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86伝説エーペックス  作者: さい
第2シリーズ 86伝説再び!!!!相馬編
121/137

第110話 想いを込めたチェッカー/古田ドライブ

山吹花によるチェッカー。

紅い戦闘機と黒い絶対王者のNSXがついに並ぶ光景を全世界が見届けることになった。

ゴールまで残りわずか

路面は突然のゲリラ豪雨に濡れ、タイヤが悲鳴を上げている。

アスファルトの黒が光り、ヘッドライトの反射で路面がまるで鏡のように輝く。


実況「ゴールまであと数百メートル……しかし!この豪雨で視界は最悪だ!」

エンジン音と水しぶきが混ざる中、誰もが息を呑む。その頃、コンビニの店内では――。


サテラ「え?マジ?」

???「姉さんは...?」


4人のざわめきが走る。レースをモニター越しに追っていたメンバーが、

花の姿がないことに気付く。

椅子の上に置かれた手紙。

それは花らしい丸い文字でこう書かれていた。


『いってくる』


ちとせ「ほぉ〜?いってきな?花ちゃん......。」


その瞬間、外から聞こえるのはボクサーエンジンの重低音。


ドロロロロロロッ!!!!

コンビニ前の駐車場を飛び出す純白の影――

花のWRX STI。

青い電撃をまとったように妖しく光るボディライン。

フロントリップから滴る雨が水飛沫に変わる。


実況「おっとおおおお!!!ここで山吹花だぁあああ!!!」


花「……待たせたね、みんな。」

ようやく主人公3人目来ました笑

ブースト計が振り切れる。花はステアを握りしめ、濡れた路面に果敢に挑む。


終盤戦のゴール前

コース上では腹切カナタの赤い86が必死のラインを守り、

MRタカのシロン、吉田のNSXが並走。雨の勢いは止まらない。


実況「ゴールまで100メートルルルル!!!!!」


その背後から――。

ギャアアアアアアアアアア!!!!

WRX STIのエキゾーストが吠える。

花の車はスプラッシュを撒き散らし、

まるで豪雨の精霊のように飛び込んでくる。


花「カナタァァァァ!!!!!

いっけぇぇぇ!!!!!」


インカム越しに叫ぶ声が雨音に混ざり響く。

カナタの視界には、豪雨を割って走る白と青の閃光。


実況「チェックカーを持つのは……誰だ!? いや違うぞ!!!

今回はいつもの係ではない!!!」


そこに現れたのはコースサイド、チェッカーフラッグを掲げる山吹花。

レースだけでなく、仲間のために旗を振る彼女の姿がモニターに映る。

豪雨の中、長い髪も服もびしょ濡れ。

だが表情は力強い笑み。


花「カナタ……!勝ってぇぇぇぇ!!!!」

フラッグが宙を舞う。雨粒が旗に当たり、小さな水滴が光る。実況席も沸き上がる。


実況「まさかの……チェッカーは山吹花!!

ゲリラ豪雨の中でも彼女は走者を鼓舞しているぅうう!!!」

花「うおおおあああああお!!!

勝てよおおお!!!」


その時、カナタの瞳が煌めいて紅く闘争心を燃やす。

エンジン音、水煙、観客の歓声。

カナタ、シロン、NSX……そして花のWRX STI。

ゴールはもう目の前。


雨脚は止まらない。ゴール目前の路面は濡れ、まるで鏡のように光を反射し、そこを駆け抜けるエンジン音とタイヤの悲鳴が一つの楽曲のように響いていた。誰もが固唾を呑む。実況席のマイクから伝わる熱気も、コンビニのテレビ前で固まる仲間たちの息も、すべてが一点に収束する。


実況「そうでしたか……」


一瞬、実況の声が落ち着いたトーンに変わる。

しかし次の瞬間、別の声が静かに重なった。ミルキーだった。

ミルキー「でも……あの子……」


視線の先、雨に煙る遠方のストレート。その中を貫くのは赤い閃光。

腹切カナタの紅い戦闘機――トヨタ86前期型。その姿は泥水を巻き上げ、夜空に咆哮を響かせる。

ラインを刻みつけるようにシフトを落とし、一気に急加速。その進撃は止まらない。


実況「腹切カナタァァァァァ!!!??紅い戦闘機が、今……NSXと並んだぞ!!!!」


カメラが寄る。確かに並んでいる。白いライトの刃と赤い光点が重なり、

わずか数十センチの距離で張り合っている。まるで剣と剣が触れ合う音が聞こえるかのような緊張感。


吉田「おお……速くなってるな……?この雨で、それでもここまで……」


冷静を装った声。しかし、その心臓の鼓動は誰よりも速く高鳴っている。

視界の端に映る赤。雨粒がライトに反射して宝石のように輝き、まるで挑戦状のように迫ってきている。


カナタ「……まだ……終わらせない。このまま……吉田さんに並べる……ッ!!」


ステアリングを握る指が白くなるほど力が入り、目は真っ直ぐにゴールだけを捉える。クラッチとシフトを繰り返し、雨で滑る路面を巧みに制御する。後輪がわずかに流れる。アクセルを抜かず、逆に踏み増す。


