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唯一無双の現代ダンジョン  作者: 歌歌犬犬
第一章 聖剣解放
19/29

第十九話 問題の行方

改稿済(2026/01/13)

 


「……で、今日もこの小さなギルドに来たんですね。昨日あんなこと言っといて実は目標達成できていなかったんですか? ぷぷぷ」


 新たな力を手に入れたその翌日。

 俺はまたもやこの寂れた受付嬢しかいない寂れたギルドに来ていた。

 目的は力の確認だ。

 あれは強力な力ではあろうがだからこそ扱いに慣れる時間も必要だろう。

 そういう点ではこの場所は邪魔も入らないからと、学園に戻るのを少々延期したのだ。


「装備の引き出し頼む」


 受付嬢のくだらぬ戯言は無視して用件を済ませる。


「……チッ。可愛くないガキですね。装備ならもうそこに置いてありますよ。さっさと何処へなりとも行ってしまいなさい。はんっ」


 瑠璃桜の示すほうを見れば確かにあれは俺の装備だ。

 どうして来る前から用意されているのか知らないが、まさか置きっぱとかないよな?

 ……まぁ、ただ単純に瑠璃桜が受付嬢として優秀なだけなのはわかってるんだが。

 はんっ、認めたくはないけどな!


「そういえば今日はお友達はいないのか? 道理で寂れた空間が出来上がってるわけだ」

「霊蓮さんなら守護者の魔石を持って「金稼ぎの時間やぁ!」と、朝早くに出て行きましたよ。残念でしたね、お目当てのロリがいなくて寂れた空間になってしまって」

「おい、その言い方はまるで俺にとって寂しい空間になったみたいじゃないか? 俺はロリコンじゃねぇ」

「ロリババアコンでしたもんね。早く消えて貰っていいですか?」

「「………!」」


 二つの視線がぶつかり合う。

 ロリババアコンとかいう新しい言葉まで生んで俺を幼女趣味にしたのかこの女は!

