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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
松島編
312/364

【NEWバトルシーン】86伝説エーペックス3月1日再開決定!!!

86伝説エーペックス松島編後半戦

86伝説エーペックスPOWER米沢編

2026年3月1日から開始決定!!!!!!!

3月1日初回5話以上更新予定!!!!!!!

松島編バトルシーン


花「……今よ、伊藤くん!!

鉄壁が今、崩れたわッ!!

まとめて抜き去るわよッ!!!!」


WRX STIの周囲に舞う桜風が、電撃を伴ってさらに激しさを増す。

山吹花は、膨らんだレクサスのインサイド、そして再加速に手間取る柳津のM4のわずかな隙間に、青い巨体を弾丸のように撃ち込んだ!!


若林「行ったァァァァァァ!!!!!!!

伊藤翔太がインを刺し、山吹花がそのさらに内側をえぐり取る!! ミルキークイーン、まさかの二台抜きを許すのかぁぁッ!?」


柳津「……俺のM4を……踏み台にしやがった……っ!!」


ミルキークイーン「あらあら〜……少し遊びすぎましたかしら? 私のラインが……桜の葉っぱで滑ってしまいますわ〜……♫」


青いWRX STI VAB型の山吹花が、思わず息をのむ。そして、その二台のさらに内側から、紅い閃光が切り裂いた。


カナタの駆る86が、クランクのインを突く!


美保が選んだ最短ルートよりもさらにタイトなライン。砂浜に近いアウト側の僅かな路面変化も厭わず、まるで岩場を飛び回る海鳥のようなアクロバティックな進入だ。


伊藤「なっ……インベタ!? そこから立ち上がれるのか!!」


カナタ「美保ちゃん……あんたのラインは、優雅すぎるんだよ」


86のタイヤが、一瞬、アスファルトのざらつきに悲鳴を上げる。しかし、カナタの繊細なアクセルワークが、その限界をねじ伏せるようにトラクションを路面に叩きつける。


美保のR33が、クランク出口で一瞬、鼻先を前に出したかに見えた。しかし、カナタの86は、その勢いを殺さず、美保のサイドに並びかける。


松島の海岸クランクは、一気に二人のドライバーの熱気に包まれた。


美保のR33と、カナタの86。二台は海岸線の出口で完全に並び、時速100キロを超える速度で、松島の穏やかな景色を背景に、猛烈な加速競争を繰り広げた。


若林「なんだこのバトルはァァァァァァ!!!???松島の海岸にて!!黒いエボ9とベージュの812スーパーファストの神領域バトルが爆誕だァァァ!!!!!」


黒川のエボ9MRは、爆音を撒き散らしながら松島街道を突き進む。

右手には海。だが彼は風景など一切見ていない。見ているのは――前だけ。

その瞳は、かつて峠を荒らした走り屋どもの、それも最も過激だった“暴走族”のそれ。


黒川「……ビビってんじゃねぇだろうな、フェラーリ」


低く唸るように呟いたその声に、後部座席のロールケージが共鳴する。

エンジンの回転は、常識の限界を超えようとしていた。


イオリの812が横に並んできた瞬間――黒川は、ニヤリと笑った。

その笑みは、笑ってなどいない。まるで狩りの獣のようだ。


黒川「チンタラ並走してんじゃねぇよ。オレは譲る気なんかこれっぽっちもねぇ」

「このラインは“オレのもん”だ。譲れってんなら――ボディで語れやァァァ!!!!」


ハンドルを強引に切り、アウト気味に張り出す。

フェラーリのノーズにわずかにエボのサイドが寄る――いや、ぶつかりかけている。


若林「こっ、こいつ!!なんて走りだッ!!?わざとスレスレを攻めている!?

黒川ァァァァァァ!!!!まるで峠の昔の暴走スタイルをそのまま叩きつけてるぞォォォ!!!!!」


フェルリア「これは……クリーンでもクレバーでもない。でも、“野生の勝負”という意味では、これ以上ない“挑発”ですね」


ギャアアアアアア!!!!!!!


火花が散る。

松島街道、海沿いの左コーナー――フェラーリ812スーパーファストが黒いエボ9MRに並びかけた、まさにその瞬間だった。


ギュアアアアアアッ!!!


黒川のエボが、まるで弾き返すようにフェラーリへとサイドを寄せる!

