松島編第16話 ぷるんぷるんに
total276
ミルキークイーン「コーナー……ここもブロックできますわ〜……」
微笑む声は穏やかなのに、ラインは氷刃のように鋭い。
LC500 がコーナーの頂点をぎゅっと押さえつけ、赤と水色の二台をまるごと締め出すように滑り込む。
サテラ「前に出たいが……っ、この細い道路じゃ……ダメだ……!!
クソ……!ラインが全部潰されてる……!完全に“氷の柵”だろこれ……!」
サテラのエボ7MRが横に揺れる。
フロントが“開きかけた”瞬間、ミルキークイーンのLC500がさらに角度を変えて塞ぎ込む。
ほんの数センチの世界で、完全に“出口”を閉じられた。
カナタ「……ッ……!!
きつい……!!
この団子状態……抜ける場所が……ない!!
スピードを上げれば壁みたいに締めてくるし……
でも、離れたら終わる……!!」
アクセルの震えがブレていく。
赤い戦闘機の心臓ともいえるエンジンが、
“行けるぞ、踏めよ”と囁いてくる感覚がありながら――
その先にLC500の鋭いラインが立ち塞がる。
ミルキークイーン「焦らないでくださいまし〜……
この道は狭いですもの。
無理をして抜こうとする方が危険ですわ〜……?」
その柔らかい声が逆に、
カナタとサテラの神経をじわじわ削る。
サテラ「……はぁ!?そういう余裕ぶったこと言って……
次の右!ここでいっちょ……うわッ、塞がれた!!?」
ミルキークイーンのラインは芸術的だった。
インもアウトも、わざと少しだけ余白を作りつつ、
“絶対に”割り込ませない“黄金比の角度”で道を塞ぐ。
カナタ「なんなんだ……この人……!
吉田さんの時みたいに……
先が全部読み切られてる……!」
サテラ「くっ……!こんな壁、久しぶりだよ……!!
でもな……燃えてきた……!!」
ミルキークイーンは微かに笑い、
次のコーナーへと白いベールをたなびかせながら進んでいく。
ミルキークイーン「このまま、ゴールまでブロックして終わったら……ぷるんぷるんにして抱きしめてあげますわ〜……」
その声は戦場のただ中とは思えないほど穏やかで、
けれど同時に“逃げ場のない宣告”のように響いた。
前を塞ぐLC500のラインは、まるで誘っているようでいて、
実際には一切の隙がない。
氷のベールがゆらめくように見えるほど、
ミルキークイーンの“気配”そのものが路面を支配している。
カナタ「……たまらねぇ……!!
でも……こんな余裕ぶられて……負けっぱなしでいいわけねぇだろ……!!」
サテラ「ぷるんぷるんにするって……お前……
どんだけ危険な女なんだよ……!!
こっちはレース中なんだけど!?
くそ……!!どこか入口が……!!」
しかし探しても探しても見えない。
インもアウトも、ミルキークイーンが“先読み”して塞いでくる。
ミルキークイーン「お二人とも……焦らなくてよろしくてよ〜……
このまま私の後ろで楽しんでくだされば……
ゴールしたあと、ゆっくり……ぷるんぷるんにして差し上げますわ〜……」
赤い戦闘機と水色の鮫は、
まるで“甘い罠”の中で必死にもがいているようだった。
カナタ「……クソ……!!
抜かせろ……!!
ぷるんぷるんとか……どうでもいい……!!
前に……出る……!!」
サテラ「ぷるんぷるんはどうでもよくないけど……!!前に……前に行きたいんだよ……!!」
ミルキークイーンは軽く笑い、
次のコーナーの apex を寸分違わず押さえつけながら走る。
ミルキークイーン「まぁまぁ……
どちらにせよ……まだ逃がしませんわ〜……♡」
……ぷるんぷるんってなんだ……?」
ミルキークイーン「教えてあげますわ〜……
少し、カナタさんの周りの空気を……
私のミルク氷の霧で……ぷるんぷるんにして差し上げます〜……」
その瞬間だった。
視界の端が淡く白んでいく。
まるで牛乳を薄く雲にして散らしたような、
やわらかな“冷気の膜”が、カナタの86のボディをすり抜けていくように流れ込んだ。
外気のざらついた空気が、
一気にまろやかな“氷の潤い”を帯びて押し寄せる。
カナタ「……な、なんだ……これ……!?