ゴールまでわずかだ。

実況「残りわずか!!!!二台並走!!この状態で……!?まさかこのまま……」


観客も、実況も、コンビニで映像を見ている仲間たちも、誰もが息を飲む。

雨はさらに強くなり、視界を奪う。エキゾーストの音が雨粒を弾き飛ばし、タイヤが水膜を切り裂く。

滑るか、止まるか。誰も予想できない。


そして――。

実況「チェッカァァァァァァァァァ!!!!!!」


その叫びが全員の耳に突き刺さった瞬間、二台はゴールラインを駆け抜けた。

だがすぐには答えが出ない。映像が切り替わる。


15秒後。


電光掲示板に「暫定順位審査中」の文字。観客のざわめきが増す。

誰もが固唾を呑む。スマホのライブ映像にもコメントが飛び交う。


「え?今の何が起きた?」

「どっちが勝ったんだ?」

「86が?シロンも?NSXも?」


豪雨の中、髪も服も濡れたまま誰かがスマホを握りしめていた。

その画面には、赤く光る86、白いNSX、巨体のシロン、黄色のスイスポ、

さらに銀のエボ――あらゆるマシンが混線した最終区間の映像が映っている。


山吹花「……カナ……タ……」

呟きは小さく、しかし震えていた。

走り去るその姿を最後に、もう見られないのではないかという不安が胸を締めつける。


ライブ映像のコメントはさらに加速する。


「まさか、カナタ1位無理だった!?」 「どうなったんだ??」

「今、86、シロン、NSX、スイスポにエボがほぼ同時にゴールしたよな!?」


コメントが画面を埋め尽くす。誰もが答えを知りたい。しかし「暫定」の文字は消えない。

実況も困惑する。声を震わせながら言葉を繋ぐ。

実況「……ただいま、審議中……全マシンがほぼ同着に見えました……これは……前代未聞です……」


雨は止まない。路面は水を張り、光を反射している。

その水面には、走り去った各車の残したタイヤ跡が幾重にも重なっていた。


花は画面を見つめたまま動かない。唇を噛みしめ、祈るように手を握る。

心の中で叫ぶ。


花「カナタ……お願い……」


雨は依然として止まなかった。

エンジン音が一つ、また一つと止まっていく中で、雨粒が車体を叩く音だけが響く。観客席やモニター前の人々は誰一人声を出せない。まるでその場にいる全員が、審判の手を待つ裁判の被告のようだった。


カメラはゴールエリアを映し出している。そこには赤く濡れた戦闘機――腹切カナタの86が、

白いNSX吉田と並び停車していた。

そのすぐ後方には、黒々としたボディのシロンが巨大な影を落としている。

さらに少し離れた場所には、黄色いスイスポや銀のエボもエンジンを冷やしていた。


実況「……現在、暫定順位審査中です。審議委員会が映像とデータを確認しており……

公式結果の発表まで時間がかかる見込みです。」


その声には抑えきれない高揚と緊張が混ざっていた。

雨の匂いが漂い、現場の人々は息を飲み続ける。


モニター前、スマホを握り締めている山吹花。

画面の向こうにいるカナタに触れられそうで触れられない。

指が震える。唇がわずかに開く。


花「カナタ……っ……無事でいて……」

彼女の声は誰にも届かない。しかし、その目には確かに光があった。


SNSやライブ配信のコメントは爆発していた。


「タイム差見たい!」

「今の映像、スロー再生で見せて!」

「ドリフトで並んでたよな?!」

「エボも一緒にゴールしてたぞ!」


審判席ではスタッフが集まり、ヘルメットを脱いだドライバーたちが互いをちらりと見合う。

カナタの顔は雨で濡れていたが、その表情には不思議な落ち着きがあった。

86のボディには無数の雨粒が走り、まるで汗をかいているかのようだ。


吉田が声をかける。

吉田「……すげぇな、若いの。雨の中、ここまで……」

カナタ「……まだ、終わってませんよ。

勝つために、全部置いてきたんです。」

「全て置き去りにしても守りたいものがあったからこそなんですよ、、、、」

吉田「そうか、、、」


その声は震えていなかった。

シロンのMRタカは腕を組み、濡れた前髪を払った。

MRタカ「……おもしれぇな。

どの道、今日の主役はお前らだ。」


各車のマフラーからは熱い湯気が上がる。豪雨で冷やされ、蒸気がまるで煙幕のように漂う。


コンビニの中でも、仲間たちが声を潜めていた。

サテラ「結果……まだ?」

ちとせ「焦らない焦らない。結果を待つのも勝負のうち。」

ミルキー「……でも……」


時間だけが過ぎていく。

そして――


ピッという電子音。

電光掲示板が一瞬だけ明るく光った。


実況「おおっと……今、暫定結果が……!?」


誰もが息を詰める。

モニターの数字はまだ確定ではないが、1位、2位、3位の表示が点滅している。


花「……お願い……」


その声と同時に、場内アナウンスが響き渡った。


運営「ただいまゴールライン同着の可能性が確認されております。

現在、スロー映像およびセンサーの解析中です。」


再び会場がざわめいた。

雨が止む気配はない。

しかし、その轟音の中で、確かな鼓動があった。


雨音が舞台の全てを包み込む。濡れたアスファルトに映るネオンが歪んで揺れる。誰もが目を離せない。

スロー映像が繰り返し流れた。ゴールラインを切る瞬間、腹切カナタの赤い86、白いNSX吉田、黒いシロン、黄色いスイスポ、銀のエボがわずかな差もなく並んで映っている。


