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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
松島編
315/364

松島編第24話 霧山の策略

新シーズン初回先行公開!

霧山「伊藤くん……」

「実は君に、大事なことを言いたくてね……」


ヴェネーノの低い音が、わずかに変わる。

街の喧騒の中で、その車だけが異質な空気をまとっていた。


霧山「ボクの“ペット”にならない?ほら、従ってれば、案外楽しいよ……?すぐ後ろのポルシェも喜んでるだろうし……ツインテールで、猫耳みたいな草のような髪の色の女の子も……候補なんだ」


一瞬、時間が止まったように感じられた。


伊藤「......今なんて言った?」


伊藤翔太本人とスイスポに怒りが混み上がってくる。誰かを守れない悔しさを失ったものを犠牲にしなければならないものだ。


伊藤翔太本人にスーパーカーにも打ち勝つほどの覚醒が微かに芽生えようとしていた。

幼い頃姉を流産で失い、母親は女優の仕事のために海外出張が増えて父親で伊藤自動車を創り上げた伊藤広尾の英才教育にてますます伊藤翔太のドライビングは進化した。


スイスポだからという訳ではなくこれは伊藤翔太のドライビングその物が超越仕掛けているという訳だ。だが、未だにヴェネーノやR8にR33GTRを前に出させている現状は変わっていない。


伊藤翔太とチャンピオンイエローのスイスポのオーラにあるのは漲るエナジーそのもののPOWERだった。


伊藤「今なんつった......??」


霧山「あの山吹の小さなツインテールの女の子ペットにしたいなーって......」


伊藤「……芽衣ちゃんを……っ!!!」


ハンドルを握る手に、力がこもる。

言葉が、喉で詰まる。


伊藤「……ふざけ――」

「お前なんてそんなものなのかアアア!!?

霧山アアア!!!!霧山!お前の父親のせいで伊藤自動車は、赤字になって海外に父さんも逃げたんだ!!!!!」

「俺の身代わりになってお父さんが....」


霧山「やれやれ……ボクは君が嫌いだよォォォ!!!」


伊藤「……来いよ、霧山!走りで、決めようぜ......ッ!!」


ヴェネーノが、ほんのわずかに距離を詰める。

圧ではない。

侮辱そのものだった。


霧山「わめくんじゃないよォォォォォォ!!!!!!!」

「君は今、自分の立場が分かってないんだから、、、黙ってろよ?」


その瞬間。


伊藤「……黙れ」


声は低い。だが、はっきりと通る透明感のある声が霧山トオルに伝わっていく。

それは、ヴェネーノのエンジン音よりも一瞬だけより高く聴こえてくる。


伊藤「芽衣ちゃんは……誰かの“所有物”じゃねエエエ!!!!!!まして、お前みたいなヤツの……道具でもないっ!!!!!」


スイフトのエンジン音が、一段太くなる。

無理に踏まない。だが――覚悟が入った音。


フェルリア「……空気が変わりましたね」

「伊藤翔太、完全に怒っています」


若林「これは……!」

「ただの12位争いじゃない!!」


芽衣「……」


草色の911の中で、芽衣は前を見る。

伊藤のスイフトと、霧山のヴェネーノ。


芽衣「……逃げない」


声は小さい。

けれど、迷いはなかった。


霧山「へぇ……面白いねーそういやさ」


伊藤「そうはいくかよっ!!!!!!」


だが、その笑みは長く続かない。


伊藤「……ここから先はレースだ!言葉じゃなく……走りで、黙らせてやる。」

「...テキトーなスーパーカーごときの穴埋めで良くもまア、入れたモンだよな......!!!」


三台が、わずかに距離を詰め合う。

多賀城市の外れ。

次の区間は、見通しが悪く、逃げ場が少ない。


若林「12位争い!!完全に火が点いたァ!!

伊藤翔太、覚醒してしまうのかアアアアア!!?」


速さだけじゃない。意地だけでもない。

守るものがある者と、他人を踏みにじる者。

その違いが、次の数百メートルで――

はっきりと示されようとしていた。


伊藤翔太と霧山トオルは、それぞれ対等よりも対立するかのような存在だ。

2人の性格は、まるっきり違っていた。


若林「どうしたアアアアア!!!!!??

霧山トオルのラインが胸クソ悪くなってきたアアアアアアア!!!!!!!!」


伊藤翔太(何かやらかすなコイツ......!!)