身体が……重いんじゃなくて……
逆に軽く……とろけそうになる……?」
コクピットの中の空気までも変質しているようだった。
甘いミルクティーを氷で薄く香らせたような、
冷たいのにほんの少しだけ温もりを含んだ、
“不思議な柔らかさ”。
ミルキークイーン「これが……ぷるんぷるんですわ〜……
氷の膜で空気を丸くして……
あなたの動きを“緩ませる”……
私の……得意な妨害ですの〜……」
サテラ「……やべぇ……あのミルク女……
空気そのもの柔らかくしてんじゃねぇか……!?
カナタくんの踏み込みが……半拍遅れてる……!」
カナタ「くそ……!
こんな……優しい感じの妨害、聞いたことねぇ……!!
でも……負けられねぇ……!!」
ミルキークイーンのLC500は相変わらず鉄壁で、
しかしその後ろには“甘い氷霧の罠”が漂っている。
息を吸うだけで集中がとろけるような、
そんな“ぷるんぷるんの空気”の中で、
カナタとサテラはなおも必死に前を追い続けた。
ミルキークイーン「ふふ……
もっと……柔らかくして差し上げますわ〜……♡」
カナタ「しかも……今ので、たまらなくなってきたし……
タイヤに……膜みたいなのが……ついてる……?」
路面を噛むはずのグリップが、わずかに“丸く”削がれていた。
まるで硬いゴムに薄いミルクの氷膜を塗られたような、指で触れたらツルンと滑り落ちるような質感。
ステアを切るたび、挙動の反応が十分の一だけ遅れる。
その“遅れ”が、カナタの集中をじわりと奪っていく。
ミルキークイーン「ええ……タイヤにも“ミルク氷の霧”を付着させましたの〜……
すぐ溶けますけれど……その一瞬だけ……ぷるんと弾んで……
ラインがぶれるんですわ〜……」
サテラ「……最悪だなオイ……!
コーナーの入りで一瞬ヌルッとする……
あれ、レーサーからしたら地獄だぞ……!」
カナタ「くそ……っ、これは……
滑るんじゃなくて……弾かれる感じだ……!
路面に押しつけても……“膜越し”みたいで……
最大の踏み込みが出せない……!!」
ミルキークイーンのLC500は安定した重さでブロックを続け、その真後ろには、ミルク色の霧がほのかに帯電したように散っていく。
その空気に触れた瞬間、
カナタの86はまるで“柔らかい壁”へ鼻先を押しあてたかのような抵抗を受けた。
ミルキークイーン「無理はなさらず……
このまま後ろで……私のミルク氷の香りに包まれてくださいまし〜……
ぷるんぷるんですわ〜……」
カナタ「……っ……!
この……甘い空気……集中が……吸われる……
けど……俺は絶対に前へ行く……!!
吉田さんにも……勝負を挑みたいんだ……!!」
タイヤについた氷膜は少しずつ剥がれ、
再び本来の感触が戻りつつある。
だがミルキークイーンは、LC500のエキゾーストに淡い霧を纏わせながら、
次のコーナーでも完璧なブロックラインを描いていく。
サテラ「カナタくん……あの女……
“氷の妨害”が効かない相手には弱いはずだ……
ボクが前に行って突破口作る……
いいか……準備しとけ……!」
カナタ「……ああ……!
もう……膜は剥がれ始めた……
次のコーナー……勝負する……!!!」
柳津「んあー……もう疲れた……。
このへんでレース切り上げて温泉入りてぇ……。
あー……“みやぎ温泉マップ”どこやったっけ……?」
BMW M4のステアリングを片手で支えつつ、
もう片方の手でダッシュボードの小物入れをガサゴソ探り始めた。
柳津「えーと……“鳴子温泉郷”は遠いし……“秋保温泉”は混んでるし……
“名取ほのかの湯”……? いや、今日は露天に入りたいんだよな……。
お、ナビにも温泉……あったあった……“ゆらり・ゆら〜り♪ みやぎ温泉旅情”……
へへ……ここだな……」
完全に観光モードである。
アクセルは一定、スピードもそこそこ保っているが、
顔だけは完全に“温泉に行く男”のそれだった。
柳津「はあ〜……炭酸泉飲みてぇ……寝湯で浮いてぇ……
もう戦意ゼロ……。今日は勝てる気がしない……」
その時だった。
後方のミラーに――暗い影がスッと入り込む。
青空を切るような直線状の走行ラインから、
“海の色”を濃く煮詰めたようなミッドナイトブルーが迫ってくる。
若林(通信)「これは……!
