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27 お嬢様の情熱

次回こそ(ry

しん、しん、しん


日本、そう、日本の茶室でなら松籟しょうらいの音

ステファンさんが置いておかれた湯煎器が静かな音を立てている


「・・・わたしはね、この力、これに気づいて、しばらくは面白くって

 だって深刻なお話しやら、こっそりのぞいた会合やらが

 簡単な数字や矢印に見えるんだもの

 ちょっと複雑な組み木遊びいうのかしら、あぁ、金属のものもあるわね

 複雑に絡み合った輪っか、みなそれをどうしたものかと悩んでいる

 でもわたしには見える

 みなさん見逃しているけれど

 急所が別のところにあって、ちょっとそこを突いてあげるだけで

 絡まり合った輪っかが全部ほぐれてはなしは簡単になっちゃう

 それを眺めては一人で喜んでたわけ

 世の中こんな単純なことがなんでわからないヒトばかりなのかしら

 うっふふ、いやな子よねぇ?

 子供同士でももちろんだったけど

 周りにはうちにおべっか使うか

 さもなければ大して後ろ盾のない権威とか、格式で

 わたしにのしかかろうとする奴らばかり

 まぁ、そう見えたので、友達すくな・・・けふん

 ま、いいわねそれは、うふふ


 とはいえ

 大人のお話に口を出しちゃいけないって、ええ

 お母様にだってステフにだって、教わっていたから

 守っていたわ

 でも

 7歳だっけ、8歳だっけ?

 ええ、あとで聞いたけれど、たまたまそれは我が家がどうなるか

 我が家をお嫌いの方々が、我が家に仕掛けてこられた

 そうね、戦争だったの


 あまりにも大規模すぎて、それも一度にいくつもの火の手が上がっていたし

 火元はどれか、いいえ、火元が誰かは、はっきりわかっているのに

 火消しができない


 ゼクストレーメを頼る人たちはそれでも多かったから

 毎日毎晩うちで、ええ、昨日の元王宮ね、そこで延々お話してる

 見た通り、あそこは無駄に広いけど

 会議室にはわたしのような子供は立ち入り禁止

 でも、こっそり盗み聞きできるというかするための

 そういうスペースは今でもあるの


 そこに入り込んで聞いていると、結局、急所になっているのは

 あまり大したことのない小さな商会

 そこが潰れる、潰す、潰さない、そこに関わる御貴族様のメンツがどうの

 そんな話をてこに、どんどんどんと話を大きくして

 それをタネに、今度は貴族やら、王族やらの思惑がってこうなってる

 と、こういえばみんなにもわかるでしょ?


 でも最初に、ゼクストレーメを潰せって総攻撃から始まったから

 対処に追われて話の絵図が見えてなかったのねぇ

 それでみんな同じ話を延々としているばかり

 だけど、あまりに馬鹿馬鹿しくって

 それでね、ステフに頼んで、お父さまにメモを渡してもらったの

 ええ、みえてない輪っかがどれかって


 おかげでまぁ、うちは潰れず

 後はすぐに逆襲してやったと聞いたわ


 で、お父様から

 褒美は何がいい?って言われたから

 ステラリアに娘を作ってほしいのって言ったわけ


 ええ、その時は、お母様もそこにいらしたから

 みんなの顔がちょっと面白いことになったわね

 まあ、お母様はいつものように笑ってらしたけど


 それで、『レイチェル・レ・ステラリア』が産まれたわけ

 わたしと同名ってのはどうなのというかもしれないけれど

 むしろ、『ゼクストレーメの忠犬』なぁんて言われてたおうち

 ゼクストレーメの息女にあやかって付けましたというのは

 逆にいかにもありそうな話でしょ?


 表向きは、ゼクストレーメがそちらにあやかりましたと

 そういう話が広がるように、自分で仕上げていったけど


 で、『レイチェル・レ・ステラリア』は

 割と自由に、商売の真似事やら

 お出掛けなんかができるようになったわけ

 まぁ、それでも腐っても貴族ってことになってるし

 それも結構爵位が高いから

 無茶はするまい、お父様はそう思ったんでしょうねぇ

 ホントに甘いのは昔からよねぇ、うっふふ

 

 ステラリア侯爵さまには、

 レイチェル、おかげで

 うちの財政は立ち直ったが、この悪名はどうしてくれると

 いつもぶつぶつ言われているわ、まぁわたしとしては

 せいぜい資産を増やして安穏に暮らしていただくくらいしか

 報えるものはないんだけれど


 はい、それで

 こっそり世の中に出たわけ、力試しのつもりだったの

 ええ、あっという間にお金が増えました

 最初は遊戯のつもりで始めたけれど

 しばらくして振り返ったら

 もう自分の後ろにええ、それこそステラリアの雪だるまができていて

 わたしを追いかけて踏み潰しに来てる


 止まろうものなら

 もろともに崖下に行くんじゃないか

 そんな不安が押し寄せてきて

 眠れない、寝ちゃいけない、止まれないって

 ええ、もうその時にはお父様の総資産の半分に届くかどうか

 そこまで来ていたから


 そんな時

 刺客に狙われたの

 気を付けていたつもりだったけど

 ゼクストレーメに迫る商売人がいるんじゃないか

 一見ゼクストレーメが肥っているだけに見えるが

 実は、別の誰かが、ゼクストレーメを上回る勢いで

 別の帝国をうち立てようとしてるって


 好都合って思ってくれなかったみたいなの

 うちの対抗勢力ができたら幸いって

 普通は思うって考えたんだけど

 考えが甘かったみたい、うふふ

 世の中には

 ゼクストレーメがだけが栄えていなければ困るって人がいたのよねぇ

 で、この子が来ました


 あっはは、ええ、アスティナが私を狩りに来たのよねぇ?

