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アイワさんと手合わせするよ


お風呂上がりのほこほこタンケイちゃんを家に送り届けた。

家にもどるとエルディー先生、おやすみ裸族状態。

「もどったか、ん? 風呂やってたのか?」

おう、ボディソープ的薬草の匂い。

鼻がいい、先生。

「閉まってましたが、こっそり入って来ました。」

「そっかー、わたしも行けばよかったー」

「湯浴みをされますか?」

「いや、もう眠いし。また明日。」

…先生…昨日も、あれ?一昨日も入ってないよね。


次の日、思うところあってまず遺跡に向かう。

目的は、ビーム銃。

こいつの利用法を考えた。

ウロコの穴あけ作業は俺のビームで大幅に作業時間短縮が可能だ。

獣機の大元を探る旅に出る前に少しでも進めておきたいと思う。

だが、作るものによって穴あけ位置が違う。

オーダーメイド品に関しては注文が来てからじゃないと作業が始められない。

ケース型ビーム銃が使えれば、俺がいなくても作業が出来るんじゃないか?

でも、ウロコを打ち抜くには波長変更が必要だしなあ。

エネルギー供給の問題もあるか…

「穴あけに使うんですか?? 武器ですよ、これ?」

ミネルヴァにあきれられた。

でもまあ、電源?ケーブルの位置と出力調整の仕方、発射方法を教えてくれた。

将機ボディにプログラムが残っていたとのこと。

だが、波長変更は不可能だという。

ビームの発生デバイスそのものが違うらしい。

俺のビームランプほど多機能ではないみたいだ。

雀竜ウロコ以外の加工になら使えるかも知れないし…

とりあえず、工房へ持ち込んで相談しよう。


職人衆を甘く見ていた。

獣機の部品ストックから変換炉を選び出すと接続。

外装部品の中からマウンタのついたやつを選び出す。

土台部分とフレームを作って、マウンタをセット。

そこへビーム銃を設置。

ドリルとか旋盤台みたいな工作機械を作り上げた。

ここまで、わずか半日。

引き金…っていうか発射命令はどうするの?

先生がやったのと同様、起動呪の一種が使えると。

「ひゃっはー!!」

歓声っていうか奇声?を上げながら、鉄板とかに穴あけてる。

恐ろしいやつらだぞ、職人衆。

「雀竜のウロコはビームを拡散反射するので、使えないんですよ。」

「ウロコの裏から照射すればいいのでは?」

拡散反射するのは、表面のプリズム・ミラー構造。

裏側にはない。あっさり、解決した。

うーん、プロフェッショナル!

て、言うか…俺が考え足らずだよね…最初っからこうすれば良かった。

ただ、一台っきりしかないので、加工の順番待ちの行列が出来てる。

耐久性が心配だな。

あ、タンケイちゃんも並んでる。

俺を見てぶんぶん手を振ってくれた。

ちょっと照れる。


「なんとも、はや…あきれたもんだな。」

おやっさんがビーム工作機械を見て、つぶやく。

「ええ、職人さんたちは凄いですね。」

「何言ってる、お前だよ。」

「え?」

「自前のビームもそうだが、普通あんな物騒なもんを工作に使おうとは思わんだろ。」

「そうですかね?」

「お前さんのその機体は、どう見ても戦闘用だよな…」

まあ、そうだろうね。そうでなきゃこんなパワー必要ないよな。

「もし、召喚された『中の人』が『お前さん』じゃなかったら、と考えるとちょっと怖いな。」


お昼休み、中庭でくつろぐ。と言っても突っ立てるだけですがね。

おっと、タモン兄貴と… え? アイワさん?