相川美保!!! R33 GT-Rが柳津選手に接近してきています!!!」
柳津「……んぁ? なに? あ……やば……
み、みほ……ちゃん……?」
美保のR33は、路面の継ぎ目を一切揺らさないほど滑らかに迫る。
そのフロントの鋭さは、まるで“海の波頭”が迫るようだ。
R33のタービン音が低く、深く、
海の底のような響きで背後を満たした。
美保「柳津さーん……♪
温泉の前に……抜いていきますね……?」
柳津「ちょ、ちょっと待て!!
俺いま温泉ナビ見てたんだって!!
レース集中モードじゃないの!!
危ねえってぇぇぇ!!!」
それでもR33は迷いなくイン側へ。
まるで
“お兄ちゃんの前で負けられない”
そんな心の叫びをタイヤに宿し――
美保のR33が
柳津のM4のサイドミラーをかすめる距離で飛び込む!!!
柳津「うわああ! ほんとに抜きに来てる!!
美保ちゃんちょっと待て!! 温泉パンフ返してぇぇぇ!!!」
美保「ダメで〜すっ♪今はレース中だよ〜?」
中団グループの空気が一気に張り詰めた。
柳津の“温泉モード”は、無慈悲に終了と相成った。
ミルキークイーン「さぁ〜て〜……後ろはどうなってますのかしら〜……え……?」
その瞬間だった。
ブオオオオオオ!!!!!
グアアアアアアア!!!!!
空気が裂ける。
霧が震える。
路面の上で、まるで“風の壁”が一気に押し寄せる。
ミルキークイーンがLC500のミラーを覗いた時、
そこには――
エボ7MR。
そして赤い戦闘機。
その二つの影が、ミルクの霧を切り裂きながら
“異常な速度”で迫っていた!!
サテラ「待たせたね……ミルク女。
ライン……そっちじゃねぇよ☆」
カナタ「……今だ……!!!!」
LC500の左右に同時に並ぶ。
左にはエボ7MRサテラ。
右には腹切カナタの赤い戦闘機トヨタ86。
ミルキークイーン「……まあ〜……きましたのね〜……。
でも〜……この車幅……ブロックできますわ〜……?」
フェルリア「ここで来ましたか……。
この区間……コーナー前の“揺れる”ライン取りが非常に難しいんですよ……。
普通なら二台横並びだけでも限界なのに……
よりによってカナタくんとサテラ……。
ミルキークイーンの氷霧を切り裂いて……ここまで追い上げてくるとは……!」
若林「うわああああ!!!!!三台並走だあああああ!!!!
LC500が中心で!!!
左にエボ7!!!右に赤い86!!!
うわああああ!!!全部ギリギリ!!!!!
道幅足りない!!!!!」
三台のエキゾーストが重なり合う。
まるで三種類の獣が一斉に吠えたような重低音。
ミルクの霧が渦を巻き、
その中心でLC500が揺れている――
ミルキークイーン「やれますわよ……?
