松島編第6話 予選
通算266話
若林「おおっと!Z33のドライバー、高村圭吾がグリッドについたああああ!!!」
「そして、今、静かにハンドルに手を添え――」
高村「いつでもいいぜ、、、、、」
彼の瞳はまっすぐ前だけを見ていた。
焦りも、迷いも、怖れもない。あるのはただ――研ぎ澄まされた集中と、爆発寸前の野生。
観客席からざわめきが漏れる。
花「ちょっと、、、この空気、、、さっきのカナタに続いて、、、まさか高村も!?」
伊藤「アイツは本番にめちゃくちゃ強ぇんだよ……。それに、、、カナタがレコード出したってんなら、高村は絶対に黙ってない……!」
霧山「フッ、Z33で86に追いつくつもりか……
面白いじゃないか。」
ミルキークイーン「、、、あのZ33、なにやらエンジン音の響きが違いますわぁ〜……ちょっと仕込んでありますわね〜?」
フェルリア「ええ、耳がいいですね。あの子……Z33のポテンシャルを最大限に引き出すセッティングをしてきてます。リミッター、解除済み……?」
若林「それでは予選2人目の出走!!Z33!高村圭吾!!スタートッ!!!!」
――ドンッ!!
スタートの瞬間、空気が一気に破裂したような音を立て、Z33はまるで弾かれた弾丸のようにコースへ飛び出していった――!!
若林「続いて3人目は……ヤマブキモーターズから!山吹花ァァァ!!!」
「マシンはVAB型WRX STI!!!あの爆速レインドライバーがいま、ドライ路面に舞い降ります!!」
花「ふんっ……行くよ!!!」
チャンピオンブルーの車体が火花を散らし、エンジンの咆哮と共にコースへと飛び出していく!
伊藤「花が行った……!!」
ミルキークイーン「彼女……とても集中していますわね〜……」
フェルリア「この流れで、果たしてカナタくんの記録に……!」
――ドガアアアアアアアアアアアアアン!!!
若林「さあターン9!伝説のシケインを抜けたァァァ!!!」
「残りは直線のみッ!!さあフィニッシュラインを……!!」
ザッ……!
若林「きたあああああああああ!!!!」
「腹切カナタには届かず!!!しかし高村圭吾のタイムを僅差で上回り!!!」
「2位だあああああ!!!!山吹花が2位に入ったああああ!!!!」
伊藤「うおおお!さすが花……!!」
芽衣「……お姉ちゃん」
そして間髪入れず、4人目のマシンがコースイン!
若林「続いては……山吹芽衣!!!マシンはポルシェ911!あのヤマブキの妹が姉を追いかける!!」
芽衣「......」
ただ静かに、しかし鋭い眼差しで前方を見据える。
――シュゴゴゴゴ……ッ!!
その走りは静謐で、正確無比。
花のような気迫こそないが、すべてのコーナーを無駄なく走り切るその姿はまさに理想のライン取り。
若林「……これは……!?うおおおおおおお!!!」
「4位だあああああ!!!山吹芽衣、堂々のタイム!!!」
「これで予選第1組、腹切カナタが1位!2位に山吹花、3位高村圭吾、4位山吹芽衣!!!」
伊藤「すげぇ……全員トップ4……このグループ、レベル高すぎる……!!」
フェルリア「……山吹姉妹、まるで月と太陽のようですわ……」
「静と動……それでいて二人とも、ただならぬ速さ……」
ミルキークイーン「なんだかとても素敵ですわ〜……」
――次の出走者たちが準備を始める中、会場はすでに熱狂の渦に包まれていた。
1腹切カナタ トヨタ86前期型
2山吹花 WRXSTitypeS VAB
3高村圭吾 Z33
4山吹芽衣 Porsche911carreraGTS
5人目の出走者、その名がコールされた瞬間——
誰もが「まさか」と思った。
若林「5人目は……古賀加奈子!!!BMW M3 E92!!!」
ザワァァッ!!!
