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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!松島編
319/364

松島編第28話 覚醒

若林「そのまま次は――港湾セクション後半ッ!!!」

「先頭・黒川は譲らない!!EVO9MR、ラインを一切外さない!!!」


アスファルトに焼ける熱気。

タイヤのスキール音が低く、鋭く地を這う。


右カーブから左へ、湾曲する防波堤沿い。

コンテナの隙間から吹き抜ける潮風が、熱と視界を攪拌する。


黒川「……踏ませないぜッ!!!!

R8がやってみろってんだアアアア!!!!」


ミッドシップ、FR、4WD――

全ての特性を把握した上で、自分の立ち位置を守る。

EVO9MRが見せるのは“絶対防御”。

インもアウトも、ブレーキのタイミングすら読ませないライン取りだった。


フェルリア「黒川、ここに来て冷静です」

「リードを守るだけでなく、後続の仕掛ける“タイミング”ごと潰している……!」


内藤セリナ「ふふ……でも、そんなの……つまんないよ?」


減速の一拍前――R8がわずかに右フェンダーを覗かせた。


若林「内藤ァァァァッ!!!」 「港湾S字の侵入で仕掛けたァァァァ!!!」

「アウトから強引に差す気かァァァ!?」


黒川「読めてんだよ、それも全部よォッ!!」


黒川、インへ向けて絞る。


ゴアァッ!!!

タイヤが悲鳴をあげ、アスファルトに白煙が走った。


だが、内藤セリナのR8は止まらなかった。

レモン色のR8が襲いかかる!!!!


内藤「つまんないよ、黒川くん☆そんな走り……私じゃなくても防げるよー?」

黒川「....ッ!!!!!」


ハーフスロットルのまま、わずかに角度をつける。

そこには、まるでミリ単位の駆け引きが存在していた。


フェルリア「内藤セリナ!!!」

「インを捨てて、アウトの余白に逃げた!? ……違う、“最終出口”を利用する気です!!」


古賀加奈子「……やるわね」

イオリ「……」


ブレーキの煙が晴れたその先――


若林「インを抑えた黒川、だが!!」 「アウトから伸びたァァァ!!! 内藤ォォォ!!!」


内藤のR8が、ほんの少し、1/4台分……前へ出る。


黒川「舐めんなァッ……!!」


トラクションに全てを懸け、4WDが立ち上がる。


――が、その瞬間だった。


ゴウン!!!


EVO9のリヤがわずかに浮く。

港湾路面にあった微妙な段差、R8は難なく受け流したが、黒川はサスが突っ張った。

そのわずかなロス。


フェルリア「黒川、失速!! 跳ねた!!」

若林「内藤セリナァァァ!!! 前に出たァァァァ!!!!」

「港湾セクション出口、先頭が――変わったァァァ!!!」


内藤「……えへへ☆」


白のR8が、風のように抜けた。

重低音のV10を響かせ、港の湾岸エリアを駆ける――


黒川「……上等だよ」

「だったら、次は……コーナーで仕留める」


古賀「……焦り、始めたわね」

イオリ「……そろそろ、かな」


静寂の中、812スーパーファストがわずかに車間を詰めた。

それはまるで、獣が牙を研ぐ音のように――


右へ――軽く流れるカーブ。

その先に広がるのは、港の最奥部。


積まれたコンテナが視界を切り裂く。

そしてその間に、一瞬だけ“直線”が生まれる。


黒川「ここで抜かせば……終わる」


EVO IX MRのボディがわずかに沈み込む。

バネの反動で四輪が地面を掴み、次の立ち上がりに備える。


フェルリア「このセクション……カギは“抜けの一手”です」

「このまま逃げ切れると黒川が思っているなら――甘い」


内藤セリナ「ふふっ☆」


仕掛ける気配は――ゼロ。


だが。


内藤「“音”で分かるの。いま、黒川くん……」


「ほんの少し、ラインずれたよ?」


ミッドシップの足が一歩だけ――

ギャップを越えるたびに、ピクリと軋む。


内藤「ふふ☆ じゃあ……ここだね♪」


――カコン!!


