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86伝説エーペックス  作者: さい
峠のバトル編
135/136

パンツマン&ベンジョー ちとせを新型プレリュードで射殺せよ!

第4話

パンツマン「きたか……あいつを叩きのめす日がなああああ!!!」


――またかよ。これ何回目だろうか。


このセリフ、作者自身も数えるのをやめたぐらいには毎回恒例になっている。パンツマンにとっては“今日こそが本番”らしいが、その本番がもう三桁を突破しているのは言わないお約束である。


だが今日のパンツマンの目は違った。

彼の背後に停められた真紅のマクラーレン。

ただのマクラーレンではない。


パンツマン「出てよ!俺のウルトラストリンガーマクラーレン!18000馬力にチューンしたマクラーレンで行くぜえええ!!!」


狂気の沙汰だった。

18000馬力。数字のインフレもいいところである。タービンがいくつ刺さっているのか、エンジンはもはや地球製なのか、それ以前に路面が耐えられるのか。作者の頭すら追いつかない。


そんなパンツマンの隣で、もう一台エンジンが火を吹いた。


ベンジョー「こっちも行くよおおお!!!ついに買ったんだー!どうだー?新型プレリュードに4000馬力にチューンしたぜ!これでちとせもオジャンだあああ!!」


どうしてプレリュードを選んだのかは誰も分からない。本人曰く「フィーリング」らしい。4000馬力のプレリュード。VTECどころの騒ぎではない。


――そして標的はいつも通りの彼女である。


白いRZ34のエンジンが冷たく唸る。雪の気配をまとった少女、ちとせ。


ちとせ「……また来たんだね、君たち」


彼女はため息まじりにハンドルを握る。

その瞳は氷のように冷たいが、どこか面倒くさそうでもあった。


ちとせ「何度来ても結果は同じだって分かってるよね?」


だが聞く耳を持たないのがパンツマンandベンジョーの真骨頂。


パンツマン「今日こそ勝つ!絶対にだ!!」

ベンジョー「さあ始めようぜパンツマン!俺たちの伝説をッ!!」


轟音とともにマクラーレンとプレリュードが発進した。

地面が砕け、アスファルトが悲鳴を上げる。

マシンは直線でまるでロケットのように加速、常識を蹴り飛ばし、速度計の針はすでに限界を突破。


ちとせのRZ34は、しかし微動だにしない。

雪のように静かに、冷たく、コーナーの先へと消えていく。


パンツマン「くそっ!曲がれねぇぇぇ!!18000馬力が邪魔してやがる!!!」

ベンジョー「プレリュードも曲がんない!!パワーかけすぎたあああ!!!」


――だから言っただろう、無駄だって。


作者の心の声も虚しく、二台は直線番長のごとくコーナー外へ吹っ飛んでいく。

煙と砂塵を巻き上げながらガードレールに激突――するかと思いきや、ギリギリのところで車体を立て直した。


パンツマン「ふっ……こんなこともあろうかと!」


彼はおもむろに車体後部のスイッチを押す。


パンツマン「出ろッ!ウルトラストリンガー・ブースト!!!!!」


マクラーレンの後方から、もはや航空機と見間違うほどの炎が吹き出す。

18000馬力にさらにブーストを重ねる暴挙。

対するベンジョーも負けじと叫ぶ。


ベンジョー「いけえええええ!!プレリュード・ベンジョータービンフルブースト!!!」


プレリュードのボンネットが爆発しそうな勢いで火を噴く。

タービンが鳴き、地響きが山々にこだまする。


だが次の瞬間、彼らの視界を白い閃光が横切った。


ちとせ「……終わりだよ」


雪が舞った。

彼女のRZ34が、氷の風を纏ってコーナーを抜け、二台を一瞬で抜き去る。


パンツマン「な、なんだとおおおおお!!!」

ベンジョー「見えねぇ……!?速すぎる!!!」


エンジン出力では圧倒的に上のはずの二台が、まるで止まっているかのように置き去りにされる。

ちとせのマシンは無音。雪を踏むような静けさのまま、遠ざかっていく。


パンツマン「ぐぬぬぬぬ……だが俺にはまだ奥の手が!!」

ベンジョー「こっちだってある!!」


――またですか。


もう誰も驚かない。彼らは毎回こうやって奥の手を出し、毎回同じ末路を迎える。


二台が必死に加速しようとしたその瞬間、路面が凍りついた。

ちとせの力だ。氷結の道が目の前に伸び、マクラーレンとプレリュードのタイヤが悲鳴を上げる。


パンツマン「滑るううううう!!!!」

ベンジョー「止まれええええええ!!!」


ドガアアアアアアアン!!!!