花「えっ……先生!?出るの!?」
伊藤「古賀先生って……あの中学時代の!?マジかよ!」
高村「えー!?俺たちの音楽の……あの古賀先生だよな!?」
霧山「はは……やるなぁ、先生……!」
観客席に衝撃が走る中、ひときわ太いエキゾーストノートを響かせて、パールホワイトのBMW M3(E92型)がピットレーンに姿を現した。
V8 4.0L自然吸気、420馬力。86やZ33とは明確に次元が違うパワーを誇るこのマシンが、ゆっくりとスタートラインに並ぶ。
車内には、落ち着いた表情のままステアリングを握る女性の姿。
タイトなレーシングスーツに身を包み、サングラスを外すその仕草は、完全に“プロのレーサー”そのものだった。
古賀「ふふっ……“先生”って呼ばれるのは久しぶりね。さあ、見せてあげる。音と速さの両方を教える、私の授業を……!」
若林「腹切カナタ、伊藤翔太、高村圭吾、霧山トオルの中学時代の音楽教師が!!まさかの予選出走!!!しかもマシンはBMW M3 E92ッッ!!!」
実況席の空気も震える。
フェルリア「おやおやぁ……BMW M3、あれは良い車ですねぇ〜。官能的なエンジンサウンドが特徴です。あの世代のBMWは、とにかくコーナーでのバランスが極めていい。しかもあの女性、相当乗り慣れている顔してますわ……」
エンジンが高らかに咆哮し、観客の鼓膜を震わせる。
古賀「音楽と同じよ。アクセルの踏み方にも、リズムとメリハリが必要なの。さあ、始めましょうか……青春の続きを。」
3、2、1——
スタート!!!
ザアアアアッ!!!
轟音を響かせてM3がコースに飛び出す。スタートダッシュは圧巻。FR車とは思えないほどのトラクションで、瞬時にリアタイヤが地面を噛み、鋭く加速する。
若林「速い!!!速いぞ古賀加奈子!!!BMWのトルクを生かした立ち上がりがスムーズだ!!これは……あるぞぉぉぉ!!!」
フェルリア「リズムが美しいですね……ブレーキからコーナーへの流れがまるでワルツのように滑らか……!」
セクター1、セクター2と計測されていく中で、そのタイムは……なんと高村圭吾を上回り2位に浮上!!!
しかし腹切カナタのコースレコードには届かず。
若林「これはぁぁぁぁ!!!2位浮上ォォォォ!!!先生が教え子を超えてきたぁぁぁぁ!!!!」
伊藤「先生マジかよ!!!」
高村「うわ……マジで……速すぎだろ……!」
霧山「……はは、これが“教える人の走り”か……!」
古賀「……これが、授業参観ってやつかしらね。」
若林「皆さんお待たせしました!第6戦松島戦、予選2日目の幕開けです!!」
朝の松島はうっすらと海霧がかかっており、ツインブリッジのコース全体が白く霞む幻想的な光景に包まれていた。
だが、その空気を切り裂くように、突如ピットからひときわ鋭いエンジン音が響き渡った。
ギュワァアアアアアアア!!!
フェルリア「……来ましたね、あの水のように滑る走り……!」
若林「予選6人目は……水色のランサーエボリューション7MR!かつて“水鮫”の異名で知られた、あの男!!!」
「サテラァァァァァ!!!!!」
ザワッ!!
花「きたァァァ……やばいのが……!!!」
伊藤「ヤベェ……あれ、ほんとに水の中を走ってんじゃねぇかって動きするからな……」
黒川「アイツだけは本物だ……マジで……」
ミルキークイーン「まぁ〜見た目も爽やかで〜…でもすごくトリッキーな走りなんですのよね〜……」
ピットからゆっくりと姿を現す一台——
ランエボVII MR(CT9A)。その全身は鮮やかな水色で塗装され、ボディサイドにはサメのエンブレムと、軽やかな白いラインが走っていた。
キャリパーはブレンボ、ホイールはレイズのTE37。空力は完璧に整えられ、WRカーを思わせる佇まいだ。
運転席にはサテラ。ツンとした目元、だがどこか気さくな笑みを浮かべている。
サテラ「ん〜、朝の海霧って好きなんだよね。
水の匂いってさ、走りたくなるじゃん?
……ま、ちょっと速すぎるかもしんないけど、気にすんなよ」
彼の声はマイクを通しても、どこか挑発的で、軽やかだった。
フェルリア「……ただの天才型ではありません。彼は“水”と“タイヤの接地感”を一体化させるようなラインを取る。私も過去に一度対峙しましたが……あれはまるで、水流の中のイルカのようでしたわ……」
若林「さぁ、予選開始だ!!」
カウントダウンが始まり、サテラはクラッチを踏みしめ、ブーストを溜める。
スロットルを煽るたび、エンジンが甲高く吠えた。
3……2……1——
ドッッッッギャアアアアアアアアアア!!!!!