R8のV10が火を噴く!


若林「出たァァァァァァ!!!!!」


「内藤ォォォォォ!!!踏んだァァァァァァァ!!!!!」


「塩釜港、最奥直線手前の短い加速ポイントでぇぇぇ!!!アウトに飛び出したァァァァ!!!!!」


黒川「ッッッ!!?」


横に出た。


だが、直線は短い。

ブレーキングが、すぐに来る。


黒川「そこで止まれんのかよ……!!?」


ブレーキポイントはすでに目前。

一か八かの勝負――


いや。


内藤「止まるよ?」


――確信だった。


R8が、アウトから進入するその瞬間――

リアがわずかに滑る。


しかし、それを“前提にした”ブレーキ。

重さを殺さず、旋回に変える。


フェルリア「あのリアスライド、制御されている……!!」

「……“ドリフトしてる”んじゃない、“滑らせてる”んです!!!」


黒川「クソ……!!」


わずか、わずかに。


EVOの進入速度が勝っていたはずなのに。

アウトに膨らんだR8が、旋回の後半で――


内側へ吸い込まれるように差し込んだ。


若林「クロスラインだァァァァァァァ!!!!!!」

「内藤セリナァァァァ!!!!!」

「R8ッ!!! 前に出たァァァァァァァァァ!!!!」


内藤「ありがとね☆ 黒川くん」


黒川「……この……ッ!!!」

ハンドルをこじる。

だが、インは塞がれた。


完全に――塞がれた。


EVOが吐き出した煙の向こうで、R8が走っていく。


フェルリア「内藤……奪いました」

「ラインを……リズムを……すべてを」


そしてその後ろ。


古賀「……ここまで来たら」


M3が、一瞬だけタイミングを早めた。


古賀「私も……行かせてもらうわ」


縦に並ぶEVOのわずかな外側。

そのギャップに、M3のノーズがねじ込まれる。


黒川「ハァッ!? お前もかよ……!!」


若林「古賀加奈子ォォォ!!!!」

「ここでEVOに並んだァァァァ!!!!」

「アウトのまま侵入ッ!! RWDのスライドが鋭いィィィィ!!!」


EVOとM3が、火花を散らして接触スレスレ――

そのまま立ち上がりへ!!


