プロローグ
「ふぁぁ。眠いなぁ」
僕は、咲良 春樹。都内の私立高校に通う2年生。なんだけど、今は夏休みなのでのんびりと過ごしている。
部活も特にしていないし、バイトもない。というか、バイトは校則で基本的に禁止されているのでできない、が正しいかな。
ただ、ありがたいことに僕の家は比較的金銭に余裕があるので、こうして学校に程近いところにワンルームではあるけどアパートを借りてもらって一人暮らしをしている。
本当は、バイトして自分で生活費くらいは稼ぎたいんだけどね……?
親に助けられてばかりなのも、申し訳ないし。
とはいえ、できないものは仕方がないので、自由気ままに生活させてもらっている。
もちろん、勉強もそれなりにやっているので成績も上位には食い込めるくらい。だけど、総合的に見たら本当にごくごく一般的な高校生だった。そう、今日までは。
お昼を過ぎたくらいだろうか、なんだか玄関の外が騒がしくなってきた。いつもなら気にしないんだけど、どうやらお隣さんに新しい入居者が来たみたいだ。
それは僕でも気になってしまう。僕は、そーっと玄関の扉を少しだけ開けてみる。
すると、予想通り引越し業者さんが荷物の搬入をしていた。
ただ、新しい入居者さんらしき人は見当たらなかったので一旦扉を閉めて部屋に戻る。
「でも、珍しいよなぁ。夏のこの時期に引っ越しって」
なんて呟いてみたけど、正直引っ越し事情は詳しくないから別に珍しいことでもないかもしれない。
ただ、チラッと見えた荷物の雰囲気は若い人っぽかったのでそう感じた、ってだけだった。
そんなこと考えてたら、音がしなくなったので搬入が終わったみたいだ。
僕は今日の夕飯の買い物ついでに鉢合わせられたらラッキーだな、くらいの気持ちで外に出る。そして扉を開けようとしたら……
ゴンッ
「いったぁぁぁぁいっ!!!!?」
「ぅぇぇぇええええ!?す、すみません!!」
「うぅぅぅ……」
「うわぁぁぁぁぁん!!!」
「えぇぇぇ……」
最悪の鉢合わせ方をしてしまったかもしれない。
「本当すみません!!」
「いえっ!こちらこそ、何も考えずにあそこに立ってたのでっ!」
泣かせてしまったので、とりあえず僕の部屋に上がらせてしまったけど、よくよく考えたらお隣さんとはいえ目の前にいるのは女の子。
あれ?僕また選択肢間違えてないか?
でも、この子もこの子だ。知らない男の家に招いたのは僕とはいえ普通に上がってしまうその警戒心の無さに心配になってしまう。
「あの……」
「は、はいっ!!」
「家に招いた僕が言うことじゃないですけど、初対面の男の家に上がるのは危ないですよ?襲われたりとかあるかもしれないですし……」
「心配してくれるんですか?優しい人なんですねっ!ここを選んでよかったですっ!!」
「は、はぁ……」
なんだか話の論点がズレてる気がする。ただでさえ僕はそう感じたのに、その後の彼女の一言が、僕を普通とは無縁の世界に誘う。
「あのっ!!」
「はい?」
「……アタシのサポートをしてくれませんかっ!!」
「はい!?」
これが、僕と彼女、天城 星乃との出会いだった。
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