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魔界一武道会 第?試合


何番目の試合か決まっていないし、これまでの話の流れとは全く関係ないですが、オムニバス形式として投稿します。口角を上げて読んでくれたら、嬉しいです。


 魔京の郊外にそびえ立つ「魔京闘技場」。円形の武舞台の直径は10km。客席の高さは1kmに及ぶ。その最上段に設けられた審査員席で、魔皇リュツィフェールは、他の審査員と談笑している。


彼の隣に座る火属性の精鋭魔族、イグニスが興奮気味に身を乗り出す。


「リュツィフェール様、今年の才能は素晴らしい!ああ、見よ、あの炎の奔流!私はやはり、あのような火属性魔術の使い手が大好きだ。」


リュツィフェールは手に持つ茶碗を傾け、中身の次元移動で温めたばかりのお湯で淹れた梅昆布茶を一口飲んだ。


「炎属性ですか。。」


 彼は心の中で、燭台に火を灯すために、恒星のプロミネンスを瞬間的に転送することを思い出す。


「僕は、、火を灯すために燭台に恒星をちょっとだけ転送するたびに、部屋が一瞬だけ真っ白になるんだ。写真も撮れなくなるほどに。」

(え、、そこらへんの火じゃダメなの??)


「他の属性魔法が使えるというのは、どれほど便利なものなのでしょうね。。着火するために、次元魔法で恒星の一部を転送する必要がないというだけで、どれほど楽に生活が送れることか。。」

(だから、そこらへんの炎じゃ・・・)


「いや、読者の皆さんも、恒星にする必要ないって思うだろうけどさ」

うんうんとイグニスも頷く


「恒星にしないと面白みが足りないじゃん?(いろいろと)」

(面白みのために日常を犠牲にしているんですか?)


 彼の目は、闘技場の中心にいる二人の選手に向けられた。一人は炎の旋風を操る「フレイムウィップのドゥガル」、もう一人は「泡という概念」を司る魔族である「バブルのイオ」だ。


 イオは、もはや指一本動かす必要すら感じていなかった。彼の意識は澄み切った水のように泡という外縁を自由自在に操り、その純粋な思考がそのまま世界の理を操る力となっているのだ。


 ただ静かにドゥガルを見据えるだけで、直径100メートルにも達する巨大な氷の泡が、音もなく虚空に生まれ出る。それは物理法則を超越した、概念としての「泡」であり、イオの泡という概念の理解度が具現化されている。


 生成された氷の泡は、猛烈な勢いで迫り来るドゥガルの灼熱の火球と衝突する。泡が弾ける瞬間、周囲の空間から熱が奪われ、大気が急激に冷却される。


 それは単なる氷の爆発ではなく、「泡の破裂」である。周囲の空間が破裂した冷気で凍りつき、粉々になった氷の破片が夜空に瞬く星々が一斉に砕け散るかのような、息をのむほどに美しい光景を繰り広げる。


 ドゥガルの炎は一瞬にして勢いを削がれ、霧散していく。イオが操るこの氷の泡、彼の「泡という概念」を通じた魔法は、物理学を一切無視した、不可解な現象を可能にしていた。


「見事な概念操作です。いつもは可愛いイオさんが、あんなに強いとは。。」


リュツィフェールはそう呟くと、茶碗を審査員席の茶托の上に置いた。


 無数の水の泡がうみだされ、ドゥガルに向けて打ち下ろされる。


(あの泡はただの水じゃないな。おそらく液化した空気・・)


 ドゥガルは、イオが泡の概念を操るのに対抗して、炎を泡で生成し始めた。互いの泡がぶつかり合い、破裂で泡同士が相殺し合う。


 次第にイオの泡の内側に炎の泡が生成される。いや、逆だった。炎の泡が生成される瞬間に、イオの泡がそれを包み込んでいたのだ。すると、ドゥガルは、一つ一つの泡の火力を強め、内側から溶かす。


 イオが何かを思いついたように、泡の生成を一瞬止めた。ドゥガルはその瞬間を見逃さず、一瞬にして炎で威力を増した炎の泡を連射する。[その姿はまるでベジータのグミ打ちのようだ]


 次の瞬間、連射された泡の先に現れたのは、青い炎の泡で包まれたイオの姿だった。[いやたしかに青い炎は普通の炎より威力が強いのは異世界者の定番だけど]


 炎の泡は、破裂もせずに青炎の泡に取り込まれ、煙だけが湧き上がる。


(だんだん大きくなってないか?)

 グミ撃ちを続けたドゥガルは、泡が大きくなっているのを2倍ほどの大きさになったところで気づいた。ドゥガルがまずいと思って、自分の周りにも青い炎の壁を作った時には遅かった。


青い炎が、あたり一面に広がる。勝負は決まったように思えた。武舞台の1/4が炎に埋め尽くされたのだ。しかし、炎が途切れた中から出てきたのは、無傷のイオと、こちらも無傷のドゥガルだった。ドゥガルはむしろ、先ほどよりも断然強くなったように思える。


「危なかったぜ。。あんたの泡が炎で助かったよ!!」


ドゥガルの体が青い炎に包まれる。


「俺は火がつくのが遅いんだ。あんたの炎がいい着火剤になったよ」


体から溢れる炎が青から青白に変わり白色になる。


「それで?」


イオは無邪気に平然と答えた


「は?お前、俺を舐めてるだろ。。」


 突然、閃光が武舞台を走る。あたり一面が真っ白になったかと思うと、分厚い層の氷の泡に包まれたイオが、泡越しにドゥガルの手と自分の手をグータッチのように合わせている。


