松島編第20話 霧山vs伊藤 魂のバトル!!
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――――松島戦・決勝/海岸線・最凶区間――――
若林「来ましたァァァァァ!!!!!!!!
霧山トオル vs 伊藤翔太!!
完全に一対一のガチバトルですッ!!」
断崖に張り付くような海岸線。
右は岩、左は海。逃げ場ゼロ。
――――並走――――
霧山トオル「……いい顔だよ、伊藤。
反抗する“ペット”の顔だ」
伊藤翔太「……」
伊藤は、答えない。
代わりに――踏み込む。
ターボ全開。スイスポが悲鳴を上げる。
伊藤「……吠えるのは、勝った奴だけだァ!!
ほざくな霧山ァァァァァ!!!!!!!!」
――高速右コーナー――
ヴェネーノが“被せる”。
圧で潰しに来る走り。
フェルリア
「……来ますねこれは......霧山は“恐怖で落とす”タイプですわ__ッ」
だが。
伊藤「……遅ぇ!!」
伊藤は、ブレーキを一拍“遅らせた”。
若林「うおおおおァァァァ!?
伊藤、踏み残したまま突っ込んだァ!!」
車体が揺れる。限界。
だが――耐える。
スイスポが、内側に残った。
霧山「……ほう?よけたか......ッ」
霧山の口元が、初めて歪む。
――――出口――――
ヴェネーノが踏む。怪物の加速。
普通なら、ここで終わる。
伊藤
「……終わるかよォォ!!」
伊藤は、さらに一段ギアを引っ張る。
回転数を、限界まで使う。
――――ギリギリ――――
二台、ドア・トゥ・ドア。
ミラー同士が、指一本分の距離。
若林
「信じられない!!
スイスポが、ヴェネーノに並んでいる!!」
花(前方)
「……伊藤……ッ」
霧山
「……面白い。
でも――」
霧山が、初めて“本気のブレーキング”を見せる。
超高性能ブレーキ。
だが――
伊藤
「読んでたんだよ……!」
伊藤は、その“半拍”を待っていた。
――――スパッ!!――――
イン。紙一重。
人間の判断速度の限界。
順位表示が、跳ねる。
【P13 → P12 伊藤翔太】
若林
「抜いたァァァ!!!
伊藤翔太!!
霧山トオルを前に出たァァァ!!!」
フェルリア
「……完全に“対等”です。
恐怖を、恐怖で返しました」
霧山「……」
一瞬の沈黙。
霧山「……もういい。今日のところは――だが、、、」
ヴェネーノのエンジン音が、さらに低くなる。
霧山「“ペット”じゃないッッ?」
伊藤「……今さら気づくなよ」
――二台は、まだ並ぶ。
――勝負は、まだ終わらない。
ゴールは――
気仙沼市・大谷海岸。
――本物の決着は、そこだ。
――――松島戦・決勝/海岸線・第二形態――――
伊藤翔太
「……来る」
背後。
ヴェネーノのエンジン音が――変わった。
霧山トオル
「……いいね。
じゃあ、次に行こうか」
――“第二形態”。
それは見た目の変化じゃない。
走りの“質”が、切り替わった。
フェルリア(実況席)
「……来ました。
霧山トオル、“演出”を捨てました」
若林「演出……?」
フェルリア
「ええ。
威圧、挑発、恐怖。
それら全部を切り捨てて……
“最短”と“最速”だけを選ぶ走り」
――ヴェネーノが、静かになる。
派手な挙動が消え、
無駄なライン修正が消え、
ただ――“一直線に速い”。
伊藤
「……ッ!」
直線。差が、詰まらない。
むしろ――少しずつ、離される。
若林
「速い!!
霧山、今までと別人だ!!」
霧山
「伊藤。
これは“躾”じゃない」
ブレーキングポイント。
霧山は、誰よりも“早く”踏み、
誰よりも“短く”止める。
霧山
「“選別”だよ」
――次の高速左。
伊藤
「……それでもッ!!」
伊藤は、軽さで勝負する。
進入を深く。
姿勢変化を最小限に。
だが――
ヴェネーノは、
“そこに居てはいけない速度”で、
同じ場所に居た。
フェルリア「……恐ろしい。
パワーでも、恐怖でもない。“理解”で走っていますわ!!!」
伊藤「……くそッ……!全然140馬力だと葉っぱ、一枚も被せられねェ......ッ!!!」
初めて、伊藤の声に焦りが混じる。
霧山「...もういいよ伊藤君。
ここまで来た君は、もう“駒”じゃない....ただの死体だよォォォォォォ!!!!!!!」
――並走。
だが、主導権は霧山。
霧山「でも――勝つのは、理解した者だ」
――――踏み替え。
霧山は、出口で“もう一段”踏んだ。
ヴェネーノが、半車身前へ。
若林「霧山が前に出た!!
第二形態、完全にレベルが違う!!」
伊藤「……ッ!」
それでも伊藤は、下がらない。
伊藤「……なら教えてやるよ……」
ハンドルを握る手に、力が戻る。
伊藤「理解だけじゃ……
レースは、勝てねェ!!」
――視界の先。
道は、さらに細く。
ゴールは、気仙沼市・大谷海岸。
二台の影が、夕陽に伸びる。
――“第二形態”同士の勝負が、
いま、始まった。
――――松島戦・決勝/海岸線・断崖最深部――――
霧山トオル(ヴェネーノ)
「ペットぐらいの車で――
ほざくんじゃないよォォォォッッ!!!!!!」
ヴェネーノが吠える。
怒りではない。“確信”の咆哮。
フェルリア
「……完全に切り替わりました。
霧山トオル、“勝ちに行く側”です」
伊藤翔太
「……車で決まるならよォ……」
伊藤は、歯を食いしばる。
視線は前。
ブレーキも、アクセルも――迷いが消えた。
伊藤
「……俺は、ここにいねェ!!」
――次の超高速S字――
ヴェネーノが、ありえない速度で進入する。
ラインは完璧。
無駄ゼロ。“教科書”の走り。
若林「速すぎる!!
