表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/382

湯治場で大蜘蛛と戦うよ



天然温泉露天風呂満喫中の女性陣と、周辺偵察中の俺がほぼ同時に巨大蜘蛛と遭遇!

この俺のセンサーでも感知できず、なんとデイエートにも気づかれないと言う驚くべきステルス能力。

しかも、最初に河原に降りて来た時からずっと岩に擬態して身をひそめていたってことだよね。

男性陣入浴中は襲ってこなかった。獲物、人数が増えるのを待っていたのか?

いや、俺を…俺の存在を警戒していたのか?

かなり知能が高い可能性がある。


湯船側の巨大蜘蛛に対し俺が遭遇した蜘蛛は比較的小型。軽自動車くらい。

あっちの状況もリアルタイムで共有しているので、焦る!

こっちの蜘蛛も糸を放ってきた。投げ縄式!

的確に俺の身体に巻きついて来た。

蜘蛛の糸は強度的に鋼鉄をも超えるといわれてる。

普通の蜘蛛でも7種類くらいの糸を使い分けていると言う。

巣の縦糸、横糸、獲物を縛る糸、ぶら下がる糸、産卵時に使う糸…

それぞれが異なる蛋白質構造を持っているというから、まさに生きた繊維工場だ。

コイツも粘着糸と拘束用の頑丈な糸を使い分けて攻撃してきた。

だが、今は付き合ってられない。

超撥水モード! 粘着糸を無効化する。

巻きついた糸はかなり強い。だが、しょせん蛋白質!

ヒートボディ! 赤熱する装甲に糸が発火、炭化して崩れ落ちる。

パルスビーム連射! ハチの巣! 蜘蛛だけど!

崩れ落ちる蜘蛛を放置して先生たちのところへ!


先生の助けを呼ぶ声にハイエートも反応していた。

「デイエーート!」

大弓を構えて崖上から狙撃!

獣機をぶち抜く金属矢。

だが! 貫通しない!?

巨大蜘蛛の甲殻に刺さりはするが打ち抜けていない!

すげえ頑丈!

狙いを変更! 弾道射で上方から蜘蛛の複眼を狙う!

並みの射手なら当たるはずのない射撃だが、お兄ちゃんのは神業!

複眼の一つを打ち抜いた!

身を震わせる巨大蜘蛛! おう!? こいつ?

なんと、糸で拘束していた女戦士たちを引き寄せると、盾にしやがった!

人質とかって概念が!? 知能高すぎ?

いかん、3人を捕らえたまま逃げ出されたら厄介なことになる。

と、思ったら…あれ? なんだか動きが変だぞ、コイツ。鈍い?

最初の時の糸を操る動きに比べ、明らかにのろくさくなってる!?


小型大蜘蛛を倒した俺本体が全速力で到着!

とにかく、3人を助けなくては!

なら、これだ!

拳骨シュート!! ワイヤーモード!

飛行する前腕部がワイヤーを引いて蜘蛛野郎の脚を絡めとる!

縛ることはあっても縛られるのは初めてだろう。

これで人質を盾にすることは出来まい。

切断ビーム!

大蜘蛛の片側の脚、女戦士たちを捕まえている方の脚を切り落とす!

返す刀で反対側の脚も切断!

動けなくなった巨体に飛び乗る。

動きが鈍くなった理由が分かった。冷たいぞ、コイツ。

凍り付くほどじゃないけど、冷えている。

体温が下がって動けなくなったんだ。

よし、いかに甲殻が厚くても、生物だ。

これに耐えられるかな!?

ショックウエイブ!! 超振動波だ! 全身から振動波を発生!

内臓を揺さぶる! 連続発射!

