオンイエローが、外側のグリーンエリアすら踏み越えるかのようなギリギリのアウトラインから猛進する!!


フェルリア「伊藤くん……やってくれますね……これは"あの走り"です……!まさに未来の王者にしてチャンピオンイエローです!!!」


若林「まさか……スイスポが……!?」


フェルリア「“魂の咆哮”――!」


伊藤「俺のスイフトは……!非力でもない!!!ラインの自由度ならッ……!!!格上だッ!!」


伊藤、ギリギリの外側からの切り返し!!!

ガードレールとの距離、わずか8cm!!!

タイヤが波しぶきを拾い上げながら、超タイトな角度でGRカローラの横に躍り出る!!!


岡田「こ、こいつ、、、、!!」


――スイフトのリミッターが悲鳴を上げるほど回転数を振り切って吠える!


伊藤「ちょっと借りるよ、岡田ッ!!!!」


岡田「クソッ!!!!!」


――並んだ瞬間、一瞬だけスリップの風圧を受けた岡田がイン側ラインを抑えられなくなる!!


そのスキに!


――ギャァァアアアアアンンン!!!!!!


伊藤翔太、海沿いの最凶ラインからオーバーテイク成功!!!!


若林「きたああああああああああああ!!!!!」

「スイフトスポーツがあああああああ!!!」

「海沿いの外側から!!!赤いGRカローラをぶち抜いていったああああああ!!!!!!」


フェルリア「……あれは真似してはいけません。死にます。絶対に。ですが……それが、伊藤翔太の走りです……!」


岡田「……やりやがったな……あの黄色……!!」


霧山「……チッ。騒がしい奴がまた一人、来たか」


――こうして、12位争いに激震が走った!!


【順位変動速報】


10位 佐藤ジュン(FD3S)

11位 伊藤翔太(ZC33Sスイフトスポーツ)↑

12位 岡田大成(GRカローラ)↓

13位 霧山トオル(ヴェネーノ)


――海からの湿った夜風が、潮の香りを帯びて吹き抜ける。

利府町の最狭セクション……海沿いの命知らずライン。


そこで――


ギャワアアアアア!!!!!!

ガアアアアアアン!!!!!!


低く重い衝撃音が、静寂を引き裂いた。


伊藤「……ッ!?!? な、なんだ……今の……!?」


ハンドルが取られる。

左前輪――フルバンプした状態でバネが縮み切った!


伊藤「くそっ……車体が傾いてる!?!?」


視界が傾く。

ボンネット左側からスモークが立ち上り始める――

リヤが跳ねた。リヤが滑った。


そして……スイスポが外側に弾かれるように!!!


ガアアアアン!!!!!!!!!


海側のガードレールへ、車体左側面が激突!!

スイスポのチャンピオンイエローのドアパネルが一部浮き上がる!

バンパーは半分ちぎれ、フロントフェンダーが裂けてゆく!!!


フェルリア「これは……まずいです……タイヤが限界だったか……!?」


若林「伊藤くんッ……!? 伊藤翔太、まさかのクラッシュ!?!?!?

今、海へ……いや、ギリギリで止まったああああ!!!!」


伊藤「はぁ……はっ……止まった……?」


――だが、スピードは……すでに失われた。

車体はボロボロ……ハンドルはぶれる……

メーターはチェックランプのツリー。


伊藤「……あーあ……ま、いっか」


肩が震えている。

心臓がまだバクバクと跳ねるように波打つ。


霧山「やられちゃったね……伊藤くん……だけど――」


霧山のヴェネーノが、スイスポの横をスルリとすり抜ける。

そのタイヤには、わずかに余裕があった。


霧山「――“無理するライン”は、一度でもズレたら終わるんだよ……君の走り、嫌いじゃないけどね」


伊藤「……っぐ……」


フェルリア「これは……スイスポ、一時戦線離脱です……! 海沿いセクションでのラインの代償が、彼の車体に重く響きました……!」


若林「順位変動です! 伊藤翔太がスローダウン!!!」


【順位速報:再び変動】


10位 佐藤ジュン(FD3S)

