円卓
さんざ遅延しての会話回
まことに申し訳ありません
目の滑る方はあとがきだけご覧くださいorz
かたり、かたり
シーレ様の後ろに佇むヘレネさんを除き、サロンに集まった皆が円卓につく
「ふむ、円卓にエスペリの王が付かれ、姉さまもそして侯爵様こそおられぬが
替わりにセラがついておる
懐かしゅうございますな、姉さま」
「そうねぇ、息子をはじめ歴代の王様からご相談を受けるときは
たいてい二人きりでしたからね、わたくしの私室でお話したし
ヘレネいつぶりだったかしら?」
「1003年と6か月16日ぶりでございます」
ヘレネさんが明快に返答する
ここに参集しているメンバーは皆シーレ様の正体
王家のヒミツ、ファラスネスの故事のかなりの部分まで
理解しているヒトということになる
ジェラール王、プリシラ殿下
シーレ様、レーテ様にヘレネさん
お姉さまとわたし
レイチェルさんとアスティナさんにステファンさん
そして、わたしたちを呼びに来たテオ様
最初ステファンさんは着座を遠慮しかけたのだが
なんとレーテ様が引っ張り込んだ
「遠慮するでない、ヒミツの開示をレイチェルがしているかどうかは知らぬが
おのしはきっと入用の人間じゃ、わらわの勘が告げておる
それにおのし・・・ヒトの分際としてはじゃが・・・かなり使うほうであろう?」
「はて・・・家宰の能力をそこまで高く買って頂けますとは」
「あーそういうのはよい、そのかみ、わらわがもっともっと幼く
侯爵様にもまだ出会わなかった頃、大陸も混沌としておったが
たまにおのしのようなものがおった、真龍に挑んで倒してやろうというような類じゃな」
「失礼ながら、わたくしそこまで命知らずでは・・・」
「はっは、よいよい、かなり無茶をしたのであろう?聞きはせぬ」
などとステファンさんを着座させてしまった
「さて、ではこの場に皆々を呼びつけてしまったこと
いささか大仰であったと思う、詫びるわけにはなかなかいかぬこの身ではあるが
皆に苦労をさせてしまい、すまぬ
この通りだ」
とつむりを下げられるジェラール様
よしてほしい、ホントそういうのは心臓に悪いし
なにより義理とかがのしかかってきてしまう
「まぁ、少々皆に係る大事ゆえ
義姉上にご相談をし、こうして皆に会えるよう、とりはかって頂いた
状況をまず説明しよう
この一年の間、大陸の9か所で大小の違いはあるが暴走が起きておる」
レーテ様から伺っていた話ではあるがそれはかなり多目、そういうことなのだろうか
「無論、暴走の多発、無いことではない
統一王と侯爵殿がこの大陸のありようをほぼ定められたころよりも前
ヒトと魔獣との距離は今よりはるかに近く魔獣のテリトリーも大きかった
ファラスネスの傭兵団の一番の需要は魔獣討伐
無論他国との抗争にも出番は合ったろうが
それよりなにより、ヒトは自らの領域を増やすのに必死であったそういうことだ
その後、大陸のありようが定まり
世も安定し、そうなるとの領域も増え
ヒトと自然とのせめぎ合いが続けば当然暴走も起こる
だが、それでも一年に3度、4度あるかないか
そうしてここ100年の間は小規模の暴走が年に一度
その程度になってきて、セラ殿とハルカ殿、ああ、レイチェル殿が活躍したのだったな
そう、リンデでは20年ぶりとの報告が来ている
ところが今年、いや昨年からで合わせればもう9度とそうなっておる
わが領国内では大小合わせて7度、そして南方王国では小規模のものが2度
とこうなれば、西方王国のことが皆も気にはなると思うが
レーテ殿は無論ご存じであろうが
西方はある意味南方の魔法云々という事よりも少々特異な国でな」
陛下は出されたお茶に口を付けられる
「西龍王叔父上のお力じゃな」
と、こちらも陛下にならわれてか薫り高い茶を愛でられるレーテ様
ヘレネさんの冷たい視線が走るのはいうまでもないが
「さよう、西方王国はわららよりはるかに龍との縁が強い
