第122話β 証
カナタ「抜かれてしまった......」
でも、俺は...追いつこうと思っていない。
楽しめればそれでいい。今、この長い道で魂を感じればそれでいいんだよ__。
それさえあれば他の要素なんて削ぎ落としてしまえ。
山吹花「抜けた......!」
紅い戦闘機が右コーナーで外側にガードレールにぶつかる寸前で膨らんでいた。
....これは追い抜いていくチャンス___!!!!
チャンスを手に入れたからにはこのままゴールさせてもらうわ......!
山吹花がアクセルを踏み倒すと、青いWRXがどんどん爆発して突き進んでいく。
まるで飛び回る野獣のように突き進んで行く!
そしてそのままゴールへと走っていくWRX
山吹花「やった......1!カナタに勝ったわ!」
カナタ「負けたのか......?」
追いつけないくらいのスピードでWRXがグングン突き進んでいく。
カナタ「まだ、負けたわけじゃない___!」
紅い戦闘機が次のコーナーの立ち上がりで再び追い上げをする。
伊藤のスイスポも血がづいてきている......!!!
オレがカナタにあげた大切な86......。
可愛がってやれなかった86がこんなに曲がって強くなろうとしている___。
少しでもオレは、なにかカナタに並べるくらいの実力は生まれないのだろうか?
......一度コーナーで離したはずなのに.......!??
アンタも相当、化け物......!!!!
その立ち上がり加速で本当に2リッターNAなの!?
......ふざけないで。私のWRXは400馬力。
特別にハイカムチューンしてもらえたものよ......。
私のWRXを舐めるな____!!!
86が近づいてくるが、WRXも負けじと粘る2台
そして86がコーナーでWRXの横にねじ込む……!
横一線になって86がWRXがブレーキングした途端仕掛けてくる___!!!
山吹花「クソ…!なんで......!86がまた食いついてきた......!??」
なんでそんなに貼り付けるの___ッ!??!?」
カナタ「この勝負…捨てた物じゃないな!!!
......いける__!!」
張り付いたまんまで後ろから離れないカナタの86、逃げる山吹花のWRXに
それを一番後方から見守りながら追い抜きのポイントを図るスイスポ。
3台の深夜の峠バトルはさらに加速していく。
ンバァァァァァァァァァ!!!!!
ゴオオオオオオオオオオ!!!!!!
ブオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
伊藤「いつどこのタイミングで仕掛けるか…そこが肝だな…」
オレもすっとこんなところでうじうじしていられっかよ......!!!!
そろそろ前に出させてもらうぜ......!!!!
コーナーでもアクセル全開で曲がればFFでも差をつける事ができる___!
非力なマシンこそ志向のハンドリングスポーツだ......!!!!
山吹花「......来た。86!!!!!!!!!!」
ブオオオオオオオオオオン!!!!
ドカァァァァァァァン!!!!!!
速い......!!
私のWRXでもここまでオーバーにケツ振ってドリフトなんかできない......!!
とんでもないかも......!紅い戦闘機__!
やっぱり、私の憧れ......!!
これが......戦闘機に乗るものの強い証_____!!!
86がドリフトして来る姿に感激する山吹花、そして未だに前へでるタイミングを
見計らうスイスポ伊藤。