会合開始!
今回の会合の出席人数は百七名。前回と同じ人数だ。
「皆様。忙しい中わざわざご足労いただきありがとうございます。今回の会合の司会者を務めさせていただく、リュツィフェールです。よろしくお願いします。」
「今回の会合の目的は「世界平和」です。」
世界平和。この星における恒久的な課題である。なぜなら、ここの参加者たちがガチ喧嘩でもしたら、この星が半壊することは目に見えてわかるからだ。
戦争でも起きたら、ああ、考えただけでこっちの頭が半壊しそうだ。
「皆様にはより一層お互いの親睦を深めていただきたいと存じます。」
「会合」といっても、どっかの会社の堅苦しそうな株主総会みたいなものではない。(適当に言っただけだ。)
ほとんど、いや完全にパーティーだ。
「後ほど粗餐ですが、食事の方を提供させていただきたいと思います。又、何かお困りごとなどがございましたら、気兼ねなくお呼びください。私か、私の配下が、瞬間移動して参ります。今回の会合をぜひお楽しみください。」
僕が一礼して壇上から降りると、出席者の方々は、談笑を始めた。全体的に険悪な雰囲気ではない。よかった。
少し安心していると、後ろから声がした。
「リュツィフェール様。」
「なんでしょうか?」
「バジトリス様のことなのですが。。」
「ああ、その件ですが、大丈夫です。中央部の席にして、本人に確認をとってなるべく動かないようにお願いしました。」
「承知しました。」
バジトリス様は、鶏か蛇かよく分からない感じの方だ。現在の毒を持った生物の起源だとか。
なぜ、動かないようにお願いしたかというと、あの方の持っている毒が単純に強すぎるためだ。普段活動している時は100km範囲内の生物が即死してしまうほど強力な毒を放っている。
今は会合のために毒を極力抑えて下さっているが、それでも外周1cmに毒が漂ってしまっており、動いてしまうと他の方が危ないのだ。
「バジトリス様。せっかく会合に出席していただいたのにこのような不快な思いをせてしまい申し訳ございません。」
「いいんだよ。坊ちゃん。毒を抑えきれていない僕の方が悪いんだから。」
「何か良い対策を考えたかったのですが、できませんでした。」
「そんなに落ち込まないで。それよりさ、フェネクスさんを呼んでくれない?一緒に食事をしたいんだ。」
「承知しました。」
フェネクスさんの方を見ると、ツボに入ったお酒を一人で飲んでいた。
シュヲン。瞬間移動して、フェネクス様に近づく。
「フェネクス様」
「ゴホッ」
すごく集中して飲んでいたらしい。僕が突然話しかけたことに驚いて咽せてしまったようだ。
「なんだね?」
「お酒を嗜んでいる中、申し訳ありません。バジトリス様が一緒に食事をされたいとのことですが、どうされますか?」
「あ、もちろん行くよ。場所案内してくれる?」
「もちろんです。」
バジトリス様の場所へフェネクス様を案内する。
「やあ、バジ君。久しいね」
「こちらこそ、ご無沙汰しております。」
流石に、危険だし握手とかしないのかな?と思った刹那、
強烈なハイタッチ!
、、マジですか。
ていうよりお互いの手!(じゃなくて翼!)
バジトリス様の翼は不死の炎で燃えてるし、フェネクス様の翼も毒でちょっとやばい感じになってる!!
しかしその直後、お二方の翼は元に戻っていた。
「ふへ?」
思わず変な声をあげてしまった。どうやら、お二方にとってはこの程度ではなんともないようだ。よかった。
お二方の会話の邪魔にならないよう、その場を後にする。
「リュツィフェール様」
「はい。」
「ヨルムンガンド様がお見えになったそうです。」
「分かりました。今そちらに向かいます。」