第106話 ダンスタイム
相馬戦、完結まであと5話
ゴールまで残りわずか!!!!!!!
2キロ先、低速コーナーのヘアピンの
すぐがゴールだぞォォォォ!!!!!!
チェッカーが待ち受けているぞ!!!!!
ーー長いレースの戦いの幕が
今、閉じようとしていますッ!!!!
悔しいッーーーー。
そう思ったことは初めてだ。
…なぜなんだろうかーー。
なぜ、この1500馬力の
野獣の魔王が負けるッ!!???
クソッ......!!!
これじゃあ、アイツらに顔向けできねぇじゃねぇかよッーーーー!!!!!
MRタカ「なぜ....!?」
吉田「君の走りが甘かったんだよ......!MRタカ。
勝負は預けておくぜ。またの機会にな......ッ?」
その頃、遠い地 福岡県博多市。
謎のレーサーであるMRタカの大親友である北斗は、残業からの仕事へ行く時間だったーー。
ギラッギラの銀の腕時計を見れば
気がつけば空は夕暮れのオレンジで輝き、もう時刻は18時を切っている。
地平線の街の先にある真夏の夕日がシャングリラのように煌めいて輝き出すッ!!!!
3階建ての黒光りの豪邸から緑色のスーパーカーに向かう。
歩いた先にいたその相棒は、緑色の小さなドイツのGT-R。
緑色のAMG GT-Rだったーーー。
シャンとした高級なビジネススーツを
着ながら相棒のAMGGT-Rのエンジンをかけた......!!!
森林のような深い緑色に包まれたGTRが咆哮をあげた......!!!
北斗「......いくぞ」
ヴォンッ...ッバァァン!!!!
ボボボボボボボボホ.......バルゥゥゥー...
V8M178エンジンの咆哮音が近所を優しく撫でていくようになにかを告げているかのようだった。そして、指先がスイッチの手前までにくる。そして....エンジンを北斗は優しくエンジンを始動させる。
「目覚めろ。俺の相棒。」
アイドリングから既に地鳴りのような衝撃波が走るッーーーー!!!!
重低音が近所の窓と物質そのものに
響いていくッーー!!!!!!
誰も乗らない助手席側に張り付けてあるポータブルモニターを接続して
実況を北斗は見たーーーッ。
そこには腹切カナタの紅い戦闘機がMRタカをオーバーテイクする姿を彼の目がとらえる。
北斗「腹切カナタ......よくも俺の親友をやってくれたみたいだなッーー。
これは俺も出ないといけない.......のか?」
「......まぁいい。紅い戦闘機__次の標的はコイツか.......!!」
そしてレースの舞台に再び戻るーーー!!
荒波の松川浦!福島県相馬市松川浦!!!
レースも残り僅かの終盤へ差し切る。
先頭を走るのはNSX。その後方には漆黒のブガッティ・シロンが
オーバーテイクを試みるために様子見。腹切カナタもオーバーテイクを予感させている。
後方ではZ4とGR86がテールトゥノーズへと進展。
さぁ!!!!
レースも残り2キロ!!!!!!!
おっと!!!!!そこに伊藤と黒川が
再び並んだ!!????
さらにMRタカの漆黒のブガッティの
ラインがここで膨らんでいくゥゥゥーーー!!!!!!
MRタカ「くッ!!!!やっぱりきついかーー!???」
伊藤「まだ俺たちのレース始まったばかりなんだよッ!!!」
黒川「どけえェェ!!!!
邪魔だァァァァ!!!、」
ギュアアアアアアアア!!!!!!
..ドゴォォォォォォンッッ!!!!!
黒川ァァァァァ!!!!!
ここにきて黒川がパワーでリードしてきましたァァァァ!!!!
腹切カナタの86に再接近!!!!!
黒川「…まってたぜ!腹切カナタァァァ!!!!!!!」
カナタ「……ッ!あのエボ!またかッ!!!!!」
伊藤「邪魔くせぇんだよッ!!!ちっとはこの狭いダウンストレートのことも考えやがれェ!」
黒川「お前は__そう簡単に….ゴールなんてさせねぇよ」
ゴォォォォォ!!!!!!
あああぁぁぁぁぁ!!???
MRタカァァァァァ!!!!
ここにきてまさかの大ピンチィィィ!!!!!
リアが滑り出してストレートの立ち上がり加速がこの終盤でついにモタつき始めてしまっているゥゥゥーーー!????
