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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
松島編
300/364

松島編第12話 復活!漆黒の魔王”坂田五郎丸”!!

通算272話

カナタ「てか、北斗って誰だよ?」


ストレートの真ん中で、

赤い86の中から本気のツッコミが飛ぶ。


坂田五郎丸「……まぁ、そのうちわかるだろ」


完全に“説明放棄”した声。

妙に淡々としていて、悟った僧侶みたいな落ち着き。


――沈黙。


その直後、

全レーサーの通信が一斉に爆裂した。


みんな「わかるかァァァァァァァ!!!!!!!」


花(通信)「説明しろや魔王ォォ!!!」

伊藤(通信)「誰なんだよ北斗って!!?」

黒川(通信)「あいつのシュールテンポむりだろ……!!脳バグるわ!!」

相川律(通信)「“そのうちわかる”って何!??伏線!??」

芽衣(通信)「む、無理です……意味わかりません……」


坂田五郎丸「北斗、北斗だろ……?皆知らねぇの……?

まぁ……そのうちわかるけどな……」


花(通信)「説明しろォォォ!!!」

カナタ(通信)「誰でもそのうちわかんねぇんだよ!!」

伊藤(通信)「焦らすな!!実況席も困ってんぞ!!」


その一言とともに――シロンの車体が “沈む”。

ほんの数ミリ。しかしその沈み込みは「世界」が知っている。


W16 800馬力の覚醒前動作。


カナタ「まずい……!!」


赤い戦闘機86の車体が、

まるで“巨大な闇の壁”に吸い込まれるように震えた。


背後の空気が一気に圧縮され、

86のリアバンパーが

ミシッとわずかにしなる。


それだけで、

誰もが悟る。


――これは別次元の化け物だ。


小岩イオリ(812)も思わず振り返る。


小岩「嘘でしょ……!?同じ“800馬力制限”なのに……!?」


シロンのW16が、地面の下から地鳴りを響かせるようなトルクで

86へ襲いかかる。


グオオオオオオオオ!!!!!


若林「うおおおおお!!!

坂田五郎丸、アクセル踏んだだけで……

前のカナタ選手の86が“吸い寄せられてる”ように見える!!!」


フェルリア「これは……“世界クラスの質量加速”ですね。

普通の800馬力と、シロンの800馬力……

同じ“数値”でも“意味が違う”んですよ……

W16のトルクは桁違いですからね……!」


カナタ「くっそ……!!この速さ……何だよこれ……!!

ターボ車のブーストと違う……

“世界の壁”みたいな圧が……全部後ろから来る……!!」


坂田五郎丸は、

本当に気軽な口調で言い放つ。


坂田五郎丸「いやぁ……やっぱW16はやべぇな……

とりま踏んだら速いから……

助かるわ……☆」


花(通信)「助かるじゃねぇぇぇ!!!

カナタ死ぬわ!!!!!」


伊藤(通信)「くそっ……魔王が後ろついたら勝負にならねぇ!!」


黒川(通信)「ありえねぇ……

あんな重い車体で……あの加速……!?

物理バグってんだろ……!!」


小岩イオリ(812)は奥歯を噛みしめた。


小岩「……カナタくん……

気をつけて……

あれ、本物の“怪物”だよ……

812でも……並べる自信ない……

次元が……違う……」


坂田五郎丸「赤いの……落ちるなよ...?

せっかく追いついたんだからさぁ……な??☆」


魔王が本格的に動き始めた。

シロンが噴き上がるたびに、前を走る86が震えて812が青ざめ、全員の心臓が縮む。


いよいよ――魔王 vs 腹切カナタ

本気の幕が上がる。


阿武隈ストレートに 魔王の余裕の悪寒 が走った。


坂田五郎丸「あとさ……

後方から……なんかウチより1つ下の女子高生来てるらしいけど……

R8の……あれ……

まぁ、あんなの大したことねぇな……」


その瞬間、

通信網そのものが“静まり返った”。


1秒……2秒……3秒の沈黙。


そして――

内藤セリナの“声にならない声”が震える。


内藤(通信)「………………………………は?」


若林「ひ……ひぇッ!?

内藤選手の声が……凍ってます……!!?」


フェルリア「まずい……まずいですよ若林さん……

あれは……内藤さんの“裏の本性”が戦闘形態に入る直前の声です……」


黒川(通信)「おい魔王……それは言っちゃなんねぇやつだ……

女の“プライド圧”なめんなよ……」


相川律(通信)「シロンより内藤の逆鱗の方が怖ぇぞ……!」


花(通信)「魔王オマエ終わったァァ!!!

