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20 忍者皆伝

血戦といったな

決戦でしたよorz

きゅ、きゅ、きゅっ


アスティナさんが装備の点検をしていく

とはいえ、装備といっても着ているのはいつものメイドさん御用達

黒サテンのワンピースドレスに、白いエプロン、白のヘッドドレス

もっとも、いかにもサテンに見えるけれど

こちらでは別の生地なのかも知れない


胸元にはスカーフ、そして、スカーフを留めるためのものか

大ぶりのブローチ


旅先ゆえか、ここしばらくは編み上げ靴を履いていたようだったけれど

今日は少し低めのヒールのショートブーツ

いつもと違うのはこの点くらいだろうか?


「ええっと、レイチェル様、アスティナさんって

 これから『立合い』をされるんですよね?」

「左様ですね、ちなみに今日は刃引きではなくて真剣を使うと聞いております」

「「は、い??」」

思わず顔を見合すわたしたち


「ちなみに、これで3回目、前回までは『装束』を着ておりましたわ」

「メイドさんの衣装ではなくて?」

「ええ、アスティナの流派の伝統装束だそうですわ

 闇にまぎれて潜入し、場合によっては人を狩る

 情報収集、潜入、攪乱、のプロ、ですわねぇ」

なんだその『ニンジャ』さんは


「ということは、ひょっとしてギュスターブさんも?」

「流派はちがったようですね、彼女によれば、師匠のかたきだとか」

「か、かたきぃ?そそそ、そんな重いものをここで?」

「あぁ、盤上遊戯の仇、ライバルだそうです

 ちなみに、ご健在と聞いております」


『碁がたき』か!

ずるり、お姉さまと二人でバランスを崩したのも仕方ないだろう

まぁ、碁だか将棋だか、どんなゲームか知りもしないが


「アスティナ、その格好でいいのね?

 負けた理由がそれだとか、いいっこなしだわよ?」


そういうギュスターブさんも見慣れた衣裳

わたしたちの郊外演習?についてくるときの

くたびれたシャツに向こうで言うならデニムのズボン

そして革のベストにショートブーツ


「結構でございます、ギュスターブ様、今のわたくしは

 『お嬢様』にお仕えするメイド、この姿がわたくしです」

「ふぅん、覚悟ができたってことよねぇ

 ちょっと、手ごわくなったかもね

 で、真剣の立合い、決着はどうするの?」

「今までどおりで結構です、どちらかが負けを認めるまで」

「いいでしょう、開始の合図は、第三者がいいわよね

 お嬢、お願いしてもいいかしら?」


こくり肯いたお姉さまが少し離れて二人の等距離に立つ


「承りました、ではコインを弾きますので

 地面に落ちた時で構いませんか?」


「「承知」」すっと距離を空ける二人


『ぴぃん』

お姉さまがコインを弾く


地上まで5m、4m、3m、2m、1m、ことり


颶風ぐふう

そして閃光

後からわずか、わずか遅れて

きぃん

いやまさか二人の交錯は音速を超えちゃいまいが

そんな感じで聞こえてきたのは

真剣の一撃同士が重なった音に違いない


この姿でも

ヒトとしてなら私はかなり速い、

五輪級のアスリートさんより速い

無論常人ではないせいだけれど、速い方と思っていたが

速い

この二人は速い


ギュスターブさんの獲物は少し長めの短剣というか

短刀といった趣きの若干の反りがある細身の短剣


対するアスティナさんの獲物は

そう、ギュスターブさんのと同形の反りのある短剣を

こちらは両手に

ふたり

それぞれ逆手に保持している


そうか、やはり、例の馬車救助の一幕

もしもだけれど、わたしたちが駆けつけていなければ

命を散らしたのは10人の野盗の側

今の交錯だけでも容易にわかる


とすれば、アスティナさんが震えているように見えたのは・・・

こわっ


交錯の直後二人は互いに振り向くが

アスティナさんが短刀を握ったままで右手を一振り


え、その距離で?と思ったが


かいん

「手癖の悪さは変わらないわねぇ」

かいん

「はいはい、重ねで打つのも忘れてないわね」

ぴん 


ギュスターブさんが弾いたのは両端が尖った鋼針が時間差で2本

暗器の類かしらん

挙句そのあとに無音で小粒の何かを放っていたらしいが

さすがに最後の小粒の暗器はギュスターブさんも

右手で構えた刃でなく左手の何かではじいたようだ


常人相手なら、トリッキーな鋼針で片が付いているのだろう

生身の私なら

二発目の鋼針まで

三発目の小粒はちょっと自信がない


そうして作ったギュスターブさんの隙

小粒まで弾じかせた、その隙に跳びかかるのかと思ったが


くぃっ

投網をしぼるようなアスティナさんの動き

きら、きら、さらり

光る鋼線

鋼線の網が


いつの間に展開されていたのか全く分からなかった

鋼線は

ギュスターブさんの身体を投網のように包んでいる

これが絞られればギュスターブさんも危なかろう


「いったいいつのまにぃ」

「昨夜仕掛けておりましたわね」

しれっとレイチェル様

「えぇぇぇぇ」

「ギルドでやるって仰ってましたもの、ね?」


くぃっ

鋼線の投網がっ

「そろそろ、身体があったまったかしらん?」

ふっとギュスターブさんが息をふきかければ

投網をなしていた鋼線がはらり

形を失ってあたりに散る


「夜にごそごそ仕込むのはお勧めしないわよん

 対策されるでしょうが?」


「元より、承知

 『奔れ稲妻!召雷王!!』」


これはっ!

