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デイエートが素敵ですよ


さて、残るは貧乳妹エルフデイエート。

何だか見物人の期待感が異様に高まってるような?

ハードル上がってるな。大丈夫か?

集まってきた女の子たち、ひそひそ、ざわざわ。

次よ次よ、お姉さま、とかデイエート様とかって声が聞こえるが…

「様」!? 百合人口多いのか? この町?

待てよ…エルフは女だけで子育てするって…

…男は少ないって…言ってたよ、先生が!!

デイエートのファンてイオニアさんだけじゃないのか!? 

この集まってる女の子、主にデイエート目当て!?

……やばい。自分の過去の行状を振り返るに…やばい!

あいつにあんな事とかこんな事とかしちゃったなんて露見したら…

俺、やばいんじゃないの?


およ? 司会役のデイシーシーが幕の奥に引っ込んだ。

地獄耳ズームマイクオン!

「往生際、悪いっし!」

「みんな待ってるよ!」

「無理無理! 無理だってあたし、こんなの!」

先生まで引っ込んだ。

「何やっとる? 女は度胸だぞ!」

「だめだめ! ぜったい変だって!」

「アタシのコーディネートが信じられないっての?」

「だって…だってアイザックとか、お兄ちゃんとかいるし!」

「大丈夫、大丈夫、心配すんな。文句言ったら閃光輝で目玉焼いてやるから。」

なんか物騒な事言ってるぞ!?

「そーれ!」

先生とデイシーシーがさっと垂れ幕を開く。

ダットさんがぐいっと押し出す。

「きゃっ」

とか、言って飛び出してきた妹エルフ。

そんな可愛い声、お前には似合わな……い…ぞ…

…………


「モデルみたい」とか「モデル体形」とか言う誉め言葉がある。

でも正直、「スーパーモデル」とか言う人たちを見た時、男としたらどう思う?

世界で活躍とか、トップモデル!とか、の説明書きを抜きにしたら?

痩せずぎぃ!とか、枯木かよ!とか、思ったりしないだろうか?

実際、痩せすぎた体形が思春期少女にいらぬ憧憬の念を抱かせ、過度なダイエットさせる原因になるとか、ポリコレ批判を受けてもいる。

だが、デイエートは違う。

実用的な筋肉と健康に裏打ちされた肉体。

退廃や妄執的な美的観念とは無縁の存在だ。

その上であえて言おう。「モデルみたい」だと。

その「美」を俺は知っている。知ってた。知ってると思ってた。


赤い。赤いミニドレス、丈は膝上。

ふわっと開いたスカート。チューブトップ。

いつものポニーテールは解いて、アップに結い上げて。

すっぴんでもシミ一つなかった肌だが今は薄化粧。

赤いのは口紅。

「きゃーーーーー」

黄色いのは歓声。女の子たち。

「ほれ、背を伸ばせ!」

先生に背中を押されて、ちょっと怒ったような表情で、顎を引いて立つ。

「うぎゃーーー、おねえざまーーー!」

「すてぎいいいーー」

「ひいいーーー!!」

阿鼻叫喚! 百合観客!

「うわあー素敵、素敵ですよ。」

ベータ君も歓声。

「やれば出来ると、わたし思ってたのよ、デイエート!」

デイヴィーさんまで変な事言ってる。となりのおばさん的発言。

「ひゃわわーひゅおおおーーーー」

たぶんよくわかってないけどミニイたんも大歓声!

俺の腕の中で大興奮!

…そんな中、呆然としてるのが二人。

お兄ちゃんエルフ、ハイエート。と、俺。

え? いや? こんなの有り? あれがデイエート?

「いや、こんな…すごいな、ダットさんは…」

「まさか、こんなに…女の子は凄いですねえ…」

普段は余裕綽々、ほんわかクールな兄エルフがさっきのディスカムみたいに口パクパク。

「どうだ? ハイエート! 感想は?」

照れ照れ恥ずかしデイエートに変わって、先生がにやにやしながら問い詰める。

「いや、その…褒める言葉が思いつかないよ。綺麗だぞ、デイエート。」

「やだ!もー」

恥じらうデイエートに百合観客も興奮!

「ああうーーーデイエートさまーー!」

「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホー!」

何か変なやつもいるな?