11位 岡田大成(GRカローラ)↑

12位 霧山トオル(ヴェネーノ)↑

13位 伊藤翔太(ZC33Sスイスポ)↓(※大破寸前)


フェルリアの声が、いつになく低く、鋭く響いた。


フェルリア「……いや、今のは事故じゃありません」

「わざとぶつけていましたね……霧山くん」


実況席の空気が、一気に凍りつく。


若林「え……!? それって――」


フェルリア「伊藤くんのスイスポは、すでに不安定でした。そこへアウト側から車体を寄せて、逃げ場を消した」

「海側に寄せ切った……あれは“押し出し”です」


その瞬間――


伊藤「させねェェェェ!!!!!!」


ガガガガガガッ!!!!


欠けたフロントを引きずりながら、

チャンピオンイエローのスイスポが、再び加速した。


フェンダーが歪み、タイヤハウスが擦れる音。

だが、伊藤はアクセルを抜かない。


伊藤「前には行かせねェぞォォォ!!!

霧山ァァァァァッッ!!!!!!」


ガガガ……ギャリギャリギャリ!!!!


スイスポの左側が、ヴェネーノの右フロントに噛みつく。

火花が散り、夜の海沿いが一瞬、昼のように明るくなる。


霧山「……チッ……まだ来るか……!」


ヴェネーノがラインを変えようとする。

だが――伊藤は譲らない。


伊藤「ここで抜かれたら……

全部……全部ムダになるんだよォォ!!」


ハンドルを押さえ込み、

壊れかけのスイスポで完全ブロックライン。


若林「うわああああ!!伊藤翔太ァァァ!!!

壊れたスイスポで……進路を塞いでいるゥゥゥ!!!!!」


フェルリア「……伊藤くん……」

「これは意地です。順位でも、勝算でもない……魂の拒否」


ヴェネーノのエンジン音が一段階上がる。

だが、スイスポは前にいる。


霧山「……そこまでして、守るか」


伊藤「当たり前だろ……!!

好きで走ってんだ……!

簡単に譲れるかよォォォ!!!」


ガガガッ……!!


再び軽い接触。

スイスポのリアが跳ねる。

それでも、伊藤は前を譲らない。


フェルリア「……これは、ただのバトルじゃない」

「伊藤翔太というドライバーの、最後の抵抗です」


利府町ダウンヒル。

海と崖に挟まれた逃げ場のない区間で――


壊れた黄色が、黒い怪物の前に立ちはだかっていた。


そして、次の瞬間。

この2台に――

決定的な裁定が下ることになる。


若林「きたああああああああああああああ!!!!!!!」

「チャンピオンイエロー!!! 伊藤翔太のZC33Sスイフトスポーツが……!!」

「一度は大破寸前に追い込まれながらも……ッ!!!!」


フェルリア「……前に出ましたね」


若林「出たァァァァ!!!! 霧山ヴェネーノを押さえ込んでッ!! さらに!!そのまま岡田のGRカローラに再び食らいつく!!!!」


――路面に火花が飛び散る!!!


伊藤「うおおおおおおおおおッッ!!!!」


ガガガガガッ!!!


ブレーキングの限界でねじ込むスイスポ!!!

アウト寄りでラインが震える!!!!

ヴェネーノとカローラを文字通り“押しのけて”前へ!!


フェルリア「……これはもう、意地ですね……。完全に……壊れても止まらない覚悟です……!」


若林「岡田GRカローラと!!伊藤スイスポが並んだァァァァ!!!!」

「しかもッッ!!そのすぐ後ろ!!!霧山ヴェネーノが再びインを狙ってる!!!」


伊藤「こさせるかよォォオオオオオ!!!!」


タイヤスモーク!

強引に車体をグラインドさせながら!


伊藤のZC33Sが、赤いGRカローラのドアへボディを擦り付ける!!!


岡田「ッざけんなああああ!!!」


ギャアアアアアアッ!!!


火花が走る――

リアが滑り、3台が完全に接触スレスレで並走!!!


若林「これはもう戦争だああああああああ!!!!!!」

「伊藤翔太、霧山トオル、岡田大成!!!

