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Take It On The Run

Chapter 8,


私の放った一発は、きれいにガンナーの眼のあたりに着弾した。ふわぁっとピンクの霧が上がる。


素早く姿勢をダブルニールに変え、次はライフルマンを狙う。

こちらの位置に気付いた向こうも、CL銃をこちらに向け発砲した。


タタタと連続で発砲音がしたあと、シューシューと弾が流れていくのが聞こえた。

こちらの方向に向けて撃ってるだけで、狙ってはいない証拠だ。


「。。。すぅ。。。」


大きく息を吸って、呼吸を止めて狙いをつける。


私は集中するとき左目でものを見るくせがある。

特に拳銃を撃つときは必ず左目を使ってエイムする。


パンッ!!パンッ!!


私はライフルマンの胴体にダブルタップした。

男はその場に倒れこむ。


ひゅ~とヒッピーが口笛をふいた。


「Nice shot!チャップマンスタイルね」


「なにそれ?」


「こう、腕を水平にロックさせて、肩をチークパッド代わりにして狙ってたでしょ」


ヒッピーが私の撃ち方を真似る。


「そんな名前があったんだね」


「それはそうと、早くとどめ刺しに行こうよ」


めがねがマカロフを抜き、腰を低くして男たちのもとへ向かった。

私たちも後ろからついていき、悲惨な状況に目をやる。


「うわ~肉の花が咲いてるよ、めがね」


「えぐいね」


銃座の男の後頭部はきれいに破裂していた。

眼孔から入った銃弾が頭蓋骨を吹き飛ばして出て行った証拠だ。


「こいつはとどめを刺す必要もないね」


テクニカルの荷台とリアウィンドウにはべったりと血のりがついている。


「ふき取るのに苦労するね」


「砂でもかけておけば大丈夫よ。それより、こっちはまだ生きてるわよ」


ヒッピーが倒れてうずくまっているライフルマンの首根っこを足で踏んでピンダウンしている。

男は苦しそうに何かをしゃべろうとしているが、ごぼごぼとうがいをしているような声しか出ていない。


「肺に穴が開いて、自分の血で溺れかけてるわ」


「あなたが首を踏んでいるからじゃないの?」


めがねがおもむろにマカロフを男の頭に向けて発砲した。


パンッ!!


弾は側頭部に命中し、男はその場で息絶えた。


「あぶないわね」


「この距離じゃ外さないよ」


めがねがマカロフをホルスターに戻し、しゃがみこんで男の持っていたCL小銃を手に取った。


「はい」


満面の笑みで差し出された小銃を私は手に取った。


「ばっちぃ」


けど中距離で戦う武器は今はこれしかない。

私は男の死体からマガジン4本を拝借し、ジャケットのポケットに詰め込んだ。


「さぁ、行きましょう。私が運転するから、めがねはガンナーおねがいね」


ヒッピーが運転席に座りシートを調整しはじめた。


「えぇ。。。」


めがねは一瞬躊躇したが、健気に地面の砂を荷台の血だまりにかけ始めた。

私は助手席に座りCL小銃の点検をする。


「電気発火式は嫌いだよ」


「CL銃は不発が多いって聞くけど、どうなの?」


ヒッピーがミラーを直しながら私にしゃべりかける。


「新品の弾だとそんなにだけど、こんなデッドストックのアンティーク弾だとよく不発とかあるよ」


「ふぅ~ん。。。」


バンバンと荷台のめがねがテクニカルのルーフを叩く音がした。


「ガンナーの準備ができたみたいね」


「そうだね」


「じゃぁ、行きましょう」


私たちは第四軍区の中心を目指し出発した。

この先には私たちよりも早く基地に駆け付けた火事場泥棒や賊がたくさんいるはずだ。

気がかりだが、私は考えるのをやめた。


「不発はやめてねCLちゃん」


私はぎゅっと銃を抱きしめた。

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