松島編第14話 豆腐ボディ
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1位 黒川海斗(ランサーエボリューションIX MR)
2位 山吹花(WRX STI VAB)
3位 相川律(R35 GT-R NISMO)
4位 クレア(R35 デビルスタイル)
5位 柊蒼真(シビックタイプR FL5) ←ごぼう抜き炸裂
6位 岡田大成(GRカローラ)
7位 佐藤大河(コルベットC8)
8位 小岩イオリ(フェラーリ812スーパーファスト)
9位 腹切カナタ(トヨタ86 前期型) ←五郎丸・イオリと三つ巴
10位 坂田五郎丸
11位 サテラ(ランサーエボリューションVII MR)
12位 ミルキークイーン(レクサスLC500) ←サテラの横へ躍り出た
13位 伊藤翔太(スイフトスポーツ ZC33S)
14位 山吹芽衣(ポルシェ911カレラGTS)
15位 相川美保(R33 GT-R ミッドナイトブルー) ←中団に急接近
16位 高村圭吾(フェアレディZ Z33)
17位 内藤セリナ(アウディ R8 V10/NA)
18位 湯川サトル(S2000)
19位 佐藤ジュン(RX-7 FD3S/紅)
20位 川村修一(Kワークス/黄色)
クランク出口の空気が――
一瞬で“爆ぜた”。
若林「そしてきたぁぁぁ!!!!!!
内藤セリナ!!!!そして紅のFD、佐藤ジュン!!!!
駆け上がってきましたァァァァァ!!!!!」
ミッドセクションを抜けた瞬間、
黄色いR8が――本気の声で吠えた。
内藤R8
グオオオオオオオオオ!!!!!!
フェルリア「……!!
内藤さん……クランクで踏みっぱなし!?
正気じゃありませんよ……!!」
内藤(通信)「だってさぁ〜〜?☆
ここ、踏めば勝てるでしょ〜〜???」
ほんのわずかにR8のテールが滑る。
なのに止めない。
むしろ踏み増す。
タイヤが悲鳴をあげてるのに――R8だけが前に行く。
若林「内藤セリナ!!!
クランクで踏みっぱだぁぁぁ!!!!
普通なら即スピン!!
なのに前に行くッッッ!!!!!!」
黒川「はッ!?てめぇ内藤!!
ふざけるなよォォォ!!!!」
黒川のエボ9MRは軽快だ。
軽量・高回転・小気味良い挙動。
だが――
R8 V10 NAの“回転の伸び”が異常。
内藤(通信)「黒川くん……☆
前、貸してくれる???」
黒川「貸すかァァァァ!!!!!」
しかし、もっとヤバいのが一台。
紅いFD――佐藤ジュン。
600馬力のロータリーが、
クランク出口で獣みたいに吠える。
ジュン「待って……!私も……前に行く……!!
ボクだって……!!!」
紅いFDは軽い。
そして反応が鋭い。
ジュンのブレーキングポイントはカナタより5メートル奥。
内藤より繊細。
黒川より大胆。
フェルリア「……まずいです。
黒川さん……挟まれますよ。」
若林「黒川海斗!!!
大ッッピンチだァァァ!!!!!」
映像には――
黒エボ9MRの左右に、
黄色いR8と紅いFDが“刃”のように切り込んでくる絵。
黒川「ちょ、ちょっと待て!!
内藤!てめぇはまだしも……
なんでその紅いのも来てんだよォォォ!!!」
ジュン(通信)「……ごめんね……でもボク……
もう……止まれない……!!」
そして――
クランク出口、3台が一直線に並ぶ。
若林「黒川!!内藤!!ジュン!!
並んだァァァァァ!!!!
仙台空港前!!!
エボ9MR!!!R8!!!FD!!!
全部違う哲学で作られた化け物が横一列!!!!!」
フェルリア「黒川さん……これは耐えられませんね。
次の直線で……誰かが行きます。」
ドゴォォォォォォ!!!!
三台が火花を散らしてクランクを抜ける。
若林「黒川海斗……後ろの牙が全て来た!!!
