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二王相対

ごごごごご・・・

かちこち、こっちん


どうしてこうなった?

目の前に王様がお二人、王族がお二人・・・あぁ三人さまかしらん

ご貴族様がおふたりと

とんでもないことになっている


いってはなんだが

一年と少し前までは普通・・・まぁ普通ではなくなっていたけれども

普通の高校生だったはずなのに

いかに異世界とはいえ、こういうご高位の方々にお目見えするとか

おかしい

お姉さまと気ままに世界を巡るつもりだったというのに

どうしてこうなった


ここはシーレ様のサロン

テオ様がリンデにお見えになり

茶化してはおられたが、レイチェルさん

いや、ここでは再びレイチェル様というべきかしら

ともかくもレイチェル様と久闊を叙したいなどと例の時代がかった物言いで

わたしたちも含めてお招きになり

暴走の顛末をなどという名目でラックナーギルド長の執務室で会談に及んだのだけれど


「というのはお察しとは存ずるが

 建前

 まずはこちらをご披見願おうか」


時代がかった所作で

事情を知る皆へと

ギルド長、ギュスターブさん、レイチェル様の一党、そしてわたしたち

テオ様からその面々にしめされた書状に押された封印

お姉さまとわたしには無縁、そして未知のものだったが

他の方の反応は違う

粛然

それが一番あたっていただろう

それは、王家どころか、王国が王名で発する書状に捺されるもの

場合によっては族滅の命令などにも捺されるというもの

軽々と捺されるものではないらしい


ただ、内容の方は

レイチェル様あて

出来うる限り早く王都にて面談したい

内容は冒険者としてレイチェル様に個人依頼を発注したい

詳細は王都図書館にて面談の折に話すものとし

拘束予定期間は5~6か月

危険を伴う可能性もあるため、レイチェル様の一党全員と

ウロボロスの同行を要請する

むろん、このような非公式依頼が命令であろうはずもないが

可能な限り王国に助力を要請するものである、と


そしてテオ様がわたくしたち二人に手渡された書状

それには例の王立図書館の紋章が捺されており

中にはもちろんシーレ様のご手跡


『セラ、そしてハルカさん

 ごめんなさいね?

 一度だけ王様のわがままを聞いてあげてほしいの

 詳しくはおうちで、ね?

 でも、二人のことに係るのではないかしら?

 では移動についてはテオ君に聞いてちょうだい。』


とこうあった

むぅ、テオ様ってばシーレ様とも面識が??となったわけだが

まぁあとで伺おうとふたりで目配せ

そして移動手段として示されたのは大型の馬車

馭者席に収まっているのはなんとヘレネさん

となればこの馬車もとよくよく見れば

いや、普通の人にはわかるまい

馬車こそ普通の馬車ではあったけれど

曳いている馬は生きていなかった

いや、そもそも生物ではない

これはロボット馬ともいうべき機械の馬

特別な目を持っているわたしにはわかった

ここまでお膳立てというか

強制力が働いていては仕方ない

少なくとも害意をわたしたち

いや、お姉さまに向けるシーレ様とも思えない


かつての王女、政治の場に身を置いた方だとしても

単純にお国とわが子の危難をはかりにかけるお方とも思えない


ならば

またまた留守をと皆様にお別れし

用意された機械馬の曳く馬車にレイチェル様たち

そして、しばし混乱収取の手伝いをと副官さんに隊の指揮を委譲されたテオ様と

皆で乗りこめば

馬車はその日のうちに街道を秘かに離れ

ヘレネさんが用意された大型の鳥船に乗せてもらい

深夜、秘かに図書館に


シーレ様

そしてシーレ様の元にまだ留まっておられたレーテ様とのお話をと

思ったのだけれど


「ちょうど良かったわ

 ジェラールも間に合ったようね」


へ?ジェラールさん、だれよそれとか思っていたのだが

いつもの通り泰然自若のステファンさん、そしてヒト全般に対して

超然としておられるレーテ様以外

粛然

それとしか言いようのない態度になられる


かちゃり

侍女さんたちが空けた扉

悠然、というか自然体で入ってきた渋いというか趣味の良い服装の壮年男性


義姉上あねうえお手数をおかけいたします

 やぁ、そなたがセラ殿か、何とお呼びしてよいのやら

 ややこしくなるのでセラ殿、それで通させてくれるとありがたい

 セラ殿も、ここではジェラールとか伯父さんとか呼んでくれるとうれしい」


やたらフランクではある

そしてジェラールさん?と一緒に入室してきたのが


「へい・・・こほん、お父様、少々ラフにすぎるのでは?」


こちらは麗しい金髪が緩やかなウエーブを描くわたしたちと同世代の少女

ううん、こちらの世界では適齢期、そういうところかしら?


「まぁ体裁にこだわって実利があるならそうするが

 ここは皆の力を借りたいそういう場

 プリシラ、そなたの安危にもかかわることゆえな」


ふむ、こちらはプリシラさんか

っていうか、シーレ様を親族扱い?、お姉さまと親族??

この方がたって???