マクラーレンとプレリュードが同時にスピン。

18000馬力と4000馬力が意味を成さぬまま、二台は見事なまでにコースアウトしていった。


ちとせはすでに遥か先。

白いRZ34は静かにゴールへと消えていく。


パンツマン「ま、まだだ……次こそは……」

ベンジョー「必ず……勝ってやる……!」


――だから何回目だよ。


作者すら呆れ返る中、また次の敗北フラグが立ったのだった。


白いRZ34が路面に冷たいスライド痕を刻みながら停止した。

吹き荒れる雪がランプの灯りをかすませ、夜の峠を白銀に染める。


パンツマン「な、なんだ……止まったぞ……?」

ベンジョー「ま、まさかビビったか……?これが俺たちの4000馬力と18000馬力の圧力ってやつかあああ!!!」


だが違った。

ちとせはドアを開け、冷たい風を背に立ち上がる。白い髪が闇に揺れ、氷点下のオーラが彼女のまわりを包む。


ちとせ「ねぇ〜?おじさんとふーふーしなあ〜い、、、、、?」


その言葉にパンツマンとベンジョーは同時に肩を震わせた。


パンツマン「ふ、ふーふー……?おじさんと……?」

ベンジョー「な、なんか聞いた瞬間に負けフラグ立ってない……?」


彼女は軽く指先を唇にあて、そのまま両手で頬を覆いながら、氷の吐息をため込む。まるで、恋人の耳元でそっと吹きかけるかのような仕草。だがそこに込められるのは熱ではなく――極寒の死。


ちとせ「ふぅ〜〜〜〜〜〜」


その瞬間、世界が凍りついた。

彼女の吐息が夜気を白く染め、アスファルトを一瞬で氷原に変える。


パンツマン「ひっ、ひええええええ!!!」

ベンジョー「お、おでこが凍るううううう!!!!」


二人が叫ぶ中、ちとせは首をかしげながら無邪気に笑った。


ちとせ「次は……マイナス1000度の吹雪、いってみよっか?」


ベンジョーは震える手でシフトを叩き込み、絶叫した。


ベンジョー「いけええ!新型プレリュードおお!4000馬力をちとせそのものに見せてやれええ!!!」


プレリュードのエンジンが絶叫し、タービンが火を吹く。

パンツマンのマクラーレンも負けじとブーストをかける。


パンツマン「ウルトラストリンガーマクラーレン18000馬力、最大出力ううううう!!!」


二台の怪物が咆哮し、ちとせに向け突進――


ズガアアアアアアアアアア!!!!