この程度の圧なら……」
サテラ「その余裕……すぐに消してやるよ……!」
カナタ「ミルキークイーン……
次のコーナー……絶対に前へ出る……!!」
フェルリア「ついに……この三台が揃いました……。
これもう……レースじゃなくて“戦い”ですね……。
次の右コーナー……何か起こりますよ……!」
ミルク氷の霧が巻き、
エボが火花を散らし、
赤い戦闘機がラインを削り取り――
三台は完全に横一線で突入していく。
ミルキークイーン「では〜……
次のぷるんぷるん、差し上げますわ〜……」
サテラ「上等だ……!!来いよ……!!」
カナタ「行くぞ……86……!!!」
若林「ところで……このレースのゴールってどこなんでしたっけ?」
フェルリア「――――……」
実況席の端で、
優雅に湯気の立つお茶をすするフェルリア。
その瞬間。
フェルリア「ブーーッ!!!!! っぐへええっ……っぐ、げほっ……!!」
若林「だ、大丈夫ですかフェルリアさん!!?」
フェルリア、胸を押さえながら
机に片手をつき、肩を震わせ、
なんとか呼吸を整える。
フェルリア「…………若林さん……」
若林「はい……?」
フェルリア「あなた……幼稚園から……やり直しです……ッ!!
いまさら“ゴールどこ?”はありませんよ……!!!」
若林「す、すみません……」
フェルリア「正確には……
亘理町の阿武隈川沿いr10スタート地点から、
R45沿いの気仙沼市 “はまなす海洋館” がゴールです……!」
若林「ほおおおおお!?海洋館!!」
フェルリア「ええ……。
しかもゴール前の東側は……
すぐ海……!岩礁地帯がむき出しで……
一歩ラインを外せば、大破か海ポチャです……!」
若林「ええええええええ!?!?
そんな危険なところを……!?」
フェルリア「エーペックスカップですからね……。
“ここを走らせたら死ぬ”というルートを……
堂々と採用してしまうのが……この大会なんですよ……」
若林「聞きましたか皆さん!!
ゴール前は“海に向かって一直線”だそうです!!
やばすぎるぅぅぅ!!!」
フェルリア「しかも……
前方の黒川くん達が突入しようとしている区間……
あそこから先、ガードレールがないんですよ……」
若林「ガードレールがないの!?!?!?」
フェルリア「ないんです……。
へたにブレーキで姿勢を崩せば……
そのまま海へ“ひゅ〜〜〜っ”です……」
若林「ひゅ〜〜〜〜じゃないです!!!」
若林「ところで……このレースのゴールってどこなんでしたっけ?」
フェルリア「――――……」
実況席の端で、
優雅に湯気の立つお茶をすするフェルリア。
その瞬間。
フェルリア「ブーーッ!!!!! っぐへええっ……っぐ、げほっ……!!」
若林「だ、大丈夫ですかフェルリアさん!!?」
フェルリア、胸を押さえながら
机に片手をつき、肩を震わせ、
なんとか呼吸を整える。
フェルリア「…………若林さん……」
若林「はい……?」
フェルリア「あなた……幼稚園から……やり直しです……ッ!!
いまさら“ゴールどこ?”はありませんよ……!!!」
若林「す、すみません……」
フェルリア「正確には……
亘理町の阿武隈川沿いスタート地点から、
気仙沼市 “はまなす海洋館” がゴールです……!」
若林「ほおおおおお!?海洋館!!」
フェルリア「ええ……。
しかもゴール前の東側は……
すぐ海……!岩礁地帯がむき出しで……
一歩ラインを外せば、大破か海ポチャです……!」
若林「ええええええええ!?!?
そんな危険なところを……!?」
フェルリア「エーペックスカップですからね……。
“ここを走らせたら死ぬ”というルートを……
堂々と採用してしまうのが……この大会なんですよ……」
若林「聞きましたか皆さん!!
ゴール前は“海に向かって一直線”だそうです!!
やばすぎるぅぅぅ!!!」
フェルリア「しかも……
前方の黒川くん達が突入しようとしている区間……
あそこから先、ガードレールがないんですよ……」
若林「ガードレールがないの!?!?!?」
フェルリア「ないんです……。
へたにブレーキで姿勢を崩せば……
そのまま海へ“ひゅ〜〜〜っ”です……」
若林「ひゅ〜〜〜〜じゃないです!!!」
若林「フェルリアさん!ここまでの松島戦……いっちゃいます?