伊藤翔太にとって霧山トオルは、宿敵だった。

怒りが伊藤翔太にとって抑えきれない。


ただし、霧山トオルにとっては車や人をペットとしか思っていない非常に複雑な思考だ。


霧山「伊藤くん……ペットの分際で……ほざくんじゃないよッッ!!!!!!!!」


その瞬間、ヴェネーノのエンジン音が荒く跳ねた。

威圧するように、わざと距離を詰める。

言葉で殴り、音で踏み潰す――歪んだ支配。


伊藤「……」


伊藤は返さない。叫ばない。

ただ、ハンドルを真っ直ぐに保ったまま、視線を前に固定する。


フェルリア「……逆ですね。言葉が荒れた方が、走りは乱れます......。ヴェネーノは、車高低めでもあるのでこの区間は、意外とスイスポの方が有利なのかもしれません。」


若林「ん!?おっとオオオオ!!

ヴェネーノ、ラインが甘い!!

伊藤翔太がスキを着いたアアアアア!!!!!」


霧山の車は、わずかに外へ膨らむ。

ほんの数センチ。だが、市街地では致命的。


伊藤「……今だアアアアアア!!!!!!!!!」


スイフトスポーツが、迷いなくインを締める。

ブレーキは遅らせない。

ただ、位置を奪う。


若林「伊藤翔太のスイスポがアアア!!!

霧山の前に出たアアアアアア!!!!!!!

オーバーテイクという名の決済完了です!!!!!」


霧山「な……っ!?」


言葉に出した瞬間、判断が遅れた。

その“遅れ”を、伊藤は見逃さない。


伊藤「言葉で縛るヤツは……走りで、勝てねェんだよ......っ!!!!」


芽衣「……!」


草色の911の中で、芽衣は確かに見た。

伊藤のスイフトが、揺れないことを。


フェルリア「これが答えです」

「支配じゃなく、信頼で走る」


ヴェネーノは一度、距離を落とす。

怒りはある。

だが、今は――届かない。


若林「12位争い!!」

「伊藤翔太、主導権を握ったァ!!」


伊藤「……芽衣ちゃん」

「前、見て」


芽衣「……うん」


三台は次の区間へ。

言葉は後ろに置き去りにされ、

走りだけが、残った。


多賀城市の外れ。

この場所で、“何者でもないと決めつける言葉”は――負けた。


そこに――


ドガアアアアアアアアンンッッッ!!!!


金属がぶつかる鈍い衝撃音が、多賀城市の外れに響いた。

ヴェネーノの鋭いノーズが、草色の911カレラのリアをかすめる。


芽衣「ひゃ……っ!嫌だ......っ!!」


ハンドルが一瞬だけ跳ねる。

だが、芽衣はすぐに両手で抑え込んだ。

911のリアが左右に揺れ、タイヤが必死に路面を掴む。


若林「な、何だ今の!!」ヴェネーノがカレラSに接触したァ!!」


フェルリア「……故意ですね」

「完全に“押しに行って”います」


霧山「オラオラオラァァァァ!!!!」

「どいつもこいつも――僕のペットちゃんになればいいんだよォォォッ!!!!」


ヴェネーノが、さらに間合いを詰める。

威圧。追い抜きではない。

潰しに来ている。


芽衣「……っ……!」


伊藤「霧山アアアアアアア!!!!!!」


視界が揺れる。

だが、アクセルは戻さない。


芽衣「……負けない……!」


その瞬間――

横から、一台のスイフトが滑り込んだ。


伊藤「……ヤメロオオオオオ!!!!」


声は低い。

だが、怒りを押し殺した、確かな重さがあった。


伊藤「……霧山ァァァァ!!!!」


スイフトスポーツが、911とヴェネーノの間に割って入る。

無理な角度。

だが、迷いはない。


若林「伊藤!!!」

「芽衣を守る形で入ったァ!!」


フェルリア「……勇気じゃありません」

「これは“選択”です」


霧山「チッ……!」


ヴェネーノが、わずかに引く。

距離が開く。

完全ではないが、ぶつけられない距離。


伊藤「……芽衣ちゃん!前だけを見ろっ!!」

「後ろは……俺が引き受ける......!!!」

「こう見えて俺、スイスポだけどフェラーリとか抜かしたことあるんだ!!!」


芽衣「……うん……!」


草色の911が、安定を取り戻す。

スイフトはその横。

二台で、前を向く。


霧山「……へぇ、逃げようとするの....なら、俺のムチのラインでエエエ!!!!」


ヴェネーノの中で、霧山が舌打ちする。


「……面白くなってきたじゃないか伊藤くん!