「うふふ、セラ、ハルカさん、それとレーテにも始めてね?

 こちらが当代のエスペル王

 ジェラール・レ・ラ・エスペリ陛下

 そしてご息女

 プリシラ・レ・ラ・エスペリ殿下

 わたしが言うのも何だけれどお二人とも悪党ではないから安心してね?」


その物言いもどうかなと思わないではないが

ご紹介されたお二人とも苦笑しておられるあたり

シーレ様へのご信頼も厚いそういう事だろう


「初めて御意を得ます

 陛下、殿下

 事情はお二人ともご存じのご様子

 それゆえ名乗るとすれば

 セラ・レ・ル・ファラスネスとなるのでしょうが

 正式に名を継いだわけでもありませぬゆえ

 ただ、セラとお呼びください

 こちらにおりますのは、ハルカ

 わたくしとともに歩むものです」


このご説明ににこやかに微笑まれるおふたり

まぁたしかに説明のしにくい間柄ではある


「ジェラールそしてもうひとり紹介するわね

 こちらがレーテ

 わたしと侯爵の大事な大事な親友

 うふふ、レーテにはもう少し言い分があるかもしれないけれど

 当代の赤龍王

 かつての王宮の上を舞われてわたくしと侯爵の結婚を祝ってくれた方なの」


とシーレ様がレーテ様を紹介される

なろほどなるほど

これはどういう関係性になるのかしら

どちらも王様、それにレーテ様はいわゆる王様とはちょっとちがうと思うのだが


「ふむ、ジェラール殿と呼ばせて頂こうか

 わらわがレーテ

 シーレ姉さまが言われた通り

 当代の赤龍王にして若気の至りではあるが

 昔の王宮に伺ったことがあるのがこのわらわじゃ

 姉さまを大事にしてくださることにわらわも礼を申し上げよう」


レーテ様はさすが王

おつむりを下げることはしないがジェラール様には丁寧なお言葉でお話ではある


「当代の赤龍王に間近で御意を得ることがあろうとは思いもよらぬことですな

 レーテ様とお呼びさせて頂きましょう

 義姉上の無聊をお慰めもままならぬ我らですが

 どうか向後とも義姉上をお尋ね頂けますよう

 お願い申し上げる」


「ほほう、尺土も持たぬこのわらわに

 『様』付で呼んで頂けるとはジェラール『殿』それは

 わらわの力をおそれてのことか?

 それともわらわからなにぞを引き出そうとてか?」


お二人の間にちらちらちらと稲妻が走っている気がする

 

これはシーレ様が何かおっしゃられる方がと思うのだが

シーレ様はにこにこにことするばかり


「寸土もと仰られますが

 レーテ様は自らが王なることをもって王なる方

 我はといえば、それこそ領土、領民、王臣あっての王

 ゆえに『様』と申し上げましたが

 はて、我に何かして下さると?

 ふむむ、ならば大龍王、神竜王とでもお呼びすれば

 民に大豊作でももたらしていただけますのやら

 ならばいかようにも?」


「くくっくく

 いや、ジェラール陛下、失礼の段、どうかお許し願いたい

 エスペルの民は賢王を戴いて幸せ、そのようで結構なことじゃ

 姉さまの安穏を祈るあまり、つい悪戯が過ぎたようじゃ

 ジェラール殿、どうか姉さまの安穏を今後もお助け下され」


「ご懸念なきよう

 王族にあって、支柱たるシーレ義姉上あねうえを無視できるものはおりますまい

 ましてシーレ様は賢いおかた

 尊敬はお買いでも、敵意は買われぬお方ゆえ」


「それを伺い安心というものじゃ

 プリシラ殿下、父上に失礼を致した

 どうかお許しくだされ

 先ほどは偉そうなことを申したが所詮龍は終わっておる生き物じゃ

 たとい先代龍王のように万年近く生きたとしても子はわらわただ一人

 つがいはなくとも子はなせようが

 いつなせるかは神よりほかに知るものもない

 そなたたちと真っ向から戦い合えば

 いずれはわらわたちは過去の伝承になるほかなかろう

 孤独な生き物が親しい方の平穏のためつい強がりをして見せたと

 笑ってお許しいただければ幸いじゃ」


「いいえ、レーテ様、わたくしにもシーレ伯母様は大事な方です

 兄王子も可愛がっていただいております

 どうかご懸念ありませんように」

にこり微笑まれ、カーテシーというのか、会釈をされるプリシラ様

こちらもなるほどよいお方とそうみえる


ふむむん

お偉いさん同士ってのはなかなかにむつかしい

とはいえ、レーテ様は一安心されたらしく

とりあえず皆で卓に付き

肝心のお話を進めることになったのだった


どどどどどどど

はなかったですね、よかったよかった

ということで間が開きましたが続けさせて頂きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新たなミッション、楽しみです。 ここから1部で残された謎に迫るのでしょうか。 [一言] 読了しました~ 良い仲間が1部で集まり、その流れで大きな流れが生まれる。 王と王のバチバチ、いいです…
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