海沿いのストレートで3台並んだァァァァ!!!!!」

「松島戦!!!一体誰が抜け出すのかあああああ!!!!!!」


岡田「くっそォォォ……!!!」

「今度はッ!!今度はオレが……!!」

「アウトに追いやられた……だとッ!?」


右タイヤが白線を踏み、

そのまま路肩のラフに突っ込む……!!!


岡田「グリップ効かねェじゃんかよ……ッ!!!」


キュギャアアアアアア!!!


フロントが逃げ、後輪が暴れる!

GRカローラの赤い車体が、体勢を崩しながら海風の中で滑る!!


伊藤「はァァァァァァァッッッ!!!!!」

「行くぞォォ!!! 今だああああああああ!!!」


ヴヴヴンッ!!!


チャンピオンイエローのスイスポが前に出る!!!

ZC33S特有の軽量コンパクトさが今、極限の状況で活きてくる!!!


フェルリア「……これが伊藤翔太の凄みですね。非力なスイフトスポーツで、この争いを制していくとは……」


若林「10位争いの混戦の中から!!!」

「伊藤翔太、ただいま9位へ浮上ォォォッッ!!!!」

「一時は13位まで沈んだ男が……ミルキークイーンの“タイヤ凍結事件”を乗り越えて……!」


フェルリア「……それを言うとミルキークイーンさんがまた怒りそうですね」


若林「い、いや、、、あれはもう、、、なんというか、、、ラウンド終了後にしましょう!!」


……そのすぐ後ろ。


ヴェネーノが赤い光を放つ。


霧山「逃げるなよ……伊藤くん……」

「君のこと……今度こそ完全に……止めてやるから……」


キイィィィィィン……


ヴェネーノのサスが沈み込む。


霧山の目が、闇夜の獣のように光った――


太陽が高く照りつける午後、白く乾いた路面にタイヤ痕が連なる。

波音の代わりに、エンジンの咆哮とブレーキローターの焼ける臭いが漂っていた。


真っ赤なGRカローラが、前を塞ぐようにコーナーの出口へ。

だが――


ギャギャギャギャギャ!!!


その横腹に、チャンピオンイエローの影が飛び込んできた!!!


岡田「またインか……!?」

「今度はインから差し込みやがったかッ……!!」


伊藤「……!!」

「止まれッ……止まってくれええええ!!ブレーキィィィィィィィィ!!!!!」


ドオォォォォォォォォン!!!!


小さなスイフトスポーツが、赤いGRカローラのドア横ギリギリにねじ込まれた!!


岡田「おいっ!?ぶつかるぞ!!バカ野郎ォ!!」


伊藤「負けたくねェんだよッッ!!!」


路肩すれすれ、

金属ガードの影が迫る!!


フェルリア「……ギリギリです、完全に紙一重。どちらかが数センチミスってたら……これは事故ですね……」


若林「それでも止まらない!!!」

「16歳、伊藤翔太が止まらない!!」


岡田の眉が歪む。

真っ直ぐな視線で、隣のドライバーを見た。


岡田(このガキ……いや、16ってことは高校一年……)

(俺とたった3歳差か……なのに、ここまで突っ込んでくるって……)


岡田(ふざけるなよ……俺だって、真面目にやってきたんだ……!)


赤いGRカローラが唸る!!!


ブオオオオォォォォン!!!!!!


岡田「譲る気はねぇ!!!どけッ!!!」


伊藤「じゃあッ!こっちも絶対どかねェッッ!!!!」


ギャアアアアアアア!!!!!


二台のフロントタイヤが、コーナー出口でバタつきながら加速する――!!


スイスポが先頭を奪う!

だがGRカローラが、ロールを殺して並び続ける!


伊藤「このままじゃ……」

「スリップに……!」


岡田「甘ぇよ……俺はな……」

「ガキだけど、ガチの勝負してきた奴に、負けるわけにいかねぇんだよ!!!」


伊藤「俺だって、ガチだよッッ!!!!」


次の右コーナーへ。


アウト側に回ったスイスポが、路肩ギリギリをかすめながらステアを切る!