ベルギー「やはり、ずっとGが下に掛かるストレートでは無理がありましたね......。それも宿命と言いますかーー。」
そこに全国のエーペックスカップのライブの視聴者からMRタカに様々な歓声がコメント欄から浮かび上がってきた。
「MR!負けんなァァァァァ!!!!」
「このままマイクラ配信させねぇよおお!!!」
「ブガッティの底力見せてあげましょう!!!!!」
「MRタカ〜!!!!
応援してるよ〜ッ!!!!」
コメントしてくれた人達の中には
中高生や小学生中学年の女の子にサラリーマンの男性など世界中からMRタカに歓声が聴こえ始めていた。
MRタカにたくさんの声援が!!???
MRタカ!!!!!
そして、腹切カナタはもう一度絶対王者に並べるか!!???
それとも、黒川や内藤、岡田か!!??
内藤と岡田のR8とGRカローラも
迫ってきましたァァァァァ!!!!!!
後ろから後続車が追ってきている。
腹切カナタがとっさに後ろをガバッと振り向くと
そこにはR8,EVO9MR、GRカローラ、Z4が迫ってきていた。
カナタ「......くそ!アイツら......ッ!!
ここまで来やがってたのか......ッ!!?」
MRタカ「残念だな。ここまで来たらもう86も終わりだなーー。」
カナタ「...全部聞こえてるぞ、、、、!
諦める訳にはいかねぇんだよ!!!」
ブオオオオオンッ!!!
ゴオオオオオンッ!!!!!
実況「紅い戦闘機、猛烈な加速!!!」
「…しかし!その後方から内藤のR8にGR86濱!ーーさらには黒川海斗が猛烈な追い上げでトップ3を目指しています!!!」
「腹切カナタッ!!トップ3を守れるのかぁぁ!!??」
黒川「終わりだァァ!!!」
カナタ「黒川....ッ!!!邪魔すんなぁぁ!!!!今、それどころじゃねェ!!!!」
ギュウウウウン......、!!!
ギャギャギャギャアアアアアアアアアンッ!!!
潮の香りが漂う昼の松川浦。真っ青な空、日差しが海面を白く反射し、路面はわずかに熱を帯びていた。海沿いの風を切って、二台のマシンがアスファルトを震わせる。黒いZ4の長いボンネットが陽光を鈍く跳ね返し、冷静な古田の眼光が先を射抜く。
古田「……昼だろうが条件は同じ。勝ち筋はある。」
紅のGRカローラが後方でうなる。岡田の目は獲物を狙う獣そのもの。
岡田「昼なら負ける気がしない!!」
スタート直後、松川浦の海風が砂粒を巻き上げる。
古田「路面が荒れてる……拾わせない。」
Z4の3.0L直6が深く唸り、リアが少し外へ振れるも、古田はすぐさま修正。冷静な右足の動きで車体を押さえ込む。
岡田「おいおい…慎重すぎねぇか?踏むぞ!!」
GRカローラの四輪駆動が唸り、砂を蹴り飛ばして加速。太陽に照らされた紅のボディが目に刺さる。
緩い右のロングコーナー。
古田「ここは広く取る……速度を殺さない。」
冷静な操作でラインを大きく描き、黒いボディがしなやかに回る。
岡田「よそ見してんじゃねぇよ!」
カローラがブーストを掛け、一気に詰める。タービンの甲高い音とともに紅が迫る。
ヘアピンへ。
古田「ブレーキ…奥だな。」
Z4のランプが赤く光り、ブレーキングは鋭く、丁寧。
岡田「ここだっ!」
….ガァッ!!!
GRカローラが強引に飛び込み、フロントを沈めてインを差す。タイヤが悲鳴を上げ、白煙が舞う。
古田「ッ!...強引だな……!」
ステアを微修正し、外側いっぱいに逃がす。二台のライトが昼のコースで交差し、紅と黒の影が一瞬重なる。
「それで...俺の前に出られるかな......ッ!?」
ギュアアアアアアッ!!!
ボボボッーーーーッ......
海沿いのアップダウン。
岡田「砂?砂塵?そんなの上等だ!」
「勝ってやるよ!オラアアアア!!!
見せてやるよ!GR…鈴鹿魂ィィ!!!!!」
ドガアアアアアッ!!!!