アスティナさんが握ったままの投網に蒼い光が奔る

電撃系の魔法ってところか?

切られる、破られる、それを覚悟の上で

それでも、ヒトの反応速度より早いはずの電気を

かなり強力な電気を魔法の力で流したものか


そしてダッシュ

直線でなく

小惑星の軌道のように

ギュスターブさんの裏へと回り込むその動き

電撃に硬直するギュスターブさん


ふぃっ

アスティナさんの姿勢がスピードを落とさないまま低く沈み

しゃいん

きらり光った上方への背後からの一撃


決まったか


くたり

ギュスターブさんの衣装が

革のベストがアスティナさんの一撃で切り裂かれて

それだけが形を失ってその場にとどまり


上方への一撃のため

伸びあがったアスティナさんのさらに背後には、影

ギュスターブさんが現れて

いやわたしの眼にさえも、出現したように見えたのだけれど

かしり

左腕で、アスティナさんの上体を確保

ぴたり

右手で握った短刀の刃先がアスティナさんの喉首に突きつけられている


これはギュスターブさんの勝ち?


だが

「あらあらあら、アスティナ、強くなったのねぇ

 今回は私の負けよ」

「いいえ、相討ち以下です

 とはいえ、これで本日は終了

 そうさせて頂いてよろしいでしょうか?」

軽く微笑んで答えたアスティナさん


うん?

うわ凄い

アスティナさんの右腕が

右腕に握った何かが

自分の、なんと自分の左わき腹のあたりに突きつけられている

この姿勢で、そのままアスティナさんが自分の身体を貫けば

多分だけれど、ギュスターブさんの心臓まで刃先が届く


自分は重傷

だが

相手は・・・


ギュスターブさんがアスティナさんの勝ちでいいと言ったのは

アスティナさんの覚悟までも含めてそういっているのだろうし

とはいえ、それでは不確実

アスティナさんが引き分け以下といったのはそこだろう


「馬鹿ねぇ、だけじゃなくてよ?

 アスティナ、あなた獲物を取り換えてるじゃない?

 短刀でなくもっと凶悪な武器だったら

 わたしが鎖帷子を付けていようが関係ないわね?

 ワイバーンのとか、嬢ちゃんたちが狩ってきた蠍槍尾の奴とかだって

 それで絶対防御ってわけじゃない

 相討ちの覚悟があるならおててに握ったものが

 そういう武器になってるかもじゃない?


 っていうかねぇ、それに持ち替える余裕

 それと、今までだったら真剣をもう突き立ててたんじゃない?

 自分に、ね?

 いってごらん、アスティナ

 なぜ、突き立てなかったの?」


「お嬢様の・・・」

「うん?」

「・・・お嬢様のお世話にさしつかえるか、と」


「はい、それでいいのよん

 もしも今回、そんなお馬鹿をやらかしたら

 なにがあっても認めてなんか上げないわ

 はいはい、免許皆伝

 ってわたしが言うセリフじゃないけどさぁ

 あの、因業じじいがあなたに課した条件は達成

 認めないってなら

 あたしがじじいを締め上げてあげるわ」


「アスティナぁ!」

駆けだして、アスティナさんに抱きつくレイチェル様

「お嬢様、そういう行いは、はしたないと存じます」

クールな口調にも嬉しさがにじむ


「構いません、アスティナ、おめでとう、おめでとうねぇ」

中々美しい主従の姿

けれど


「・・・はい、ありがとうございますお嬢様

 これで文字通り、お嬢様の道具になれます」

「あぁ、はいはい、わかりました、もう、仕方ないわねぇ

 ええ、いいわよ、これでアスティナを独占できるってことよねぇ

 うふふふふふ、嬉しいわよ、アスティナぁ」


ううむ、なにかいろいろ残念な気もするけれど

アスティナさんはご自分の何かにけりを付けられた

そういうことなのだろう


とはいえ、20話、ここまで書けました

もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。

そして、読んで下さっている方に

どんなふうに見えているのかも気になっております

一言頂ければ幸いです。

追記:20話を機に、ここまで数字のみとしていたサブタイトルを

少々お遊び気味につけました、何かのタイトルに似ていたら

気のせいです、きっと、たぶん

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