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33 黒 白 の 行 方

決着?

はら、はら、ぱらり

まだ落ちてくる塵、ほこり、そして砕かれた建材


その中に立つ銀色の影


わたしと同じ白銀の装甲

違いがあるとすればコンソールの細部

そして体側の

私は赤だが

奴の体側、そして肩に走るのは漆黒のメタルライン


「ふははははは、どうだ小娘

 これが聖鎧騎士

 この世を統べる、『ファラスネス』の後継者の姿だ!

 ひれ伏せ、ひれ伏すがいい、そうすれば一息に殺してやろう」


「あ~~ファラスネス名産の傭兵隊長さんですね

 で、部下は何人お連れなんです?

 ん?

 ひょぉっとしてぇ、部下いないタイプですかぁ?

 ステファンさぁん、お一人でご就職の希望らしいですよぉ

 お雇いになられますかぁ?」


おうおう、肩ふるわせちゃって


「いいえ、はるか、部下?は・・・いたんじゃないかしら

 最初に10人、次に30人、ええっと今夜も20人

 女の子二人に捕まっちゃうような部下だけど」

「あ~~、ファラスネスの傭兵団って有名だったと聞きましたけど

 1000年たったらそんなものですよね

 落ち込むことはないです、うん」


ぼんっ

ヒトを超えた速度で、黒さんが殺到する


それもレイチェルさんをまだ狙うとか


ぎんっ


お姉さまの愛刀が黒い奴の脇腹を一閃する


そう、そのスピードならお姉さまが一撃いれられない筈はない

変身したわたしを切り伏せかけたことのあるお姉さまだもの


がぅん

だが、それで止まらないその突進

しかし、それすらお姉さまの腕前なら


きぃん

お姉さまも瞬時に剣線を舞わせ

もう一撃

それでレイチェル様の直前で聖鎧騎士の突進が止まる


とん

「ご紹介状はお持ちですかな?

 なしでお嬢様に面会などありえませんな

 出直しを」

ほとんど動いてないと思うのだが

かすかにぶれたステファンさんの腕

一礼するステファンさんの前で黒いのがたたらを踏む


しゃりん

その背にアスティナさんの忍剣シノビソードの一撃


装甲を滑っただけ


当然のように黒はその場でぐるり旋回

先ほどから持っている黒い直刀を

アスティナさんにふるう


ほぃ


ダンスのようにわたしがアスティナさんを絡め取り

回転しながら脇に逃がし

さらにお姉さまがアスティナさんを引き付けて回転を殺しながら

脇にとどめる


まぁこんなものだろう

先日来

こちらの人達の強さを知りつつある

装甲と武装、それを除けば

このお二人なら立合いにはなる


なるが、まぁ黒いこいつがいい気になるのは判る気がする

誰に何をされても自分は無傷

それで自分の武器は当たりさえすれば相手を蹂躙できるのだから


「きさまらっ、聖なる騎士を、聖鎧騎士たるこの俺をヒトの分際で止めるのかっ

 不遜

 傲慢

 貴様の罪はこの場で裁いてやろう」


叫ぶなり、つとんと後ろにとんで間合いを空けるそいつ


あ、いけない

アレを使う気だ

仕方ない、ここでやられるわけにはいかない


「あっははは

 それで誰を裁くつもり

 お前こそ傲慢、不遜

 変身できるのは、そう

 聖鎧騎士の名は貴様の物だけじゃない!

 『コンソール』!!」


ぐりん

世界のどこかがねじれる音がする

わたしの腰にベルトがまかれ


「『変身』っ!」


叫べば私の身体を光の渦が取り囲み

銀の装甲、赤のメタルライン

そう、『聖鎧騎士』かどうかは知らないが

黒とうり二つ

奴と互角に戦えるはずの姿に変身を遂げる


「はっハルカさんっ、あなた、あなたがっ」

さすがに上ずるレイチェルさんのお声が背後からするが


「お話はあと、これでお気が済みましたか?

 後でしっかりお見せしますっ

 アスティナさんっ!」

「承知!」


再度フォーメーションが入れ替わり

わたしの横にはお姉さま

アスティナさんがレイチェル様の直掩につく


「こいつ多分飛び道具を出しますよ

 光ったと思ったら切られてたとかになります

 わたしとお姉さまでしか、多分それは防げません

 二人で止めますから下がってください!」


「誰が下がらせるかっ

 そうか、貴様もオレストの指導を受けたのか?

 違うな、オレストが教えられるはずもない

 ならば残る二人か?


 ふ、だが俺ほどの境地になど至ってはいまい

 よかろう、聖鎧騎士のさらに秘奥ひおう

 見るがいい、そして絶望せよ

 『ニグルムアルミス』!」


秘奥?なんだそれ

そんな御大層なものは体験したこともないが


じわり

奴の『コンソール』、ええと『ケンソル』だったか?