実況「……この映像では判断が難しい!各車が完全に横並びです!」

観客のざわめきがさらに大きくなる。SNSも爆発していた。


「どうなるんだよこれ!」

「まさかの5台同着?」

「センサー頼みか?」


各車のピット付近では、ドライバーたちが静かに結果を待っていた。

吉田は車を降り、濡れたヘルメットを取って深呼吸する。

MRタカは不敵に笑い、シロンのボンネットを軽く叩いた。

そしてカナタはハンドルに手を置いたまま目を閉じていた。


カナタ「……あの一瞬に全てをかけた。結果がどうでも……悔いはない。」


だが、悔いがないと言いながら、胸の奥では何かを強く願っていた。

ゴールラインの先に目をやる。そこには雨に濡れたチェッカーを持つ山吹花が立っていた。

彼女の服はびしょ濡れ、髪は顔に張り付き、それでも笑顔を絶やしていなかった。


花「……カナタ……」


ライブ映像に映るその姿に、コンビニにいる仲間たちも静まり返る。

サテラ「……花、すごい顔してる。」

ちとせ「……そりゃそうでしょ。弟分みたいなもんだからね、あの子。」


時間が経つ。

スタッフがヘッドセットで何かを話し、審議の結果を受け取る。電光掲示板の点滅が止まる。


実況「……結果が出るか!? まもなく公式アナウンスです!!」

雨粒が落ちる音だけが響く。

花は目を見開き、フラッグを強く握りしめる。


アナウンス「ただいまゴールシーンを解析した結果をお伝えします。1位……暫定……」

誰も息をしない。

その声は一瞬途切れ、雨音が強調されたかのように響いた。


アナウンス「同着判定となります。」


場内が揺れた。

歓声、驚き、笑い声。観客もSNSも騒然とする。

「まじで!?」

「同着って……全員1位!?」

「いやいや、そんなこと……」


実況「前代未聞!! なんと……腹切カナタ、吉田、MRタカ、伊藤、古田……5台がほぼ同時ゴールという結果です!!」


雨に濡れたドライバーたちは顔を見合わせた。

吉田は肩をすくめ、笑った。

吉田「……面白ぇじゃねぇか。」

MRタカ「これで終わりってわけじゃねぇ。次がある。」


そしてカナタは視線を花に送った。

花は涙混じりの笑みを返す。


花「カナタ……やったね……!」


WRX STIの青い瞳のようなヘッドライトが遠くで光った。

彼女の車は走り出す準備をしていた。

次の戦いに、彼女も混ざるのだ。


実況「豪雨の中、ドラマチックな結末!! 次戦はどうなる!? 86伝説、続きはまだこれからだ!!」


雨はまだやまない。けれど、観客の心を揺さぶった緊張はついに解かれる瞬間を迎えようとしていた。

電光掲示板が再び点滅し、アナウンスが場内に響き渡る。


アナウンス「……最終判定をお知らせします…!!」


全員が息を呑む。

そして、その瞬間――


アナウンス

「1位……NSX吉田ァァァァァァァ!!!!!」


まるで雷鳴が落ちたかのように、会場が爆発した。歓声が弾け、

傘を投げ捨てる者まで現れる。雨粒が喜びの涙に見えるほどの光景だった。

豪雨を突き抜け、白く輝くNSX。そのシルエットは濡れた路面に反射して、

まるで王冠をかぶった王者のようだ。


実況「絶対王者、吉田!!ブガッティシロンの追撃をも退けて、堂々の1位だぁぁぁぁぁ!!!」


観客席も、SNSも、世界も沸いた。


「おおーー!!」

「見事だったわ!吉田!」

「世界で吉田のための祭りだ!!!」


海外の配信コメントも一気に英語や他言語で埋まっていく。

まるでその夜、全世界がこの男を祝福していた。


だが、もうひとつ歓声が沸き起こる。


アナウンス「そして第2位……!

腹切カナタァァァァ!!!!!」

「赤い戦闘機が再び2位についてゴールインッ!!!」


雨に煙る中、赤い戦闘機――トヨタ86が

スポットライトを浴びる。

前期型、NAエンジン、TRDマフラー搭載。

ターボも過給器もない、まるで原石のような存在が世界最高峰の化け物たちに挑み、

ここまで喰らいついたのだ。


実況「赤い閃光!!2位は腹切カナタ!!!

しかも……これはNA前期モデル!!TRDマフラー搭載の86だぞ!!!?」


観客「これでNAなの!?」

観客「嘘だろ!?どうやってあの怪物たちについていったんだ!?」


カナタの車は雨に濡れ、ボンネットの赤が暗闇でより鮮烈に輝く。

マフラーから吐き出す水蒸気は白い煙のようで、疲れ切った獣が息を整えているかのようだ。


カナタはヘルメットを取らずに軽く頭を下げる。

そこには驚きも悔しさも混ざるが、何よりも充実感があった。


花「……カナタ……すごいよ……」


コンビニで映像を見守っていた仲間たちも歓声を上げた。

サテラ「これ、世界レベルだよ!?86が……!」

ちとせ「やっぱり面白いわ、この子。」


シロンのMRタカも苦笑しながら手を叩く。

MRタカ「いやぁ……やられたな。だけど悪くない、腹切カナタ。」


吉田は雨の中でフロントガラスを拭い、静かにマシンを降りた。

勝者の余裕、それでいて対戦相手へのリスペクトを忘れない笑み。

吉田「……いい走りだった。誰よりも近かったぞ。」


カナタ「……次は負けません。」


雨粒の中で交わされた短い言葉。

そこには王者と挑戦者、年齢や経験を越えた共鳴があった。


世界はまだこの夜を忘れない。

白と赤の閃光。NA前期モデルのTRDマフラーが轟かせた響き。

そのすべてが、伝説の新たな1ページとして刻まれていく。


0.01秒差でNSXがギリギリ立ち上がりの差の判定が次に出たのが真の最終判定。

全世界、ライブを見ている人達全てが度肝を抜かす。NAのトヨタ86でNSXNA1に張り付く腹切カナタ。それは、凄まじい伝説の築き上げるスタートラインであった。


実況「真の最終判定!!!!