トップの黒いエボが、
ついに……捕まったァァァァ!!!!!」
ストレート手前――“風圧”が変わった。
紅いFDが黒川へ噛みつこうとした、その刹那。
しかし、そのFDの横を――
三つの咆哮がまとめて飲み込んだ。
若林「しかしッッ!!!!そんなFDを“まとめて”抜き去ったのは…………!!!」
「WRX STIッ!!!R35 GT-R NISMOッ!!!
R35デビルスタイルッ!!!!
山吹花!!相川律!!そしてクレアだァァァァ!!!」
地鳴り。怒号。風圧。
気温さえ変わる猛獣みたいな三台が、
黒川・内藤・ジュンを飲み込むように飛んでくる。
その少し後方、白い影――
柊蒼真のFL5 TYPE Rがじわじわ“殺意の速度”で接近中。
花「前のエボ潰すよォォォ!!!!
道塞いでんじゃねえぞ黒川ァァァ!!!!!」
相川「内藤セリナァァァ!!!
どけェェェ!!俺のR35NISMOはテメェ踏み台にするためにあるんだよォォ!!!!」
クレア「邪魔じゃあああああ!!!
黄色も紅も黙って下がれいッ!!!
次の餌はエボとR8じゃああああ!!!」
トリプル咆哮が合流した瞬間、
道路の空気が一回“沈む”。
その後、一気に爆発したように押し寄せる風圧。
内藤「えへへ☆……来れるかなあ〜〜……??
私、踏んでるけどォ〜〜??」
R8のテールがわずかに泳ぐ。
なのにブレーキを踏まない狂気。
黒川「テメェら全員来いよォォォ!!!
ぶっ潰してやるよォォォ!!!!!」
ジュン(通信)「う……っ!!
ボク……ここで止まれないのに……!!」
そして蒼真。無言で風を切る。
蒼真(通信)「……追いついた。
あとは“頂点を刺すだけ”だ。」
若林「ちょ……ちょっと待ってくださいフェルリアさん!!!
先頭付近が地獄みたいになってきたんですがッ!?!?」
フェルリア「これは……
“松島戦史上最大の多重バトル”ですね。
この密度、事故が起きてもおかしくない……
むしろ“起きない方が奇跡”ですよ。」
WRX。R35。R35デビル。FL5。
エボ9MR。R8。FD。
7台が……
クランク出口で一つの“怪物”になって迫り上がる。
花「黒川ァァァァ!!!!行くぞオラァァァ!!!!」
律「退けッ!!!消し飛ばす!!!!」
クレア「まとめて道を空けるのじゃァァァ!!!!」
内藤「えへへ☆……来いよ〜〜?」
黒川「やってみろォォォ!!!!!」
蒼真「……ここからが本番だ。」
ジュン「ボク……前に……!!!」
後方。地獄の渦に飲まれず、むしろ“喰らいついてきた影”が一台あった。
それは――
赤いM3 E92。
元教師・古賀加奈子。
若林「その後方から……!!!
BMW M3……古賀先生がいつの間にか前に来ているゥゥゥ!!!!」
フェルリア「この状況で前へ出る……やっぱり只者じゃありませんね、古賀さん……」
古賀のM3は滑らない。
暴れない。なのに“速い”。
ドイツ製スポーツサルーンの重さを逆に利用して、
クランクの立ち上がりでポン、と一段階上の速度に跳ねる。
その瞬間――
さらに後ろから、
とんでもない赤が飛び込んできた。
若林「ん?……んん??
腹切カナタの赤い戦闘機……!!
ブガッティ・シロンを……
オーバーテイクしているゥゥゥゥゥ!!!!!」
坂田五郎丸「は……!?速い……!!
何故そのエントリーで保っていられるんだ……!?
お前の86……NAのはずだろ!!!??
どういう曲がり方だよそれェェェ!??」
映像には――真紅の86が、
W16ハイパーカーの内側へ“吸い込まれるように”入り込む姿。
普通ならシロンの圧に吹き飛ばされる。
だがカナタは違う。
カナタ「加重を……全部前に落とす……!!
あとは……ケツで回せばいい……っ!!」
赤い戦闘機が――軽く滑った。
だが“意図的”だ。ほんの一瞬だけのドリフト角が、
重さ370kg上のシロンの鼻先を完璧に避けた。
ドリフトの姿勢が安定したまま、
出口でアクセルを踏み抜く。
坂田五郎丸「あれ……!??曲がってる……!!
