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25 レイチェルさんの執事

執事さんは大事

がちゃ、がちゃ、がちゃ


伴われたレイチェルさまのお屋敷


次、次々と扉が開かれ

大広間

そこに、お屋敷勤めの方々が勢ぞろい

進み出るのは

ザ・執事

セバスチャンってお名前ではあるまいかと

思わず想像してしまうようなおかた


先程のプチ王宮に比べればさすがに小さい

小さいけれど、ううん

普通貴族ってこういうお屋敷に住むよね?と、そういうレベル

いわゆる御殿ってやつではなかろうか?


「お帰りなさいませお嬢様

 ご無事の御帰り、家人けにん一同、嬉しく存じ上げます

 護衛をお勤めくださいましたお二方

 はい、セラ様、ハルカ様でございますな、お嬢様を二度にわたって

 守り抜いていただきましたとか、一同感謝に耐えません」

「いいのよ、ステフ、お二人はわたしのご友人同様とおもってくださいな

 ともあれ今夜は泊って頂きますから

 お世話をお願いね?」

ステフさん?

「ほほぅ、お嬢様のご友人並みとおっしゃいますか

 これは珍しい、こちらで3年、御本家ではまぁ、申しますまいが

 お嬢様に、お友達ですか、それは珍しいことを伺いましたな

 奥様がお見えで在れば、随喜の涙を草葉の陰で・・・」

「お母様は、先ほどもお目にかかりましたよ

 勝手に草葉の陰に送らないでくれる?

 それと、お友達くらい・・・」

「くらい?・・・」


「むぅ・・・ともかく、それ並みの待遇でお願いしますね」

「承りました、お嬢様

 それから、アスティナ、後ほど部屋に来なさい

 此度の失態、ちと見過ごしに出来かねます」

とたん普段クールなアスティナさんががくがくがくと眼に見えて震えている


「え、ステフさん、ちょちょっとお待ちを」

「あぁ、お嬢様にも困ったものですな

 『ご友人』とやらのご来訪に舞い上がって

 家人の名前もちゃんとお伝えしないとか

 改めまして、わたくしステファン・ド・クレール

 まぁ、お嬢様のご友人、お嬢様同様ステフとお呼び頂きまして

 問題ございません」

ステファンさんは慇懃に一礼される


「あ、これはご丁寧に

い、いえ、それはどうでも構わないのですが

 アスティナさんはレイチェル様のご安全を万全にお守りだったと思いますよ

 1度目の時だって、わたしたちが来ようと来るまいと、野盗の10人やそこら・・・」


「いけませぬな、ハルカ様、襲わせるのが問題でございます

 アスティナにはお嬢様の代人として充分な資金を使える用意もあったはず

 いかに、乗り合いの便とはいえ

 そういう無用の事故、事故とあえて申し上げますが

 それが無いようにするのが役目

 旅先とはいえ、それなりのことが、いかようにもできたのでは?

そこが問題と申しておるのです」


ステファンさんは再びアスティナさんに向き直る

「良いですか、アスティナ、あなたが、ただの小間使い

それに過ぎないと言うのであれば

 そもそも、それなりの要員を送り込むまで

 アスティナ、お嬢様のご信頼をいいことに

 少々慢心が過ぎてはおりませんか?

 ギュスターブ殿との再戦に心を奪われておりましたかな?

 それとも、ふむ、お嬢様に少々危ない目にも会わせろとでも

 せがまれましたかな?」


「す、ステファン、ごっ、ごめんなさいっ

 あ、アスティナはどうか叱らないで上げて、わたし、わたしの悪戯がすぎたのっ」

むぅ、これは、と思ったのだけれど


「ステファンさん、少しよろしいでしょうか?」

「セラ様でいらっしゃいましたな、はい、いかがいたしましたか?」

「はい、他家のわたくしどもが口出しをとも存じますが

 なるほど、家宰としてのお説はもっともですわね?」

「これはご同意を頂きまして」

「いえいえ、ちっとも同意など致しておりません」

「ほほぅ?」

「伺っておりましたら、諸事万端、抜かりなく、場合によっては

 主人の酔狂もほどほどに抑えさせ、無用の事故を防ぐのが

 家宰、またはお付きの務めとのご説と存じますが

 ではステファンさん

 今、仰られたような、ご想像がまるっと当てはまったとしまして

 左様に危なっかしいお方様を

 アスティナさんと二人きり、お外に出された

 あなたの落ち度はいかがされるのです?