…なんとコンマ0.1秒!!!!?

絶対王者と腹切カナタの距離がコンマ0.1秒!!!」

※現代で言う0.01秒のことだよ。


花「え....えええええ!??」

ミルキー「あら〜コンマ0.1秒ですって〜

うふふ。」

ベルギー「......これは、強敵になりそうかも、、、!」


NSX吉田ァァァァァ!!!!

漆黒のブガッティシロンMRタカと赤い戦闘機トヨタ86使いの腹切カナタから

絶対王者を死守しましたァァァ!!!!


SNSの反応

「いいぞォォ!!!吉田ァァァ!!!」

「素晴らしいオーバーテイク!!!」

「やっぱり絶対王者1位かー!


最高だなー!!!!!」

「よっしゃァ!今日はいっちょ、宴やりますか〜!!!乾杯ィィ!!」


2位は、紅い戦闘機トヨタ86を縦横無尽に操る腹切カナタァァァ!!!!!

ベルギー「先程まで9位にいたのに、、、

これは奇跡です...ッ!すごいッ!!!」


SNSの反応

「惜しかった!カナタ!!!」

「ハラキリ!!!!ナイス!!」

「次、絶対王者仕留められそう!?」

「そんなにグリップ残してたの?」

「どんだけグリップ残してたんだよ。

最初使ってたらここで終わってただろうな。」

「これぞ86伝説、再びッ!!!!」


ーーそして、3位争いでは、伊藤翔太と黒川海斗、岡田大成、内藤セリナのバトルが繰り広げられている途中であった。

チェッカー手前の低速ヘアピンへの切り込み!!

4台がフルスロットルからシフトダウンしていくゥゥゥーーー!!!!


ンッッ...バァァァァン!!!!!

ドゴォォォォォォンッッ!!!!

ギィィィィィン!!!!!

ゴギャア!ゴギャァァ!!!


現在3位を走るのは黒川海斗!!!

4位が伊藤翔太!!!

5位岡田大成!!!

6位内藤!!!!

さらに内藤にM4柳津が張り付いているぞ!!!!このまま、逃げ切るのか!??それとも柳津にオーバーテイクされるのかァァァァァ!!???

ここから順位の変動は生まれるのかァァ!???


柳津「諦めねぇ...って言ってるだろォが......!」

内藤「せっかくまたオーバーテイクしてあげたのに〜......てことでアレ、またいっちょーー」

柳津「そっちがその気なら...こっちは特大ホームランだァァァァァ!!!」


ギィンッッ!

ギャアアアアアアアア!!!!!

M4が飛び出したああああ!!!

完璧にオーバーテイク成功です!!!!

リッチで至高のサックス音が雨のレース場で鳴り響くゥゥゥーー!!


やや遅れて...GR86とZ4が遅れて飛び出してきましたッ!


ギュィィィンッ!!!!!!

ゴオオォォォオォッ!!!!


濱「速いッーーー!だが、そこのZ4は抜けれる。カフェラテのカップの中身もない

抜け殻のようにガラ空きだぜ!アウトーーッ!!!!」

古田「......行かすかよッ!!俺の大事なところ突かせるわけねェだろォ!!!」


濱さんのGR86抜けるかーーー!!???

Z4がピンチに陥るゥゥゥーーー!!!!


濡れた路面に、Z4のタイヤが刻む音がこだまする。

視界の先に、白い閃光――濱のGR86がじりじりと迫ってきていた。


古田「マジか……!最大限ことはしたんだがなッ……」

雨粒を弾き返すワイパーが激しく動く。息を整えながら古田は舌打ちをした。

だがレースはまだ始まったばかり。この攻防は序章に過ぎない。


実況「Z4古田、濱のGR86と並んだァァァ!!!」

解説ベルギー「確かに並ばれていますね……。このままでは二度目の審議調査すら考えられる展開です。」


後方から見守る仲間たちも息を呑んだ。

ミルキーは穏やかな声で言う。

ミルキー「うふふ~…。でもあのZ4から、どこかオーラを感じますの……なにかありそうでー」


確かに、銀色の弾丸のようなZ4には不思議な迫力があった。

何度も修羅場を潜り抜けた古田の意地。今夜はそれがむき出しになっていた。


濱は微笑んでいた。

GR86のハンドルを握りしめ、あえて古田には見せない。だが確かにニヤリと唇の端が上がっている。


濱「ここからだ……。絶対に退かない。」


古田はハンドルを握り直した。

古田「見せてやるよ……俺の必殺、スーパー・ヒールアンドトゥ!!!」


ギアを落とし、同時にアクセルを踏み増す。

クラッチ、ブレーキ、アクセル――三つの操作をまるで一つの動作のように繋げる。

その一瞬、車体は雨を弾いて加速を始めた。


実況「古田のZ4、怒涛の追い上げ加速を開始!!」

解説「強烈なヒールアンドトゥをGR86にお返しだぁぁぁ!!」


濱「うそだろッ!?巻き返した……!?こんなに重量配分を抑えているのに……そんな技量で平気でいられるのかァ……!?」


白いGR86のテールがわずかに揺れた。

古田の猛攻は、まるで獲物を狩る狼のようだった。


古田「甘いな……!俺のZ4は今日は絶好調だ!!オープンカーを馬鹿にするんじゃねぇ……!!」


その声は雨に消え、だが轟音で周囲に伝わった。

アクセル全開。Z4が一気に飛び出した。


実況「Z4が3台バトルを制したァァァァ!!!白いGR86をオーバーテイク!!!!」


観客が総立ちになった。SNSにもコメントが溢れる。


「Z4キター!!!」

「古田、まだまだ現役!」

「濱も頑張ったが……これは老練の意地だ!」


パァァァンッ!!