若林「いったあああああああああああああああ!!!!!!」
「出たァァァ!!!まるで水面を跳ねるような加速!!!エボ7MR、フルカウンターでもズバ抜けた旋回力を見せる!!」
観客たちは、そのラインの鋭さに目を奪われた。
どこよりも深く入り、どこよりも早く立ち上がる。
サテラのランエボは、あらゆるコーナーを“滑るように”抜けていった。
セクター1通過。
カナタのレコードには僅かに届かずも、驚異のスプリットタイムをマーク。
セクター2は……なんと花を上回った!
ミルキークイーン「まぁ〜!!サテラさん、今回も綺麗なラインを描いていますわ〜……」
フェルリア「ですが……あの加重移動、完全に前後左右のトルク配分を計算してます。あの人、ただ者じゃありませんわ……」
そして最終コーナー!!
サテラはわざとリアを滑らせ、まるで尾びれのように車体を横滑りさせながらクリップへ!
サテラ「……行くぜ、フィーリングのままに。」
トラクションオン!
ギャアアアアアア!!!
そしてフィニッシュライン——!!
若林「来たぁぁぁぁぁ!!3位タイムォォォォォ!!!!」
伊藤「マジかよ……花ちゃんより速ぇのかよ……!!」
花「おい……マジで言ってんの!??ちょっ……こいつバケモンじゃん!!」
芽衣「やっぱり……サテラさん、次元が違います……」
カナタ「……さすがだな。相変わらず、水の走り。」
サテラはピットに戻ると、ヘルメットを取ってウインクしてみせた。
サテラ「……あんま見惚れんなよ?」
若林「さあああああああああ!!!!続く予選7人目!!!今、ピットロードに姿を見せたのは……銀色の巨神!!」
「日産 R35 GT-R NISMOォォォォ!!!!」
「ドライバーは……相川律!!!」
フェルリア「わあ……これはまた別の意味での怪物が……来ましたね……」
ピットエリアで一際重厚な咆哮を響かせながら、巨体がうごめく。
R35 GT-R NISMO——その姿はまるで鋼鉄の獣。
グリルの奥で赤く光るNISMOエンブレム、専用バンパー、リアディフューザー。
そして今、フル加重に耐えるために選び抜かれたセミスリックタイヤが、アスファルトを噛む準備をしていた。
伊藤「お前か!滑んなよォ!!」
相川「うるせぇ!後輩になんか言われたくないやい!!」
花「なんだこの昭和の小競り合いみたいな会話……」
若林「GT-Rといえば加速!そしてトラクションの鬼!!しかし、コーナーの多い松島でどう走る!?重さをどう制御するかがカギ!!」
ギュオォォォォォオオオオオン!!!
ブリッピングで爆音を鳴らし、相川律のR35がスタート位置へ着く。
助手席のダッシュボードには、妹・美保が描いた小さな“てるてる坊主”のステッカー。
相川「……見てろよ、美保……兄貴は飛ぶぞォォ!!!!!」
カウントダウンが始まる。
3——
2——
1——
ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
若林「いったああああああ!!!!出たァァァァァ!!!!1.7トンの巨体が跳ねるように加速ゥゥゥ!!!!」
フェルリア「恐ろしい加速力……でも、ここからです。この車で“曲がれる”かどうかが……」
第一セクター突入!
その瞬間、R35はまるで巨大な岩が“跳ねる”かのようにフロントをインへ突っ込ませた!
……そのままリアがグワッと流れる!!!
ギュウウウウウウン!!!
伊藤「おいおいおい!!滑るって言ったろうがァァァ!!!!」
相川「滑ってねぇし!!“滑らせてんだよ!!!!!”」
タイヤスモークを一瞬だけ撒き上げながらも、異常な速度で旋回。
そのままラインはアウト→イン→アウトを完璧に描く。
花「やるじゃん……え、なにあれ……めっちゃ曲がってんだけど!?あんな重いのに……!!」
ミルキークイーン「重力すらねじ曲げてますわ〜……」
セクター2、なんと花・芽衣ラインを超えた!!
フェルリア「この旋回のために、前後のバネレートやアライメントまで限界調整したのでしょうね……とんでもないトルクコントロール……」
最終セクター!!
まるで戦車のような突進から、ブレーキとともに“キュッ”と回り込み、
最後の直線を抜けた!!
若林「くるぞおおおおおおおおおおお!!!!