 やはり許せん、もう早いとこダンジョンに行って慣らしを済ませてしまおう。


「「はんっ」」


 時を同じくして視線を外し、各々が自分のやることをやる。

 俺は俺で三階層にもう用はないので、五階層ボス部屋を目指しながら力を慣らしていくつもりだ。


 っと、潜る前にもう一つやることがあったのを思い出す。

 不愉快甚だしい約束ではあるが、約束を守らぬ男になるわけにはいかないので仕方なくそれを構える。


「はぁぁぁぁぁんっ!」


 怒りの咆哮と共にそれ……昨日買っておいた和菓子を投げつける。

 顔面目掛けて全力で投げたつもりが余裕でキャッチされたが、問題ない。

 あの速度で回転させればきっと中はクチャグチャだ。


 ふふふ、と口元に笑みを浮かべながら俺はダンジョンの入り口を潜った。






「……なぜ彼は羊羹を選択してしまったんでしょう? 原型余裕ですがそれは……」


 残された受付嬢は照れ隠しの行動なのかただ単にアホなだけなのか、そこに頭に悩ませていたという。



◆◇◆◇◆



 ダンジョンを【勇気(ブレイブハート)】発動状態で駆け抜ける。

 これの持続時間がどれくらいなのか確かめるためにも、手抜きで進むつもりはない。


「三階層のゴーレムもこの速さなら付いてこれないだろうし、あれは無視でいい。一、二階層は当然スルーするとして、四階層から戦おう。出現魔物は確か、ステップウルフ」


 頭の中に四階層の魔物であるステップウルフの情報を羅列していく。

 素早い動きで群れて連携してくるのが奴らの特徴だが、俺に敗北という考えは浮かばない。

 【勇気(ブレイブハート)】だけでも無双できるだろうし、そこに【応答剣(アンサラー)】も加われば不安になる要素がない。


 脳内シミュレートを済ませ駆け抜けた頃には、三階層の終点、つまり四階層への入り口があった。

 一応初めての階層となるので、油断なく自分の装備を確認しておく。

 まず頭、『白騎士の兜』。

 これで頭の防御は安心だろう。

 胴体は鎧こそないが、身体を包むマントがあるので気休めにはなるか。

 腰には先日手に入れた腰当て。

 防御できるところといえば男の急所くらいだが、そこはとても重要だ。

 期待しているよ、腰当てくん。

 まぁ真面目に話すならこれも防具というより足の動きを見えにくくする役目をマント共々期待したいところだな。


 マジックポーチや愛用の剣も問題なく、しっかり準備が整っていることを確認する。

 どこからか「短剣忘れてるよ……」という声が聞こえた気がするが、そんなもの俺は知らん。


「行くか」


 熱い【勇気】を胸に灯させ、四階層への白い渦を潜った。


 四階層では【応答剣(アンサラー)】の慣らしを行う。

 昨日ゆっくり眠って頭が冴えた今ならわかる。

 【応答剣(アンサラー)】は化ける、と。


 『想いに応える』という【応答剣(アンサラー)】の特性、そこに強く想いを滾らせる【勇気(ブレイブハート)】が加わったらなにが起こるか?

 答えは単純、凄まじいシナジーを発揮する。


 四階層を駆け巡り、五階層への入り口を見つける頃にはもうこの階層に俺に近づく影は存在しなかった。


「【応答剣(アンサラー)】は単体で使うより、【勇気(ブレイブ・ハート)】と合わせて使ったほうがいいな。どこまで力が上がるのかもわからんとは、まったく末恐ろしい限りだ。でも……」