「ちょっと熱いかも。。」さらに泡の層を厚くする。


球体は、外側からの威力に強いが、内側からの衝撃には強い。その特性を彼は利用してバリアを作ったのだ。ドゥガルが外側から叩き割ろうとするが、すぐに氷の層が修正されるのがわかる。


「ならば、、全て、溶かす!」

力を入れ、拳から爆発的な温度を放出する。


氷の泡が一瞬で溶け、炎がイオの目の前に到達する。勝負は決した。


炎は一瞬にして鎮火され、さらに分厚い層を持った小さな泡を作り出したイオと、もっと分厚い等身大の氷の泡に包まれた生身のドゥガルが目の前に現れる。


「なぜだ。。」


「炎は酸素がないと燃えないよね??」


「卑怯だぞ!!」


「別に、泡の中身を変えられないとは言っていないのに。。」


 試合はイオの圧倒的な勝利に終わろうとしていた。


 ドゥガルの最後の抵抗だった。自身の生命力と魔力を全て注ぎ込んだ超高密度の炎の球体を放った。炎という概念を限界まで凝縮した、質量を持つ黒い太陽のようなものだった。


(泡の中には酸素がないのになぜ燃えるんだ?)


 イオは少し驚愕し、防御のための氷の泡を幾重にも重ねる。


その「原初の炎」が、闘技場を覆うバリアに接触した瞬間、事態は急変した。


(バリアが...もたない。かも??)


闘技場全体に不協和音のようなバリアの軋みが響き渡る。審査員席のリュツィフェールは、マグカップから手を離し、ただ座っているだけ。


「威力が強すぎる。」焦ったイグニスの声が隣で聞こえる。


武舞台に沿って張られているバリアは、大会の係が生成したただの半球上のバリアだった。このバリアは、よく他のファンタジーでも使われる、「一部が砕けたら全て砕ける」バリアなのだ。


 ドゥガルの放った黒炎の球体は、炎という属性が極限まで高められた結果、武舞台のバリアの威力の許容度を超え、「亀裂」を入れた。このままでは、亀裂が広がり、バリアが砕け散り、観客が全員丸焦げになることになる。


 魔皇は何もしなかった。ように見えた。強いて言えば、瞬きを数回して、くしゃみをして周りを少々驚かせ、鼻を噛んだだけか。彼は、その間に武舞台の形を次元膜を張る形として認識した。


彼はただそこにいるだけで、武舞台の壁の地下深くから、宇宙に到達するまでの高さに次元膜を張り巡らせ、周囲からの干渉と客席への被害を完全に遮断した。


炎が次元バリアで反射され、武舞台全体が炎に包まれる。そして、行き場が無くなった炎が上へ上へと進んでいき、天まで届くほどの火柱となる。


イグニスは、すぐに状況を把握したが、何が起こったのか理解できていないようだ。


「バリアは半球の形のはず、なぜ、円柱の形に。。」


リュツィフェールは、何事もなかったかのように湯呑みを持って、梅昆布茶を飲み続けた。


「ただ、競技場のバリアが少し不安定になったようです。試合を続けましょう」


柱となった炎が、次第に途切れる。と思った瞬間、炎が円球の形に閉じ込められる。バリアが復旧したようだ。火力が強まり、オーブンの中のようになる。

今度は、地面が掘り起こされたようにボコボコになり、武舞台の石畳が割れて、瓦礫の山のようになる。


「今絶対、リュツィフェール様が干渉してましたよね?そうですよね?!」


ほとんど断定系に近い。


「あ、炎が途切れましたよ」


「まだ、途切れてないじゃないですか。ってあ。。」


炎は次第に薄まっていった。よく見ると、無数の大きな氷の泡が出てきては、一瞬でとけている。


イオは自身の泡で作った酸素以外の気体で武舞台を満たすことで、消火を継続していたのである。最終的に武舞台は、無数の巨大な氷の玉がぎっしりとつまり、たくさんのビー玉を透明な容器に詰めたようになった。


武舞台には、力尽きたドゥガルと無数の氷の泡、そして、マグマで出てきた球体のようなもの、が出てきた。

(多分、あれはただの溶岩や、マグマではなく、融点が一番高い物質、つまり読者の世界ではタングステンと呼ばれるものだ。あの中にイオがいるに違いない。。しかも、2層構造だ。面白い。。)


係員がドゥガルの死亡を判定すると、エリクサーで蘇生させた。勝負は決した。


試合終了の鐘が鳴り、タングステンの泡が空気に溶けるように消え、中からは氷の泡に包まれたイオが現れた。


(この氷は、、、おそらく凝固点が一番低い物質。つまり、作者のいる世界でいうヘリウムという物質だな。)


「単純に黒炎の玉と温度を相殺するのではなく、二層の構造にすることで、外側の泡で外界の温度に適応し、内側の泡の消失を防いだのか。」

イグニスが画点が付いたように語る。


「そうですね。液化したタングステンも直接触れたら、イオ君は大火傷でしょうし、凝固したヘリウムで相殺するとは、賢い方法です。」


「・・・ん??タングステン?ヘリウム?リュツィフェール様、なんですか、その『近代科学の用語』は??」

(・・・はっ。。。)


「イグニスさん、なんですか?その、『近代科学の用語』というのは。。(我々という存在が第四の壁を認識してはいけないとあれほど。。)」

(・・・あっ。。。)


 この魔界一武道会は、相手が死亡するまで、勝負は続く。相手が死亡しても、エリクサーがあるため、全く支障をきたさない。


 リュツィフェールは彼が物心がついたかついていないか怪しい頃にこの大会で優勝している。それ以来、彼は審査員という地位に追放されているのだ。最も、大会に参加したのは、彼自身の意思ではないのだが。。


久しぶりに書きたくなったので書きました。読んでくださりありがとうございました。

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