本当に……曲がってる……!!
あの軽さ……反則じゃねぇかコレ!!!!」
若林「なっ……なんだアレは……!?
赤い戦闘機が……!
角度を維持したまま……ドリフトで加速している……!!なんだあの挙動ォォォ!!!!!」
フェルリア「……腹切カナタくん……
やはり、この子……“天性の荷重移動”のセンス持ってますね……普通の人間には真似できません。」
赤い戦闘機のテールランプが、
漆黒のブガッティを置き去りにする。
坂田五郎丸(通信)「マジかよ!!!
俺の魔王が……追いつけねぇ!?
こんな真っ赤な豆腐みたいな車に……!?」
カナタ「豆腐はお前だろ……。
行くぞ……五郎丸……!」
M3古賀、86カナタ、
そして漆黒のシロン五郎丸。
三台が一気に中団へ雪崩れ込む!!!
坂田五郎丸「……面白いじゃない……」
シロンのコックピットで、
五郎丸の目がギラリと光った。
あの独特の“鈍感でシュールな闘志”が、
少しずつ熱へ変わる瞬間だ。
坂田五郎丸「お前のその86……
オーバーテイクして……
豆腐にしてやんよ……ッ!」
漆黒の魔王シロンが吠える。
後ろで暴力的なトルクが蠢く音。
まるで“封印された獣”が背後で殴り続けているような爆音。
だが、前方の視界には――赤いテールランプが1つ。
腹切カナタの86。
そのさらに先には、真紅のBMW M3。
古賀のマシンだ。
五郎丸はアクセルを少しだけ増す。
そのわずか数ミリの踏み込みで――
車体が前へ飛び出す。
直線なら“問答無用で殺しに来る力”があるのがシロンだ。
坂田五郎丸「赤のM3……?……名前見えないけど……
なんか速くね……?」
ボソッと呟く声が妙にシュール。
なのに、
その後すぐにギャップのある叫びが続く。
坂田五郎丸「けど構わねぇッ!!
前にいる奴全員抜いて……
お前の赤い戦闘機も豆腐にする!!!!」
M3古賀の赤が揺らぐ。
その直後、カナタの赤い86が横にいたはずのシロンに対してまた“荷重移動の魔法”をかける。
赤い戦闘機――
その名の通り、
軽く舞うようにラインへ捻り込む。
五郎丸は前方の光景を見て思う。
坂田五郎丸「……マジかよ……
あの86……なんでそんな動きすんだ……??」
重さ2トンの怪物を手なづけている五郎丸でも、
理解が追いつかない挙動だ。
しかし、ここからが五郎丸の本領。
坂田五郎丸「……よし……燃えてきた。
赤いのも、赤いM3も……全部抜くからな。」
漆黒の魔王、再加速。
前方の赤と赤をまとめて喰らうつもりだ。
炎の赤(86)鋼鉄の赤(M3)
そして闇の黒
三つの陰陽が、
中団でついに交差し始める……!!
黒川のエボ9MRが咆哮する。
タービンが甲高く鳴くたび、マシンは獣みたいに道路を蹴る。
黒川「うぉぉおお!!こっから先は誰にも譲らねぇぇ!!!」
しかし、その真後ろに……
黄色の閃光。
内藤セリナのR8がピタッと張り付いている。
内藤「黒川くぅん……追いついちゃったよぉ……?
ねぇねぇ、どうするの……?ここシケインだよぉ……☆」
フミッパ女王、完全に火がついた。
黒川「テメェだけは来るなァァ!!!」
そこへ横から滑り込む銀の塊。
R35 GT-R ニスモ、相川律がブレーキングをギリギリまで引っ張り、
黒川の横へ飛び込んだ!!!
相川「内藤!!お前の踏みっぱなんざ関係ねぇ!!
こっからは重さで押し通るッ!!!」
そしてもう一台。
青い稲妻が突き抜けた!!!
山吹花がWRXをフルスロットルでシケインへねじ込む!!
花「どけッ!!!全員まとめてぶっ潰すわよォォ!!!!」
相川の横へ並んだ瞬間、
さらに外側から黒い影が差し込む。
赤黒いライトが妖しく光り、低音の排気が地響きのように鳴る。
R35デビルスタイル。
クレア。
クレア「そなたら……道を開けるのじゃァァ!!