次の瞬間、世界は白銀に塗りつぶされた。

マイナス1000度の吹雪が前方から叩きつけ、路面が、車体が、空気が、一瞬で凍りつく。


パンツマン「うぎゃあああああああ!!!!」

ベンジョー「おしりがああああああああ!!!!」


二台の車体は氷塊と化し、最期の叫びをあげる。


パンツマン&ベンジョー「おっぽいぽおおおおおおおい!!!!」


氷像と化したマクラーレンとプレリュードは同時に粉砕。

残ったのは吹雪の音と、白いRZ34が去っていくタイヤ痕だけだった――。


第5話


エンジンの咆哮が白い峠に響きわたり、パンツマンとベンジョーは狂ったようにアクセルを踏みしめる。

18000馬力のマクラーレン、4000馬力のプレリュード。

二台の怪物が雪を裂き、氷の女王に挑みかかる。


パンツマン「くらええええ!!俺たちのパワーをなああああ!!!」

ベンジョー「4000馬力プレリュードが今度こそちとせを沈めるんだああああ!!!」


だが――


ちとせはゆっくりと息を吸い込んだ。

冷たい月光の下、白い髪が風に舞い、彼女の瞳に氷晶の光が灯る。


ちとせ「……じゃあ、マイナス1500度のふーふー、いこっか」


パンツマン「ま、待て、名前からしてヤバそうだぞおおおお!!!」

ベンジョー「逃げろおおおおおおおお!!!!」


だがもう遅い。


ちとせは両腕を広げ、まるで恋人を抱きしめるかのように優雅な動作でパンツマンとベンジョーを包み込む。

同時に、彼女の唇から吐息が零れた。


ちとせ「ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


それは死の吐息だった。

ただの冷気ではない。マイナス1500度。物質の分子すら震え、時間そのものが凍りつくかのような絶対零度に迫る世界。


パンツマン「ひええええええええええ!!!」

ベンジョー「だ、抱きしめるなああああああ!!!あったかそうに見えて冷たすぎるんだよおおおおおおお!!!!」


白銀の嵐が吹き荒れ、二台のマシンは一瞬で氷に閉ざされた。タイヤが砕け、エンジンが悲鳴を上げ、ボディがきしむ音が夜空を震わせる。


だがちとせは微笑んだまま、彼らをやさしく抱きしめ続ける。

まるで母が子を包むような――しかしそこにあるのは慈愛ではなく、氷結の運命だった。


パンツマン「うわあああああ!!!手足がああああ!!!」

ベンジョー「おしりが凍るうううううう!!!!」


そして最期の瞬間――

パンツマン&ベンジョー「おっぽいぽおおおおおおおおおい!!!!!」


氷像と化した二台と二人は粉々に砕け、吹雪の彼方に消えていった。

残ったのは静寂と、白いRZ34が去っていくタイヤ痕だけだった。


第6話


雪の峠で粉々に砕け散ったはずのパンツマンとベンジョーは、なぜか普通に復活していた。

理由はない。作者も気にしていない。パンツマンandベンジョーはそういう存在なのだ。


そして今夜――


ベンジョー「ついに……ついにパンツマンの家が誕生したらしいが……」


彼は息をのんで、その“家”とやらを見上げた。


ベンジョー「……なんだこれ……ハリボテだああああ!!!これじゃあ、ハリボテモーターズとかわんねえええええ!!!」


叫ばずにはいられなかった。

そこに立っていたのは、段ボールで作られたような外壁、ペンキで適当に書かれた“PANTS HOUSE”の文字、そしてなぜか玄関にぶら下がっている謎のパンツ型フラッグ。


パンツマン「どうだベンジョー!!これが俺のマイホームだ!!」


胸を張るパンツマン。だが風が吹くたびに壁がペコペコと音を立て、屋根の一部はすでにめくれ上がりかけている。


ベンジョー「これ家じゃねえ!文化祭の出し物だろおおおおお!!!」


パンツマン「ちがう!俺の魂だ!!」


ベンジョー「魂が安っぽすぎるんだよおおおお!!!」


作者(……いや、魂の問題じゃないと思う)


パンツマンは段ボールの扉を豪快に開けてみせた。

中にはハリボテのキッチン、ハリボテのベッド、ハリボテのテレビ――いや全部段ボールである。


ベンジョー「なんで家具までハリボテなんだよおおおお!!」

パンツマン「リアルだと壊されるからだ!!!」


そのときだった。

外からタイヤの音が近づいてくる。


ちとせの白いRZ34が雪煙を上げ、ハリボテハウスの前で静かに停まった。


ちとせ「……なにこれ?」


冷ややかな瞳がパンツマンの家を一瞥する。


パンツマン「み、見るなああああ!!!」

ベンジョー「いや見られて困るのはお前の建築センスだろおおおお!!!」


次の瞬間、ちとせはふぅ〜と冷たい吐息を吐いた。

マイナス1500度の吹雪がハリボテハウスに直撃。


ベンジョー「ぎゃああああ!!!壁がああああああ!!!」

パンツマン「俺の家があああああああああ!!!!」


屋根も壁も、ものの数秒で氷の彫刻と化し、パキィィィンと崩れ落ちる。


ちとせ「……なんか勝手に片付いたね」


白いRZ34は再び走り去り、残されたのは氷漬けのパンツマンとベンジョー、そして粉々になった段ボールの山だけだった。


粉々になったハリボテハウスの残骸の中で、氷漬けになったパンツマンとベンジョーがピクリとも動かない。

白いRZ34の横で、ちとせは腕を組み、静かにため息をついた。


ちとせ(まったく……何回目なのよ、これで……)


そのとき!