 それこそ、気の利いた者の一団でも後ろから付き添わせてはいかが?」

この長広舌の半分あたりから

お姉さまの眼がにやけっぱなしなのはちょっとこまる


「うはは、これはこれは」

「うふふふふ」

「いや、参りましたな、お嬢様、アスティナも、ですかな?

 得難い『お友達』をお連れになったものと存じ上げます

 茶番をお見せいたしまして、誠に申し訳ございません」

「いえいえ、こちらには優秀な女優がおりますもので

 少々の演技では・・・」

「ほほぅ・・・」

やめてほしい、こっちに話を振るのはやめてほしい

女優の道はもう捨てたんだもの


「とはいえ、アスティナ、あとで執事部屋!」

「お、御許しをぉ」

「ついでにお嬢様も執事部屋!」

「ついでとか、ステフぅ」


のちほど聞いた話では、まぁ穏便に、二人叱られた程度だったそうだが

なるほど爆弾処理係が、この世にはちゃんといる

ほっとするわたしたち

さて、ここまで付いてきてしまったその理由

そう、追加契約のほう


それを教えて頂くのが今回の訪問の目的

先程のギルド訪問でもその場で出来たはずなのに

わざわざ、おうちまでご招待とか


やはり、わたしたちを『お友達』として

ご招待したかったのかしら?

こちらのお嬢様と付き合うって、大変だものねぇ


「ハルカさん、何か不穏なことを?」

いえいえいえ、なにも思ってませんよ、うん


「あ、ステフさ~~ん!」

「う、うえぇぇ」

ほっほぅ、これはなかなかいい札を頂いた

少なくとも、商都に滞在する間くらいは、たまに使わせていただこう


そして、これは素晴らしいとしか言いようがなかった晩餐

そのあと、今まで頂いたお茶のうち、最良としか言いようのない

ほのかにミルクの香りがするお茶を頂きながら

追加契約のお話とこうなった


「ご説明させていただきますね

 王都図書館、こちらには、建国以来、そして一部建国前からの書籍

 そして資料が集められておりまして

 所蔵品の性格上、高度な魔法防御が外部、内部からの火災その他を防ぐ場所

 そこに、このリストに書かせていただきました書籍がございます

 いえ、存在する、今もしているはずなのです

 お二人にお願いしたいのは

 いまも、間違いなく所蔵されており

 閲覧可能かどうか、そして、閲覧できるということをご確認願いたい

 そういうことです

 リストの書籍は五冊

 期間は五日間

 その間の王都での宿泊場所はご用意させていただきます

 ご報告は七日後にここで承ります

 と、申しますのは、さすがにいたずらも過ぎまして

 仕事がたまりすぎました

 確認決済に努めませんと、執事部屋に召喚されますのでね

 なんとか、七日後にはお目に掛かれるかと

 もちろん、稀覯本が含まれますので

 事前の閲覧許可はステフが既にとっております

 こちらが許可証ですね

 報酬ですが、Cランクのお二人

 あぁ、忘れておりました、Cランクご登録おめでとうございます

 ご存じのとおり、世間では一流の冒険者ですよ

 信用もあり、場合によってはギルドからの調整も受けられる

 お二人の実力から言えば、Bでもと存じ上げますが

 さすがに初登録でBは目立ちすぎると伯父様仰ってましたしね

 はい、すみません、お一人1日、10ギニー

 もちろん達成報酬は別です、Cランクの方を合計七日拘束ですもの

 その間に、マンティコアとは申しませんが、ワイバーンくらいお狩りに

 なれるかもですからね、ですので200ギニー出させて頂きます

 いかがでしょうか?」


いかがもなにも、好条件すぎるというか

もしも、ここまでのいきさつがなければ、怪しすぎてお断り

きっとそうしていたはず

けれど

「承りましょう、では七日後、こちらで」

にっこり笑ったお姉さま

わたしも横で頷いていた


セバスチャンって、どうしてセバスチャンになったんでしょうね?

どっかで考察を読んだ気もしますが。

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