23 夕陽と爆弾
配分間違えました、短くてごめんなさい。
2020.2.07
配分どころか話数も間違えていたので修正
しゃん、しゃん、しゃん
馬車は快調に距離を稼ぐ
「ところで、ハルカさん、先日の襲撃のおりですが」
「はい、なんでしょうか、レイチェル様」
回ってきたレイチェル様とふたりきりになるシフト
今日もレイチェル様はにこやか
「あの時、首で良ければ10くらいって仰いましたよねぇ」
「左様ですね」
「結局、残念、血の雨も降りませんでしたけれど
わたくしが首級を求めましたら
ハルカさんはいかがされましたの?」
「あー・・・胴体付きでお届けしたりして・・・」
「ま、そうでしょうねぇ
お二人にお願いして、いいえ、お二人と知り合えてよかったです」
その話はそれきりになってしまい
レイチェル様が返された微笑みと、先日のお話の中の『絶望』とか
そういうものがしばらくわたしのなかをぐるぐるぐるとまわっていたが
さて
商都まであと2日の距離まで旅程は進んだ
いまはそろそろ夕刻、あすの昼過ぎにはもう到着となる
そして予定通り
わたしたちは、最後の宿駅
距離で言えば商都がほんの目の前という場所まで来ているのだが
もともとの予定通りとはいえ
この場所に、なぜ宿駅がと聞いてアスティナさんが答えかけたのだけれど
「アスティナ、お二人は初めての王都に向かう旅
楽しみを取り上げるのはよくなくてよ?」
「あぁ左様でした、これは失礼を、では、お楽しみということで」
はて?
とその時は思っていた
宿駅の、しかるべき場所に馬車を停め
宿を取ったわたしたち一行は
レイチェル様とアスティナさんのご案内で宿駅の端
長い柵が続くとある場所まで連れてこられた
「どうぞ」
言われてみたその先
眼下に
夕日に照らされた広大な平野が広がっている
そして流れる河の手前に、大きいけれど城郭の無い都市がひとつ
そして
その先、先に、これはすごい
リンデの100倍はあるのではないか
尖塔の立ち並ぶ巨大な都市が暮れはじめた夕日に照らされて
はるかにかすんで見えている
一瞬というか、しばし
仕事を忘れて見入ってしまった
横を見れば、お姉さまもほぅとため息をついておられる
「お気にいって頂けたご様子でなによりです
手前にありますのが商都、ええ、『シティ』とも呼ばれておりますが旧王都
その先にありますのが王都『エスペル』ですわ」
「すごい、すごいです、ありがとうございます、これを見せるように
調整していただいたんですね?」
「あはは、それもありますが、御覧の通り
ここから先は下りになります
この断崖と、あの河、『アシュ』祖国の河とも呼ばれますね
この二つが、王国『エスペリ』の守りと恵みです
建国以来、もう1000年、ですが
北からの旅人は、皆ここで一泊し、余裕をもって下ります
街道も登り用、下り用の二本がございますが
いずれにせよ、ここで交通の整理がされる、そういうルールですから」
「なるほど、ところで、商都の真ん中にありますのは?」
「あぁもとの王宮ですね
もうずいぶん昔のものをいまは私人が邸宅兼
商都の政庁みたいなものにしておりますが」
「私人?」
「あは、先日お話に出ましたですねぇ、ステラリアの飼い主こと
世界で2番目の金持ち『ゼクストレーメ当主』の屋敷ですねぇ」
「え、元の王宮に住むような方が世界で2番目さんなんですか?」
「ええ、残念ながら?」
「では1番の方はどこか別の場所にお住まいで?」
「あぁ、ほら商都の端に、こじんまりとしたのが1つありますでしょう?」
「わたくしから見れば随分凄いですけど」
「うふふ、さようですか?
それはどうも、ありがとうございます
はい、あれがわたくしの屋敷
ええ、世界一の金持ちということになっております
『レイチェル・レ・ゼクストレーメ』
はい、わたくしの屋敷ですの」
ほほぅ・・・はいっ?
なるほど、笑う爆弾さん
とんでもないひとをわたしたちは護衛していたのだった
「きり」ってやつが悪いんだ!
ここできるつもりはあったんですけどねぇ、前回の巡検隊さんのあたりをくっつければよかったのか
ともあれ、見下ろしながらの正体ばらしのシーンは、連載前から頭にあったものでorz