まるで獣が牙を剥くように、強引に、粗暴に……エボのドアが812のリアフェンダーをガリッと引っかいたッ!!


イオリ「く、、、、、ッ!!!」

ステアを切るタイミングも、ラインも……フェラーリとしては完璧だった。

しかし――黒川は、走りで応じるつもりなどハナからなかったのだ。


若林「フェラーリのサイドにィィィ!!!黒川のエボが擦り付けていくゥゥゥ!!!

なんて奴だ!!!

これはもはや……レースではない!!!バトルという名の戦争だァァァ!!!!!!」


そして...!!!


若林「おおっと!!!!?? 信じられないッ!! 11位まで沈んでいたはずのスバルブルーが、今まさに女王の真横に並びましたァァァ!! 山吹花、大外からの強襲だァァァァ!!!!」


フェルリア「……バカなッ!? 先程、黒川くんの挑発でリズムを崩し、失速を余儀なくされたはずじゃ……。なぜこのタイトな峠道で、これほどの速度を維持できるんですか……ッ!?」


花「……あいつに、あのクソ野郎に『おかあちゃ』なんて呼ばれたまま、終わってやるもんかァァッ!! 舐めるなッ! これがスバルの、WRXの底力だよッ!!」


柳津「……加奈子さん、尊敬はしていますが……レースは別だッ!! DTM直系のダウンフォース、その身で味わってもらうッ!!」


柳津のM4が、ヘアピンの立ち上がりで強烈なブーストをかけ、加奈子のリアにピタリと吸い付く。

夕日に輝くマットグレーのボディが、加奈子のバックミラーを威圧的に埋め尽くす。


古賀加奈子「(いいわよ柳津くん、来なさいッ! 最新の電子制御が、このE46の『呼吸』に勝てると思っているの……ッ!?)」


若林「加奈子、ヘアピンの頂点で敢えてリアをスライドさせる! 向きを瞬時に変え、M4のラインを封じるッ!! だが柳津は引かないッ!! ターボのトルクを活かし、わずか数メートルの直線で加奈子のサイドへ強引に鼻先をねじ込んでいくぅぅッ!!」


内藤「えっ……!? あれ、86!? 嘘……あんな位置にいたはずじゃ……!」


花「カナタ……!!」


その瞬間、コーナーに差しかかる3台。

フェラーリ812、小岩イオリ。

アウディR8、内藤セリナ。

スバルWRX、山吹花。


古賀「逃げないでよ、花ちゃん……

まだレースは……ここからが本番なんだから……ッ!!」


松島街道。

トップ3のすぐ後方、4位グループの乱流。

そこへ食い込むように、赤いM3の声が花へ飛んでいった。


WRXのステアリングを握る花は、一瞬まばたきを止める。

心臓の奥に、古賀の声が真っ直ぐ刺さった。


花「先生……ここで……負けるつもりなんて……

最初からないよ……!」


潮の匂い。 風の向き。 桜色の呼気が胸からふっとこぼれる。


花「でもね……先生が言う“本番”って……私にとっては……

カナタくんと……前を行く人たち……全員なんだよ……ッ!!」


アクセルを踏む音が重なる。

花のWRXと、前方グループのM3の間に、火花が弾けた。


フェルリア

「古賀さん……あの落ち着いた走りの裏に、燃える芯があります。

花ちゃんに向けて言った“逃げないでよ”……

あれは挑発ではなく、期待と……走り屋としての敬意ですね」


柳津「ここはライブ会場なんかじゃねェ、、、、! ガタガタ抜かさないでさっさとゴールまで走れや。まだゴールまで先だ。サブカルクソ女が」


柳津の無線から放たれた言葉は、アイドルのキラキラした空気を一瞬で凍りつかせるほどに冷ややかだった。


内藤「……えっ?」


セリナの顔から、営業用の笑顔が消える。

バックミラー越しに見える柳津の瞳には、先ほどまでの「温泉好きのおじさん」の面影はどこにもない。そこにあるのは、ただ最速のラインだけを追求する、冷徹な機械のような眼光。