岡田はブレーキポイントを半テンポ早める――


伊藤「!?」


一瞬、スイスポが前に出た――


だが次のイン、岡田がスリップを利用して、強引に車体を半分ねじ込む!!!


フェルリア「出ましたね……これが、岡田くんの“反応勝負”です……!」


若林「ま、まさかああああ!!!」

「再び!!再びGRカローラがスイスポに戻ってくるうううううう!!!!」


伊藤「こいつ……譲らねぇ……!!」


岡田「あたり前だろ……!!

俺も、トップ行きたいんだよ!!!!」


……青春の火花が、海沿いの道に刻まれていく――


真昼の陽光が、海面から跳ね返り、ふたりの若者のフロントウインドウを焼いた。


次のコーナーは右だ。


ブレーキング勝負――伊藤が先んじて入る!


だが、その刹那。


岡田「俺は、、、もっと前にいる柊やカナタくんに、、、追いつきたいんだ、、、!お前なんかに、、、行かせないよッ!」


その叫びとともに、赤いGRカローラの鼻先が、スイスポのリアバンパーへ滑り込んだ!!!


ギャギャギャギャギャ!!!


タイヤが叫び、伊藤のステアが揺れる!


伊藤「うわああああ!?おい、今ぶつかったろ!!?」


岡田「そっちこそさっき擦ったろッ!!もう引けねぇんだよ俺は!!」


スイスポが半身インに入ったが、カローラも外から抜かせまいとノーズを重ねていく!!


フェルリア「これは……コーナー全体を使う“ライン潰し”です。岡田くん……強気ですね」


若林「いや、強気どころか、これは捨て身の勝負ですよ!!ぶつかりかねないッ!!!」


2台は完全な並走、路肩の白線を踏みながら突っ込む!


伊藤「行くッ!!」


岡田「行かせねぇッ!!」


ガチィン!!!


軽く、だが確実にフェンダーとフェンダーが触れ合う。


伊藤「くっそ……軽く押し出された……!」


岡田「そうやって……一瞬でも怯んだら終わりだッ!!」


GRカローラがスイスポの前に強引に出る!


伊藤「うああああああ!!!!」


スイスポがアウト側でブレーキをかけ直し、岡田のリアを睨みつけた。


伊藤(やっぱコイツ、真面目だけど……バトルになると完全に野生じゃんかよ……!!)


岡田の視線は前にいた柊の白のZ33を捉えている。


岡田(……あそこに並びたい。前を走ってるアイツらに、背中を見せたくないッ……!!)


その背に、なおも迫るスイスポ。


伊藤「まだ、終わってねぇぞッ……!」


伊藤翔太のスイフトスポーツが、タイトな左ヘアピンを鋭く切り込んで抜けていく。

前を行くGRカローラはすでに彼の視界から振り切られ始めていた。霧山のヴェネーノも背後に遠ざかる。


伊藤「俺は、、、前回の芦ノ湖と三陸で12位だった、、、、ここで全部巻き返してやる、、、、ッ!!

初心から還って見せるさ、、、、、、ッ!!!」


チャンピオンイエローのボディが、陽光を弾き返して輝く。

周囲の松の木が風に揺れる中、彼の決意は一際強く加速音となって道に響いた。

そして次に狙うは——C8、佐藤大河。


勝負は、まだこれからだ。


1位 黒川海斗(EVO IX MR)

2位 内藤セリナ(Audi R8 V10)

3位 古賀加奈子(BMW M3 E46)

4位 小岩イオリ(Ferrari 812)

5位 相川美保(R33 GT-R)

6位 山吹花(WRX STI)

7位 腹切カナタ(86 NA)

8位 柊 蒼真(Civic typeRFL5)

9位 佐藤ジュン(FD3S)

10位 佐藤大河(Corvette C8)

11位 伊藤翔太スイフトスポーツ

12位 岡田大成(GRカローラ)↓

13位 霧山トオル(Lamborghini Veneno)↓

14位 山吹芽衣(911 カレラGTS)

15位 柳津雄介(BMW M4 DTM)

16位 湯川サトル(S2000)

17位 高村圭吾(Z33)

18位 サテラ(EVO VII MR)

19位 川村修一(Kワークス)



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