鬼人女剣士婦長のアイワさんだ。

「こんにちは、今日はどうされたのですか?」

「剣を研ぎに出してたの、取りに来たのよ。」

「こないだ、だいぶ使ったから…」

ああ、うん。けっこう使ったよね。斬りまくったっていうか…

「せっかくだから手合わせしてみないか? 稽古の成果が見れるかも。」

と、兄貴。

なるほど、剣技ではアイワさんの方が兄貴より上か。

鬼人隠れ巨乳剣士もやる気満々だな。

もう竹刀…ただの竹の棒だな、持って来てた。

「それでは、ご教授願えますか。」

うん、俺もお願いしたい。

竹刀を持ち、向かい合ってたがいに礼。

礼に始まり、礼に終わる。

共通認識がちょっとうれしい。

遠足の時見たアイワさんの剣技。

実は記録から解析、学習していた。

脳内シミュレーションで想定対決もやってたんですよ。

だからちょっとは勝負になるかも…なりませんでした。

高速思考と反射速度を使って、最初のひと太刀ふた太刀をかわすのがやっと。

何て言うか、引き出しの数が全然違う感じ。

すべて先読みされている。

周りから見てれば、こっちから竹刀にぶつかりに行ってるように見えたんじゃないかな。

ごめん、襲撃してきた人達。キミたちのこと馬鹿にしてたのは間違ってました。

「いや、いや、勘弁してください。とても相手になりません。」

「あはは、ホントに基本通りなんだね。」

「動きは速いけど、型を正確に再現してるからもろわかりだよ。」

「動きにぶれがないから、逆に正確に予測できるんだね。」

うーん、そうかー。

でも、アイワさん、護衛の仕事中と違って気さくな感じだな。

「何て言うか、こう、緩急をつけるとかー」

ゆっくりと竹刀を回し、素早く振り抜く。

いや、抜いてない。途中で軌道が変わってぬるりと戻ってきてる。

ええ? どういうテクニック?

「実際の立ち合いだと、途中から、テンポとかリズムとか変えたりするよ。」

「でも、キミの目、どこ見てるかわからないのにはちょっと戸惑ったねー。」

ああー俺の目、実はダミーだしな。ライトにはなりますが。

「でも視線があるとこんなこともできるよ。」

え?

俺を見つめるアイワさん。

ふ、と気づいたように瞳が横を向く。

ん? 何? つられて思わず意識がそっちの方に移る。

と、反対側から竹刀が飛んできた! うわ危なっ!

ぎりぎり竹刀で受ける!

「おー、やっぱり見えてるんだね。視界、すごく広い?」

「ええ、人間の目よりかなり広いと思います。」

ホントは真後ろも見えるんだけどね。

「視線は、目力めぢから眼力がんりきって言うけど、にらむだけで威嚇にもなるしね。」

なるほど。

昆虫で言ったらカマキリのこと思い出した。

カマキリの目にはまるで黒目があるように見える。

しかもどこから見てもこっちを見ているように見える。

実際には球面型放射状に配置された複眼の、正面側だけが奥まで覗き込めるので黒く見える。

結果として黒目があるみたいに見えているだけだ。

だが、この効果が不気味さ、威圧感を演出している。

カマキリ=狩り名人みたいなイメージの形成に関係しているだろう。

実際、獲物になる昆虫に対して何か効果があるのかもしれない。


視線かー、具体的には瞳…黒目だな。

人間の目は白目が多くて視線がわかりやすい。

これは共同で狩りをする時、アイコンタクトが取りやすくするためだと言う説。

某5歳児の番組で言ってた。

じゃあ…

ダミーアイをカンテラモード。全体を弱めに発光させる。

一部分だけ消灯する感じで暗い部分を作ると…

「こんなのどうでしょう。」

笑われた。吹き出した。アイワさんのツボにはまったらしい。

「やだそれ…カワイイ!! あはは、やめてー! こっち見ないでー!」

まあ、視線を作ることには成功したようだ。

兄貴も爆笑!

「確かに効果ある! わはは、アイワ戦闘不能!」

調子に乗ってまばたきアニメーションをつける、ぱちぱち。

「いやー、やめてー、ひはははー!」

ちょっと笑いすぎじゃないですかね?

でも、これ、宴会芸として使えそうだな。


兄貴とアイワさんにしばらく剣術の手ほどきを受けた。

午後からも工房の手伝い。

最近はいろんなとこ、鍜治場とかも手伝う。

赤熱した鉄も、平気で掴めるからね。

耐熱性も凄い。この機体。

「今度、ウチも手伝ってくれよ。」

声を掛けてくれたのはガラス工房の人らしい。

いろんな事やってるな、この工房。

そういえば、タンケイちゃんて…どこの担当なんだろう?

あちこちでいろんな仕事してる感じだが? 見習い扱いだから?

「ああ、タンケイはな、おやっさんが直に鍛えてるから。」

「何でもやらせてるし、実際何でも出来るし、あいつ。」

「おやっさんも跡取りみたいに思ってんじゃないか。」

おお、評価高いじゃん、タンケイちゃん。


そんなこんなで夕方、そろそろ帰った方がいいかな。

先生を洗わなくてはいけない。今日こそ。

と、思ったらやってきた。

先生とベータ君、3人組。

ベータ君の表情が硬い。どしたの?