雨を叩きつけるような音とともに、Z4が前に躍り出る。


濱は歯を食いしばった。

濱「……まだだ……俺は諦めない……!」


その声は車内で消えたが、テールランプの赤が答えていた。

GR86は食らいつき続ける。古田と濱の差はほんのわずか。

再び次のコーナーで、攻防が繰り返されるのは間違いなかった。


実況「古田、オーバーテイク!!しかし……濱も引き下がっていない!!この雨、この状況で……まだまだ勝負は終わらないッ!!」


豪雨のなか、2台のマシンは火花を散らし続けた。


銀の弾丸Z4が雨を切り裂き、白いGR86濱が必死に追いすがる。

だが、その背後からさらに異質な音が轟いていた。


ドロロロロロロロッ!!!!


低く、重く、魂を揺さぶる直6ターボの咆哮。

振り返った濱の視界に、赤く染まったモンスターが現れる。

濡れたアスファルトに赤が滲み、まるで血潮のように光っていた。


実況「おおっとォォォォ!!!!ここで新たな影が迫っている!!!」

実況「赤い80スープラァァァァァ!!!!!」


観客が息を呑む。SNSのコメント欄が一気に騒ぎ出す。


「誰だ!?赤スープラ!?」

「80来たあああああ!!!」

「音がヤバすぎる……心臓に響く!」


そして、運転席の中でその男は笑んでいた。

東條ヒカル――狂気すら孕んだ視線を持つ男。


東條「……追いついてやったぜ、古田ァ……濱ァ……。

雨なんざ関係ねぇ、ここからは俺の祭りだ……!」


Z4のバックミラーに赤い光が映る。古田は眉をしかめた。

古田「チッ……ここで来るかよ、ヒカル!」


雨粒を弾き飛ばす80スープラ。直6のタービンが唸りを上げ、加速はまるでミサイル。

濱のGR86に一瞬で近づき、そのテールをかすめ取る。


濱「くっ……!?やばい……来る!!!」


東條「退けよォォォ!!!」


その叫びと同時に、赤いスープラはインを強引にこじ開けた。

重量級の車体が濡れた路面を抉りながら滑り込み、86の横腹にプレッシャーを与える。


実況「赤い80スープラがインを刺したァァァ!!!!」

解説「この雨でこの強引さ……普通ならスピンしてもおかしくありません!!」


だが、東條は笑い続けていた。

東條「スピン?冗談だろ……俺の80が滑るのは、勝利のラインだけだッ!!!」


濱は必死に耐える。

ステアを切り、テールを振り出しながらも食らいつく。


濱「まだだ……まだ退かない……!!!」


だが、赤いスープラの圧力は凄まじい。

直6ターボのパワー、重量の慣性、そのすべてを東條は意のままに操っていた。


古田も背後から見て、舌打ちする。

古田「……あの走り……全盛期よりも荒々しいぞ……!?」


Z4と赤いスープラが火花を散らし、その間に濱の86が巻き込まれる。

雨水が宙に舞い、視界が真っ白になる。


実況「3台が絡み合う!!Z4、GR86、そして赤い80スープラ!!!」

観客「うわあああああ!!!」「やべぇ!!!」「これ死闘だろ!!」


東條はさらに声を張り上げた。

東條「ここからは俺が主役だァァァァ!!!!古田ァ!!濱ァ!!まとめて沈めてやるッッ!!!」


スープラのテールが滑り、コーナー出口で白煙と水煙が混ざる。

まるで竜が咆哮するような光景。


濱「……クソッ……でも、負けない……!」

古田「やれやれ……若いのも化け物も、まとめて相手しろってか……!」


雨に沈む峠の直線。

赤いスープラ、銀のZ4、白いGR86

――三つ巴の戦いは、まだ結末を迎えていなかった。


パァァンッパァァンッッ!

ヴィィィィンッ!


実況「そこから東條の赤い80スープラに並んだァァァ!!!!!

2リッター4気筒180馬力の銀色の弾丸が280馬力の80スープラに再び迫るゥ!!!!!」

「リベンジなるかァァ!!??」


大外から東條の80スープラがZ4古田とGR86濱に接近中。今度は逆にGR86濱がZ4古田を抑えていたものが80スープラに2台が抑えられてしまうラインを取られる。


ベルギー「これはそれぞれのラインの争奪戦が繰り広げられていますね......。」

「まずZ4にGR86がハイスピードエントリーで急接近してZ4のラインを崩しました......。」


「このまま、GR86が抜けるのかと思いきやそこでZ4が見事なミートを掛けてきました。」

「ミートでZ4が急加速と思わせてヒールアンドトゥでシフトダウン。恐らくミートに急加速をかけたのもクラッチの調整でしょうね......。」


ミルキー「でそこで東條くんの80スープラが来たってことでしょ〜?爽快ですわね、、、」


東條「クッ!!!

