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調査続行するよ


「おお、もどったか。飛行ユニットが急発進したから心配したぞ。」

先生が駆け寄ってきた。簡単に事情を説明する。

「50体? そんなに?」

思わず、鉄蜘蛛の方を振り返って首をひねる。

「これがよほど重要なものなのか…それとも…」


キラすけの頭をポンポン。

「頑張ったな、偉いぞ、キララ。」

キラすけ、もじもじ照れ照れ、嬉しそう。

「氷でバリヤーか…いい発想だ。」

「マビカの水魔法あってこそだな、帰ったらお礼を言わんとな。」

褒めて育てる、そんな指導者ですね、先生。

「自分では出れませんでしたがね。」

ちょっと意地悪言ってみる。

むー! って顔で突っつかれた。

「ダークゾーンが電波にも有効だとなると…色々やれることがありそうだ。」


「休憩にしよー」

みんなが集まってくる。

色々あったけど、移動、戦闘、パンツ洗い、帰還で2時間とかかってない。

まだ、お昼だ。やれやれ。

サジーさんがお茶をいれてくれる。携帯触媒コンロ的な湯沸かし器。

そしてお菓子。和気藹々。

アイワさんが見張り。

「私がやりますよ。」

「いや、少し休め。キミ自身には休憩は必要ないかもしれないけど…周りが安心する。」

ううーん、そうか。そうかもな。

残業してる奴がいると俺も帰りにくい的な、働き方改革。

てなことで、女の子たちの輪に加わって手頃な石に座る。

周りが安心するって…俺…俺がすごい居心地悪いんですけどー。

女子会に紛れ込んだおっさん感半端ない。


ベータ君が立ち上がる。

「ちょ、ちょっと用事を足しに…」

「お花摘みですわね?」

「何の花にゃ?」

「マンドラゴラか?」

むっちゃいじられてる。

俺も同行したい、連れション。

「私もちょっと用事を足しに…」

「ええ?」

「何が出るんだ?」

いや、何も出ませんけど。

やれやれ、森の木陰に入ると、ベータ君と顔を見合わせた。

「ふううー」

ため息。

「女の人ばかりなんで…ちょっと気疲れします。」

「お疲れ様です。」

うーん、こんなことばっかりだとベータ君、女嫌いになってしまうかも。

ハイエートお兄ちゃんの思う壺。

「あの、ちぎれた脚を調べたんですけど…」

「凄く細い針金をぐるぐる巻きにした部品とか…魔道機とはなんだか違うような」

コイル…モーターか?

たしかに、獣機は複雑なつくりでいかにも機械生命体って感じがする。

さっき遭遇した兵機もヒト風で生き物っぽい感じだった。

動力や駆動のための機関も人工筋肉的な収縮繊維やフレキシブルシリンダーだ。

だが鉄蜘蛛は建設機械風でそもそも動物を模する気がないデザイン。

関節は単純な軸受け回転式だし、モーターで動いてるとしたらエネルギー源は電気?

まったくカテゴリーが違う。

用途も武器とか内蔵しない運搬トラックだったし…


調査を再開したものの…どうにも鉄蜘蛛、頑丈すぎてバラせる所も無く手の出しようがない。

唯一へし折れた脚のつなぎ目くらいしか手ががりがない。

関節にはモーター、俺が知ってる原理の電磁モーター。

この大きさでこの巨大な機械を駆動するとか、電気どこから来てんの?とか。

元世界の常識は超えてるものの、俺の体や獣機に比べるとむしろローテクといえる。

「わああ!」

どーしたデイエート!

「くっついた! ナイフが!!」

腰に下げていた鉈みたいなごついナイフがモーターのマグネットにくっついた。

「ほほう、磁石だな。すごい強力だな。」

磁石知ってるのか? 先生。

強力なパワーが出るって事は当然使ってる磁石も強力なはずだ。ネオジム磁石か?

「関節に磁石? 動かすのに必要なのか? こんなでかい磁石どうやって…」

先生が興味深げだが、くっついたデイエートはそれどころじゃない。

「ええ? 取れない? びくともしない!」

ベルトを外して全身で引っ張るけど取れない。

もがいていると、今度は背中の矢筒から矢のやじりが磁力に引っ張られて…

「きゃあー! やー、ひゃああー」

こぼれ出た矢がモータへ飛んでいってくっつく。

危ないなあ、鏃は刃物だからね。

普段は凛々しくすましてる百合王子エルフのドジっ娘ムーブになごむ。

お嬢様もレアな光景ゲットで、むふふん顔だ。

「やだ、もー!」

助けに入ろうとした俺を…先生が制止した。

「待て待て、お前がくっついたら笑えない。」

ひょっ、確かに。そーと少しづつ近づく。

うん、大丈夫みたい。引っ張られない。

俺は磁石にくっつかないようだ。

「大丈夫のようです。」

「そりゃ良かった。」

「みんなも剣やナイフ持ってる奴はうかつに近づくな。」

呆然とするデイエート。

「どーすんのこれ?」

「どれどれ、んーアレが使えるか…でもこれだけ強力なやつだと…」

「久しぶりだからなあ…えーっと…」

先生が魔法陣を展開。

消磁魔法マグセーフ

ぽろっとナイフや矢が落ちた。

ええ? 魔法? 消磁魔法??