統一王と侯爵殿が西方に軍を向けなんだのは西龍王の力を憚って
というか残す国々のうち、核となる力を持つ国が西龍王との強固な絆を
持っていた、そういう風に聴いておりますが?」
「それであっております、ジェラール陛下、父も侯爵も
現在の西方王国の核となったドラグリアを残すつもりが
あちらも大陸統一の余波を受けて周辺国を吸収しましたから
西龍王のお力を持ってむしろこちらと雌雄をというところまで行きかかったはず
そこをレーテ、あなたの父上が間に入ってくださったのでしたね?」
とシーレ様が聞けば
「懐かしゅうございます、姉さま
それで結局、父の顔を立てるゆえ
一度そのしれもの、こほん、侯爵様の顔を見せよと西龍王叔父上がなぁ
それでわたくしと二人して西方王国に伺ったのじゃが
侯爵様は西龍王叔父上からたいそう気にいられてのう
婿にならぬかと
なんならわらわもまとめて婿入りし
いっそ一人で大陸を治めればよいではないかと」
「あら、そのようなお話に?」
「し、しもうた、あ、いや、ね、姉さま
こ、侯爵様は、ちゃ、ちゃんとお断りになられました
すでに愛する妻がおり、支えになるものもここにいる
王冠なぞあなたがお付けになればよろしかろう、と」
「くすす、よろしいのですよ、レーテ
なにしろ、ちょっと目を放せばかわいい子がついてくるお方でしたからね
ともあれ、それで合意となって
侯爵がお見えでない間も西方とこちらとの仲は良好
そうでしたね?」
「さようですな、義姉上
どちらかといえば閉鎖的な南方王国に比べ
西方とはヒトの交流も深い
1000年の間にこちらの王女が嫁いだことも
あちらの王女が嫁がれたことも数度ある
それこそ互いの国内問題になりかねぬゆえ
貴族諸侯が勝手にということはありえぬが
互いの王家公認であれば、縁づくこともある
さらに、これが今回の問題なのだが
4年に一度、互いの王子あるいは王女が友好使節として訪問し合うという制度もある
たまたま、それが今年はこちらが使節を出すことになっているというわけだ
そう・・・たまたま、な」
「陛下・・・こほん、父上、この家系に産まれたからには
もとより政治の為に身命を捧げるのがわたくしの仕事
王女などと傅かれ、飾り立てて頂くのも
散らす命に箔をつけるためと理解しておりますのに」
「これこれ、そのように王女に達観されては
こちらの立場がありはせぬ
プリシラ、だれじゃ、そなたをそのように仕込んだのは」
「・・・父上では?」
「なんと!」
絶句するジェラール陛下
「あらあら、プリシラ、言葉が足りていませんよ
ジェラール、あなたの背中を見て自然とそうなった
そういう事よ」
にこにこと親子に視線を送るシーレ様
「ほぉん
なるほどな、さすが賢王というところではあるが
ジェラール殿
ご自分を責めるのはいかがかのぅ
殿下は誰に押しつけられたわけでもなかろう
わらわにはそう見える、いや、感じるがのぅ
何より、逆のわがままを申されても見よ
なればこそ、正規の護衛のほか
このような私的な守りを添えられたい
そういう事であろうに」
「やれやれ、そうそう先回りをされますと
恰好がつかぬ
と、いうわけでな
そしてもう一つ、レイチェル」
「は、陛下」
するり、姿勢を改められるレイチェル様、さすがはご貴族様の子女
そういうことかしらん
「そなたにもそうかしこまれても困るのだ
レイチェル、あえて申すが以前、禁書のアレをな」
「へ、陛下、ど、どうかお許しを
先日ようやくシーレ様にお詫びができたと申しますのに」
「はは、それも聞いておるとも
それゆえに、だ
今回どうか力を貸してはくれぬか
それで互いに貸し借り無し
いや、もちろん謝礼を出しはするとも
もとより王の金庫を傾けたくらいでは
そなたの小遣いにも及ばぬとは思うがな」
「御戯れを
して、わたくしがなすべきは護衛以外と存じ上げますが?