路面の段差を無視するように踏み抜き、四駆の安定感で突き進む。
古田「その重さ……最後に響く。」
Z4は軽やかにいなしていく。昼の日差しが黒いボディを鋭く照らし、FRの身軽さを際立たせる。
潮風が二人の顔を撫で、遠くでカモメの声が響く。だがその中で響くのはエキゾーストとタイヤの叫びだけ。
岡田「もっと来いよ古田ァ!!」
古田「……お前は黙ってろ。」
昼の山道。最終区間のラストバトル。松川浦から少し離れた内陸のタイトな峠道、視界の先はカーブと木漏れ日だらけ。アスファルトはまだ昼の熱を残している。Z4と岡田のGRカローラがバトルをするその前方、鮮やかなチャンピオンイエローのスイフトスポーツが軽快な音を立ててコーナーを抜ける。
そのステアリングを握るのは伊藤翔太。真剣な表情で口元を引き結び、集中力を極限まで高めていた。
伊藤「……抜かれそうだ……!」
黒川「一瞬で抜いてやるよッ!!!」
背後から迫るのは、黒く塗られた巨躯。ランサーエボリューション9 MR。直4ターボの低く重い音、四駆の路面を引き裂くような駆動音が森に反響する。黒川海斗の目は鋭いが、どこか余裕の笑みを浮かべていた。
黒川「残念だったな!助けてママー!」
伊藤「......ッ!!」
そのふざけた一言とは裏腹に、右足は容赦なく踏み込む。タービンが咆哮し、圧倒的な加速でイエローの背中を狙う。
下りの連続コーナー。スイスポは軽い。車体をひらりと左右に振り、FRのような身軽さを演出する。ギアを落とし、回転を合わせる。黄色いボディが太陽に映え、まるで小さな蜂が花から花へ飛び移るような切れのある動き。
伊藤「小さいけど……負けられない……っ!」
ブレーキを強く踏み、インを取る。
しかしEVO9MRは違う。大きな車体でも姿勢を崩さず、四輪駆動でトラクションを確実に路面に伝える。
黒川「そんなちょこまかした動きじゃ……俺には届かねぇよ!」
黒いエボがヘアピンでわずかにアウトから回り込み、出口でスロットルを踏み抜く。ブローオフの音が鋭く響き、重い車体が嘘のように弾ける。
背後のプレッシャーは計り知れない。伊藤のバックミラーに黒い塊が映り、目の端でそれを確認する。
伊藤「くっ……ブレーキ遅らせれば……!」
次のタイトな左。伊藤は迷わず突っ込む。車体がロールし、黄色の塊が路面を這うようにクリップへ向かう。
だが黒川はさらにその上を行く。
黒川「寝言は帰ってから言えっての!」
ブレーキを奥まで引っ張り、姿勢を乱すギリギリで車体を止め、カウンターを当てながらインを割る。重く低い音とともにEVO9MRが獲物を捕らえる。
森を抜ける風が熱を帯び、二台の音だけが支配する空間。ギヤを叩き込む音、ターボの悲鳴、ブレーキの焼ける匂いが漂う。伊藤は汗を握りしめながらハンドルを回す。
伊藤「……こんなところで……!!」
黒川「遊びは終わりだ、翔太ァァァァ!!
こっち来いやああああああ!!!!!」
エキゾーストが炸裂し、黒い影が黄色の後ろを舐めるように迫る。
白く輝くM4が峠の出入り口に止まっていた。昼の光を浴びてボディは純白の刃のように映え、そのフロントグリルの奥からは獣が息を潜めているような熱気。ハンドルを握る柳津雄介は、じっと前方を睨みつけていたが、わずかに吐き捨てるように言った。
柳津「こんな所でずっと立っていられるか…、!!」
右足が深く踏み込まれた瞬間、エンジンが咆哮する。
ヴァァァァァァァン!!!
直6ターボが全開で息を吹き返し、白いボディを一気に蹴り出す。リヤが軽く揺れ、路面に黒い線を描く。太陽を反射するボディはまるで閃光。重く鋭い排気音が山を震わせるように響いた。
ステアを切り込む雄介の視線は一点に集中し、無駄がない。ホイールの回転数が一気に跳ね上がり、タイヤが悲鳴を上げる。
柳津「止まるかよ……!」
ブレーキを握り、ギアを落とすと再びアクセルを踏み抜く。鋭い加速、音の塊が背中を押す。
コースを切り裂く純白の閃光。M4の重さを感じさせない鋭さが昼の山道を支配してい
次回、第107話迫りくる赤、黄色