「ご飯の後、お風呂に入ります、今日は。お風呂に入ります!」

決然! 堅い意思!! 2度言った。

昨日も入ってないもんね、先生。

ベータ君的には許せないレベル。

先生はばつが悪そうに下向いてる。


「あいじゃくー」

おう、その声は、ミニイたん!

「あ、こら、待ちなさい。」

もちろんデイヴィーさんも一緒だ。

俺に向かって駆けてくる、走る、走る。

けっこう、距離あった。走る。

手前で減速…しないな、これは。全力でタックルする勢い。

俺、硬いですよ。お母さんと違ってクッション無いですから。

うん、クッション。一度はタックルしてみたい、デイヴィーさん。

受け止める、と言うか、身体の中心線をずらして受ける。

と、同時に抱き上げて身体を回転、ぐるりと一回転スピン。

ソフトランディング抱っこ、成功。

「あー、すいません、アイザックさん。」

息を切らすデイヴィーさん。

いえいえ、ミニイたん抱っこ。うれしい。

「おふろきたよ」

ミニイたんもお風呂か。

触る、触る。ぺちぺち、俺の顔。よーし。

さっそく、例の黒目アニメーションを試す。

つぶらな瞳、ぐりぐり、ぱちぱち。

ミニイたん、目を丸くして硬直。びっくりしてるね。

「あきゃきゃきゃきゃあー」

頭をのけぞらせて大笑い、大喜び。

「もいちどやってやって」

受けた、やったね!

「なにやってるんだか…」

先生があきれ顔。

「新機能ですよ。」


「あ、いたいた。」

お、その声は。貧乳エルフ、デイエート。

お兄ちゃんも一緒だな。

???イオニアさんも一緒?

「こんばんは、アイザック様、導師。」

挨拶してくれたのはビクター支店長。ええ?

「い、イオニア? ビクターさんまで?」

先生もびっくり。

「お嬢様が、どうしてもと… お二人には護衛をお願いして…」

男子禁制のはずのお嬢様の護衛にハイエートお兄ちゃんまで動員か。

「何事だ? イオニア。」

「だって、何だか色々面白そうなことをやっているって…」

「わたくしには声をかけてくださらないんですもの。」

デイシーシーだな、情報元は。

「そのへんはぼくも同意見ですね。」

え、お兄ちゃんエルフも?

「鉄蜘蛛の一件もですが…獣機の再起動とか…」

「ぼくらには声がかからないってのはちょっと釈然としませんね。」

ええー、ふだんニコニコお兄ちゃんが不満を言うとかなり怖い。

顔はニコニコのままなのが余計コワイ! プレッシャー!

そして、デイエートはにらみつけてる。いやいや、なんで俺?

にらむなら先生にしてよ。

「え? あれ? 何? みんな揃って…」

おっと、タモン兄貴とアイワさんまでやってきた。

「お、イオニア様!」

兄貴が思わず片膝ついて頭を下げる。

「あ、おっと。こういうのは無しでしたな、失礼しました。」

途中でやめた。失礼じゃなかったから失礼と言う変てこな状況。

「イオニア様、こちらはバッソ家組下、エスブイ家の長女です。」

キララの紹介でマビカが進み出る。

「マビカと申します。お目にかかれて光栄です。」

うーん、お嬢様方のご挨拶は異次元の高貴さだな。

中身がアレなので実感できないが、それでも貴族の娘なんだな、マビキラ。

庶民代表のディスカム、緊張してるのか。顔が青い。

キララから事情は聴いているんだろうが…

ある意味、身分ってやつを突き付けられたような状況。ちょっと心配。

「お二方も、この街ではただのお友達、と言うことでお願いしますわ。」

お嬢様も、ちょっと困ったな、って感じ。

「ああ、お嬢。こいつはディスカム。二人の連れだ。」

兄貴がフォローを入れる。

「あら、まあ。あなたがディスカムさん。」

マビカとディスカムを見比べる。

「うふふ、キララさんからうかがってますわ。わたくしイオニアです、よろしく。」

「は、はいいっ!」

声が裏返ってるぞ、ディスカム。


「あー」

おっと、ミニイたん抱っこしたままだった。

え、何? 降ろせ? はいはい降ろしますよ。

あ、っとデイヴィーさんが手を伸ばしたが、そのまま、てててっとお嬢様に近づく。

「あたしみにいどぞよろしく」

腰をかがめてお嬢様ご挨拶(の真似)。

うはあ、カワイイ!! イオニアさんもやられた!

「はうう! 可愛い! わたくしイオニアですわ、よろしくミニイさん。」


「ここじゃなんだ、食堂で話そう。」

先生の後についてゾロゾロ移動。



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