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7 黒の羊

はじめてのきょうてき…次回に出ます(ごめんなさい)


もく、もく、もく


羊さんが平和に草を食んでいる

本当のところ、私が知っている羊さんと同じものなのかはわからない

けれど、けれど似ている

少々サイズが大きすぎる気がするけれど、ひどく似ている

もっとも

ドーラスさんが用意してくださった肩当の裏に入っているという『黒羊』のキルト

その後『黒羊』の絵が描かれた本をドーラスさんから見せられたのだけれど

それは黒い羊毛のような毛皮を纏う二足歩行の恐竜としか言いようのない生き物だった


わたしの居た世界では、毛足の長いティラノザウルスの想像図で通るだろう

強靭で強い弾力性を備え、耐火性にもすぐれているというその『羊毛』?

それを使っているというのなら、なるほど希少な素材に違いない

ドーラスさんからはわたしたちのような冒険者が苦心して狩るシロモノと伺いはしたが

ティラノをひょいと捕まえて羊毛刈りをする巨大な牧童さんの妄想が、

しばらく脳内から離れてくれなくて困ったことを告白しておく


さておき

その折も、お姉様ともお話したのだけれど

こちらの世界はあちらと、あるものは異様に似ていて、あるものは決定的に違う

どういうことなのでしょうねと、二人頭をひねったりもする


そうそう、なによりもこちらには『魔法』がある

魔法といっていいのかどうか知らないが

無からエネルギーやら、現象やら、はては物質まで引っ張ってくる力

これは私たちの感覚では『魔法』そのもの

わたしたちの居た世界では、いいえわたしにとっては

お姉さまは驚異の異能者だった

操る剣に、火や水、風、はては稲妻まで纏わせて

強力な一撃を放たれる


ところが、こちらでは

「あぁ、お嬢は魔法剣士ね、本当に使い物になる人は

 めったにいないわねぇ、だって魔法飛ばす方がはやいじゃない?」

とはギュスターブさんの言である

牽制とか目くらまし、そういうために剣と魔法を組み合わせるヒトはいるらしい

が、お姉様のは違う

ゲームとかでならよくある、4大元素だか、6属性だか、そういう力が剣に乗る


あちらでのことだけれど、陥穽に陥って氷漬けにされたわたしを

「卑怯な」

の一声とともに、焔を纏った一撃で

わたしを切らず、氷の牢獄だけを一刀両断にして、助けてくださったこともあった


そう、卑怯なことがお嫌いで

やるなら断固それを貫く

もしも、わたしが力負けを喫するのなら、それはそれまで

けっしてお家の行動のお邪魔などされなかっただろうと思う


たまたま、そう、たまたま出張られた作戦中に

お姉さま的には卑怯な罠に落ちて、もがくわたしを憐れんで

いや、その卑怯な罠をこそ憎まれて

ふと、助けてしまった

それがご縁


わたしが自分の使命を果たせたのも、お姉さまの陰助とそして

何かとくじけそうなわたしへのお導き

わたしが自らに眠る本当の力を引き出せたのも、そのお導きの・・・


「遥、ぼうっとしていては駄目よ、依頼主さんのお暮らしのかかった

 真剣なご依頼なんですからね?」

「し、失礼しました、村長さん、お仕事はわたくしも、しっかりとしますので」

「はぁかまいませんがな、しかし、ギュスターブさん、うちはこの人らが

 失敗しても、ギルドに追加金なんぞお払いできませんぞ?」

とおっしゃるのはリスケルの村長さん、そう今回の依頼人さんである


「あ~、それは当然、もしもこの二人が失敗しても、ギルドでは正式受領済みの

 ご依頼ですからね、もしもの場合があったとすれば、それはギルドの失態

 ご依頼に応えられない人員を派遣したこちらの手落ちですねぇ」

「なら結構、しかしうちの末の娘っこより年下じゃないのかね?

 失敗はギルドが面倒見なさるとしても、こんな子らに何かあったら

 こっちの寝覚めが悪いからねぇ」

「ははっは、それは大丈夫、今日リンデに滞在している冒険者で

 この子らより上となるとそうね『暁のオーロラ』あれくらいしかいないんでねぇ」

「へ、あの高名な『オーロラ』さんたちくらいできる?このこらが?」

「とギルドは判断してますね、で、ご依頼の詳細なんですが」

「ですな、ひと月ほど前になりますか、村の羊が夜に襲われるようになりましてな

 最初はてっきり狼かなにかとおもいましたがな

 たしかに狼の群れがいました、が、それはすぐそちらが間引いてくださった

 しかし、いったん収まったはずが、半月前からですわな

 今度は真昼間

 毎日、2匹

 決まって2匹、村のそこらで食われよる

 ヒトの注意がそれておるところばかり狙いおるし

 いまだに何に喰われておるのかも、村の誰もが見ておりません

 とはいえ、ですな

 2匹以上は食われんうえに、村の周りから狼どころか

 小型の魔物も一切でなくなりましてな

 いっそこのまま、そう思うものもおります

 山の神様でもこちらにおいでなされたかとな

 が、私はそうは思えませんでな

 なにかおる、ヒトと分かり合えぬ何かが

 ヒトも羊も餌としか思わぬものがこのあたりにおる、と

 なので調査と、なろうことなら討伐をと、お願いしたわけです」

「で、いまは真昼間、くるかもと?」

「村の中ではここらが今は手すき、ここにはわたしら4人しかおりません

 おっしゃるように手配りしましたでな

 来てくれるなら私らが目撃・・・うぉっ」

「おじいさまぁ~~」

5,6歳くらいだろうか、幼い娘がこちらににこにこ笑いながら

懸命に走ってくる


1話に本作着想の元ネタになったお姉さまのイメージ画像を挿絵として追加しました。

もちろん作者さんのご了解済みです。

本作着想の経緯、イラストの掲載元様情報などは活動報告に上げさせて頂きます。


あと、読んで下さる方にどのように見えているのかひどく気になっております。

感想とか頂けるとめっちゃ励みになります。(五体投地)

そして

次回、超変身(違

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