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関所で休憩するよ


王軍の関所は軍服カフェになっていた!

明らかに本物じゃない軍人娘。

しかもネコミミ、イヌミミ、エルフ耳。

身にまとう軍服は…

うん、まあ、絶対本物じゃないよね。

濃紺の生地に詰め襟、襟から肩へ金モールの肩章があしらわれているが、その下の肩はむき出し。

素肌肩、ノースリーブ。印象で言えばマーチングバンド女子。

肩がむき出しってことは…脇の下も!

水を出したり、お盆を持ち上げたりする拍子にちらちらっと、見えちゃうぞ!

フェチる! 強烈にフェチ心を刺激しますぞ!

頭には鍔なしの小っちゃい軍帽。

肩から胸を経由してウエストへと縦に左右2本、縫製の金モールのラインが入っている。

このラインが、また…ちょうど身体の凹凸の頂点部、山で言ったら稜線の部分を通過。

濃紺の生地とのコントラスト。斜め横から見ると胸からお腹への起伏が猛烈に強調される。

腰の部分は幅広の革ベルトできゅっっと締め上げて。

その下は対照的にふわっとしたプリーツスカート。もちろんミニ!

アーミー感を強調する膝下まである編み上げブーツ。

オーダーメイド、手が掛かっている! 趣味の世界!!

しかも、あきらかに女の子たちは選抜メンバーだ。日本代表クラス。エリート軍人。

「お席へご案内します!」

かちんとかかとを合わせると、淀みなくきびきびした動作で回れ右。

訓練されている! メリハリが利いている。キレッキレだ!

一瞬だけ絶妙の角度。鮮やかに強調された金モールのエリートおっぱいライン。

メリハリが利いている!

おおっ、と思う間もなくたたみかけて来たのは…尻尾!

獣人女子ならでは魅力。ふさふさ尻尾! 振り向いたとたんに不意打ちできたぞ。

フサフサ感とモフ味をトッピングとか! 軍服の緊張感とモフモフ癒し!

さらに、プリーツスカートと上着のすその間から出ているように見えるシッポ。

ええ? どうなってんの? どういう仕組みで引き出してるの?

下着はどうなってんの? そしてその付け根はどうなってんの?

男の妄想を刺激せずにはおかないデザイン。

あざとい!! 天才か、このカフェ作った奴!

本物の王国軍が運営する軍服カフェとか!

くっそポンコツ女騎士を基準にしてたから王国軍なめてた。

この異世界にこれほどまでの人材がいるとは!

王国軍、あなどりがたし!


「これは…なんとも…」

アトラックさん、口開いてるぞ。目じり下がってる。

「どういうことなんですかねえ?」

お兄ちゃんはぴんと来てないみたいだ、残念。

「斬新だな。」

先生は判断を保留した。困惑。

妹エルフはエリートおっぱいに妬まし気な視線、不機嫌。

席に案内してもらう。

「あ、あいつら…」

アトラックさんの視線の先には獣人とドワーフの戦士、見たことある人達。

雀竜騒動でケガしてたヒト達だわ。レガシからも来てるんだな。

「こっちから来てこっちへ帰るヒト」だな。

知り合いには見せられない(見てるけど)ニヤケ顔。なにやってんすか、もー。

席に着くとメニューが出て来た。さっきと違う娘だな。今度はエルフ娘。

シッポがあるわけじゃないから癒し感は無い。

白いエルフ肌とちょっとお澄まし系の表情が別の部分を刺激する。

罵倒系ツンドラ上官Sタイプ希望。

「サーをつけろ。この粗チン野郎!」とか言ってもらいたい。

「お決まりになりましたらお呼びください。」

とか言いながらチラチラ、ハイエートの方を。うん、わかるわかる。

演技してる場合じゃないね。超絶美形男子エルフ、貴重な種持ち。

視線に気づいたお兄ちゃんがニッコリ微笑む。ナチュラルボーン娘キラーか。

妹エルフが殺気を飛ばして威嚇!

ああ、たぶん何千回と繰り返されてきたパターンなんだろうなあ、これ。

「高か!」

メニューの値段を見た先生とデイエートが小声!

「まあ、理由はわかりますが…」

アトラックさんがやや擁護気味の発言。

「まったく男どもは…しかたないなあ。」


とりあえず飲み物を頼んで、女騎士を待つか。

お兄ちゃんがさりげなく手を上げると軍服エルフ娘がすっ飛んできた。

便利だ、美形エルフ。イケメン力、サイコー!

