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マントが出来上がったよ


獣機本拠地の情報を収集するために兄貴の話を聞きたい。

工房へ行ってみよう。

ついでにキラすけを家に送っていく。

ドキドキする。

予想どうりだとすると大人の階段を上がったディスカムさんとマビカお嬢様が出てくる。

いや、おぼえたてで夢中になって、今まさに真っ最中かもしれない。

それは、それで! 最中乱入!


ただいまー、

え、キララちゃん? ちょ、ちょっと待って!

ボクいま… あ、こら止めてよディスカム!

もうちょっとで?

ダメダメ、だめだって、キララちゃんが…

どうしました? マビカさん、アイザックです。

だめだって、アイザックさんまで来てるのに!

聞かれてる、聞かれてる! 変な声、二人に聞かれてるよぉー

恥ずかしい、恥ずかしいのに…変な気持ち…

やめ、やめ…こら、あ、待って、待って…

ボクまで…もう少しで… 的な!!

自重しろ、想像ディスカム!


と、救護院の前に、現実ディスカム。

なんかおろおろと右往左往。

??

「ディスカムー?」

キラすけの呼びかけに気づいた。

「あああー、キラ! マビがーマビがー!」

何? どうした?

「お腹痛いって! 今、イーディ道士に…」

ええー? ホントに体調悪い? 腹痛?

大人の階段を上がった筋肉痛とかじゃなかったんですか?

ディスカムの方はキラすけや先生に知らせに行くべきか、マビカのそばについているべきか。

迷ってうろうろしていたらしい。


「食べすぎ…かな。」

イーディさんが冷たく言い放った。

カロツェ家のごはん美味しかったもんね。

胃腸を酷使したところに、王軍とか逮捕とかディスカムが落ち込んだとか。

ストレスが溜まって胃がやられたのかな?

「今日一日絶食。胃酸を抑える魔法掛けとくから。」

プロトンポンプインヒビター的な魔法があるのか。

すげえな治癒魔法。

そして絶食に絶望するマビカ。

予想外のがっかり展開。がっくり、膝をつくキラすけ。

「…マビカ…」


工房へ行くとおやっさん、ダットさんが待ち構えていた。

「おう、アイザック。マントが出来たぞ。」

おおう、俺マント!

俺の機体は背中側に関節機構が集中している。

背骨と肩甲骨が体の前側の装甲を支えている感じ。

背中側の防護強化のためにおやっさんが考えてくれたマント。

最初に狩ったはぐれ雀竜のウロコを兵機が使っていたワイヤーで繋いだもの。

防刃、防弾、耐熱、耐光線のスーパー防具だ。

「羽織って見て。」

デザインはダットさんに意見が入ってる。

さっと羽織る。

軽い! そしてやわらかい。

強度のある硬い雀竜のウロコを繋いであるにもかかわらず、まるで布で出来ているかのように柔軟だ。

雀竜も硬いウロコを全身に纏いながら、驚くほどしなやかに動いていた。

配列とつづり方の工夫でそれを再現する技巧。

呼吸が出来ていたら、思わず感動のため息が出ていたに違いない。

「ほほう!」

「うん、似合ってる。」

「動いて見て、都合の悪い所はないか?」

両手を挙げ、動かす。

こすれる感じも、邪魔になる感じもない。

「首、動かして。襟の具合どう?」

シルエットを整える肩パッドから続く襟。

ここも雀竜のウロコが使ってある。

首関節を守るためだ。

実は高さは俺が指定した。頭部センサーが隠れない高さ。

360度視界は問題ない。首を回す。

正直、俺の首も肩も人間ほどは自由度がない。外骨格の限界。

「問題ありません。」

「襟の裏にフードが入ってるから。」

これか、フードをかぶる。

「これならちょっと見、魔道機体であることがわからんだろう。」

うん、初めて見る人はたいていびっくりするからね。

うーん、鏡見たい…あ、そうだ。

ポシェットからトンボ型ドローントンちゃんを取り出す。

待機中はつるんとした円筒形。

「何? それ?」

ダットさんが首をひねる。

「偵察用…小型の斥候用魔道機ですよ」

「昨日のとは形が違うな?」

おやっさんは昨日タマちゃん見てるからね。

トンちゃん、羽を展開。ふわりと舞い上がる。

「うわ、トンボ?」

驚くダットさんを尻目に距離をとると、方向を変えて俺のほうを向く。

トンちゃんを通じて自分の姿が見える。

……カッコいい!! すげー格好いい!

白に近い銀白色のウロコ。

戦国武将の陣羽織とかを思わせる襟から肩へのライン。

ヒーローメカだぞ! シルバーナイトだ!