R35の巨神の猛追!!!」
「記録はァァァァァ……4位ィィィィィ!!!!」
「なんと花・芽衣を下し、古賀と並ぶ形だァァァ!!!!」
相川「やったぜェェェ!!!」
伊藤「なんだとォォォ!?オレより速いだとォ!?」
花「こらあああああああ!!!あたしの順位ォォォォォ!!!!」
ミルキークイーン「まぁまぁ〜、ここからですわ〜♪」
現在の予選順位(暫定)
1位:腹切カナタ(NA86)
2位:山吹花(WRXSTi)
3位:サテラ(エボ7MR)
4位:相川律(R35 NISMO)
5位:山吹芽衣(911carreraGTS)
6位:高村圭吾(Z33)
7位:古賀加奈子(M3E92)
若林「さあ……続いての出走は予選8人目……!来ましたァァァ!!!」
ギュゥゥゥゥン……
観客がどよめく中、
ステージ裏のピットロードから――
真珠のように白く輝くレクサス LC500が、
静かに、まるで"艶"そのもののように姿を現す。
そして、そのドアが開いた。
カナタ「……すみません、ミルキークイーンさん。ほんとすみません……その格好でいくんですか……?」
ミルキークイーン「え? はい〜〜……♡」
カナタ「それ……完全に痴女のやることですよ……?」
ミルキークイーン「え〜〜……ショックですわ〜……これでもお上品なつもりだったんですけれど〜〜?」
花「エーペックスカップって服装自由だけどさ……さすがにそれは……!」
ミルキークイーンの服装は、
上は肩の大部分を露出したホワイトシフォンのオフショルダートップス。
下は極端に短いミルク色のプリーツスカート。
ヒールではないが、運転用のローファーパンプスに白のタイツ。
だが、最も注目されていたのは、
背中のレースからチラリと覗く"氷のような宝石の文様"。
伊藤「いやもうこれ走る宝石だろ……いや、氷姫か……?」
若林「い、いえ!レースは自由ですからね!?車検も通ってますし……!」
フェルリア「……なんというか、走るヴィーナスですね。目を逸らすのが礼儀か、見つめるのが失礼か……わからなくなる……」
ギャアアアアアアアアア!!!!!!
若林「きたあああああああ!!!LC500、ミルキークイーン!いきましたァァァ!!!」
吐息のようなスロットル開度から一気に踏み込む!
ギュオォォンと唸り、5リッターNAのサウンドが松島の空気を震わせる!
カナタ「すごい、、、ライン取りが浮遊してるみたいだ……!」
花「え?なにあのターン……魔法?」
ミルキークイーンのLC500は、
コーナーに入る直前でスーッと減速し、
そのままグリップを残したままふわりとアウトインアウトのラインを通過していく。
フェルリア「まるで氷の上を滑っているような……」
伊藤「違うぞ……あれ、雪の下にうっすら氷があるんだ。しかも滑ってない。ちゃんと操ってる……」
若林「第2セクターも速い!速いぞミルキークイーン!!!」
「その優雅さとは裏腹に、鋭すぎるコーナーへの刃のようなライン取りッ!!」
ミルキークイーン「うふふ〜〜……お兄様たち、もっと私を見ていてくださいましね〜〜……?」
車内でのミルキークイーンはほぼ無表情。
だが口元だけが、うっすらと笑っていた。
「ふぅ〜……」
最終セクション、吐息とともにステアリングが滑る。
空気ごと……コーナーが氷に包まれたかのようだった。
ギュアアアアアアア!!
若林「ゴール!!!!」
「なんとおおおおおお!!!!!」
「2位ィィィィィ!!!!!!」
花「ぎゃあああああああああああ!!!!」
カナタ「え!?ちょ、あの走りでオレの86以外全部抜かれてる!?」
伊藤「え!?ってことは花も抜かれた!?」
花「やめろォォォォォ!!!!ミルキークイーンなんなのよォォォォ!!」
ミルキークイーン「皆さま〜、これがミルク氷の優雅な舞……ですわ〜……♡」
クレア「我じゃ!!我はクレアじゃ!!」
その声が響いた瞬間、まるで夜の闇を切り裂くようにコース脇の木々がざわつく。デビルカラーに染まったR35、ヘッドライトすら赤黒く鈍く光る異形のマシンが、唸りを上げながら姿を現す。
伊藤「はい、出ました変な闇の少女」
肩をすくめながら、だが明らかに内心は警戒している様子の伊藤。というのも、クレアの走りはただ速いだけではない——
若林「きたああああ!!!予選10人目!!闇の気配を纏いしGT-Rが今、地面を裂くようにコースイン!!」
解説席にも緊張が走る。
エアリ「走り方が独特ですね……タイヤの接地感が一定じゃない。彼女のR35……何か細工でもしてるのでしょうか?」
クレア「デビルドライヴをくらえ……」
そう呟くと同時に、マシンが爆ぜた。スモークと共にローンチ。タイヤスモークの中、GT-Rの鬼のような加速が始まる。
ズバアアアアアアアアアアア!!!!!!