内藤「えへへー!ちとせさん来ちゃった〜!」


甲高いブレーキ音と共に、黄色のAudi R8が雪煙をあげて止まった。助手席にはお菓子の袋、後部座席にはなぜかクッションとぬいぐるみ。完全にドライブ気分である。


ちとせ(チッ……!内藤かよ……)


無意識に舌打ちが出る。内藤セリナの無邪気さが、いまだけは邪魔に思えた。


内藤「わぁー!ちとせさんと一緒に走れるなんてうれしー!」


彼女はパンツマンとベンジョーが氷像になっていることにまるで気づいていない。


内藤「ところでこの段ボールの山なにー?イベント会場ー?えへへー!」


ちとせ「……イベントっていうか、ただの事故現場」


内藤「えっ、事故!?えっ、だれが!?だれがやられたの!?」


パンツマンとベンジョーの氷像が、ちょうどタイミングよくバキバキと音を立て、亀裂が広がる。


内藤「うわっ!!動いた!動いたよちとせさん!!」


パンツマン「うおおおおおおおお!!!復活だあああああああ!!!」

ベンジョー「まだ負けてねええええええええ!!!!」


粉々になった氷の中から二人が立ち上がる。内藤セリナは完全に初対面だ。


内藤「えっ、えっ、だれこの人たち!?なんで叫んでるの!?ちとせさんの知り合い!?」


ちとせ「……知り合いっていうか、勝手に来るバカ」


パンツマン「バカとはなんだバカとは!!!」

ベンジョー「俺たちは伝説だあああああ!!!」


内藤「ええぇぇぇ!?なんかよく分かんないけどすごい元気!!」


パンツマンとベンジョーはエンジンを再びかけ始め、雪煙を巻き上げて暴れ出す。


ちとせ(……最悪だわ、内藤が来たことでさらにカオスになった)


雪煙をかき分けるようにして、パンツマンの怒声が響いた。


パンツマン「おらああああああああ!!!!!!」


内藤「うわっ!?なに急に!?」

ガアアアアン!!!!


パンツマンのマクラーレンP1がエンジンをかけた瞬間、地面が揺れ、空気が震える。

轟音、衝撃、まるで地殻変動。


パンツマン「見せてやるよ!!マクラーレンP1!!18000馬力のなぁぁぁぁぁ!!!!」


ベンジョー「いけえええええええ!!!今日こそ勝つんだああああああ!!!」


だがその横で、内藤セリナはきょとんとした顔で言った。


内藤「……てかさ、それって1万8000馬力ってことは……走り出したら即爆発するんじゃーー!?」


パンツマン「えっ」

ベンジョー「えっ」


一瞬だけマクラーレンのエンジン音が止まった。

だがすぐにパンツマンは首を横に振る。


パンツマン「だ、大丈夫だ!!たぶん!!!」


たぶんじゃねぇw

次の瞬間、アクセル全開。


ズガアアアアアアアアアアアアアア!!!!


マクラーレンP1が雷鳴のような轟音と共に走り出す。

タイヤがちぎれそうな勢いでスリップし、エンジンからは火柱。


内藤「ほらーー!!言ったじゃん!!爆発するってーーー!!!」


ベンジョー「やばい!やばい!ボンネット光ってるううううう!!!」


ちとせは白いRZ34の中で、眉ひとつ動かさず冷静に見ていた。


ちとせ「……勝手に自滅してくれるなら楽なんだけどね〜もへもへ〜...」


ズガガガガガガガガガガ!!!!


パンツマンのマクラーレンP1が18000馬力の暴力で加速し、ベンジョーの4000馬力プレリュードも負けじと追いすがる。

地面が裂け、アスファルトが砕け、雪の峠は完全に戦場と化していた。


パンツマン「見ろおおおおお!!これが18000馬力の力だあああああああ!!!」

ベンジョー「プレリュードだって負けねええええええええ!!!」


内藤「だから絶対爆発するって言ったのにぃぃぃぃぃ!!!」

ちとせ「……またか」


そして次の瞬間――

ドコオオオオオオオオオオン!!!!


夜空が真っ白に染まるほどの大爆発。

炎と氷が交錯し、プレリュードとマクラーレンが宙を舞い、タイヤもボディもバラバラになって雪山に突き刺さった。


パンツマン&ベンジョー「おっぽいぽおおおおおおおおおい!!!!」


断末魔が峠に響き渡り、爆煙と共に二人の姿は再び消えた。


内藤「え、えええええええええええ!?

なに今の!?!?!?」

ちとせ「いつも通り」


内藤「いつも通り!?!?」


RZ34の白いボディに雪が積もり、ちとせは静かにエンジンをかけた。

彼女にとってはもう見慣れた光景。

パンツマンとベンジョーが爆散しては復活し、また爆散する――この無限ループこそが日常なのだ。


爆発したマクラーレンとプレリュードの残骸が宙を舞い、夜空を越えて――


ドガガガガガッ!!!


