目
いつにも増して意味不明な話です。ちょびグロ。
うるさい。
うるさいうるさいうるさい。
視界がうるさい。
黙れ、目障りだ。
俺はこれをうるさいと言う。
視界の中にごちゃごちゃ、うじゃうじゃと。
うるさいとでも言いたくなるほどだ。
だあぁ、もう黙れ!
俺が物心つくころには、そいつはするり、易々と目の中に侵入した。
いや、もともと目の中にいたのだが、俺はゴミか何かだと思っていた。
子どもの俺に、んなややこしい病名分かるまい。
やつは度々現れては、視界の中をゆらゆら、飛び回った。
実に奇妙な動きで、俺の目の動きに合わせてひょいっ、と。
常に視野の中で行ったり来たりだ。
中学に上がったころ、それまでたまにしか現れなかったやつは、徐々に目の中に住み着き始めた。
しつこいようだが、俺はやつらが外から侵入したものと決めつけていた。
とうとう目のなかに入っちまった。どけよ、気持ち悪い。
逃げても逃げてもすぐ追っかけてきやがる。
ああ、くそ。
俺はいつの間にかそいつを正確に、思い通り動かせるようになった。
大して自慢にもなりゃしねぇがな。
どういうわけか、やつは次第に数を増やしていった。
色や形は様々で、黒いのや丸いのや透明なのや細長いのやらたくさんだ。
何なんだよお前ら。
勝手に増えてんじゃねえ。
増える、増える。
ぞ わ、
ぞ わ わ わ …
俺の見る世界は、テレビの砂嵐のように目障りでうるさくなった。
水だけの水槽、
透明ビーズを大量投入、溺死体蟻、蛙の卵、
掻き混ぜる。
即席小宇宙、完成。
熱いうちに召し上がれ、なんてな。ぎゃはは。
高校生の俺はそこでやっとこいつの病名を知った。
それ以外にも見えるんスけど。視界いっぱいに。
そんで眼科医曰く、
『ソレ、ユーフォーカモネー、ハハハ』
UFO?
馬鹿にすんじゃねえ!
ふざけんなバーカ!
にしてもうるせー。
まじうざっ。
消えろ、俺の目返せ。
じゃないと一生お空がUFOだらけだろーが。
皆さーん、地球侵略さーれまーっす、よー。
あーあーも、うるさい。
ごちゃごちゃごちゃごちゃと白、黒、長いのも点がぶつぶつ気持ち悪ィーなぁくそ。動くな、人様の目で騒ぐなぁーーあああもううぜぇぇぇんだよ。どっか行かないかなーこれ。
あ、
あるじゃん、イッコだけ方法が。
目、
目だよ。
なけりゃいいんだ。
俺って頭いー。
ずっ、
ぐぢゅウぅ……!
「―――――うぎぃやぁあーーー!
ぐがあぁーーああぁああーー!」
やっ、た。
なんもみえね。
はい、意味不明です。飛蚊症という目の病気なのですが、ちらちらと気になって仕方ないし本当に邪魔なんですね。主人公君にはおもいっきり壊れてもらいました。飛蚊症の事で気になるようでしたら病院に行きましょう。決してえぐらないで下さい。大丈夫、UFOなんて言われませんよ。作者は言われましたが(笑)