「早く拾えよ、すぐ元にもどる。」

あわててナイフと矢を拾ってダッシュで距離をとる妹エルフ。

「久々に使ったが、いけるもんだな。磁力の強さは関係ないみたいだな。」

「磁力を遮断したんですか? 何のための魔法なんですか?」

どうしてそんな魔法つかえるの? 先生。

「海辺の町でな、砂鉄を集めてほそぼそ鍛治をやってる所があってな。」

「そこで手伝いをしたことがあるんだが…」

「磁石で砂鉄を集めるのは良いんだが砂鉄を外すのが大変で…」

「とったと思ったらまたくっつくし、ちくちくするし…」

「ついカッとなってこの魔法を作ったんだが…」

「最初は磁石を全部ダメにしてしまって…」

「あやうく鍛冶屋から火あぶりにされる所だった。」

せ、先生……

「い、今はすぐ元にもどるように調整したから大丈夫だぞ。」


千切れた脚の鉄蜘蛛側、最初は土砂に埋まってたけど掘り出した。

スコップとか持ってきてないし、けっこう大変でした。

まあ、やったのは俺ですが。女の子には無理だよね、パワー的に。

断面部分を観察すると、ケーブル?

配線ケーブルらしいものがある…千切れてるけど…

コネクターだ。接続部があるぞ。

千切れている方を外す。本体側がメス端子。ロックのついたtype-Cっぽい形状。

メタルケーブルだ、光信号じゃなくて電気信号だな。

端子かあ、規格が合わないとどうにも…

『接続可能です』

ええ? 端子あるの? どこに?

指先、爪みたいなモールドが持ち上がって端子が出てきた。

この前はカッターの刃出てきたよね?

どうなってるの? まあ、便利だけど。

接続する?

でも攻性防壁みたいなのがあって逆にマルウェアとか送り込まれると怖いし。

『セキュアな仮想マシン、サンドボックスを構成可能』

おお、優秀。じゃあやってみるか、接続! さすっとな!

……

うん、ワカラナイ。信号とか情報とかつながってるのはわかるけど。

元が人間である「俺」には理解不能。

PCプログラム16進法のダンプリストを見せられているような気分。

0からFまで数字の羅列。

友達のプログラマーが

「ああ、ふーん、なるほどね。」

とか言って眺めてたが、何こいつ、お前なんか人類じゃねえよ、って気がしたもんだ。

『ああ、ふーん、なるほどね』

おう! ナビ君。おまえもか!

…なんかわかった?

『制御は高度に自動化されていますが』

『単独での自律的な目的行動は想定されていません』

『つまり操縦者を必要とする有人乗用マシンです、これ』

マジかよ! じゃあ、あのハッチの中に居るのは…運転手さん?

まさか生身の人じゃないよね…それだともう…うわあ、それ怖い。

…ヒトじゃなくて獣機だとすると、さっきの兵機? 

いや、もっと高級なやつかも…

あれだけの数で回収に来るんだから。

貴重なのは鉄蜘蛛じゃなくて運転手?


鉄蜘蛛は再起動できる?

『無理ですね、反応しない機器があります』

『物理的に壊れてますね』

まあ、今はその方が安心。もういいよ、コネクタ外すよ。

『ちょっと待ってください、命令コードを収集しています』

『獣機の制御を解析する参考に…あ』

『いいものがありました、技術仕様書』

『獣機の通信内容が解析できます。』

すごい、ハッキングが可能に?

『セキュリティはガバガバですね』

『テクノロジーを持つ敵を想定していないと思われます』

うーん、そりゃそうか。いや、待てよ?

この世界の今現在ならそうだろうけど。

古代文明期に他者と戦争とかしてなかったのかな?

戦争してないのに武器としか思えない獣機が存在する?

獣機を作った勢力はテクノロジーを独占していた?


ま、今考えてもわかんないよね。


「さて、このくらいにしてベースキャンプに戻るか。」

先生が号令をかける。

調査は終了。



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