ここに来て銀色のZ4が追い上げてきたのかッ!!??…悪いが、インには飛ばさせねェ!!」

古田「東條ヒカルーー。

80スープラの使い手か......。マニュアルのZ4のコーナリングはクラッチミートによるブレーキングも完璧だッ」


「追い越す時にここからすぐにある最終コーナーの低速ヘアピンでは、2速に切り替えてギュンギュン突き進む。……それがFRってこういうモンだろ?」


古田のFRドライブが始まるのかァァァァァ!!???

それとも、東條が前に出て内藤や岡田に合流するのかァァァァァ!!!????

腹切カナタと絶対王者のレースが終わってもまだまだ続いているぞ!!!!


さらに後方では、クリスタニールセンがBMW M4柳津をオーバーテイクしましたァァァ!!!!

やはりフェラーリ488GTSは速かったァァァ!!!!


柳津「......ここでクリスタかよッ!!!!」

クリスタ「甘いわねッ。私こそあなたよりグリップを残していた。」

石井「俺も忘れないでくれー!!」


ーーしかし、その間から銀色の弾丸ッ!!!!!!

Z4古田がきましたァァァァ!!!!!!


東條「どうなってんだよーーーッ!!!!!

このレースはァァァァ!!!!!!」

「ふざけすぎだァァァァァァァ!!!!!

これじゃあ俺が2台とも食われちまうじゃねぇかよぉぉ!!!」


古田「見せてやるッ!俺の古田ドライブをな……!!!」

クラッチを抜き、ヒールアンドトゥでギアを落とした瞬間、銀色の弾丸Z4が雨煙を切り裂いた。

ブォォォォォォォンッッッ!!!!

低く鋭い直列6気筒の咆哮が、闇夜の峠を震わせる。


実況「銀色のZ4が急加速ッ!!Z4古田の……古田ドライブが始まるのかぁぁぁぁ!!!!?」

観客が総立ちになる。SNSも狂乱状態だ。


「来たぞ!古田ドライブ!!」

「これ見たくて生きてた!!」

「雨の中でやるのかよ……化け物か……」


フロントを振り、わずかにインへ切り込みながらも、古田はあえてラインを外す。常識外れの角度。雨に濡れたアスファルトをタイヤが切り刻む。


東條「な、なんだァァァ!?どこ走ってるんだァァァァ!!??」

赤い80スープラの目の前で、Z4が路面の端――側溝すれすれのラインへ飛び込む。

普通ならスピンかクラッシュ必至。だが古田はアクセルを抜かない。


古田「こんな雨なんざ、関係ねぇ……経験で叩き込んだ俺の道を見ろ!!」

スープラのヘッドライトに照らされ、銀色の弾丸が水煙を纏い、まるで異世界の軌道を描く。その後ろ、白いGR86が目を丸くした。


濱「……まじかよ……あんなライン、聞いたことねぇ……!!」


実況「古田のZ4!!これは……通常のレコードラインではありません!!!??峠の外れ、わずかに残されたグリップゾーンを探し当てたかッ!??」

解説ベルギー「……古田さんは雨を読んでいる……!滑る場所ではなく、逆に雨で冷えて粘る“点”を踏んでます!!!」


東條のスープラが牙を剥く。

東條「クソッ……舐めやがってェ!!この俺を出し抜こうってのかァァァ!!」


直6ターボが吠え、スープラがアクセルを踏み込む。

だが、その巨体は雨でわずかに踏ん張りを失う。赤いスープラのリアがわずかに流れた瞬間――Z4は前に出た。


観客「うわああああ!!!」

SNS「銀色抜いたァァ!!」「これが古田ドライブだ!!」


濱も後ろで声を震わせる。

濱「嘘だろ……でも、俺も行く……!!」


彼の白いGR86が加速を始める。古田の残したわずかなラインをなぞるように、軽やかに飛び込んでいく。


実況「白いGR86濱も追随ッ!!!Z4古田の古田ドライブが後続を導くかのように軌跡を描いている!!!」


豪雨のなか、赤いスープラ、銀のZ4、白いGR86が絡み合う。

水煙はもはや壁。ライトの明かりが乱反射し、観客には蜃気楼のように見える。


古田「……これが俺の走りだ……!」

東條「ふざけるなァァァァ!!!俺を置いていくんじゃねぇぇぇ!!!」

濱「古田さん……マジで化け物だ……でも、俺も食らいつく!!」


実況「雨のヘアピンを制したのは……!

Z4古田ァァァァァ!!!!!」


豪雨の公道サーキット。

最終セクション

前方で銀色のZ4、赤い80スープラ、白いGR86が火花を散らしているその後方。

水煙に隠れながら、異質なシルエットが迫っていた。


白い軽バン――日産NV100クリッパー。

車体のサイドには「弁当万歳」と赤い文字が踊り、後部には積まれた大量の弁当箱。

そのハンドルを握るのは配達員・石井。苗字だけが公表される男は、ただの配達ドライバー。だが今、この雨の舞台で異例の存在感を放っていた。


実況「後方で激しいデットヒート!