黒川「ッッッッッラァァァァ!!!!」

古賀「冷静に……抜くの」


サイド・バイ・サイド――


結果。


若林「古賀ッ!! 古賀加奈子ッ!!!」


「抜いたァァァァ!!!!」


「M3が2位に浮上ッ!!!」


黒川「……上等だよ」

「だったら――潰してやるよ」


そしてその後ろ――


イオリ「……よし」


足が解放される音がした。


812のスロットルが――

“底”まで沈む。


若林「小岩イオリも来たァァァ!!!!」

「フェラーリ812!!!」

「ついに全開だァァァァ!!!!」


フェルリア「ついに、“この港”が終わるのですね……」


花「……!」


美保「……流れが、変わる」


港の光が、照りつける。

その下で――**“主導権”**が入れ替わった。


若林「先頭・内藤セリナ!!」

「2位・古賀加奈子!!」

「3位・黒川海斗!!」

「そして4位、迫る小岩イオリ!!!」

「そのさらに後ろにはWRX花!! R33相川美保!!」

「港湾セクション、ここで崩壊だァァァァ!!!!!」


だが――この崩壊こそが、“次の勝者”を生む。


「高いグリップを保持したまま!!」

「R33が――横に並び仕掛けるゥゥゥ!!!」


美保「……今……!」


R33のフロントが、

812のリアに並ぶ。

ブレーキを残したまま、

荷重だけで向きを変える。


フェルリア「これは……!」

「ブレーキで止めていません!!」

「グリップを“抱えたまま”行っています!!」


イオリ「……嘘でしょ……ッ!?」


視界の端に、

ミッドナイトブルーが現実的な距離で迫る。


イオリ「この速度で……」

「並ぶ……!?」


812は本来、

ここで簡単に並ばれない。

だが――

港の路面と、R33の相性が噛み合った。


若林「並んだァァァ!!!」

「4位争い!!」

「小岩イオリ!!相川美保!!」


その直後――


花「……っ!!」


WRXも、ラインを詰める。

6位の位置から、

一気に“勝負圏”へ。


花「……行ける……!」


若林「後ろも来たァァァ!!」

「WRX STI!!山吹花も射程内!!」


港区間。

視界が開け、逃げ場はない。


フェルリア「ここは……」

「一台の判断ミスが、二つ順位を落とす場所です」


イオリ「……く……っ!」

美保「…この流れ……」

花「…今だァァァァッ……!」


真昼の塩釜港。

4位・5位・6位が横一線。


先頭争いのすぐ背後で――

新しいバトルが、完全に火を吹いた。


若林「古賀加奈子のM3がまさかの快進撃ィィィ!!!!」

「E46がここに来て牙をむきだしたァァァァ!!!!」


古賀「……やっぱり……」

「やっぱり昔乗ってた、E46の……この赤ボディの方が……」

「コーナリングが……ぎっしりと……定着してる……ッ!!」


ステアリングは軽すぎず、重すぎず――

足は踏んだ分だけ、地面に食いつくようにグリップを返してくれる。


古賀「この感じ……身体に染みついてる……!!」


前を走る内藤のR8は、ミッドシップならではのタイトな旋回を見せているが、

古賀のE46は、それよりも**“わずかに深く”インへ切れ込むライン**で、差を詰めていた。


――都市部ストリート1コーナー。


右へ曲がりながら、歩道の縁石ギリギリをなぞるライン。


若林「ええええええええ!!!?」

「インから来たァァァァ!!!!」

「古賀ァァァァァァァ!!!!」

「まるで読み切っていたかのような走りィィィィ!!!!」


フェルリア「これは……R8より軽いE46だからこそ成立する動きです!」

「加速性能では劣っても、この都市部では……機動力が武器になる!!」


内藤のR8がラインを譲らないように軽くブロックするが――


古賀「わかってるよ、セリナ……でも、あなたは“ブロックする”動きに、慣れてない……!」


内藤「ふふ……バレちゃった?」


――E46が刺さった。

完全にフロントを、R8の横に並べた。


若林「インへ飛び込んだァァァァァ!!!!」