こういうの大好きだよ.......!!

せいぜい潰してあげるよオオオオ!!!!!」


若林「12位争い!!」

「完全に一線を越えた!!」


フェルリア「……ここからは」

「走りの“質”が、全てを分けます」


多賀城市の外れ。

速度域が、さらに上がる。


守る者と、壊そうとする者。

その違いは――

もう、はっきりしていた。


霧山「伊藤くんの……」

「その腐ってるようなスイスポのボディ――」

「潰してやるよァァァァァ!!!!!!」


ヴェネーノのエンジンが荒く跳ね、車体がわずかに寄ってくる。

だが、その瞬間――


若林「ダメだ!!」

「今のは完全にラインを外してる!!」


フェルリア「……これは危険行為です」

「走りじゃない。威嚇です」


伊藤「……来るなら来い」


スイフトはブレない。

無理に避けない。

ただ、中央を守る。


伊藤「……でもなレースでやれないことを――」

「走りだと思うな」


芽衣「……伊藤くん……」


草色の911は距離を取り、安定を最優先に立て直す。

伊藤はミラー越しにそれを確認し、ほんの一瞬だけ頷いた。


若林「スイフトが“進路を限定”している!!」

「ヴェネーノ、これ以上寄れない!!」


フェルリア「正しい判断です。ぶつからない位置で、行かせないという作戦でしょうか。

伊藤翔太のチャンピオンイエローは、まさにカナタくんみたいなラインの天才なんですよ。」


若林「ライン?LINE。」


フェルリア「それSNSっ!!ラインってのは自分が走ってるところですよ。それでレースの勝敗が決まります!!!!」


若林「へー!そうなんだ......!!!」


フェルリア「じゃあなんでレース実況者なんかしてんのよオオオオ!!!!!!」 (怒)


霧山「……チッ!外したか......」


ヴェネーノが一度、引く。

踏み込めない。

踏み込めば――明確なペナルティが待つ。


フェルリア「レースコントロール、注視しています。次は伊藤くんのスイスポが抜かれたらチャンスはありません。何とか死守したいものですね。なんせ、後ろにいるのがハイパワー4WDですから。」


伊藤「……終わりだ、霧山っ!!!!」

「ここから先は――速いヤツがさらに前に出る!!!!!」


若林「走りに戻った!!」

「12位争い、再びクリーンな勝負へ!!」


三台は間隔を保ち、次の区間へ流れ込む。

言葉は風に消え、

残ったのは、ラインとブレーキとアクセルだけ。


芽衣「……ありがとう」


伊藤「芽衣ちゃん、前だけ見て!!

守るのは――もう終わったんだから......!!!」

「アイツとの約束は...交渉決裂だ。」


多賀城市の外れ。

ここからは、逃げ場のない直線。

レースは――

走りで決着をつける段階に入った。


伊藤「霧山……テメェ、よくもさっき……」

「花の“大切なところ”を切ろうとしたな……?」


スイフトのエンジン音が、低く安定したまま響く。

怒りに任せて回転を上げない。

それが、伊藤の答えだった。


しかし、霧山は、とぼけたようにホラを吹くかのように喋りかけた。


霧山「え?それいつだっけ?知らんけど......????」


芽衣「え.......っ!」


伊藤「目にもの見せてやらアアアアアアア!!!!!!!!」

「言ったよなアアアアア!!???!?

予選の前に花のケモ耳の左耳切ろうとしてたよなアアア!!!!!??」

「さらには奥にチェンソーまであったしよオオオオ!!!!そんなに花の耳斬りたいのか!!??」

「......獣だろうが、何だろうが……俺には関係ねェんだよ……山吹花という神様から頂いた存在なんだぞ!?わかってんのかお前はアアア!!!!?」


ミラー越しに、ヴェネーノが揺れる。

さっきまでの荒さが、わずかに影を潜めた。


伊藤「友達ってのはな……“守る”もんじゃねぇ……愛情なんだよッ!!!!」


若林「伊藤の声が――走りに乗ったアアアア!!スイスポが再びやってくれましたアアア!!!!!」


フェルリア「怒りを“操作”しています」

「危険じゃない。むしろ、研ぎ澄まされている」


スイフトは中央を維持したまま、速度を一定に保つ。

無理にブロックしない。

だが、行かせない位置だけは外さない。


霧山「……なッ!!??」


ヴェネーノが、わずかに距離を取る。

踏めば追いつける。

だが、踏まない。


霧山「……綺麗事だねー伊藤くん☆

でも、ちゃんと前のカーブも見ないとダメだよ......??」


伊藤「綺麗でいいんだよ」

「汚す必要が、どこにある」


芽衣「……」


草色の911の中で、芽衣は前を見る。

伊藤の背中。揺れないライン。


芽衣にとっては伊藤翔太が漲るPOWERとエナジーの煮えたぎるかのようなオーラが物凄く漂う。とてつもなく強い存在だとその時。芽衣の瞳が伊藤翔太をずっと見つめていた。