切り残しの脚を振ってもがいていたが、すぐに動かなくなった。


先生がざぶざぶと湯船から上がってきた。

「しょせん変温動物だからな。氷雪虎スノーレパードが効いて良かったよ。」

なるほど、助けを呼んだだけじゃなく、凍り付かない程度の氷魔法で冷やしてたわけですな。

「こっちは湧き出る温泉で暖まってたが、蜘蛛は十分に冷えたようだな。」

「こいつ…温泉地に住み着いたのも、たぶん体温維持に都合がいいからじゃないかな?」

それでこんなにでかくなったのかな?

そして、同じように暖を求めてやって来た動物を捕食してたわけだ。

でも先生、前くらい隠しましょうよ。丸出しですよ。

「あ、ちょ、ちょっと、こっち何とかして!」

おう、デイエート。

足がくっついて倒れた時にしりもち直前防御状態で手を後ろ手についた。

そして手もくっついた。変なカッコ。

全裸ツイスターゲーム的丸出しポーズ。

「こ、こら! こっち見るなあ!」

もー、わがままだなあ。

「お前はあっち何とかしてやれ。」

先生に指示された。筋肉チームですね。

「でもこれ、どうしたら?」

ウェイナさんがデイエートの傍らで途方に暮れてる。

うむ、この比較。重量感あふれる女豹おっぱいとフルフラット妹パイ。

やはり、比較によってこそ、その魅力は際立つってもんだね。

いやいや、大きい方だけじゃなく小さい方も際立ってますよ、魅力が。

「触ればこっちもくっついちゃうし…」

「ふむ、ちょっと冷たいぞ。」

氷魔法で糸だけ凍らせて折り割っていく先生。

何とか自由を取り戻したデイエート。

「うう、ペタペタする。」

「湯船につかってる間は襲ってこなかった。お湯で流せるんじゃないかな…たぶん。」

自信なさげ、先生。


さて、こっちは筋肉戦女隊。

糸で縛られ、口もふさがれている。

さるぐつわ状に口だけふさがれて鼻呼吸はできるようになっている。

殺さないようにして声を出すのだけを防いだわけか? 恐ろしいまでの器用さ。

生かしたまま食べるつもりだったんだろうか? 餌は新鮮さが命? グルメスパイダー?

先生が体温奪ってくれてなかったら、何かもっとすごい戦法使ってきたかも。

そして、縛りに関してもこだわりがあったのか? 大蜘蛛?

虎戦士ベスタさんは右手と右足、左手と左足を縛り付けられ、開脚状態。

いわゆる全裸M字開脚で丸見え。

人狼戦士シマックさんは両手と両足をいっぺんに縛られている。

美脚を伸ばしてお尻を突き出す形で丸見え。

前門の虎、後門の狼。そんな感じ。

シマックさん、もちろん全裸だが、ハイヒールを履かせたかったなあ、ここは。

さるぐつわ糸縛りと合わせて、ボンテージ的芸術センスを感じる。

日本式縄SMとは異なるアメリカンオールド拷問コミック系趣味だな。

ちなみに全裸騎士クラリオは気をつけ姿勢でぐるぐる巻き。

あまり芸術性を感じない。荒巻鮭とかたらの干物とかそんな感じ。

ヒートフィンガーで焼いたり、凍らせたり。

何とか糸を剥がし、お湯に入り直してキレイになった。

縛られて引っ張りまわされたんであちこちぶつけてたが、先生が治癒魔法。

「うう、あんなカッコ。オレもうお嫁にいけない…」

蜘蛛に盾にされたとき、思いっきりハイエートのほう向いてましたもんね。

落ち込むベスタさん。

「全部見られちゃった…責任取ってよね、アンタ。」

いや、シマックさん、そんなこと言われても俺、魔道機ですし。

恥ずかしがったりする必要は無いですよ。

ま、記録はしましたけど。

シッポの付け根の神秘もだいぶ解明されました。


お風呂から上がって身支度を整えたのを見計らってお兄ちゃんが降りて来た。

「びっくりしましたねえ、こんなでかい岩蜘蛛は初めて見ましたよ。」

「上流にもう一匹居ました。ちょっと小さい奴。」

「つがいのオスですかね?」

「産卵とか…してないだろうな…」

「もう暗くなりますから、明日にしましょう。」

俺が切り落とした蜘蛛の脚を見た、お兄ちゃん。

「岩蜘蛛の脚…美味しいですよ、すごく。」

え?