 【勇気(ブレイブ・ハート)】と合わせた【応答剣(アンサラー)】の能力には満足していた。

 しかし同時にこれじゃない感も感じていたのだ。

 俺が望むは勇者の一撃、これは一撃というより剣の能力強化だ。

 【剣斬】のような一点突破の力が、この【応答剣(アンサラー)】にはない。

 火力でいえばその【剣斬】を越えているとしてもだ、これは違うのではないか? と思わずにはいられない。


「……試してみるか。五階層で」


 そんな胸の内の不満を解消する手段を、俺はここにきてなんとなく理解していた。

 だからこれからそれを五階層で試してやろう……そんなことを考える俺の【勇気(ブレイブ・ハート)】は、正に獅子のそれであった――……。






 五階層、その中心。


 俺は一人手に持った剣を眺めていた。


 既にいるはずのボスは存在せず、代わりに()()()穿()()()()が目の前にある。


 その光景と己の剣を眺めながら、ようやく現実を理解する。



――あぁ、これは導かれている



 己の放った()()を思い起こし、それを自覚した。



◆◇◆◇◆



 力の確認を終えた俺はまだ早い時間ではあれど、一度地上へと戻った。

 慣らしが目的とは言ったが、あの調子なら学園の占有ダンジョンで攻略しながら慣らしていったほうが効率的だと考えたのだ。

 前にも言った通り俺は学園にいる間にある階層まで誰よりも早く到達しなければならない。

 それを成し遂げられないならばわざわざこんな身で学園に入学した意味がないのだ。


「今日一日は休んで、明日からまた学園に通おう。……そういえばなんか忘れてるような?」


 力を手に入れダンジョンに憑りつかれたことは自覚しているが、代償になにか学園関係で忘れてることがある気がする。

 まぁ思い出せないならきっと大したことではないのだろう。


 つまらぬ思考を切り上げ、自分の中で見えてきた夢の姿に鼻歌を鳴らしながらギルドに入る。

 そこには相も変わらず不健康そうな顔の受付嬢が羊羹を食べて待機していた。


「一日そこに座ってるだけで暇じゃないのか? 装備の預かり頼む」

「早かったですね。最近はメグルぽんやあなたという客もいるのでそこまで暇じゃないですよ。もっとも、憎たらしいあなたはそろそろ学園に戻るみたいですが」

「よくもまぁそんなにわかるもんだな……」


 羊羹を横に置き素早い手付きで業務を始める瑠璃桜。

 その洞察力や受付に対する熱意のようなものも含めて、こんな寂れた辺境で燻っていていい人材じゃない気がするんだが。

 しかしそれを聞くほど親しい間柄でもないので、そこは思うに留めた。


「あんたの予想通り、明日からはまた学園でコツコツダンジョン攻略に勤しむさ。この調子なら目標達成も夢じゃなくなってきたからな。気負わずやれそうだ」

「そうですか。しかし気負うと言えば、不破さん関係の揉め事は解決したんですか?」

「ん……? 揉め事……?」


 そう言われて、確かにそんな問題があったからここに来ているのだったか、と思い出す。

 しかし今となってはもう気になる程の問題でもない、というか問題と認識すらしていない。

 あの騙り男タイガのレベルは二で間違いないだろう。

 学園在籍中にレベル三に到達した例など聞いたこともないし、もしそうなっていたらもっと話題になるからだ。

 そう考えると、あとはいつ向こうが絡んでくるか、だ。

 こちらから潰すほどの敵でもなし、運命を決めるのは向こうに委ねていい。


「……その顔、余裕といったところですか。なるほど、あなたのような冒険者は大成せず落ちこぼれるか、大成して傑物となるかのどちからだと思っていましたが、答えが見えてきたようですね。願わくば、その力を正しく使ってほしいものです」

「曖昧な言い方だな……。しかし安心していい。俺のこの力は勇者となるためのものだ。悪しき勇者なぞ俺の中には存在せん」


 俺の中にある勇者の姿はいつだって物語のヒーローだ。

 それは憧れの勇者ケンジがそうであったように、俺もそうなりたいのだ。


「……どう転ぶかわからないのが冒険、いえ人生ですよ……かつての私がそうであったように……」

「ん? 今なんて言ったんだ? よく聞こえんぞ」

「……こんなお馬鹿な勇者が生まれたら世も末だなと、愚痴を溢しただけですよ。はんっ」

「そりゃ悪かったな。はんっ」


 そう嫌味を言い合う俺たちだが、いつものような火花が散ることはなく。

 瑠璃桜は下を向き、俺は上を眺める。

 聞こえてはいた。

 しかし今の俺に聞いてどうこうできる力はないと、自覚があったから。

 いくら戦闘能力が高まろうと、それが俺の限界なのだとわかっていたから。



 だから俺は憧れるのだ、本物の勇者、ケンジという男に。



 テュルルルル……



 無言の空間が続く中、不意に俺の携帯端末が着信を知らせる。

 チラと瑠璃桜に視線を送ってから端末の画面を見れば、相手はなんと吉沢だった。


「いつの間に俺のアドレスを……」


 文句の一つでも言いたくなったが、思えばあいつはうちの担任であったと気付き、溜飲を下げる。

 未だ鳴り続ける端末に出るかどうかは悩むところだが、ここに来るまでの恩もあるしと通話に応じた。


「はいもしもし俺俺」

『開幕オレオレ詐欺してんじゃねぇ。まったく、電話にはワンコールで出てよねっ!』


 ブツッ ツーツー……テュルルルル


「はぁぁぁぁぁ。なんだよ吉沢。ふざけるなら着拒否にするぞ」

『理不尽だ……。いやそんなことよりアイス、少しマズいことになった。お前、退学になるかもしれん』

【読んでくださった人へのお願い】


この小説を面白い!と感じてくださいましたら『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に

はーくそつまんな…と感じましたら『☆☆☆☆☆』を『★☆☆☆☆』にでも評価していただけると作者大変うれしいです!


いいね!や感想なども受け付けておりますので、そっちでも貰えたら大歓喜します!


どんな評価でも執筆の励みになりますので、どうかご協力お願いします。

何卒ぉ……m(_ _)m

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