何故、山吹花も伊藤翔太を好きに思うか、これ以上に尽きることなのではないだろうか。


芽衣「……強いっ!」


若林「12位争い!!空気が変わったアアア!!」


フェルリア「ええ……」

「“壊そうとする走り”は、もう通用しません」


三台は、次の直線へ。

風が強くなり、視界が開ける。


伊藤「……来いよ、霧山!走りで、決めようぜ!!!!」


言葉はもう、いらない。

この先は――

アクセルとブレーキだけが、答えを出す。


多賀城市の外れ。

レースは、ようやく“本来の形”を取り戻し始めていた。


若林「そこから視点は変わってカメラを先頭グループへ!!!!!!」

「Audi R8、内藤セリナ!!EVOⅨ MR・黒川海斗に並んだァァァァ!!!!!!」


R8のコクピットで、セリナは小さく息を吸い、口元に笑みを浮かべる。

緊張はある。

でも、それ以上に――楽しい。


セリナ「わぁ……」

「並んじゃった」


フェルリア「表情、硬くないですね」

「むしろ……楽しんでいます」


セリナはハンドルを軽く握り直し、視線を前へ。

路面の継ぎ目、風の流れ、車体の姿勢。

全部が、ちゃんと伝わってくる。


セリナ「大丈夫」

「R8、ちゃんと応えてくれてる」


黒川「ふざけてんじゃねエエエエ!!!!!」


ドゴオオオオオオオンッ!!!!


黒川「オラオラアアアアアアア!!!!!!

とっとこどけやアアアアアアア!!!!!!」


とっとこ〇〇風w


EVOのターボが唸る。

だが、R8は踏み込まない。

速度を合わせて、並ぶ。


若林「サイド・バイ・サイドオオオオ!!

内藤セリナ、笑ってるぞ!!フミッパスライダー来るのかアアアアアアア!!!!???」


フェルリア「分かりましたか?答え合わせです。これが彼女の強さです“勝たなきゃ”じゃない!“魅せる”と“楽しむ”が、同時にあるんですよ!!!!」


若林「なんの答え合わせ???」


セリナ「黒川さん!」

「次のブレーキング……私、遅らせますっ」


黒川「はっ……言うね」


フミッパスライダー。

荷重を抜き、車体を“流す”一瞬。

R8の安定感が、ここで生きる。


セリナ「今だよ……!」


ほんのわずか、R8が前へ。

並走のまま、鼻先だけ。そして猛加速で一気にストレートを突っ込んでいく。


ギュワアアアアアア!!!!!!!

ヴアアアアア!!!!!


若林「おおっと!!」

「セリナ、前に出たか!?」


黒川「……まだここで作戦は起こしたりしねェ......!!!後で血祭りにしてやらアアア!!!!!!!」


セリナ「うん!」

「まだ……ねっ」


声は明るい。でも、操作は正確。

そして性格は、狂気乱舞そのものが内藤セリナだ。


フェルリア「アイドルで、女子高生で……それでも、先頭で戦える理由があると思うんですよ。彼女は“プレッシャーを、楽しめる”。メンタルに強いんですよセリナちゃんって。」


セリナ「応援してくれてるみんな!」

「ちゃんと見ててね!」


R8はブレない。

笑顔のまま、全開ではない全力で。


多賀城市。

先頭で――非常にポジティブな光が、EVOⅨと並んで走っていた。



セリナ「えへへッ☆くらえーウオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!フミッパスライダアアアアアアア!!!!!!!」