クリッパーバン石井とR8内藤セリナにフェラーリ488GTS使いのクリスタがバトルしています!!!」

石井「……よし、まだ弁当は崩れてねぇな。配達ついでに、ここまで来ちまったか……!」


バンの小さなタイヤが水を切り裂き、驚くべきことにコーナーを器用に滑り込んでいく。

その後ろに、レモンイエローに輝くアウディR8。ポジティブな笑みを浮かべる内藤セリナだ。


内藤「うわー!楽しい!!石井さんのクリッパーバン、めっちゃ速いよ!?でも、私のR8、負けてらんないッ!!」


彼女の代名詞「フミッパスライダー」。

アクセルとブレーキを交互に踏み込み、強引にスライドを制御しながら加速するそのスタイルは、雨の峠で異様な輝きを放つ。

雨粒を散らすたび、黄色い閃光が路面を踊った。


さらに背後。

赤い閃光――フェラーリ488GTS。

クリスタの愛機が猛獣のような咆哮を轟かせる。


クリスタ「フッ……こんな雨でも、私の跳ね馬は暴れるのが好きなのよ!」

V8ツインターボの炸裂音。

フェラーリ特有の甲高いサウンドが豪雨を突き破る。


実況「後方でも激戦ッ!!白いクリッパーバン石井!対するはレモン色R8内藤!さらに赤い488GTSクリスタ!!!」


観客は騒然とする。

「おいおい弁当万歳のバン速すぎだろ!!」

「セリナのR8、完全に楽しんでるな!」

「フェラーリvs配達バンって……どういう組み合わせだよ!?」


雨で視界が悪い。

だが三台は一歩も退かない。


石井「弁当が揺れてる……!でも落とすわけにはいかねぇんだよ!!」

内藤「お弁当も一緒にゴールさせるの!?最高じゃん!!」

クリスタ「そんな茶番、私のフェラーリで終わらせてあげるわッ!!」


次のコーナー。

石井のクリッパーバンがインを突く。驚異的なステアリング捌き。重心の高いバンがギリギリで耐え、白い車体が水煙を上げて滑り込む。


セリナのR8がそれに並ぶ。

フミッパスライダーが炸裂し、テールを振りながらも加速を維持。ポジティブな笑顔のまま、まるで遊んでいるかのようにドリフトする。

内藤「やったー!!めっちゃ滑ってるのに楽しいッ!!!」


その外側をさらにクリスタの488GTSが襲う。

フェラーリのパワーで強引にアウトから差し込む。

クリスタ「雨だろうが関係ないッ!!跳ね馬の力を見せてやる!!」


三台が横並びになる。

白い軽バン、レモンイエローのR8、赤い488――色彩が雨の闇に交錯する。


実況「うおおおおお!!!横並びィィィィ!!!」


観客「弁当万歳がフェラーリに張り合ってる!!!」

「ポジティブR8、滑りすぎィ!!」

「これが下位争いとか信じられん……」


直線でフェラーリが前に出る。

だが、次の低速区間ではバンの小回りが活きる。

石井は弁当を積んだまま、ギリギリのラインで差し返す。


石井「……届けるもんがあるんだよ!そのために退けねぇんだッ!!」


内藤「カッコいいなぁ石井さん!!でも私も負けないよッ!!!」


彼女は笑顔のまま、再びフミッパスライダーを発動。

タイヤが悲鳴を上げ、雨水を宙に撒き散らす。R8のレモンイエローがライトに照らされ、幻想的に浮かび上がった。


クリスタ「甘いわ!!!」


488のパワーが炸裂。

アウトから2台を抜き去る赤い閃光。


実況「クリスタの488GTSが前に出る!!だがまだ終わらないッ!!!」


石井のバンとセリナのR8が再び追いすがる。

雨の最終盤、配達バンとスーパーカー2台が同じコースで激突していた。


内藤「あなた達にも見せてあげるわ!!私のフミッパをね!!!」


その声が豪雨を突き抜け、場内マイクにも拾われた瞬間、観客が沸いた。

「フミッパくるぞォォォ!!!」「セリナァァ!!!」

SNSのコメントも光速で流れる。

「フミッパ発動!!」「雨の中でやるの!?」「絶対クラッシュするやつやん……」


セリナは笑顔のまま、レモン色のR8をヘアピンに叩き込んだ。

ブレーキを踏み込みながら、右足でアクセルを細かく煽る。

――フミッ、パッ、フミッ、パッ!!

独特のリズムが車体全体を揺さぶり、R8のテールが大きく横へ流れる。

通常ならスピン。だが彼女は楽しそうにハンドルを切り、流れを利用してコーナーを駆け抜ける。


実況「おおおっとォォォ!!!これは危険極まりない動き!!いや、制御されているッ!!」

解説「フミッパスライダー……!雨の中でもここまで綺麗に決めるなんて……まるで氷上のダンスです!!」


クリスタの488がその横を見て目を見開く。

クリスタ「バカな……あの滑り方、制御不能のはず……なのに!!」


赤いフェラーリは咆哮し、インから抜き返そうとする。だが、R8はすでに体勢を立て直し、スロットルを解き放つ。

ヴァァァァァァァァンッ!!!

R8は弾丸のように直線へ飛び出した。


内藤「ほらね!!楽しいでしょ!?次は誰が来るの!?」


石井のクリッパーバンがその背中を追っていた。

積んでいる弁当箱が大きく揺れる。中身が崩れそうになりながらも、石井は歯を食いしばった。


石井「……崩れるなよ、弁当ッ!!