デイエートがじろりと俺を見る。

上気した顔。ステージっぽい台の上からだからちょっと見下ろす感じ。

「あ、あんたはどうなの?」

え? 俺? えーと…

「デイエートさんがお美しいのは存じ上げているつもりでしたが…」

「まだまだ、理解が浅かったと痛感しております。」

うーん、何言ってるかわからないな、俺。

先生がポコンと殴りつけた。

「何言ってるかわからない!」

「何言ってんのよ、ばか!」

ポコン! デイエートにも殴られた。ひどい!

でもちょっぴり気持ちいい。


大興奮のうちにファッションショーはお開き。

先生たちはアトラックさんの馬車でカロツェ家へ向かう。

「ふふふ、これで売り上げ倍増…」

ダットさんのつぶやき、聞いちゃった。大人は汚いなあ。

俺は一旦カロツェ家まで同行する。

おしゃれマントを借りて、護衛って言うかエスコート的な感じで。

馬車に並んで歩く。

本音を言うとお嬢様の反応が見たいから。

「オレの馬車にこんなステキなお客さんを乗せられる日が来るとは…」

感極まるアトラックさん。

いや、あんたの馬車じゃねーし。カロツェ家のだし。


ごとごととお屋敷へ到着。

玄関にはお嬢様がお出迎え。

儀礼的にはどうなのか知らないが、待ちきれなかった気持ちがわかる。

イオニアさんもよそいき姿。淡いブルーのドレス。

意外性はないが、これまた美しい。

後ろにはビクターさんとネコミミメイド。

サジーさん、キリリっと仕事モード。

スカジイちゃんもすまし顔だぞ。

まず、先生が降りる。

手を貸す俺、おう、従者っぽい。

「世話になるぞ、イオニア。」

「まあ…先生! まあ…素敵な…お召し物…」

瞳キラキラお嬢様。

「こいつらも連れて来た。」

続いてはマビとキラ。おめかしした事で精神的に安定したようだ。

「お招きいただき、光栄です。」

見事な上品ご挨拶。堂に入ってるな。この辺はさすがだ。

「お二人とも、可愛らしい…」

お嬢様、メロメロだ。

ん? おーい!

「さあ、デイエートさん。」

「う、うん」

降りるのをためらってる。今更かよ。

「やっぱ、変じゃないか? こんなの。」

「何を言ってるんですか、お兄さんだって褒めてましたよ。」

「お前はどうなんだよ!?」

え、うーん。

顔を近づけて小声でささやく。

「このまま、さらって行きたいくらい魅力的ですよ。」

もう一声。

「エロ可愛いです。」

「ばか!」

馬車から降りるデイエート。

「にゃっ!」と声を上げちゃったのはスカジイちゃん。

サジーさんもほうっとため息。

お嬢様。絶句!

「ま、あ、あ…お姉さま? まあ、なんて…なんて素晴らしい…」

この顔、見れてよかった!

エルディー先生も満足げ。

ビクターさんも満足して…おう、それどころじゃない。

唖然、茫然。眼、丸くしてる! 女性陣、破壊力抜群。

めずらしビクターさんの口あんぐり。こんな顔まで見れてよかった。


さて、お嬢様がたは夕食会。

俺はケルベロスやミネルヴァを迎えに行く。

陽が落ちてから再度お屋敷に向かう予定。

様子見にタマちゃんとか置いていこうかと思ったけど、やめた。

夕食会で俺の噂とか出たら…悪口とか言われたら心が折れるからね。

ボディは超合金だけど心は乙女チックガラスだからね俺。

『気持ち悪いですよ』

っとミネルヴァのツッコミが…来ると思ったら来ないな?

今迎えにいくよ。


北遺跡に着くと…ベータ君が待っていてくれた。

「ミネルヴァさんをイオニアさんに紹介するんでしょう? 僕も行きます。」

ミネルヴァは…遺跡の中なのに、あのフード付き可愛いマントを羽織ってるな。

ベータ君に着せられたのかな?