よりによって内藤に喧嘩売ったァァァ!!!!」


そして、ついに爆発した。


内藤(通信/暗い声)「………………ねぇ…………魔王くん…………」


シロンの背後から“音を消した殺気”が近づく。


内藤「誰が……大したことないって……?

ねぇ……?

誰が……大したことないって……言ったの……???」


坂田五郎丸「ん?いや、R8のやつだろ?

あんなん軽いし……踏めば勝てるし……

ターボじゃねぇけど……まぁ余裕だろ……?」


内藤(暗い声)「………………………………」


伊藤(通信)「あっ……これ……死んだ……魔王死んだ……」


柳津(通信)「無理だよ魔王……あの女だけは煽っちゃダメ……

相馬戦で散々……“踏みっぱ神話”作った奴なんだから……」


812の小岩イオリでさえ、

怒気に背筋を震わせていた。


小岩「まずい……これはまずい……

魔王……相手間違えた……」


そして――

内藤セリナのR8が

轟音もなく、シロンへ向かってきた。


フェルリア「これは……世界の怪物 vs 凶暴な天才高校生……

地獄のカードが切られましたね……!」


坂田五郎丸「お、おぉ……?

なんか黄色いの……めっちゃ近い……?」


内藤(暗い声)「魔王くん……

逃がさないから……♡」


花(通信)「うわああああ!!怖えええ!!」


黒川(通信)「シロンよりR8の暗黒セリナの方が怖いの笑うわ!!」


阿武隈ストレートに 殺意三角形 が形成された。


先頭で魔王シロンを追い詰める“暗黒モード”内藤セリナ。

そのさらに奥から――

もう二つの影が牙を剥く。


柳津雄介(M4)「見つけたぞ……内藤……!!

相馬戦の借り……今日で全部返す……!

そのR8……今すぐ“潰してやる”!!」


内藤(通信/暗い声)「…………あら……?

M4くん……まだ生きてたの……?」


そして――


クレア(R35デビルスタイル)

「ふはははは!!

ついに見つけたのじゃァァ!!!!!

お主だけは……踏み潰しておきたかったのだァァァ!!!

黄色い暴走娘!!!!!」


若林「な、なんという事でしょう!

内藤セリナ一人に対して……

M4柳津、R35デビルのクレア、そして前方には漆黒シロン坂田五郎丸……

四方向から挟まれております!!!!」


フェルリア「これは……危険すぎます……

セリナさんの“暗黒モード”がさらに進行しますよ……?」


花(通信)「おいおいおいおい!!!

内藤に喧嘩売るなァァァァ!!

みんなまとめて爆散するわよ!!!!」


相川律(通信)「柳津……死にに行くなよ……!

クレアも……!お前らよりアイツの方がヤバいって分かんねぇのか!!!」


伊藤(通信)「ちょ……ちょっと待って……

この状況……地獄の三つ巴どころじゃねぇ……

四つ巴だよ!!」


小岩イオリ(812)「カナタくん……!

あれ巻き込まれたら死ぬよ……!

避けて……避けて……!」


腹切カナタ「こんなの避けられるかァァァ!!!!

前も後ろも全部地獄じゃねぇかァァァ!!!!」


そして中央。


内藤セリナは、

三方向から狙われながらも――


内藤(暗い声)「……全員まとめて……来いよ……?」


R8のV10が

静かに……そして獣のように牙を剥き始める。


フェルリア「まずい……

あれはセリナさんの“本当の踏みっぱ”……

暴走領域に入りますよ……!!」


ブガッティの魔王。BMWの復讐者。

R35デビルの破壊姫。

そして黄色の絶対女王。


世界崩壊寸前の四極バトルが

ここに成立した。


若林の声が ガチ震え になっていた。

画面には、同じストレート上で四台が牙を剥く “地獄の十字砲火” が映り続けている。


若林「ちょっとこれフェルリアさん!!!??

大変な状況なんですか!?

いや……もう……えっ……?

私には正直よく分からなくて!!???」


フェルリアは、解説席のモニターを凝視したまま

ほんの一瞬だけ肩を震わせた。


フェルリア「若林さん……

これは、“大変”とかそういうレベルでは……ありません」


若林「えっ……?」


フェルリア「この世の終わりレベルです。」


若林「ファッ!?!??」


フェルリアが静かに解説を始める。

その声はいつもより低く、冷静で、けれど震えていた。


フェルリア「まず……内藤セリナさんは普段はふざけた性格ですが、

“暗い声”が出た時点で危険兆候です。

あれはR8を“実戦モード”で扱っている証拠です。

踏みっぱというより……“脳まで踏みっぱ”です」


若林「ひぃ……!」


フェルリア「次に柳津雄介。

BMW M4……相馬戦でセリナさんに煽られた過去がある。

完全に復讐心で視界が狭くなっている……

つまり 突っ込む気満々 です」


若林「危ない!!」


フェルリア「そしてクレアさん。

R35デビルスタイルは車重がありますが、

彼女自身が“押し込み特化の駆逐型”なので……

ぶつかる事で勝とうとします。」


若林「ぶつかる気だァァァ!!???」


フェルリアはさらに続ける。


フェルリア「最後に坂田五郎丸くんのブガッティシロン。

W16 800馬力リストラクター仕様ですが……

彼だけ“状況を理解してない”状態で加速してます。

これは……最も危険です。

地雷が勝手に転がってきてるようなものです」


若林「ひぃいいいいい!!」


フェルリア「つまり今は……

“復讐者”