若林「な……柳津選手、まさかの暴言……! いや、これは彼なりの『喝』なのか!? 雰囲気が一変しました!!」


フェルリア「……そう。これです。私の妹も、走っている時はこれくらい冷たかった。柳津くん……あなたは一体、過去に何を……」


柳津「……チッ。馴れ合いは終わりだ。気仙沼まで、死ぬ気でアクセル踏んでろ」


柳津のM4 DTMが、R8を弾き飛ばさんばかりの勢いでパスし、前方へ消えていく。

そのテールランプは、もはや「温泉おじさん」ではなく、かつての伝説的なレーサーの背中のように、巨大で重々しいものに見えた。


内藤「……サブ、カル……クソ女……?」


一瞬の沈黙。しかし、セリナの瞳に、絶望ではなく「本気」の火が灯る。


内藤「………………言ってくれるじゃない。おじさん。アイドルの本当の怖さ、教えてあげるよ」


レモン色のAudi R8のエンジン音が、それまでの高い旋回音から、地を這うような重低音へと変わる。

フミッパスライダーが、より攻撃的に、より鋭くアスファルトを削り始める。


相川「ふざけるなァ! カナタァァァ!!!!」


カナタ「……相川!?」


相川「そんなことしたら、お前も、4ぬぞ!??? 自分のマシンの悲鳴が聞こえないのか! その86はもう、限界を超えて叫んでるんだッ!!」


松島の喧騒から少し離れた、静かな格納庫。

薄暗い庫内には、納車されたばかりのMAZDA RX-8が、月明かりのような蒼い光を反射して鎮座していた。そのボディラインは、ちとせの放つ冷気によって薄らと霜が降り、まるで氷細工のような美しさを湛えている。


イヨ「ところで、、、、ここに来た理由は、、、、」

ちとせ「森下く〜ん、、、MAZDA RX-8、、、納車おめでとう〜もへ〜......」


ちとせが蒼い萌え袖をゆらりと揺らすと、ガレージの温度がさらに数度下がった。

その前に立つ森下遊矢は、震える手で愛車のボンネットに触れる。これまで、アクセルを底まで踏み抜いても置いていかれるばかりだったパッソでの屈辱の日々が、走馬灯のように脳裏を駆け巡った。


森下「ちとせさんのお陰ですよ......。

俺の心を...ちとせさんが吹雪の心に変えてくれたから......」


森下の瞳から、かつての弱気な光が消え、凍てつくような「覚悟」が宿る。


森下「もう、誰にも負けません......ッ!!

あのカナタの86にだって、追いついてみせる……!」


内藤「カナタくん、落ちても知らないからね〜?」


カナタ「……落ちるのは……そっちだあああああああ!!!」


ミルキークイーン「あらあら?また今度は変なM4が来ましたわ〜......」


ミルキークイーンは、艶やかな銀色のボンネット越しに、猛然と迫り来る黒いM4 DTMの姿を、一瞬で捉えた。その声には、驚きというよりも、むしろ退屈を紛らわせる玩具を見つけたかのような、微かな愉悦の色が滲んでいた。


彼女の駆るマシン、ミルキークイーン仕様のスーパーGTマシンは、中団の中でも一際異彩を放っていた。光を反射する真珠色のボディは、周囲のダーティなレーシングカーとは一線を画し、まるで女王のドレスのように上品で威圧的だ。しかし、その優雅さとは裏腹に、車内ではミルキークイーンの鋭い洞察力が働いていた。


「変なM4」


ミルキークイーン

「花さん〜……先程のミルク氷はいかがでしたか〜……?」


花「……ッ……あれ……まだ身体が冷たいんだけど……!」


ミルキークイーン

「うふふ〜……ほんの“ひとかけら”だけでしたのに〜。

あのミルク氷、凝固点がとっても低いので……

一瞬触れただけで“芯まで”冷えちゃいますの〜……」


花「……あんた……またやる気?

何回でも付き合うけど……私は止まらないよ?」


ミルキークイーン

「もちろんですわ〜。

花さんのWRX……あの重たいEJ20ターボの鼓動が、とっても素敵ですもの〜。

つい……包みたくなってしまいますわ〜……」


WRXのサイドに、白い吐息がふわりと流れる。

花はアクセルを踏み直し、震える腕でステアリングを押さえる。


花「包ませない……ッ!!

もうあんなキューブになんて……閉じ込められない!!」


ミルキークイーン

「まあ〜……強気ですこと。でも〜……」


ミルキークイーンの指先から、ほのかに乳白色の冷気が揺れた。

LC500のボディに沿って、まるで“ミルク色の亜流”が滲む。


ミルキークイーン

「次はもう少し……長めに凍らせて差し上げますわ〜……花さん〜……?」


花「させないって言ってるでしょ……ッ!!