さっと振り返る。マントがふわり翻る。ホント軽いぞ。

カッコイイ!

おっと、入り口から覗いてるのは、タンケイちゃんとシーシー。

「おおー、カッコいいっし!」

「素敵っす! アイザックさん!」

タンケイちゃんに褒められると照れる。

思わずほっぺが赤くなる。(ような気がする)

二人の後ろからタモン兄貴も顔を出した。

「うわ! カッコいい!!」

「こりゃ、凄いもんが出来たなあ…」

兄貴が感心してるのはデザインだけじゃないようだ。

「ちょっと、動いてみて…おおーすげえしなやかに動くな。」

「おやっさんも会心の出来じゃないですか?」

おやっさんもちょっと照れてる。

「まあ、アイザック自体の強度が高いから、実際の所どのくらい意味があるかわからんがな。」

「いやいや、そんなこと無いですよ。」

「たとえば…」

ん? 何、兄貴?

「タンケイ、シーシー、アイザックの両脇に立ってみな。」

二人が俺の両脇に近づく。

あ、そういうことか!

兄貴が俺に向かってうなづき、俺もうなづき返す。

突然、兄貴の手に短剣が現れる! 手練の早業だ。

投擲体勢!! とっさにマントを拡げ、タンケイちゃん、シーシーを覆い隠す!

短剣を投げる! ポーズだけ。

「ね。」

「なるほど! アイザック自身の防御だけじゃないってことか。」

「ワシもそこまでは考えておらんかったが…」

「こういう使い方もあるんですね…勉強になります。」

これは頼りになる。ありがとう、おやっさん、ダットさん。兄貴も。

タンケイちゃんとシーシー、マントの合わせ目から顔だけ出した。

「日光も反射するし…暑さ寒さにもいいっすよ、きっと。」

「アイザック、でかいからマントの中で色々できるっし?」

なんだよ、色々って。


おやっさん、剣も用意してくれてた。

ちょっと短めの剣、立てて吊るすとマントの中に納まる。

「工房にある剣の中でも一番頑丈なやつだ。」

「でも、お前さんが思いっきり振ったらまず折れる。」

ええー? そうなの?

「エルディーに魔法処理エンチャントしてもらえ。」

「魔法処理は定期的に掛け直さないと効力が切れるから、あんまりやらんのだが…」

「考えてみりゃ、エルディーが居るんだから遠慮することは無いわな。」

職人の矜持ってやつですかな。なんでも魔法頼りは良くないよね。


マントをいったんダットさんに預ける。

このままだと立派過ぎて盗人に狙われるってんで地味目のオーバーマントを用意すると。


おやっさんダットさんは仕事に戻ったので、兄貴と二人で食堂に。

獣機の本拠について報告と相談を。

「漠然としてるなあ。だが、確かに軍で戦った時はその方角だ。」

「放棄された宿場や駅町もそのあたりが多い。」

街道や地名、都市との位置関係を教えてもらったが…今一つぴんと来ない。

地図がないからだ。

ひとたび街道を外れると何の情報もない。

その街道にしても「距離」ではなく「所要時間」で表現される。

地図と距離で考える癖がついてる俺とは、立脚点が違い過ぎる。

「街道」はほとんどが古代からの遺産。

山や川と同じくらい、元々あるものとして扱われている。

そこから外れると、野獣、魔獣、怪物モンスターがはびこる未知の土地。

危険すぎて測量など出来るはずもない。

地図が存在しない理由は技術や労力の問題だけではなく、危険だから。

理由は不明だが、普通、魔獣、怪物は街道には出てこない。

王軍は獣機について、街道を襲う新種の怪物、と言う認識だった。

本拠地が街道のルート外となると、獣機だけでなく魔獣、怪物を相手にすることになるかも。

「うーん、やっぱりハイエートの方が専門家だな。」

複雑な表情、兄貴もやっぱり行きたかったんだな。


ところで、昨日は大丈夫だったんでしょうかね。

ダットさんの事情聴取。うまく乗り切ったんですか?

聞きたい! でも、聞けないよなあ。

仲直りエッチで和解? ぎしぎし。


「昨日はすまなかったな。クラリオのやつ、大丈夫だった?」

おっと、兄貴に先に聞かれてしまった。

「あまり大丈夫ではありませんでした。」

「あちゃー、すまん。世話かけた。」

「昨晩は宿に置いて来てそのままですが…」

そういや、大丈夫なんだろうか? 二日酔い女騎士?

「まあ、子供じゃないんだし、大丈夫…かな? いや…」

兄貴、苦悶。そんなにアレなのか? 残念女騎士。

心配だけど、見に行くとなるとダット姐さんがー。

「帰りに寄って見ます。」

「すまん。」



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