霧山、完全に異次元だ!!」
だが――
伊藤は、外に逃げない。
インにも行かない。
伊藤「……そこだァァァァァァァッッ!!!!!!!!!」
――――“溜め”――――
一拍。ほんの一瞬。
霧山「……?」
その瞬間――
伊藤「車が軽いってのはなァ……!」
――――ドン!!――――
スイスポが、切り返しで一気に向きを変える。
慣性を“裏切る”挙動。
フェルリア
「……あれは……“重さを捨てた走り”……!」
若林「伊藤、ラインを壊した!!
教科書を踏み潰したァ!!」
ヴェネーノが、一瞬遅れる。
霧山「……ッ!」
伊藤「……ドライバーが、
全部背負えるってことだァ!!」
――――並走再び――――
二台、完全に横。
海が真横。
ガードレールが指先の距離。
霧山
「……はは」
霧山は、初めて“笑った”。
ヴェネーノの回転数が、さらに上がる。
霧山「……嫌いじゃないよ」
伊藤「……今さら褒めんなよクソ犬が。」
――――松島戦・決勝/多賀城市・市街地中盤――――
道路は、まっすぐ。
だが、気は抜けない。
アスファルトに細かい補修跡。
マンホールの縁。
白線の盛り上がり。
伊藤翔太
「……」
ギアはそのまま。
回転数も、変えない。
アクセルを踏んでいるというより、
“乗せている”感覚。
――前方、交差点一つ分。
距離にして、ほんの百メートル。
それだけなのに、
やけに長く感じる。
ミラー。
ヴェネーノは、同じ場所にいる。
さっきから、ずっと。
近づかない。離れない。
伊藤「……ほんとに、ウッス気味が悪ィな……霧山ァ......!」
ブレーキに足を乗せる。
踏まない。
ただ、乗せる。
車体が、わずかに前のめりになる。
――後ろも、同じ。
霧山「……」
何もしていない。
それが、逆に分かる。
若林「多賀城市、市街地!
まだまだスピードは出ません!」
フェルリア「ええ……。
今は“差を作らない”こと自体が、
技術です」
――ゆるい左。
伊藤は、ハンドルを切らない。
アクセルを、ほんの一瞬だけ戻す。
車が、自分から曲がる。
伊藤「……よし」
ミラー。
同じ動き。同じタイミング。
伊藤「……コピーかよ...いや、パクリかな?」
胸の奥が、じわっと重くなる。
焦りじゃない。苛立ちでもない。
――“削られている”感覚。
伊藤「……まだだ」
「ここじゃ、何も起きねェ」
信号のない交差点を、一つ越える。
また、直線。
距離は進んでいない。
時間だけが、静かに溶けていく。
ミラーの中で、
ヴェネーノのライトが、
ほんの一瞬だけ、瞬いた。
――霧山は、まだ来ない。
――だが、確実に“待っている”。
多賀城市。
この街は、そう簡単に次を許さない。――――松島戦・決勝/多賀城市・市街地外縁――――
道路は、まだ街だ。
建物の影が長く、路面の色が場所ごとに違う。
伊藤翔太
「……」
呼吸は、一定。
指先も、落ち着いている。
――はずだった。
小さな段差。舗装の継ぎ目。
車体が、ほんのわずかに跳ねる。
伊藤
「……っ」
大したことはない。
ハンドルも、ブレーキも、修正はいらない。
それでも――
胸の奥に、薄い違和感が残る。
伊藤
(……今の、余計だったか)
アクセルを、ほんの一瞬だけ戻す。
必要はない。
それでも、戻した。
――後ろ。
ヴェネーノは、変わらない。
距離も、音も、姿勢も。
伊藤「……」
“見られた”気がした。
確証はない。
ただの感覚。
若林
「依然として動きはありません!
ですが……伊藤、少しだけ慎重になったようにも見えます」
フェルリア
「ええ……
“慎重”というより――
我慢に、微細なズレが出始めています」
――次の緩い左。
伊藤は、
本来より、ほんの一拍だけ早くアクセルを戻す。
車は、問題なく曲がる。
問題はない。
それでも――
伊藤
歯を、軽く噛む。
伊藤「……まだだ」
「まだ、出るな」
ミラー。
ヴェネーノのライトが、
相変わらず、同じ位置にある。
霧山トオル「……じゃあさ、本丸の予定よりもさっさとそのチャンピオンイエロー潰してやんよォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」
伊藤「......ッッ!!!!」
――それが、伊藤の“揺らぎ”を、
さらに際立たせる。
多賀城市。
数十メートル、進む。
距離は、変わらない。
だが――
伊藤の中でだけ、
ほんの小さな“音”が鳴った。
そして伊藤は、再び“待てる自分”に戻っていた。了解。
通常の文章・実況+情景描写で続けるね。
場所はそのまま 多賀城市/国道45号×国道4号付近、
ペースはやや動きはあるけど、全体進行はまだ中盤。