EJ20舐めんなァ……!!」


佐藤ジュン「(……ここ。一瞬だけ、二台の気流が安定する場所がある。そこを突き抜ければ……ウチの勝ち)」


フェルリア「……なんて子なの。あの速度域で、大型車二台に挟まれながら、カウンターステア一つ当てずに直進している!? 彼女は、二台が弾き合う『反発力』を、自分のマシンの安定剤スタビライザーに変えているんです……ッ!!」


柳津「……っ!? ジュン……!? どけ、危ねぇッ!! 死ぬ気かよッ!!」


坂田五郎丸「(……面白い。俺の1500馬力の風圧の中で、平然とラインを維持しているだと……?)」


米沢編バトルシーン


高村「くっ……! あのスピード、なんだってんだッ!? コーナー出口でインを閉めたはずなのに、なぜあそこから鼻先を入れられる……ッ!!」


高村は「漆黒の執行者」らしく、常に最短・最速のラインをデータで導き出してきた。

だが、今のクリスタの走りは、データはおろか自身の安全すら度外視した「狂気の産物」だ。


高村「どうしたら、、、そんなスピード出せるんだ、、、、ッ!???」


高村の悲鳴に近い叫び。

その横を、クリスタの488 GTSが火花を散らしながら、ガードレールを削るようなラインで強引にパスしていく。


クリスタ「あはははっ! 理由なんてないわよッ!! 心を燃やせば、フェラーリだって空を飛べるんだからぁぁッ!!」


柳津「……悪いが、ここは通過点だ」


柳津の操るBMW M4 DTMが、高回転域特有の突き刺すような金属音を奏でる。

彼は隣を並走する古田のMR-Sに一瞬だけ視線を送ると、先行する大袈裟のアリストと藤堂のマクラーレンの間に、針の穴を通すような精密さでマシンをねじ込んだ。


37台の猛獣たちが枷を解かれ、阿武隈川を揺らす咆哮を上げたその直後だった。

14番グリッド、神代ナツメのBRZから、異様な金属音が響き渡る。


ボゴオオオォン....!


凄まじい衝撃波と共に、BRZのボンネットがひしゃげ、隙間から真っ赤な炎と黒煙が噴き出した。


若林「さあ! 早くもアクシデントかァァァァァ!!!?? 神代ナツメがスタート出来ないままエンジンを爆発させて序盤から颯爽にリタイヤだァァァァァ!!!!」

「新型BRZが散ったァァァァァァァア!!!!」


ナツメ「クソ...ッ! またかよ、、、ッ!!

しかも今度はスタート出来なくてとはな、、、、ッ!!!」


ステアリングを叩き、悔しさを滲ませるナツメ。

バックミラーには、猛スピードで横をすり抜けていくシオンや伊藤翔太、そして最後尾から追い上げてくる柳津と古田の影が映る。


ナツメ「……赤い戦闘機に追いつきたかったが、残念だな、、、!

カナタ……俺の分まで、アイツを……ブチ抜いてくれッ!!」


若林「信じられん! 15歳の少女二人が、この米沢の地獄を支配しているのかァァッ!!