みんなはブドウ酒的な何かを頼む。デイエートはお茶的な何か。

エルフ娘が困惑気味に俺を見る。

今の俺はすっぽりマント、フードをかぶっているので魔道機であることはわからない。

このフード、実はうっすら透けている。360度視界のために薄い布地を使ってもらった。

黒いフードで中身の俺の頭もほぼ黒なので透けていることはちょっと見た感じでは気づけない。

「こいつのはいいから。」

話すのは先生に任せよう。


と、そこへ臨時雇用闇アルバイト女騎士がもどって来た。

軍服を着た一人の男性と連れ立っている。

軍服ウエイトレスやカウンター内にいた本物らしい兵士が一斉に敬礼した。

現場の上長とか言ってた人か?

店内のお客さんたちもざわつく。

こっちの注目は女騎士。

ウエイトレス制服は礼装と常装の中間当たりを想定したイメージ優先のデザイン。

そこへ完全武装、鎧着用の女騎士が入ってきたのだ。

もともとそれ系の趣味人が集まってる店らしいから、上がる!

新コスチューム登場か? イベント? 盛り上がる。

レガシの工房で新調したばかりの装備、鎧だからピカピカ感がある。

それがこの場のコスプレ環境に、マッチング。違和感が無い。

まあ、クラリオ騎士はしゃべったり行動したりリバースしたりしなければ美人だしな。

「うおおおおー」

いきなり注目が集まってびびる女騎士。

「えええ? 何?」

連れの男性が苦笑い。

「すいません、皆様。こちらは本物の王軍騎士、任務中であります。」

「お、おおうー」下がる。

ファンタジー空間に本物とか萎えるわー。

揃って俺たちの席にやって来た。

「エルディー導師、こちらが関所の責任者です。」

女騎士が紹介してくれる。なかなかのイケメン、ずいぶん若い。

そしてちょっぴりチャラい。色男。

「レガシの魔道士、エルディーだ。」

先生が立ち上がって名乗ると、一瞬戸惑ったような表情を見せるが…

向こうが右手を差し出してきた。握手? 

先生も思わず手を伸ばすと、その手を取ってひざまづいた。

「王国騎士クリプス・デンソーと申します。」

「クラリオから事情は聞きました。獣機について調査に行かれると…」

「なんと勇敢な方かと感じ入った次第ですが、まさかこのようなお美しい女性とは…」

「お連れの方々も、なんとも見目麗しいご一行で…意表を突かれました。」

危険な調査に向かうのに、美人エルフ先生と美形兄妹だもんな、そりゃ戸惑うか。

「よろしければ、別室でお話を」

先生の手を取ったまま腰に手を回すようなポーズでエスコート。

さりげなくボディタッチだが、いやらしさを感じさせない。

洗練と言う名のナンパテクニック。只者でない。


騎士クリプスに案内されて軍営の建物に移動することになった。

「わたしはこっちで飲んでますよ。」

アトラックさんは別行動。知り合いと合流した。

「げげ! 導師!」

エルディー先生に気付いた戦士たちは固まってたな。

案内されたのは応接室…というにはちょっと質素なミーティングルーム。

「知り合いだったか?」

先生が女騎士に尋ねる。

「元同僚です。タモン将軍の部下でした。」

「まさか、こんな所で会うとは思わなかったなあ。」

色男騎士も苦笑いだ。

「それはこっちのセリフだ。大金持ちデンソー家の三男がなぜ辺境に?」

「いやー、ちょっと王都で色々あってね。」

久々だな、王都のいろいろ。

「女か!」

いきり立つ、クラリオ。

「いやー、そういう言い方、誤解を招くなー」

「ちょっと人間関係に冷却期間が必要かなーって。」

「ちょうどここの仕事があったんでね。」

「失礼しました。お連れの方々もぜひご紹介いただきたい。」

イケメン騎士クリプスがこちらに注意を向ける、と先生が答えた。

「ああ、ハイエートとデイエート、兄妹だ。護衛として同行してもらっている。」

「護衛…レガシの住人は皆このように美しいヒトばかりなんですか?」

「ふふん、この二人は特別だよ。」

美しいとか言われて照れるデイエート。ちょっとむかっと…あれ、何で?俺…

「その…こちらの方は…」

あ、俺ね。あれ? レガシにいたころと同じつもりでついて来ちゃったけど…

馬車とかで待機してた方が良かったんじゃないかな? 俺。

「ああ、これも護衛だ。これがあるから調査に赴く気になった。」

「アイザック、フードを取れ。」

顔を露わにする。びくっと身構えるチャラ系騎士。

「こ、これは…ヒト型魔道機ですか?」

「そうだ、獣機と戦える能力がある。」

無言で突っ立つ俺。カタコト魔道機とはまた違う演技。

不動の構えで威圧感を表現する。むーん!