「E46、突き刺さるような加速でッッ!!!!」

「ついに並んだァァァァァァ!!!!!!」


タイトな右、即座に続く左――

その切り返しを読み切っていたのは、古賀だった。


古賀「このまま……!」


右フロントが縁石に一瞬だけかすり、バランスを崩すかに見えたが――

ボディが沈んだまま、E46は“スッ”と切り返した。


若林「切ったァァァァ!!!」

「切り返しの精度がァァァ!!!!」

「内藤のR8が外へ!!! E46がインを取ったァァァァ!!!!」


フェルリア「内藤は……ここでは無理しない。次に繋げる判断です」


内藤「……ふふ☆」 「やっぱ、古賀さんってすごいんだね」


――そして次の直線へ。


若林「古賀加奈子ッッ!!!」

「首位奪取ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

「E46 M3ッ!!! 2000年代の名車が、2026年の頂点を獲ったァァァァ!!!!」


【順位変動】


1位:古賀加奈子(BMW M3 E46) ← New Leader

2位:内藤セリナ(R8 V10) ← 読まれたラインで譲る

3位:黒川海斗(EVO IX MR) ← 差を詰める気配

4位:小岩イオリ(812) ← 次の直線で食い込む

5位以下:花・美保・カナタ勢が追撃態勢


高橋勇太(NC1 NSX)「……アイツ、本当に化けたな」

古田のりあき(BMW Z4)「へっ……相変わらずコーナーは手ぇ抜かねえな。あの野郎……俺の前でやってくれよ」

ミルキークイーン(LC500)「加奈子さん……おほほ、これは怖いわ〜……本気になっちゃったのね」

サテラ(EVO7MR)「そりゃないでしょ!?ちょっと前、ボクより後ろだったじゃん!!?」


「嘘だろッ!?!?!?!?!?!?」

「古賀加奈子!?マジで!?」

「前戦じゃ12位とかじゃなかったっけ!?」

「え?2003年式のM3だぜ?今2026年だぞ!?」

「20年以上前のFRが……V10や4WDを抜く???」

「E46……E46が1位……ッ!!!」

「なんで今更になってこの女、牙を剥くんだよ……」

「まさに蘇る赤の刃」

「てか、内藤セリナ抜いたって……え、あのR8のセリナを!?」


若林「そして来ましたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「佐藤ジュンの赤いFDがぁぁぁぁ!!!!」

「ついに霧山トオルのヴェネーノにッッ!!!」

「塩竈マリンゲート前の高速右ッ!!!」

「ここでッ!ここで並んだァァァァァ!!!!!!」


ブォォォォォォン!!!!!!

ピィィィィィィィィィィ!!!!!!!!


2ローター特有の甲高いサウンドが、V12の咆哮に割り込むゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!


霧山「は……??? はあああああああああッ!?!?」

「なんでだよォ!!!?!?!?!?」

「このランボルギーニ様に、並ぶとかありえねえだろォォ!!!」


だが、視界の左隅に――赤い閃光が確かに食い込んでいる。


ジュン「……ボクだって……ッ!!」

「今度こそ……ボクだって、できるッ!!」

「逃げない……!!ボクは……ボクは……ッッ!!!」


フェルリア「佐藤ジュン!!!」

「14歳の少女が操るロータリー、今ここで真の目覚めを見せました!!」

「このコーナー、FDにとっては“無理が効く速度域”!!」

「軽量+高回転+柔らかい姿勢制御!! ヴェネーノの剛性と重量に対し――ギャップで勝てる!!」


若林「これはッッッッッ!!!!」

「並んだァァァァァ!!!!!」

「FDのフロントが、ヴェネーノのドア下にッ!!!!!」

「ネオンレッドが突き刺さるゥゥゥ!!!!」


そしてコーナーの頂点。

霧山がアクセルをわずかに抜いた――その瞬間。


ジュン「ボク……引かないッッ!!」

ギュオォォォォン!!!!!!!

レブ近くまで回しきったまま、FDが踏み込んだ!