山吹花、5位を死守どころか、4位イヨのスープラに鼻先を突っ込もうとしているぞォォォッ!!」


花「……同期だからって……フブキちゃんにだけは、絶対に負けたくないッ!!」


指先の感覚を奪ったのは「同期の冷気」。

それに応えるのは「守護者の情熱」。

15歳の少女たちの、残酷で美しい火花が、ピンク色の雪空を焦がしていく。


フリス「……(無言で、微かに口角を上げる)」


先頭のフリスは、ミラーの端に映った「蒼い守護者」の脱落を、予定調和であるかのように見届けていた。


若林「おっと失礼! 山吹花、失速かと思われましたが、ここで踏みとどまったぁぁッ!! 指先の感覚がないという絶望的な状況下で、彼女はSTIを捩じ伏せているッ!!」

「森下遊矢と腹切カナタがWRXを好きさり、順位をあげているぞ!!!!」


森下遊矢「なんだ?シフトミスなのか......??」


若林「さぁ、後方からも『姫』が動いたぁぁッ!! 柳津カリン、瞬く間に3台を抜き去り、30位を走る田中英二のRX-7を捉えたぞォォッ!!」


カリンがステアリングを切るたび、彼女の亜麻色のロングヘアがコクピットの中で舞う。

フロントガラス越しに差し込む福島市の夜景の光源が、その髪の一本一本を鋭く、冷たく、宝石の糸のように尖らせて輝かせていた。


カリン「……ここで負けられないの、、、、。お兄様やフリスさんのいる、あの高みへ……私は行かなければならないんです、、、、ッ」


田中英二「……速い、、、ッ!! これが最新のフェラーリ、そして柳津の血筋か……ッ!!」


田中英二の純白のRX-7(FD3S)が、ロータリー特有の高回転音を響かせて抵抗する。


田中英二「……でも、、、こっちも加速は負けてない、、、ッ!!!! ロータリーの意地、見せてやるッ!!」


氷と宝石の結晶を撒き散らすフェラーリと、純白の旋風を巻き起こすRX-7。

夜景を背景にした二台の並走は、まるで暗闇の中に描かれた一幅の絵画のように美しく、そして残酷なほどに速かった。


若林「そして!!! 赤い戦闘機がLFAを抜いてしまうゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


ゴオオオオオオオ!!!


ステアリングを最小限の動きで保持したまま、カナタの86が「ゼロ・カウンター」に近い姿勢でコーナーへ飛び込む。

タイヤの摩擦音が悲鳴ではなく、勝利の咆哮となって夜の空気を切り裂く。


シラヌイ「へぇー? ......抜かれちゃった✩」


バックミラーから消えたと思った刹那、真横に並び、そして前へと躍り出た赤い残像に、シラヌイの口角が愉悦に吊り上がる。


ちとせ「カナタく〜ん♪ 来たんだね〜、、、」


通信回線に、戦場の緊張感とは無縁な、のんびりとしたちとせの声が響く。だが、バックミラー越しに見える彼女の瞳――ブルーグレーの輝きは、獲物を逃さない氷の獣そのものだった。


カナタ「ちとせ!!!」


ちとせ「抜かせないよ〜、、、もへ〜、、、、、、」


若林「真っ先にストレートで動いたのは相川ァァァァ!!!! 1台、2台……いや止まらないッ! 3、4、5……なんと6台ごぼう抜きィィィィィィ!!!!!!!!」


トップを走る赤い86と、それを追う銀のポルシェ。二台のマシンは一寸の狂いもなくラインを重ね合わせ、まるで「連結」されているかのような超接近戦で、闇深い峠の奥へと消えていく。


天羽 シオン「神様……。どうか、私の翼(GT-R)に力を……。

迷えるロータリーの魂を、私が導いてあげなくちゃ……」


無線から聞こえるのは、聖歌隊のソロパートのように澄んだ、天使のような歌声(声)。

だが、その可憐な少女が踏み込んだのは、ブレーキペダルを床までぶち抜くような剛脚だったッ!!


キキキキキキキィィィィィッ!!!!!!


若林「さあ! 映像は……ついに捉えました、トップ争いの最前線ッ!!」

「……ッ!!!???」

「うおおああああああああああ!!!!!!! 腹切カナタがアアアア!!!!!!

赤い戦闘機があああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


モニターに映し出されたのは、あまりにも異常な光景だった。

先行するフリスのポルシェ 718 ケイマン GT4。その完璧なライン取りに対し、

カナタの86は、イン側のさらに内側――本来なら脱輪して終わるはずの「排水溝」に

左前輪を叩き込んだのだッ!!


ゴワシャ!! ガリッ!! ギャアアアアアアアア!!!!!!!


ホイールがコンクリートを削り、火花が雨夜を真っ赤に染め上げる!!

しかし、その強引な遠心力の相殺により、86は物理法則を無視した旋回を開始。

無表情のままステアリングを保持するカナタの瞳に、王者の背中が映る。


カリン「……お兄ちゃんのM4の敵討ちもしなきゃいけないけど……

まずは邪魔なアメ車を退かさないとね。優雅に、でも確実に……!」


久我 ヒカル「北斗神拳だか何だか知らねえが……レクサスのV8(2UR-GSE)をナメてもらっちゃ困るなアアアアアアアっ!!」


森下「インは渡さねェェェェ!!!!!!

この吹雪の加護がある限り、俺の横は誰も通らせないッ!!」


森下がステアリングを切ると同時に、RX-8から放たれる絶対零度の冷気が路面を白く変える!

並のドライバーなら、フロントが逃げてそのまま壁に刺さる超低温の罠!