わらわが先へ行くのじゃッ!!!」
五台並走!!!!!
エボ
WRX
R35ニスモ
R35デビル
R8
松島の海沿いで、
まるで戦国時代の武将たちが刀で殴り合うかのような荒れ方。
ブレーキランプが五つ、
赤い花のように同時に点灯する。
しかし……
内藤セリナだけ、点かない。
内藤「え〜?ブレーキ?いらな〜い☆
踏みっぱで勝てるもん……!」
ギュワアアアアア!!!
R8がシケインを滑るように抜けた!!!!
車体が不気味な安定を保ったまま、
路面を飲み込む脚が暴れ出す。
黒川「嘘だろッ!??」
相川「バケモンか貴様ァァ!!!」
花「くっそおおお!!!この女ァァ!!!」
クレア「えげつない走りじゃのぉぉ!!??」
内藤セリナ、ついにトップへ!!!!
あの踏みっぱスライダーが、松島戦で牙をむいた!!
だが黒川がすぐ後ろ!
さらに相川が横へ並び、花がインから刺す。
クレアは大外からもう一度ねじ込み直す。
五台がシケイン出口で団子状態!!
じゅわ、とタイヤが焼ける音。
白煙が立ち上る。
フェルリア(実況席)「これは危険……この密度、この速度……どれか一台が動いたら全員巻き込まれますよ……!」
若林「もう無理ムリむりィィィ!!!誰か止めてぇぇぇ!!!」
内藤「んふふ……誰が来てもいいよぉ……
全部……踏みつぶしてあげるからぁ……☆」
――次に飛び込むのは誰だ!?
五台の弾丸が次のコーナーへ突入する!!
内藤のテンションが振り切れた。
黄色のR8がシケイン出口で跳ねるように加速し、
リアが軽快にステップを踏む。
内藤「えへへ☆
ばんざーいばんざーい!!!
トップだよぉ〜!みんなありがとぉ〜!!!」
無邪気な声が通信回線全体に響き、
一瞬、空気が凍った。
次の瞬間、
エボ9MRのマフラーが爆ぜるような音。
黒川「……は?」
黒いエボが一気に距離を詰めた。
黒川の表情は完全に切れている。
黒川「ふざけんなァァァ!!!!
その頭今すぐ病院送りにしてやんよォォァァァ!!!!!!」
怒号と同時に、
エボのブーストが一気に盛り上がる。
黒川の足が床まで沈み、
エンジンが獣みたいにうなりを上げる!
ギュオオオオオオ!!!
内藤「やんっ、こーわーい☆
でも追いつけるの〜?黒川くぅん☆」
黒川「テメェ調子乗んなァァ!!
ぶっ潰す!!!マジで潰す!!!」
二台はわずか数十センチの距離で並び、
間に相川律のR35ニスモが割って入る。
相川「お前ら二人でやってろ!!!」
「ここは俺の道だァァァ!!!」
花もクレアも外側から刺しに来る。
花「待ちなさいよォォ内藤!!!
そのトップは私のもんよ!!!」
クレア「そなたら……落ち着けい!!!
誰が死んでも知らぬぞ!!!」
内藤は笑っている。
黒川は吠えている。
相川はブチギレている。
花は燃え上がっている。
クレアは呆れている。
五台――完全に戦場。
内藤「ばんざーいばんざーい☆
次のコーナーも踏みっぱよ〜!!」
黒川「言ったなァァァ!!
なら俺も踏むわァァァ!!!!」
相川「おい待て黒川ァ!!」
花「やめろって言ってんでしょォォ!!!」
クレア「狂犬かおぬしらァァァ!!」
五台、横一列で次の右コーナーへ向かう。
ビアンコベージュの怪物が、
あのストレートで牙を剥いた。
ギャアアアアアアアッ!!!
小岩イオリの812スーパーファストが、
まるで 光そのもの みたいな伸びで相川律のR35ニスモへ襲いかかる。
イオリ「ごめんね……!
行かせてもらうよ、相川くん……!!!」
812のV12が怒涛の咆哮を上げた瞬間、
ニスモのルーフに影が落ちた。
相川「は!?
なん……でここで812が来んだよッッ!!?」
次の瞬間、
812が一気に前へ躍り出る。
相川は完全に置いて行かれた。
若林「なっ……なんとォォォ!!!
