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【一発ネタ】危険な男 番外編2

作者: まい

 変な趣味を持つ男が、変なモノ・瞬間を目撃する話。

 とある中途半端な田舎によくある、年々田畑が減り続ける中で住宅もアパートも商店も飲食店も、スーパーもチェーン店もホームセンターもカーディーラーも町工場も混在する町。


 そんな町のとある住宅に、変な趣味をいくつも持つ男がいた。



 その男の職種は不規則な就業時間であり、平日が休日になる日もちょくちょくだ。


 そんな男の変な趣味の1つなのだが、冬の平日に住んでいる家の縁側(えんがわ)に座り、外をのんびり眺める事だ。


 この趣味が発揮されるのは冬の日中で、しかも風が強い日に限られる。




〜〜〜〜〜〜




 男は縁側に座っていた。



 今日は別に冬でもないし、風が強い日でもない。


 ではなぜ縁側に座っていたのかと言うと……。




「以前、強風でフォークリフトが倒れた町工場まちこうば(シリーズ危険な男2参照)の様子が変なんだよなぁ」


 前回(番外編1)よりは時間軸的に過去の話。


 その日の町工場の従業員達は、なんだか浮足立っていた。


 なんだか落ち着かないのか、あっちへフラフラこっちへフラフラ。


 外に出ている物を片付けていたり、掃除をしたり、何かを待っているかのように道路に顔を見せてキョロキョロと見回したり。


 その中でも飛び抜けて挙動不審なのが、夏でもないのに肌が黒めでヒゲモジャな外国人従業員だ。


 なんだか他の従業員より落ち着きが無く、町工場からフラッと離れようとするたびに、他の従業員から呼び止められて会話を繰り返す。



「???」


 いつもならもっと国籍関係なく、だるそうに仕事をみんなでしているはずなのだが。


 とにかく空気が変だった。


 だがそんな変な状況は、むしろ見ている男の大好物。


 これから何が起こるのだろうかと、内心ワクワクしながら(なが)め続けると決めたようだ。




〜〜〜〜〜〜




「あ」


 しばらく眺めていると、目の前の道路をパトカーが横切った。


 それはおかしな事では無い。 パトカーがパトロールしていても不審な点にはならない。


 ならないが、そのパトカーがブレーキによって速度が落ちてきているなら、話は別だ。




 そのパトカーの動きを察知したのだろう、ご近所の物見高い主婦の皆様がこぞって外へ出てきて、男と同じく町工場の方を見ていた。


 そして行われる井戸端会議が男に漏れ聞こえてくる。


(来たパトカーは、町工場の前で止まった)


(警察が降りて、町工場に入った)


 など、漏れ聞こえて来たものを繋げると、こう聞き取れる。



 主婦の皆様はしばらく町工場を遠巻きに眺めていたのだが、その中から行動に出る方々(かたがた)が現れる。


 家に戻り、エコバッグを持っていかにも「買い物ですよー」と強調した姿で動き出し、町工場の前に差し掛かった瞬間に歩みがゆっくりになる。


 が、いつまでもゆっくり歩いていては不審がられるので、タイミングを見て歩くスピードを戻して、本当に買い物に出かける。


 それを見た他の主婦さん達も真似をし、どう上手く調整しているのか分からない謎の連携を打ち合わせ無しで行い、少なくとも1人は町工場の音が拾えるような聞き耳トレインを敢行(かんこう)していた。




 しばらくして、本当に買い物してきた主婦の皆様が順次帰ってきて、井戸端会議が再開される。


 その井戸端会議に聞き耳を立てた男が、町工場にパトカーが来た理由を知った。


「ああ、外国人の不法就労。 だから町工場の動きが怪しかったのか」

 半実話。


 自分の住んでいる所の近くにある町工場に、外国人の人がそこそこの数働いてたんですよ。


 それは別に構わなかったんですよ。


 中には近くにいたハトを捕まえて、食べるとか言ってる外国人もいた位で、それほど迷惑かけるのがいなかったし。


 でもしばらくして、ご近所でちょっと聞こえまして。


 ええ、なんかそこで働いている外国人に不法就労がいたと。


 それを聞いてから思い出すと、そう言えばその町工場で外国人を見なくなったなと。

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