ロッジにもどってお食事。

主にお兄ちゃんとアトラックさんが準備してくれてた。

鍋っぽい料理。

白くてぱらっとほぐれるクモ脚のお肉。見た目がカニ。

たぶんカニみたいな味がするにちがいない。

「う、美味い!」

「食われそうになったんだから食ってもいいよね。」

おおむね好評だ。

蜘蛛だと思うから抵抗あるけど…

もっとも、ズワイガニはカニだけどタラバガニはヤドカリ。

食べてしまえばみな平等。ま、俺は食べれないですがね。


さて、みんなは食事、後は寝るだけ。

俺は先生に耳打ち。

「ちょっと出てきます。あの蜘蛛、帰還モードの獣機を捕獲していたんです。」

「何?」

「初期化、再起動します。」

「わかった。これだけのメンバーが居るんだ。こっちのことは気にするな。」

女戦士たちは元々、自分の村を獣機によって追われた人達だ。

獣機に対してそれなりの抵抗感はあるだろう。

明日には別れてミーハ村に帰る。無理に知らせることもあるまい。


夜の河原…縛られた獣機に近づく。

周りには大蜘蛛の餌となった動物の白骨。

うひー、怖い! ちょー怖い!

膀胱があったら絶対チビる!

保護パネルを外し、コネクタを接続して初期化、再起動作業を始めた。

あれ? ずいぶん早いな。

ケルベロスの時の半分くらい時間で終了したぞ。

『ハードウェアの変更がないので短縮されました。』

おっと、ヘルプ君。

そうか、ケルベロは部品を寄せ集めて作ったし、首が増えてたもんな。

機体構成のチェックに時間を取られたわけだ。

さて、糸をほどくか… 大丈夫だろうね?

ケルベロスにはミネルヴァが将機ボディを経由し電波通信で命令できた。

馬獣機は、そもそも自発的な行動はしないので問題なかった。

こいつは…味方になってくれるだろうか?

「私の言うことがわかりますか?」

再起動した獣機に話しかける。

おとなしい。いきなり飛び掛かってきたりはしなかった。

ちょっとほっとした。

それどころか、こっちの呼びかけにうなづいてるぞ。

『救出された事で、主人認定したと推定』

え? ヘルプ君? ありがとね。

『……』

愛想ない! でも、じゃあ安心だ。

なかなか義理堅い奴だな。

ケルベロスみたいに名前を付けてやった方がいいだろうか?

んーっと? 縛られていたから…グウェンド…

違うな…マニアすぎる。しかもイメージ違う。

そう言えば、コネクタカバーに刻印があったな。

「U-0069」アルファベットとアラビア数字。

やっぱりこの世界、俺の地球と連続性があるのか?

ユニット69号…か?

U-69! お前はU-69ってことで決定。

「命令あるまで現状で待機、自分自身を守りなさい。」


ロッジに戻ると、みんな割り当てられたバンガローに引き上げたようだ。

先生が一人で火の番をしていた。見張り役は交代制。

俺を待っててくれたのか?

「どうだ?」

「再起動に成功しました。命令に従います。」

「そうか…ずいぶん都合のいい展開だな。」

先生も感じてたか。

「今回の、蜘蛛につかまっていた奴はともかく…」

「馬獣機については明らかに【上位存在】の配慮が働いていると思われます。」

鹵獲されるのを見越して移動手段を用意してくれたとしか思えない。

「こちらの行動を予測して、手助けをしてくれているってわけか…」

「切羽詰まってるのかな、向うも…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