そこから闇色の瘴気が噴出し

奴の身体にまとわりつき

奴の体色が闇色に

そう、先ほどのカラーと反転

黒のボディに白銀のメタルライン

 

「あっははははははははは

 これよ、これが王者の姿

 世界を統べる王の姿

 『黒鎧こくがい』と俺は呼ぶがな

 見ろ、この高貴な姿を

 ひよっこの貴様などには到底追いつけない

 俺はそんな高みにいるのだ!」


ぶん

奴の黒がぶれる


先程より早い

なるほどこれが秘奥だか硫黄だかいうやつか


わたしは眼というより感覚で追えている


しゅりん


横合いから突きが黒に入る

むろんお姉さまの一撃

わたし以上の空間把握と人を越える域の反射速度


わたしより多少早い程度ならお姉さまには対処可能


ぬるり

抜けるか、そうか、さっきよりまた早い

まぁお姉さまもそれは想定内のはず


きんっ

横切り一閃

しかし今度は黒い剣がお姉さまの愛刀を阻む


「ふははははっ、ヒトの分際で早いではないかっ

 それぐらい歯ごたえが無くては

 『黒鎧』の嘆きがとまらぬ

 くえ、くえ、くえとなぁ

 だが、まだまだ早いぞ

 我は、我は、われはっ!」 


なんだよこの中二病は

まぁいいや

せいぜい吠えていてくれる方がやりやすい


とはいえ、面倒だな

「『断罪剣ディバインブレード』」


するり引き抜く光りの剣

気負うことなくわたしは断罪の剣を手にする


「ふふふっ、それがどうした

 貴様がやっと使えるそれを

 俺は13の時には会得していたぞ!

 よかろう、まことの力というものを見せてやろう

 『グラディウス イウディチ』!」


ぶぅん

鈍い音

奴の両肘から突起が飛び出し

そして奴の両腕の脇に断罪剣が一振りずつ形成される

ちょうどアスティナさんが逆手に握った忍剣をふた振り装備

そう、ああいう感じだ


「一本で俺の力にもかなわない非力な貴様が

 ふふふっ

 どうだ、俺には二本

 どうだ、泣け、懼れよ

 泣いて許しを請えば俺の部下にでもしてやって・・・」


ひゅん

軽く一振り

わたしの断罪剣が奴の右腕に食い込んでいる


「ぐわっ」


ひゅん

もう一撃


しまった浅かった

余裕だったわりに、2撃目で後ろに下がるとか


「あぁぁぁぁぁ」


とはいえ

奴の漆黒の鎧の胸甲が断罪剣の剣線の軌跡通り

袈裟懸けに破れている


「ほらほら王様さっきの勢いはどうしたの

 わたしが怖くって、お腰が引けてない?

 それで何とか助かりましたって?

 やっぱり黒いねずみじゃないの?」


と、いかにも強そうなことを言ってはいるが

実は内心わたしも焦ってはいる


ここで、ここでこいつを始末するか

さもなければ、ほかのみんなじゃない

わたし、わたしに

わたしだけにこいつの憎悪を向けさせなくては


だが、始末・・・できるだろうか?


あちらでは

戦いの結果だとしても、いかにそいつが許せないとしても

わたしは命を散らせている

いかに異形、超常の相手だったとしても、だ


つい先ほどまで

わたしは場合によっては襲撃者の命は無視できる

そう思っていた

けれど

差がありすぎると・・・


だが、これを放置はできないだろう

その迷いを・・・


くぃん


わたしも突進

自らの黒い鎧が破られたその驚愕に呆然としているそいつに体当たり


どん

鈍い音


そのまま奴は壁に激突する


「ほらほらママが呼んでるわよ?

 早く帰っていらっしゃい

 ママのおひざで泣きなさいってねっ!」


いいざま断罪剣を握ったままで、右の腕を一振り


きら、きら、ぎらり


実体こそないが

ブレイブアローの三点撃ち

自分に向かって撃ったことはないが

どうだ?


ブレイブアローは全弾命中

奴の黒い鎧が3か所、一瞬だが紅く焼ける

そうか、やっぱりこれでは貫けないんだ

とはいえ、かなり熱かったんじゃないか?


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ

 何故だ、なぜだ、なぜだぁぁぁ

 し、師匠、オレスト師匠っ、お、おれが最強じゃないのかっ

 お、教えてくれっ」


「もういないんじゃないの?

 どうせあんたが殺したんじゃない?」


「な、なぜそれをっ、聖山、クレスト山の麓に俺が埋めたというのに」


ははぁどんどんいうなぁ

もうちょい、いろいろしゃべらせる方がいいかな、こいつ


「どうせ師匠の修行に耐えられなくって

 せいぜい、黒い姿になれたところで師匠を闇討ちにした

 そんなところじゃないの?」


「み、見ていたというのかっ」


「ホントなら師匠か、お仲間にもっとお稽古付けて頂くはず

 違うのかしらっ!」


どんっ

前蹴り一発

うん、まだ死にはすまい


「そっ、そう、そうだレムナント、そ、それからレグルス

 ま、まだふたり、奴ら、奴らを倒せば、お、おれはぁ」


とん

軽く床を蹴り

ホールの天井が高いのをいいことに

2m、いや3mほど私は宙に浮き

ぎゃるる

身体をひねって

限界までうちに撓めて

必殺の

必殺の一撃を


ごぼん


そのとき

天井が崩落し


瓦礫が周囲に降り注ぎ

一瞬

ほんの一瞬眼が切れた隙


奴の姿は消えうせていた


今回はいろいろと苦戦しました

もちろん、ハルカちゃんじゃなくわたしのほうですが

次回は後始末、でしょうねきっと(笑)

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