恒例の“中間MVP”やりましょうか!!?」
フェルリア、観客席に気付かれない程度に口角を上げて、指先で資料を軽く叩く。
フェルリア「……いいでしょう。
では、このカオスと地獄と祝福が入り混じった“松島戦中間MVP”を……発表します」
若林「きたぞおおおお!!!!!!」
フェルリア、ひとつ咳払い。
フェルリア「まずは……
敢闘賞。その名も“まだ壊れてないから偉いで賞”。
これは……」
紙をゆっくりめくって、にやり。
フェルリア「黒川海斗。
あの暴れ馬フルパワーのエボ9MRで先頭を維持し続け……
“内藤セリナの踏みっぱ地獄”にも耐えた精神力は、賞賛すべきです。」
若林「黒川ァァァ!!お前今日だけは輝いてるぞォォ!!!」
フェルリア「続いて……
技巧賞。“ライン職人の魂”賞”。
これは……」
フェルリア「高村圭吾 Z33。
クランク地帯でのあの切れ味……
しかも812スーパーファストとサイドバイサイドを展開しながら、
一度もラインを失わないのは天性です。」
若林「うわあああ!!高村ァァァァ!!さすがだよお前ぇぇ!!」
フェルリア、最後の一枚を持ちながら息を吸う。
フェルリア「そして最後……
真のMVP。ここまでの“松島戦 中間王者”。
これはもう……迷いはありません。」
若林「ごくり……誰だ……?」
フェルリア「………………」
フェルリア「ミルキークイーン。」
若林「ミルキィィィィィィィィ!!!!!!」
フェルリア「LC500の巨体を振り回し、
腹切カナタを完全に封じて……
“ぷるんぷるんオーラ”で後続を壊滅状態に追い込むあの存在感。
レースの流れを狂わせる力が……異常。
ブロック技術も職人技。
そして……あれはもう……戦車です。」
若林「異議なしィィィ!!!!!」
フェルリア「ここまでの松島戦……
流れを変え、狂わせ、全てのドライバーを困らせた張本人。
中間MVPは……ミルキークイーンで決まりです。」
若林「ぷるんぷるん王者ァァァァァァ!!!!!」
おおっと!!??
中団グループで……とんでもない火花が散っているぞぉぉぉ!!!
若林「見てください皆さん!!
柊蒼真、岡田大成、そして高村圭吾!!!
三台が一直線に並んで……完全に“やり合って”います!!!」
◆ 白い閃光:シビックタイプR FL5(柊蒼真)
◆ 赤い獣:GRカローラ(岡田大成)
◆ 漆黒の鋭角:Z33(高村圭吾)
三つのマシンが、
仙台港前の高速スラロームへ同時に突入した!
蒼真「……前、全部見えてる……!
この白いFL5……まだ伸びる……!!」
彼のステアは一点の迷いもない。
スラロームの入口へ向かうラインは驚異的に滑らか。
まるで自分の進むべき道だけが“白く光って”見えているかのようだ。
岡田「やり合うなら……全力で来いッ!!!
蒼真ァァァ!!!高村ァァァ!!!
ここで止まれるかよォォ!!!」
GRカローラがターボを吠えさせる。
四輪が同時に路面を掴み、荒々しくも正確にコーナーへ。
高村「……二人とも速いな……!
だけど譲る気はない……!
カナタと伊藤の同級生ってだけじゃねぇ……
“俺自身の走り”を見せてやる!!!」
Z33が低い姿勢のまま切り込む。
前後のバランスが極まった、教科書のようなアプローチ角だ。
若林「これは……やばいぞ!!
三台とも動きが全くブレていない!!!
中団の争いとは思えない精度だ!!!」
フェルリア「ええ……。
特に蒼真くん……
“白いブリザードライン”とでも言うべきか……
あの滑らかな進入……
とても高校生とは思えませんね……。
高村くんのZ33も、ラインの取り方が芸術的です。」
三台は――
FL5がインへ!
Z33がアウトへ!
カローラが真ん中へ!!!
三角形を描きながらスラロームへ突入!!!
若林「うわああああ!!!
これ三台ともクラッシュしてもおかしくない距離!!死ぬほど近い!!!」
蒼真「抜ける……!!」
岡田「させねぇ!!」
高村「二人同時に抜く……!!」
三台が“吸い込まれるように”コーナーへ落ちていく。
若林「これは歴史に残るやり合いだァァァ!!!!!」