 その先は、アスティナ、あなたが話すかしら?」


アスティナさんはかすかに頬を染め、無言でかぶりを振る

それはどちらの恥じらいか、聞くのはちょっと怖い気がするけれど


「手短に言うわね、わたしも少し恥ずかしいから

 その時、アスティナは、ギュスターブさんに手ひどくやられて

 自暴自棄になって、薄暗い道に踏み込みかけていたし


 わたしはわたしで、本当にしたかったこと

 そのための資金稼ぎだったってのを忘れていた

 で、ステフがつかまえた刺客がわたしと大して変わらない女の子

 それもステフが言うには『惜しい』逸材とね


 で、会いました

 そのあとは、うふふ、なんでこうなったのかしらね

 似た者同士?それでいいかしらアスティナ?」


「恐れ多いことです、消えかけた未来をくださったのはお嬢様

 それがすべてで、お嬢様にわたくしは・・・」

「嬉しいわよ?」


びくり身を震わせるアスティナさん

うっわ、大丈夫かな?これでニンジャが務まるのかなぁ

まぁ見ている分には面白いけれど・・・

うっわ、アスティナさん眼が怖いですって


「こほん、さて、長くなりましたけれど

 わたしの夢、それはね、『ファラスネス』」

「え、お伽噺でしょう?」


突然思わぬ方向から矢が飛んできた気がするが

これがぎりぎりの発言かしら?

なにしろ、嘘が無意味なお方だし


「うふふ、警戒されなくていいです

 わたしはね、子供のころに読んだ王女様の悲劇が

 そう、置き去りにされた悲劇の王女様

 そのお話がずっと心に残っていて

 なにがあったのかしら

 ファラスネス侯爵様はどこに行かれたのかしらって

 で、わたしは知りたい、世界の謎をこの眼で見たい

 ただただそう思ったの


 それを知るための資金を作る

 それが始まりだったはずなのに

 自分が使うはずのお金に振り回されて、押しつぶされそうになってる


 その馬鹿馬鹿しさを、アスティナに話したの

 あなたも目的と、手段を間違えているのじゃない?って


 だから、わたしも全部始末して

 いずれ、世界を見に行きたい

 そのとき、ヒミツも知れないうちに終わりたくない

 でも、わたしはどう見てもそちら向きにできてない

 助けてよって


 それまでの間、あなたはもう一度鍛えなおして

 ライバルだか師匠だかに挑みなさいよって

 うちにはステフがいるし、ね、あはは


 ええ、だから、『聖鎧騎士』はその大きな謎のひとつ

 だって、図書館にある史料には、載っているのよ?

 いくら1000年前の話でも、王国が集めた統一前の17国の歴史書にも

 それが載ってる

 どころか、公爵様が消えてからも、歴史の中で何度か

 見たって人もいるしね


 なので、ここ何年かは

 『聖鎧騎士』じゃないか、そう思われるようなヒトの情報には

 網をはっていました

 わたしの見たところではセラさん

 あなたがそうでは?そう思ったのですけれど」


「残念ながら」

「違いましたか、でももういいのです

 そうではないかと思えるくらいに、有力な冒険者さん

 はい、『ウロボロス』のおふたり

 セラさん、ハルカさん

 うふふ、アスティナの眼が怖いので、とりあえずそこらにしましょうね

 お二人と知り合えました


 お二人は自由な冒険者さんですから

 お首に首輪や鈴はつけられません

 けれど、お二人の気が向かれたとき

 お手がすいていましたら、わたしの探索の協力をして下さると

 とても助かります」


頭を下げるレイチェル様

そして、アスティナさんも頭を下げる


「そうですね、依頼があって、それに気が向いたなら

 それに乗るのが冒険者

 いつでも、と、お約束はできかねますが

 こんな身の上の私たちを『お友達』、そういってくださいました

 残念ながら、ひよっこですから、レイチェル様のお言葉に

 思惑がおありになるのか、それを判別できるほどすれておりませんから

 お言葉に乗ることにいたします

 ね、遥?」


「はいっ、わたしも、わからないことは仕方ないので

 『お友達』の言葉に乗っかることにします、えへへ」

「とっても、危険かも?」

「冒険者ですから?」

「ええ、ですもの」


さすがにぶちまけることはしなかった

したとしても、お互いまだまだ情報を揃える必要があるだろう

だから、図書館

そう、先ほど私たちが仰天せずに済んだその理由

そう、あのリストには

どう見ても、『ファラスネス』関連の物と思われる書籍が

3冊も入っていたのだから


今回のサブタイ、「古代への情熱」のもじりです

戦闘回は次の次の回、次回は早めに

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