けっこうノリいい感じ来たぞ。これ、カッコ良くね?

女騎士が何か言いたげだけど…あきらめた。

お兄ちゃん、笑っちゃだめですよ。

クリプスが納得の表情。

「なるほど。獣機と戦うのにものを言うのは個人的な戦闘力。」

「獣機相手だと軍隊の戦術のほとんどは通用しないですからね」

重火器の無い時代、集団戦闘の勝敗は「戦意を失う」事で決することが多い。

恐怖感も自己保存本能もない獣機を退けるには明確な戦力の差が必要だ。

「以前の遠征でも、実際には獣機の数を減らしながら奴らのテリトリー外へ撤退するって感じで…」

「負け戦ばっかりでした。」

「タモン将軍とか…クラリオみたいな破壊者デストロイヤーがいないと戦うのは難しいですから。」

ちらりと女騎士を見る。そんなにか、暴力上等女騎士。

「何だと!」

「褒めてるんだよ?」

食事も運んできてもらって、食べながらいろいろ情報交換。


どうやら、カロツェ家と同様、大商人の男爵家。その三男坊。

それなりの武勇の持ち主だが、タモン将軍の元部下ということで冷や飯。

女性関係でも色々あって王都の外での仕事を希望したら、ここへ飛ばされた。

着任して見ると中央からの補給が滞って、独自に通行料を徴収するまでに困窮していた。

中央が当てにならないんなら自活するしかない。

幸い、この辺はレガシに工房がある事もあってけっこう流通も多く特産物も多い。

通行料を取っても大して文句を言う人が居なかったくらいに豊かだった。

関所そのものをお金を落としてもらえる施設にしようってことで。

実家から援助を受けて施設を改造。

趣味丸出しでやりたい放題。だがそれが当たり!

食うにも困ってた兵士たち。私費を投じて待遇改善してくれたクリプスに心酔。

さらに近隣の町、村からきれいどころが職を求めて集まってくるというやりがいのある職場だ。

「ここでノウハウを積んだらもっと都市に近い場所でもやりたいですね。」

「最近、若い兵士に対する待遇が悪くなってますからね。」

「求人のやり方次第で人材は確保出来ると思います。」

「やはり軍務経験があるとジョブトレーニングがしやすいですし…」

「王都はすっかり獣人族の女の子が少なくなっちゃって…」

「軍服に限らず、制服っていいなと思いませんか?」

経営感覚がうかがえる会話の中に、ところどころ本音がだだ漏れ。

会話中、苦々しい顔の女騎士。

「タモン将軍がレガシにいるって? ご挨拶に行かないとなあ。」

「警備主任みたいなことやっておられる。お忙しいのだ!」

「イオニア・カロツェ様もご静養されているって聞いたけど、お会いできないかなあ…」

「お前のような不道徳な奴はダメだ!」

「レガシのエルディー導師のお噂は伝え聞いておりましたがこんな美しい方だとは。」

「導師に失礼な真似は許さんぞ!」

女騎士とあんまり相性は良くないみたい。でも、遠慮のない仲だってのはわかる。

「ウチの店もレガシの工房から色々仕入れていますよ。」

「実は、女給の制服もレガシの工房に依頼したものなんです。」

「予想を超えた仕上がりで、ぜひお礼に伺いたいと思ってたんですよ。」

服飾工房…ダットさん…ああ、納得。こんな所にまで影響を…

「レガシには入浴施設があると聞いています。ぜひ見学を…」

「ききき、貴様! 何を企んでいる!? ノゾキか!」

びくっ!

「いやいや、ウチでも取り入れたいって話だよ。」

「だだだ、第三者委員会による監査を要求する!」

仲いいな王軍…いや、タモン騎士団。


「通関手続きは夜明けから始めますので、今夜はゆっくりしてください。」


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