R35ニスモを812スーパーファストが一撃でオーバーテイク!!!
トップ争いが完全に崩れ始めたぁぁぁ!!!」
その混乱の裏で、
もっとヤバい影が迫る。
青白いヘッドライト。
低く沈む車高。
赤いブレーキローターが妖しく光り――
古賀加奈子の赤いM3が、
山吹花のWRXへ吸い込まれるように接近。
古賀「……花ちゃん。
君が強いのはわかってる。
だけど……私は先生として走ってるんだ。
今日だけは、負けられない……!!!」
花「は……!?
あんた、ここで刺してくるの!?」
M3がサイドに滑り込み、
花のWRXの横へピタリと張り付く。
ギャアアアアアアア!!!
一気にインに飛び込む!!!
若林「い、行ったァァァァ!!!
古賀加奈子のM3が山吹花をオーバーテイク!!!
信じられない……!!
先頭争い、次々とメンバーが入れ替わっていくぅぅぅ!!!!」
フェルリア「今のM3の進入……完璧すぎます。
花ちゃんのブレーキタイミングを完全に読んでいましたね……」
そして――
先頭では内藤、黒川、クレアがまだ殴り合ってる。
そこにイオリも加わってきた。
黒川「おいオラァァァ!!次は誰だ!!?」
内藤「えへへ☆ もっと来なよ〜〜!!!」
クレア「おぬしら、頭がどうかしておるぞ!!!」
花「ちょっとォォ!!置いてくなァァァ!!!!」
相川「はぁ!?なんでこんなに抜かれんだよッ!」
古賀「ふぅ……まだ行ける!」
五車線みたいな混沌、
常磐道の空気そのものが爆発してる。
若林「先頭争いが入れ替わっていく……!!!
NSX吉田のいない今回のエーペックスカップで……とんでもないことが起こっています!!!!!」
実況席の空気が震えた。
視界の向こうで、先頭グループが稲妻のように入れ替わり、
常磐道のアスファルトを焦がす勢いでぶっ飛んでいく。
黒いエボ9MRが一瞬横へ振られる。
そのすぐ横、黄色いR8が地面ごと噛み砕くような踏みっぱのラインで迫る。
さらに奥で赤いM3がWRXを押し潰す気迫で進入し、
812スーパーファストが空気の壁を破りながらR35ニスモを吸い込んでいく。
まるで“王”が消えたレースに、
全員が一斉に牙を剥いたかのような狂気の速度。
フェルリア「若林さん……
これは紛れもなく“戦国時代”ですよ。
吉田さんという絶対王者がいない以上……
誰もが自分こそ勝者になれると本気で思って攻めてきています。」
黒川海斗のエボが、吠える。
内藤セリナのR8が、笑う。
山吹花のWRXが、噛みつく。
クレアのデビルR35が、揺らぐことなく滑り込む。
小岩イオリの812が、射抜くように伸びる。
相川律のR35ニスモが、負けじと踏みつける。
古賀加奈子の赤いM3が、徹底した冷静さで切り裂く。
若林の喉が震える。
息が追いつかない。
若林「な……
なんなんだこれは……!?
速すぎる!!誰が1位でもおかしくない……!!
NSX吉田がいないだけで……ここまで乱れるんですか!!?」
フェルリア「はい。
そして……ここから“本当の地獄”が始まりますよ。
仙台空港前クランク――
この速度であそこに突入したら……」
スピーカー越しに、
それぞれの通信が次々と飛び込んでくる。
黒川「どけェェェ!!生きて帰れると思うなよォォ!!!」
内藤「えへへ☆いいね〜!最高速アタック〜〜!!!」
花「追いつくッッ!!逃がさねぇぇぇ!!!!」
相川「全員どけッッ!!俺が先頭だァァァ!!!!」
クレア「このままでは済まさんのじゃァァァ!!!」
イオリ「……まだ行くよ。私は止まらない……!!!」
古賀「落ち着け……落ち着け……勝機は必ず来る……!!」
空気が裂ける。
景色がねじれる。
排気音が夜を震わせる。
若林「うわああああああ!!!!
仙台空港前クランクへ突入ゥゥゥ!!!!!」