“破壊姫”

“魔王”

“暗黒女王”

この四つが一つの線上に押し込められ……

そこにNAの86と812までいる カオスです」


若林「全滅するやつじゃないですかァァァ!!!?」


フェルリア(ため息をつきながら)

「はい。地獄です」


若林「助けてェェェェ!!!!」


フェルリアは、モニターに映る“黒い閃光”を見た瞬間、普段ほとんど出さない 素の声 を漏らした。


フェルリア「しかも……

先頭に黒川海斗がいるってことは……

これは相当まずいんじゃないですかね……?」


若林「えっ!?なんで黒川くんが先頭にいるとまずいんですか!?」


フェルリア、椅子に軽く寄りかかりながら深く息を吐く。


フェルリア「黒川海斗は……

“前が空いた時だけ” 速いんです。

後続が地獄の混戦になっているあいだ、

彼は 自分の好き勝手に暴走を始める んですよ」


若林「暴走て……!」


フェルリア「エボ9MR……しかも黒川仕様は、

前に車がいない環境になると、

ライン取りもアクセルワークも全部“族魂”に変わります。

つまり……前方で誰も止められない狂走状態です。」


若林「ひぃいぃぃ!!!」


フェルリアは眉を寄せ、画面を指した。


フェルリア「普通のレースなら、

前が逃げても後ろの混戦で速度が抑えられるんですが……

今回は後ろで四台が殺し合っているせいで、

黒川くんがさらに逃げる余裕を得てしまっている」


若林「カオスがカオスを呼んでる……!」


フェルリア「はい。

先頭は“暴走族モード炸裂”。

中団は“殺意の渋滞”。

後方は“魔王が散歩”。」


若林「地獄三本立てじゃないですかァァァ!!!!?」


フェルリア「特に黒川くん……

あの男は、誰も追いつけないと判断した途端……

笑いながら本気で踏む んですよ」


ちょうどその瞬間——


黒川(通信)「ぎゃはははは!!どけやァァ!!ゴールまで全部俺のもんだァァァァ!!!!」


若林「アァァァ出たァァァァ!!!」


フェルリア「……ね?」


フェルリアは眉を細くして、

モニターの“後方カメラ”を指先でトントンと叩いたような仕草を見せた。


フェルリア「さらに……後ろからジュンちゃんのFDと、

あのM3の古賀さんまで追い上げしてきてますね……!」


若林「え!?このペースだと……!」


フェルリア「ええ。

このままだと“全員”が仙台空港前のクランクで……

一斉に合流して、ぶつかり合いが起きます。

一般道区間ですよ……ここから」


若林「クランクってそんなに危険なんですか……?」


フェルリア「直線から突然の鋭角の切り返し。

道幅も狭い。

しかも今回は——

前から黒川くん、花ちゃん、律くん……

中団はクレアちゃん、岡田さん、内藤さんに柳津くん。

後方は坂田五郎丸くん、小岩イオリちゃん、カナタくん……

そして……ジュンちゃんと古賀さんまで来る。」


若林「20台が入るんですか!?

角度90度のクランクに!?!?」


フェルリア「そうです。

20台の修羅場行列です。

……しかも、全員が“抜く気”しかない顔して走ってますね」


画面に映った後方の光景——

紅いFD3S、白のM3、黄色いKワークスまでが、

獲物に飢えた狼みたいに前車へ噛みつく寸前。


ジュン(通信)「ぜっ……ぜったい……負けないもん……ボクだって……!」


古賀(通信)「道は……切り拓くためにある……ッ!!」


フェルリア「見てください。

あの速度……

このままだと、クランクで“密集事故”が起きても不思議じゃありません」


若林「ひぃぃぃぃ……!

これ、松島戦……もうレースっていうより戦争ですよ!!?」


フェルリア「ええ。

そして、この混乱の中心に……

黒川海斗がいます」


若林「地獄の種火じゃないですかァァァ!!!!?」


フェルリア「次のカメラ切り替えますね。

クランクに最初に突っ込む黒川くん……

あれをどう止めるかが勝負ですよ」

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