伊藤「滑るなら、、、滑らせて曲がるまでだァァァッ!!」


伊藤のスイスポは、凍りついた路面を逆に利用し、

リアを豪快に振り出しながらインの縁石をえぐるようなゼロカウンター・ドリフト!

フジツボマフラーから放たれる熱気が、一瞬だけ森下の氷を溶かし、路面との摩擦を取り戻すッ!!


若林「抜いたァァァァッ!!

伊藤翔太のスイスポ、森下の『氷の壁』を熱血のドリフトで粉砕!!

ついに15位、賞金圏内へと飛び込んだァァァァッ!!!」


フリス「……ふん。よくここまで我を凌いで前に出てたな、、、、、っ!」


銀色のポルシェ 718 ケイマン GT4。そのコックピットの中で、フリスは歪んだ笑みを浮かべていた。

余裕の笑みではない。獲物を追い詰めた猛獣が、その喉元に牙を突き立てる瞬間の、残酷な歓喜の表情だ。

横に並ぶ赤い86。そのドライバーである腹切カナタの必死な形相が、雨粒越しにハッキリと見える。

フリスは、自身のポルシェのステアリングを握りしめ、アクセルペダルをさらに深く、床板をぶち抜く勢いで踏み込んだ。


フリス「だが、それも泳がせていただけのことを、、、

ここまでだ赤い戦闘機、、、、、ッ!!!!」


轟音と共に、ポルシェの排気音が一段階高い音域へと跳ね上がる。

「泳がせていた」。それは半分は事実で、半分は自分自身への戒めだったかもしれない。

だが、この瞬間において、その言葉は真実となる。


ポルシェのミッドシップレイアウトが生み出すトラクションは、FRの86がどんなに足掻いても届かない「物理の壁」だ。

高速ベントの強烈な横G(遠心力)の中で、フリスは涼しい顔でラインを維持し、カナタを外側からじわじわと圧迫していく。


若林「並んだまま赤い戦闘機とポルシェが並走状態!!!!!」


実況席が揺れるほどの絶叫。

モニターに映る2台は、まるで一心の同体のように、水しぶきを上げながらコーナーを駆け抜けていく。

しかし、その実態は「同体」などではない。

圧倒的な質量と剛性を持つ銀の鉄塊が、軽量な赤い戦闘機をコース外へと弾き飛ばそうとする、静かで暴力的な「押し出し」だ。


腹切 カナタ「……ッ!! 重い……ッ!!

風圧が……プレッシャーが……車体を押し潰しに来やがる……ッ!!」


セシル「......ごちそうさま。

頑張ったけれど、ここは『怪獣』たちの領域よ。

黄色い小鳥さんは、私の胃袋の中で暖まっていなさい」


ゾフィア「何してんのよ二人ともォォォォォ!!!! このウンコがァァァァ!!!!!」

「私よりウンコじゃないのよッ!!!!

私なんてずっとウンコ我慢してんのよォォォォォ!!!!!!」


若林「残り33台! さあ! レースに、、、うわあああああ!!!!!!

湯町通りでウラカンがああああ!!!!

セシル選手、タイトなクランクを強引な慣性ドリフトで突破し、カナタの86のサイドに激しく体当たりだァァッ!!」


衝突の衝撃。だが、それはただの接触ではなかった。

ウラカンのボディから溢れ出した「最強リベンジャー」の殺気が、湯町通りの夜霧を一瞬で凍りつかせるッ!


カナタ「くっ……!? ドアが……凍りついて開かねえ……!?

何だこの冷気は……車内まで凍えるほど冷えてやがる……ッ!!」


セシル「……無駄ですよ、カナタさん。

わたくしを『小さい』と言った罪、そしてわたくしの前から逃げようとした罰です。」


セシルはベージュのマフラーの奥で、氷のように冷たい微笑を浮かべた。

ウラカンの白いボディが86を壁際へと押し付け、タイヤの回転を凍てつくオーラで止めていく。


セシル「……そのまま氷の棺で眠ってなさい……。

このわたくしに追われたことを、永遠に後悔するんです......ッ!!」


若林「オーバーテイクゥゥッ!!

セシルの白いドラゴンが、カナタの86をガードレールに氷漬けにしたまま、

5位の座を強奪して霧の中へと消えていくゥゥッ!!」


湯町通りのガードレールに押し付けられ、凍結した86。

その真横を、白いウラカンが嘲笑うかのようにゆっくりと滑り抜けていく。


セシル「……あら、まだ動こうとしているのですか? 往生際が悪いですね。

どうせならそのまま、、、氷風呂でも入ってみたらいかがでしょうか、、、、?