なにより冒険者としては役立たず
荒事は仲間の二人に頼り切る始末
陛下わたくしから申し上げてしまいますが
わたくしのあえて言うなら『才能』を、陛下もどのようにしてかご存知で
それを役立てよとのご定
それでよろしゅうございますか?」
「ふむ、ゼクストレーメ総帥から伺った」
「あんのば・・・こほん失礼を」
「責めてやるなよ?
そなたが思うより、余とそなたの父は親しい
金融、財務それのみの付き合いではないのだ
むしろ私的な政治顧問の一人
それがそなたの父なのだ
『才能』のことは今回の案件が出るまでは
一言たりとも聴いてはおらなんだゆえ、な」
「なれば陛下、だれの何を探れ、と?」
「知りたいことはただ一つ
此度の暴走の多発
それが西方王の企みでない
その確証を得たい」
「むしろ確証を得たくないということは・・・
あ、これは分を超えた発言でございました
お許しくださいませ」
「よい
皆も南方を想っておろう?
我らと西方との戦端が開かれるとなれば
喜べるものがあるとすれば南方王国それしかあるまい
そしてこれまでであれば、西方と南方がたとい通牒したところで
我らエスペリの勝利に揺るぎはなかった」
「黒い聖鎧騎士・・・」
お姉さまがお声を漏らす
「そうだな、セラ殿
ゆえにそなたたちを呼ばせて頂いた
すまぬな、プリシラ
そなたがわがままに過ごせるような平和な世に産んでやれなくてな」
「お産み頂いたのは母上です」
「おお、これは失言じゃ」
苦笑するジェラール様
「産まれる時代を選べぬのは、親を選べぬのと同じこと
父上、いえ、陛下
先ほどの発言の通り、すべきことを致します
ただ、陛下が恐れておられるのは
わたくしの身に起こる何事かを利する愚か者が出ないよう
それでございましょう?」
なるほどプリシラ様は賢くそして志の高い王女様という事だろう
さすがはお姉さまの遠い子孫・・・ううん、ややこしいなぁ
「ふむん、そうじゃな
ジェラール殿よ、ここにわらわも呼ばれた
むろん、姉さまのお仕込とも思うがのぅ
まぁたまたま、長逗留を決め込んでそこなヘレネの嫌味を聞き流しておったのも
それはわらわのせいでもある
いかがかな、西方への旅
わらわも随員に加えてたも
なぁに、用もあるのじゃ
先ほどより話にも出ておった西方の龍王
さよう、わが叔父上とお呼びしてはおるが
父の死後、代替わりの挨拶にはまだ伺っておらぬ
まぁそういうことはしてもせいでもではある、あるがな
久々に叔父上のご機嫌をうかがうとしよう」
「レーテ殿、赤竜王のお力をお貸し頂ける、と?」
「ふっふ、先ほど申しておられたであろうに
借りだの貸しだのは重すぎる
お若い姫君が左様に決意されておられる
そして姫君とわらわもしりおうてしもうた
ならば
その決意を無碍にせぬようにするのが知り合いの年長者の責務
違うかの?」
にっこり笑われるレーテ様
こっそりヘレネさんが
『へび娘がえっらそうに・・・』などと声には出さず
口を動かしていたような気もするが、ともあれ
シーレ様の思惑かどうか
当夜円卓に集った王様以外のすべてのメンバーが今回の西行に参加する
そうと決まった瞬間だった
王様以外全員で西に旅立つこととなりました。
以上
うーんそれだけで済むのになぜさ