若林「出ましたァァァァァ!!!秘技ィィ!!フミッパスライダァァァァァッッ!!!!!!」


フェルリア「彼女の性格がバケモンですね......w」


R8のノーズが、路面の継ぎ目を“踏まずに滑る”。

ブレーキは我慢、ハンドルは最小限。

車体が一瞬だけ軽くなり、そのまま速度を殺さず前へ伸びた。


フェルリア「完璧です……!」

「怖がらず、でも無理をしない」

「教科書みたいなフミッパスライダー!」


セリナ「わぁ……!やっぱりR8、すっごく素直〜☆」


黒川「……チッ!だが、いくらでも抜かれても抜いてやらアアア!!!!!!!」

「Rと互角のエボが舐められてたまるかアアアアア!!!!!!!」


EVOⅨ MRが踏み直す。

ターボが一気に立ち上がるが――

もう半拍、遅い。


若林「おおっとォォ!!!」

「セリナァ!!鼻先が前だァァァァ!!」


セリナ「いっけぇ〜っ☆」

「ファンのみんな、見ててねっ!」


R8が、ほんのわずか――

完全に前へ出た。


若林「前に出たァァァ!!!」

「内藤セリナ!!一瞬だがトップだァァァ!!」


フェルリア「女子高生で、アイドルで……」

「それでも、この判断力」

「本物ですね」


セリナ「えへへ……☆」

「でも、まだだよね?」


黒川「……ああ」

「ここからだ」


EVOⅨが、すぐに横へ並び返す。

だが、さっきまでとは違う。


若林「並走再開!!」

「だが空気が違う!!」


セリナは笑っている。

でも、その目は前だけを見ている。


セリナ「楽しいね!一番前ってー☆」


フェルリア「プレッシャーを“喜び”に変えられる。それが、内藤セリナの最大の武器だと私は思います。」

「この感じがあのクロスを思い出させてくれるんです。腹切カナタについても山吹花についても。」


若林「確か、フェルリアさんってレーシングドライバーでもあったクロス選手とお付き合いしてたんですよね?」


フェルリア「お付き合いと言うより私はライバルでした。当時はレースというよりファンタジーというか......私は昔悪役みたいな感じだったんですよ。」


若林「フェルリアさんが!!??」


フェルリア「はい、当時は私も何も知らないままただ佇んでいた存在でした。運命的にとっては。しかし、それを変えてくれたのがクロスなんです......」


当時クロス9さい。

フェルリア10歳の出来事だった。


クロスの義理の弟である金髪の少年セノが助かったと思った矢先の出来事だった。セノが弱者のようにフェルリアが繰り出した強くて硬い左脚の足蹴りを強くまともにくらい上の壁に突き立てられてそのままセノは気絶して致命傷を負い、倒れてしまった。


もちろん、それに対してクロスは怒りを隠すことなくフェルリアに向けて出し切った。


だが感じる威圧はフェルリアの方が上だったがクロスはそれでも少しだけ出した。セノのためにもカンタベリーのためにもそして大切な大切な仲間や一族のためにもクロスは立ち上がった。


『お前...!よくもセノにー』

『アンタは特別お菓子にでもしちゃおうかしら!』


そう言うと、フェルリアは瞬時に甘いお菓子の香りを放ったストレートのキレのいいパンチを繰り出した。クロスにはそれに対してギリギリ避けられた。


「ふん!上手く避けられたわね!この攻撃だけでセノとカンタベリーはおジャンだったのにー!あー!もうっ!!!!!」


それに問いかけるかのようにクロスが言う。


クロス「だだこねる歳じゃねぇだろ!お前!

とりあえず、次もう1発やるからな!!!??」


そして現代 エーペックスカップ。


フェルリア「あのころは、あーしあわせだったなと思いますよ。まるで追いかけっこを楽しんでいるようでした。あの後クロスとセノと私でピラミッドにも行ったんです。そしたら黒と紫の雷が落ちたことも覚えています。懐かしいですね。」


若林「その、クロスさんは今も.....」


フェルリア「生きていますよ!!

もちろん、この前お喋りしましたし彼とは。

しかも、結婚もしたみたいなんですよ。

あのころは、すごく優柔不断なヤツだったのに。あの頃とは全く違ってすごくクールになっちゃって........今も彼とは仲良くやっていますよ。」


若林「クロスさん結婚ですか!!!??

ハッピーなサプライズでエエ!!!!!」


フェルリア「それに...ピンク髪のモフモフの女の子が娘さんとかって聞きましたよ?確かヤマ...」


若林「そろそろ時間になるのでレースに戻ります!!!!さあ!先頭争い!!!AudiR8VSEVOⅨMR!!!!!!」


プロドライバーの話の最中、多賀城市の先頭で、

笑顔のR8と、牙を剥くEVOⅨ。

先頭争いは――

いよいよ、本気の領域へ入った。



次回松島編第25話 NISSANGTR R33 V-SPEC


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