パンツマンとベンジョーの体は、なぜか無傷のまま吹っ飛ばされ、雪山を転がり落ちていく。


パンツマン「うわああああああああ!!!」

ベンジョー「どこまで落ちるんだああああああ!!!」


そして彼らが着地した先は――


花「なんでアンタたちここにいるんだよおおお!!!!マジで消えろよォォォォ!!!!」


そう、よりによって山吹花と伊藤翔太の真上である。


バゴオオオオオオオオオン!!!!

盛大に地面に叩きつけられ、雪煙が舞い上がる。


伊藤「え、ええええ……!?どこから降ってきたのコイツら……」


花の目がギラリと光った。


花「ほんっとにいい加減にしなさああああああああい!!!!」

ビシャアアアアアアアアアン!!!!!!


青い雷撃が夜空を切り裂き、パンツマンとベンジョーを直撃。

電撃と爆発が重なり、地面が揺れ、あたり一面が青白い閃光に包まれる。


パンツマン「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

ベンジョー「お、おしりが燃えるううううう!!!!」


そして――

パンツマン&ベンジョー「またしてもおっぽいぽおおおおおおおおおい!!!!!」


盛大な断末魔と共に、パンツマンとベンジョーは今度こそ黒焦げになって吹き飛んでいった。


伊藤「あ、、、」


伊藤翔太はただ呆然と立ち尽くし、雷撃の余波で髪の毛がチリチリになっていた。


花「次降ってきたら本当に埋めるからな……!」


青い雷撃が夜空を切り裂き、爆煙と衝撃で地面が揺れる。

パンツマンとベンジョーの断末魔が木霊し、その体は花の雷撃で完全に吹っ飛ばされていった。


花「ふぅぅぅぅ……」


肩で息をしながら、青い稲光を散らす花。

そんな彼女に駆け寄ったのは――


伊藤「花……大丈夫だったか?怪我は……」


伊藤翔太の声は少しだけ震えていた。

さっきまでの爆発と雷撃の嵐で、あたりは木々が裂け、雪が溶け、地面に黒い焦げ跡が広がっている。


花「大丈夫……平気よ、翔太」


少し息を乱しながらも、花は強がるように笑った。彼女の髪先にはまだ青い電気が残り、雪煙の中でちらちらと光っている。


伊藤「そっか……よかった」


彼は花の肩に手を置き、無事を確かめるようにゆっくり頷いた。


一方そのころ――

パンツマン「うわあああああああああ!!!!」

ベンジョー「どこまで飛ばされるんだあああああああ!!!」


雷撃で黒焦げになったパンツマンとベンジョーは、完全に制御不能のまま山を越え、川を越え、村を越え、夜空の彼方へと吹っ飛んでいった。

ドゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!


遠くでまた小さな爆発音が響いたが、それが彼らのものかどうか、誰も確かめる者はいなかった。


花「次また降ってきたら……今度は本当に許さないから」


彼女は静かにそう呟き、青い瞳を細めた。


雪煙がまだ完全に晴れきらない中、黒いEVO9MRがゆっくりと峠に入ってきた。

運転席から降り立ったのは黒川海斗。

彼は腕を組み、さっきの爆発と雷撃の跡を見てニヤリと笑った。


黒川「にしてもよぉ……あんな奴らに好かれてるなんて、バブーおかあちゃーー」


花「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」


一瞬、空気が凍りついた。

山吹花の眉がピクリと動く。

黒川の言葉が意味するところは分からない。だがムカつく。それだけははっきりしていた。


花「お前は笛でも吹いとけええ!!!!」

バシィィィィィィィン!!!!


花の手に握られていたリコーダーが、青い稲光と共に黒川の胸に突き刺さるように叩きつけられた。


黒川「ぐほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

EVO9MRのボンネットがビリビリと帯電し、黒川はその場でバチバチと感電しながら地面に膝をついた。


花「次なんか言ったら、口からリコーダー吹かせるからな……!」


黒川「お、おかあちゃ……じゃなかった!

おねえちゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

花「それもちがうんだよおおおおお!!!」


伊藤翔太は横で完全にドン引きしていた。

伊藤「花……武器のチョイスがどんどんおかしくなってないか……?」


花「うるさいッ!!!!...そ、そんなことないから、、、それにーー」

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