タイヤが、路面を斜めに噛む。

それでも、恐れなかった。

握る手は震えていない――


ジュン「ボクの……走りで……ボク自身を……

超えるんだッ!!」


若林「出たァァァァァ!!!!!」

「ネオンレッド、FDがヴェネーノをォォォ!!!!!」

「アウトから並びきってぇぇぇ!!!!!」

「高速右の立ち上がりィィィ!!!!!」

「差しきったァァァァァァァ!!!!!!」


霧山「なッ……あああああああああッッッ!!!!!」

「おいおいおいおいおいおいおい!!!!」

「こんなのおかしいだろォォォォ!!!!!」

「なんで!!なんでェェェェ!!!!!!」


若林「佐藤ジュン!!!」

「14歳!! 女の子!! だけど一人称はボク!!!!!」

「魂のロータリーがッッ!!」

「スーパーカーを超えたァァァァァ!!!!!!」


【順位変動】

14位→13位:佐藤ジュン(RX-7 FD)↑

13位→14位:霧山トオル(ヴェネーノ)↓


若林「佐藤ジュン!!!ネオンレッドのFDがァァァァ!!!!」

「ヴェネーノの霧山をぶっ抜いたァァァァ!!!!」


フェルリア「……コーナーでしょうね」


その言葉は、熱狂の実況とは対照的に、静かに、しかし鋭く刺さるように発せられた。


フェルリア「霧山くんは……ブレーキしてました」

「ほんのコンマ数秒、マリンゲート前のギャップで……一度踏んでいます」


スロー再生の画面に、ブレーキランプが赤く灯る一瞬が映る。


フェルリア「対してジュンちゃんは……軽めのブレーキングでした」

「FDのリズムを壊さず、流れるように……恐れずにコーナーへ飛び込んでいます」


その言葉の裏にあるのは――信じる走り。


フェルリア「……あれは、“重さ”の違いではありません」

「“覚悟”の差、です」


若林「かああああああっっ!!!!」

「つまり……!?」

「ブレーキを早く踏んだ霧山が、“恐れた”ってことですかァァァァ!!?」


フェルリア「……そういうことになりますね」


まるで運命が逆転したかのようなシーン。


重量とスペックに勝るヴェネーノを――

14歳の少女が、“軽く踏む”という選択で超えてみせた。


フェルリア「ジュンちゃんは、自分のロータリーを信じて……自分自身に、勝ったのです」


FDがコーナー出口で風に溶けるように伸びていくその背中を、

霧山トオルはまだ信じられない目で見つめていた。


霧山「マジかよ……ッ!!」


若林「それにしても……」

「いつもに増して、赤い戦闘機――腹切カナタの86が、順位を上げていませんね……」


レース序盤から沈黙を続けていた“赤”の姿が、モニター上では未だ9位付近。

いつもならとっくに数台を抜いていてもおかしくない……その“沈黙”に、視聴者の間でもざわつきが広がる。


フェルリア「……ここまでは、ずっと緩やかなヒルクライムでしたからね」

「エボやR8、VスペックのGT-R、そしてスーパースポーツ勢にとっては、重量とトルクが強みになるセクションでした」


画面には、序盤の港湾区間の俯瞰映像が映る。

ほとんどのコーナーが微妙に上り基調だったことが、ラインの軌跡からも読み取れる。


フェルリア「しかし――」

「ここからは利府町区間に突入します」


若林「利府町ッッ!!!?」


フェルリア「地形が“松島”へと入り込むにつれて、コースは緩やかなダウンヒルへ変化していきます」

「一見直線的ですが、ライン取りと荷重移動の難易度は一気に上がる」

「ここからが、“腹切カナタ”というドライバーの本領発揮でしょう……」


若林「な、なるほどォォ……!」

「じゃあ今の沈黙は……!」


フェルリア「嵐の前の“溜め”です」


そして、さらりともう一つの“共通点”を付け加える。


フェルリア「……それに、FDとM3が這い上がってきたのも、同じ理由かと」


若林「へッ!?」


フェルリア「古賀加奈子のE46、佐藤ジュンのFD――共に車重が軽く、コーナーで勝負するタイプのFRです」

「アップヒルでは苦しんだ両者が、この下りセクションに入って一気に牙を剥き始めた」


若林「な、なるほどォォォォ!!!!!」

「つまり、カナタの86も……この後、**“くる”**ってことかァァァァァ!!?」


フェルリア「ええ……」

「本気の赤い戦闘機が、そろそろ“姿勢”を起こしますよ」


そして――

その言葉を裏切らないように。

次のシーン、ダウンヒル入口のシケインで、赤い86のエンジン音が一段と高鳴る。


若林「おおおおおおっとォォォ!!!!」

「9位の位置から……!!」

「赤い戦闘機のエンジン音が聞こえてきたァァァァ!!!!!!」


フェルリア「……来ましたね」

「トルクではなく、“慣性とライン”で勝負する男の……逆襲です」


ギュワァァァアアアアアン……!!!