リタイアしたあの方たちと一緒に、湯冷めでもしていればよろしいんです……ッ!!」


カナタ「やられた、、、、! ハンドルが……ビクともしねえッ!

氷の結晶がステアリングラックまで入り込んでやがる……ッ!!」


若林「非情! まさに処刑ッ!!

セシル選手、カナタを完全停止に追い込み、優雅に、かつ冷徹に抜き去っていきましたァァッ!!

カナタの赤い戦闘機、湯町通りでまさかの氷結リタイアの危機かァァッ!!?」


セシル「……ふふ。さようなら、カナタさん。

あなたのことは、米沢のゴールで『氷像』として待っていて差し上げますから……。」


伊藤「花、、、、、、」

伊藤「……テメェ……。

……テメェだけは……絶対に許さねえええええええええッ!!!!」


黒川「……チッ、お節介な女だ。

ハッ! 面白いぜ……やれるものならやってみな、、、、

女も紐も、まとめてスクラップの『連作』にしてやるよォォッ!!」


歪んだフェンダーから白煙を上げ、今にも止まりそうなWRX。

だが、そのステアリングを握る山吹花の瞳には、一点の曇りもない。

彼女はサイドミラー越しに、後ろを走る黄色いスイスポを見つめ、静かに、だが力強く告げた。


花「伊藤くん、、、私が守るからね、、、、ッ!!

あんな奴に、アンタの夢をひもになんてさせない。


86伝説エーペックス松島編後半戦

86伝説エーペックスPOWER米沢編

2026年3月1日から開始決定!!!!!!!

画面の中、ラブホテルの扉が閉まる音。

坂田五郎丸は、期待に胸を膨らませ、コントローラーを握りしめていた。

しかし、暗転した画面から聞こえてきたのは、衣擦れの音ではなく、何か硬いものを取り出す音だった。


ゲーム内の女の子「……ねぇ、坂田きゅん。

ここなら、誰にも邪魔されないね……?

もう、レースなんて行かせない。他のキャラも見させない。

……ずっと、ずーっと、私だけのモノにしてあげる♡」


坂田 五郎丸「え……? おい、ちょっと待て。

その手に持ってるのは……包丁……!?

ちょ、選択肢!? 『逃げる』は!? 『土下座する』は!?

なんで『愛を受け入れる』しかないんだよおおおおおおッ!?!?」


ザクッ……!! グチャッ……!!


効果音が、あまりにもリアルすぎた。

画面いっぱいに広がる赤黒いノイズ。

五郎丸のアバターは、愛する彼女の手によって、文字通り「骨抜き」にされていた。


ゲーム内の女の子「あは♡ あはははは♡

赤いね、綺麗だね、坂田きゅん♡

中身まで全部、私のことが好きって書いてあるよぉ♡」


坂田 五郎丸「ギャアアアアアアアアアアア!!!!!

痛いッ!! 痛くないけど痛いッ!! 心が痛いッ!!

なんでだ!? 俺はただ、優しくされたかっただけなのにィィィッ!!

これが……これが『萌え』の代償なのかァァァァッ!!??」


モニターには無情にも『BAD END No.13:永遠の愛(物理)』の文字が浮かび上がった。


一方、山形の実況席。


若林「なんと凄惨な……!!

レースでリタイヤし、ガチャで爆死し、最後は愛するヒロインに刺殺される……!!

今日の坂田五郎丸は、厄年どころではありません!!

全宇宙の不幸を背負っているかのようですッ!!」


坂田 五郎丸「……もう、何も信じない。

3次元も、2次元も、俺を殺しに来る……。

俺に残されたのは……布団ここだけだ……」


伊勢崎のアパートの一、というか廊下のような部屋で、五郎丸は膝を抱え、

真っ赤なゲームオーバー画面の前で、静かに涙を流した。


名前 | 坂田 五郎丸 (17歳)※SAIのリア友

状態 | 精神的死亡(SAN値ゼロ)

死因 | 推しヒロインによる刺殺(ゲーム内)

トラウマ | 包丁、ラブホテル、ピンク色

教訓 | 「うっふーん♡」は地獄へのファンファーレ♪

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