実は今回、それとは別に、ミネルヴァ用にマントを借りてある。

黒マント、痛い魔道士用。

前回、夜中×可愛いマントはすげえ違和感があった。

なんて言うか…浮遊霊とか地縛霊とか…幽霊的な怖さ。

やっぱり、怪しい行動する時には怪しい格好がふさわしいよね。

「こちらに着替えてもらえますか? ミネルヴァ。」

「はい。」

かぱっと脱いだ。びくっとベータ君。

「あ、まずかったですか? ベータさん。」

「い、いえ。でもミネルヴァさんは女の子に見えるんですから…もうちょっと…」

「気をつけます。」

およ? なんか仲良くなってる? ベータ君とミネルヴァ。


日が落ちて暗くなってからカロツェ家に向かう。

黒いステキマントの俺。黒マントミネルヴァはケルベロ1号にまたがる。

ケルベロ2号にはベータ君。

少年エルフの足が長くてちょっとサイズが合わない。

しがみつくような感じで乗ってもらう。安全運転で行かないとね。

ヒトに見られると厄介だ。夜をひた走る。


門の前でアトラックさんが待っていた。

「う、お。これは…ちょっと、ビビリますね。」

自分で組み立てた職人衆とは違う。

いきなり獣機を見せられたら、そりゃあ怖いよな。

イオニアさんに見せて大丈夫だろうか?

「アイザックさんを見慣れていなければ逃げ出しているところでしたよ。」

え? ちょっと? アトラックさん?

それ、遠回しに俺の見た目が怖いってこと、言ってない?


庭にかがり火が焚かれている。といっても魔法触媒松明だからクリーン。

お披露目のために準備してくれたのか。すごく明るい。

女性陣が玄関から出て来た。

今、ゲップしたなキラすけ。

いっぱい食べたんだな。

先生のコルセットドレスも紐が緩めてあるぞ。

マビカはなんでフォーク持って来ちゃったの?

気づいたけど、しまう所も置く所もない、おろおろ。

あ、サジーさんが気づいて受け取ってくれた。

迷惑かけんなよ。


「………」

お嬢様が、無言。

庭先に並ぶ2体の獣機。ケルベロス。

食事しながら説明は受けていたらしいが…

どう反応していいかわからない。怖いけど、怖がったら失礼かな的な。

「ええ、と……こんばんは、ベータ君。」

「こんばんは、イオニアさん。」

現実から眼を逸らしたね。

「そ、そちらの方は…?」

うん、とりあえず、取っつきやすいマント着たミネルヴァに取り付いた。

「こちらはミネルヴァさん、アイザックさんのぉー…、い、妹です。」

え、何でベータ君が紹介してくれるの?

そして、公式設定なの、それ?


「魔道機のミネルヴァです、よろしく。」

フードを下げて、ぺこりと頭を下げる。

あ、この世界、お辞儀は挨拶には使わないからね、ミネルヴァ。

そして、マントを脱ぐ、全部。

「はう!?」

お嬢様がびっくりしてるぞ。

何で脱ぐの? ベータ君があわてて着せる。

ずいぶん仲良くなってるな。

「こんな可愛らしい魔道機もあるんですのね…」

ほうっとため息、お嬢様。

球体関節人形とか、でしそうな雰囲気あるよね、イオニアさん。

先生が進み出てケルベロスの間に入り、お嬢様を招く。

「こいつらは大丈夫だ、さわってごらん。」

おずおずと近づくお嬢様。おっかなびっくり。

それでも何とか触れて、撫でる。

おっと、ケルベロ1号、媚びるようにヘッドアームをお嬢様にすりすり。

巨乳だけじゃなく、美乳もOKか?

「人懐っこいんですね…」

「本来は番犬用の魔道機だそうだ。」

お嬢様につられるようにキラすけ、マビカも近づいて来た。

おそるおそる撫でる。

無視、完全無視だぞ。不動のケルベロ2号。

ヘッドアームを巡らせて、興味を示しているのは…

サジーさんだな。わかるぞ。

おまえらどうしてそんなにおっぱい基準なの?

そして、完全に乗り遅れているのがデイエート。

「だ、大丈夫なのか? 本当に?」

腰が引けまくり。死にかけたしなー、トラウマになってるのかなー。

まあ、こいつらも相手にはしないだろうけど。胸囲的に。

お、デイエートに気づいたな、おっぱいスカウターで値踏みを…

「ぴー!」

突然、警告音みたいなのを鳴らして飛び退った。

「おう!」

「ひゃっ!」

「ひいいー!」

「ふひっ!」

急な動きにびっくりする先生たち。

何事だ?

「ああー、デイエートさんを怖がってるんですよ。」

ミネルヴァが説明してくれる。

ええ? 貧乳怖いの? そんなに平ら?

『違いますよ』

「弓で射られたことの記憶が残ってるんですよ。」

「え? えええ!?」

困惑するデイエート。

ひれ伏すようにうずくまるケルベロス。

「降参のポーズですね。」



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