地鳴りのように、だが澄み切った直4の咆哮が、前の2台に届く。


カナタ「……そろそろ、路面が……」

「下に向き始めたな……?」


ハンドルを握るその指先に、微細な荷重変化が伝わっていた。


カナタ「ここから先は……俺の領域だッ」


前方――

8位:柊蒼真(Civic Type-R FL5)

7位:佐藤大河(Corvette C8)


その2台が見える距離。

だが、どちらも**“スペックでは圧倒的に上”**。

ターボ+最新FF。

そしてアメリカンマッスル、ミドシップの獣。


それでも――


カナタ「勝つのに、馬力はいらない……」

「必要なのは“落としどころ”だ」


次コーナー:利府シケイン――わずかに傾斜が強くなる右→左の複合


C8が減速する。

続いてFL5もABSを効かせながら慎重にイン側へ。


その背後――


ブレーキ、踏まない。


カナタ「……今、だッ!!」


スッ……


減速“しない”まま、インへ入る。

荷重を右フロントだけに預け、滑るように――いや、落ちていくようにラインを切った。


若林「うおおおおおおおお!!!!」

「止まってない!!止まってないぞォォォ!!!!」

「赤い戦闘機ッ!!!!」

「利府のダウンヒル入口でッッ!!!」

「2台分のギャップを一気に詰めてきたァァァァ!!!!」


柊 蒼真「ッ!? なんだこの動き……ッ!!」


FL5がバランスを崩す。

だが、その外側を――


カナタ「……いけるッ!!」

「ラインは……ある!!!!」


86が、C8の右リアとFL5の左フェンダーの間――

2台が絶対に想定していない“隙間”へ突入した。


佐藤大河「なッ!!???」


若林「しゅ、シュートォォォォォォォ!!!!」

「86がぁぁぁ!!!!!!」

「まるで地雷原を駆け抜けるようにッ!!!」

「2台の間を貫いたァァァァ!!!!」


一瞬の静寂――


その後、先に抜けていたのは――


カナタの86。


【順位変動】


カナタ:9位→7位へ浮上!!!


FL5・C8ともにライン外し、立ち上がり遅れる


フェルリア「恐ろしい……」

「これはもう、“降下爆撃”ですね」

「全てのラインと荷重を計算した上で……“ノーブレーキ・斜線斬り”」

「これが腹切カナタの真骨頂です」


若林「腹切カナタァァァァァァァ!!!!!7位へ浮上ォォォォ!!!!!」


前方には5位・山吹花、6位・相川美保。海の風が強くなりはじめる。


カナタの目が細く鋭くなる。


カナタ「次は……あの桜風と深海か」


風を切る音が変わる。今、ダウンヒルで最も鋭い刃が、前の二人に迫っている。


1位 古賀加奈子(BMW M3 E46)

2位 内藤セリナ(R8 V10)

3位 黒川海斗(EVO IX MR)

4位 小岩イオリ(812スーパーファスト)

5位 相川美保(R33 GT-R Vspec)

6位 山吹 花(WRX STI VAB)

7位 腹切カナタ(トヨタ86 NA)↑

8位 佐藤大河(コルベット C8)↓

9位 柊 蒼真(シビック FL5)↓

10位 岡田大成(GRカローラ)

11位 伊藤翔太(スイフトスポーツ ZC33S)

12位 ミルキークイーン(LC500)↓

13位 山吹芽衣(ポルシェ 911 GTS)

14位 佐藤ジュン(RX-7 FD)↑

15位 霧山トオル(ヴェネーノ)↓

16位 柳津雄介(BMW M4 DTM)

17位 湯川サトル(S2000)

18位 サテラ(EVO VII MR)

19位 高村圭吾(Z33 フェアレディZ)

20位 川村修一(Kワークス)


※リタイア

21位 相川 律(R35 GT-R)

22位 クレア(R35)

23位 坂田五郎丸(RX-8)



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