R35がコーナーを斬り裂いた。直線では速度にモノを言わせ、コーナーではまるで車体がスライドしながらもピタリと決まるラインを踏んでいる。
花「え……あのR35、動き方が……なんかおかしくない!?」
ミルキークイーン「うふふ……ちょっとした闇属性ですわね〜……?」
相川「おいおい、俺のR35より、あっちの方がヤバい走りしてるんじゃねえか!?」
若林「いやぁああああ!!!!この娘ァ!!!スライドを多用してるゥゥゥ!!!でも無駄じゃないッ!!!それどころか路面を支配しているかのようなライン取りだああああ!!!!」
実況席が騒然とする中、クレアのGT-Rは最終区間を駆け抜けていく。
ブォォォォォン!!!!!!!
スピードトラップの表示が一瞬止まる。目を疑うようなタイムだ。
エアリ「……この子、ただの変なキャラじゃない。正真正銘の、化け物ですね……」
若林「出ました!2日目の記録ながら、トップ5を脅かすタイム!!腹切カナタの記録には届きませんが、確実に予選上位へ食い込む!!」
クレア「ふん……我が闇の速さ、見たか……?」
柊蒼真「俺だ……この白いFL5で行くぜ……!!!」
静かな声とともに、ピットロードから現れたのは、艶やかなパールホワイトのボディに包まれたシビックType R(FL5)。その目つきは鋭く、LEDライトの光が路面を舐めるように照らす。
若林「おっとおおおお!?!?!?出ました!!第11走者!!!柊蒼真ぁぁぁ!!!今回はなんとシビックType R FL5でエーペックスカップ初参戦ですううううう!!」
エアリ「これは興味深いですね……FF最強クラスのマシンを、この舞台に持ち込むとは。あのマシンで峠を攻めるというのは、制御力に絶対の自信がなければできませんよ?」
マシンは軽やかな音を響かせながら、グリッドに向かう。
そのステアリングを握る柊の表情は、どこか冷静で、そして何かに飢えているようにも見える。
カナタ「……あいつ、あの目……ただの参戦者じゃねぇな」
花「FL5であそこまでの雰囲気って……やばくない?」
ギュォォォォォォン!!!
エンジンが一際高い咆哮を上げ、ローンチ。
その瞬間、白いシビックが風を切り裂き、滑るように加速していく!
若林「いったああああああああああああああ!!!!!」
「柊蒼真、予選アタック開始だあああああ!!!!」
コーナー1つ目——
柊のライン取りは、FFであることを感じさせないほどスムーズ。タイヤはギリギリまでインを攻めながらも、VSAを切っているかのようなナチュラルな挙動。リヤが浮き上がるギリギリを狙って、彼はFL5を意のままに操っていた。
エアリ「……これはすごい。FFの特性を逆に活かしてる。荷重移動と前輪の粘りを、極限まで使い切ってますね……!」
フェルリア「なんてこと……この子、リアルで走っていた時代の私のライバルに似てる……。強気で、でも繊細なライン取り。コーナーの真ん中で一気にアクセルを踏み込んでくるの……!」
ズザアアアアアアアアアアア!!!
高速S字を抜けて、最終区間へ。
FL5の白い車体が、月明かりと照明の中で輝く。
伊藤「うわ……こりゃすげぇ……なんであんな走り方できんだよ、FFで……!」
花「ちょっとカナタと似てない?あのコーナーの使い方……」
若林「さあ!!ラストストレートに入ったぞおおおおおお!!!!タイムはどうだ!?どこまで食い込んでくる!?」
ギュオオオオオォォォォン……!!!
柊蒼真「岡田...お前には負けないぞ、、、!」
【記録更新・暫定3位】
若林「きたああああああああ!!!シビックがあああ!!!FL5がぁぁああ!!!暫定3位に食い込んだあああああ!!!!」
エアリ「FFでこの順位は快挙ですね。テクニックだけでここまで持ってきた、まさに職人芸……!」
クレア「ほう……ただの前輪駆動じゃないようじゃな……」
カナタ「やるな……蒼真」
柊蒼真「……次は決勝で、全部見せてやるよ」