ここまで一緒に来たんだ!!!」


フル加速する軽バン。

4ナンバーの実用車が、R8と488の真後ろでエキゾーストを響かせる異様な光景に、観客席が大爆笑と絶叫で揺れた。


「弁当バンが食らいついてる!!!」

「R8とフェラーリに混ざるなよwwwクリッパーの癖にw86よりおせぇはずだろww」

「いや、これはこれで胸熱だろ……」


クリスタも怒声を上げる。

クリスタ「配達バンごときが私のフェラーリと並ぶなんて――許さないッ!!!」


488のターボが悲鳴を上げ、再び雨を切り裂く。

スリップストリームに入った石井のバンが、その気流を利用してさらに加速する。


実況「なんという展開だ!!R8セリナがフミッパで前へ出る!その後ろに488クリスタ!さらに石井のクリッパーバンがぴたりと張り付いている!!!」


セリナはバックミラー越しに2台を見て、にっこりと笑った。

内藤「じゃあもう一回!もっと強いフミッパをお見せするわね!!」


再びリズムが刻まれる。

フミッ、パッ、フミッ、パッ――。

タイヤが水膜を蹴り、スライドするR8。

まるで黄色い稲妻が豪雨の闇に軌跡を描くかのようだった。


ギュオオオオオ!!!


クリスタ

「チッ……遊んでるの!?

でも……抜かせはしない!!」

石井「弁当がゴールするまで、俺も退かねぇッ!!」


3台が最後の直線へ飛び込む。

観客は立ち上がり、SNSは止まらない。

「フミッパ決まった!!」

「石井頑張れ!!」「488の怒りがやばいwww」


豪雨のラストスパート。

レモンの閃光、赤い閃光、白い実用車が横並びでゴールへ向かう。

誰も予想できない――この異色の戦いの結末を。


古田「俺の古田ドライブいくぜ、、、!!!」


その声は車内だけにとどまらなかった。

パブリック通信を通じ、全員の耳に届く。豪雨のなか、銀色の弾丸Z4がアクセルを煽る音と共に、その言葉が響き渡った。


一瞬、静寂。だが次の瞬間――

実況「おおっとォォォ!!!今、全ドライバーに通信が飛びました!!『俺の古田ドライブいくぜ』!!!!」


観客席が爆発するように湧いた。

SNSのコメントも光速で流れていく。


「きたああああ!!古田ドライブ宣言!!」

「やべぇ!!雨の中でやるのかよ!」

「全員聞いたぞwww」「痺れるぜオッサン!!」

「うわっ…鳥肌立った…」


コース上、前後のドライバー達もそれぞれに反応する。


濱「……まじかよ……!Z4古田、本気出す気だ……!」

東條「クソッ……!なんで宣言してから加速してんだァァァ!!??」

セリナ「わぁ!めっちゃポジティブじゃん!いいね古田さん!!」

岡田「……派手にやるな、ほんとにオッサンは……」

伊藤「宣言通りに来るぞ……ッ!!」

黒川「……くくっ……聞いたぜ古田ァ!!!」


ピットでも仲間たちが盛り上がる。

メカニック「おい、あの人まだ踏む気だぞ!?」

スタッフ「やべぇよ……この雨で古田ドライブは危険すぎる!!」


観客の声も揺れる。

「オッサンが主役じゃん今日!」

「古田ドライブ世界トレンド入り!!!」

「もう泣きそう……」


実況も震える声で言葉を継ぐ。

実況「……雨の中、己の走りを全員に告げるその覚悟……!!まさに走り屋の魂、ここにありッ!!!」


そして――銀の弾丸が再び火を噴く。

古田「みんな、見てろよ……これが俺の……古田ドライブだァァァ!!!!」


エキゾーストが轟き、雨を裂くようにZ4が急加速する。

その姿に、観客もSNSも、仲間も、ライバルも、誰もがただ震えるしかなかった。


内藤パブリック

「私のは笑えるー?おほほほほほ!」


雨音を突き抜け、明るくポジティブな声が全ドライバーのヘッドセットに響いた。

普段からお調子者なセリナだが、フミッパスライダーを炸裂させた直後にこの通信。

それはレースの緊張感を一瞬で壊す、まるで舞台上のアドリブのような響きだった。


古田「……何を言う、、、」


低く唸るように返したその声も、パブリック通信に乗って全員に届いた。

場内は一拍の静寂。そして次の瞬間――


実況「おっとォォォ!!内藤セリナが……笑っている!?『私のは笑えるー?おほほほ!』って、えええ!? それに古田が返したァァ!!」


観客大爆笑。

「はっはっは!!」「おほほほって何だよwww」

「セリナ最高すぎる!!」「古田のツッコミ渋い!」


SNSも一気に荒れた。

「実況も困惑www」

「このレース緊張と緩和のバランス神」

「セリナ=ポジティブの権化」

「古田の『何を言う…』が逆に味わい深い」


コース上でも反応が飛び交う。


濱「……内藤さんマジで楽しんでる……」

東條「フザけやがって……でも笑っちまうだろォが!!」

岡田「おいおい……緊張感返せ……」

伊藤「いや、逆に助かる……張り詰めすぎてた空気が抜けたわ……」

黒川「フン……くだらねぇ……でも嫌いじゃねぇ……」

カナタ「......はい?」


花(ピット前)

「.....だっさ」

ちとせ「アハハ、やっちゃってるね〜......」


実況「さあ!笑いを振りまいたセリナ!ですがその後ろでは古田が古田ドライブを狙っている!!緩んだ空気を一瞬で締め直すかッ!!」


雨の豪雨のなか、

「おほほほ!」と「何を言う…」のやり取りが逆に観客の熱を加速させた。

世界中の視聴者が、このレースの異常なほど人間臭い瞬間に心を掴まれていた。

次回第111話銀色の弾丸

次回は金曜日!!!

そして...相馬編第111話で完結!!!!!

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