アンチエイジング魔法を使うよ
順調に王都へ到着。
なるほど、確かに先生の言う通り窓が欲しい。
閉鎖空間での長旅はストレスフル。
城壁に接近してから、駐留してるカナちゃんズ経由でタモン将軍に連絡。
見張りの兵士やバッソ家に連絡してもらった。
コンテナは一旦カロツェ家の敷地に着陸。
イオニアさんと再会。
一晩、カロツェ家でお嬢様とゆっくり歓談。
夕食をちゃっかりご馳走になり、おかわりする女騎士。
次の日の朝、早くもバッソ家から迎えの馬車がやって来た。
先生は髪をアップにしてモード1。
新品シャツでちょっとおめかし。
お貴族様相手のお仕事だしね。
俺はフード付きマント姿。
雀竜のウロコを使ったマントではなく、服飾工房から借りた布マント。
イオニアさんもついて来たがったんだけど、先生が拒否。
「いや、まだ、お前には早いかな。」
「やはり、重大な秘儀なんですの?」
「いや、ま、その…そんなとこかな…」
ん?
それに王息女が貴族のお屋敷を訪問ってことになると、色々面倒らしいので断念。
「ま、ナビンは堅苦しいの苦手だったし、王政になってまだ3代目だからな。」
「他の都市の堅苦しさに比べればずいぶんましなんだが。」
馬車に揺られながら先生が解説してくれた。
すぐ、バッソ家に到着。
歩きで良かったんじゃね?
貴族のお客さんだからそういうわけにいかない?
めんどくせえ!
「ようこそお越しくださいました、エルディー大導師。」
クオリア奥さまがお出迎え。
長男のクリエートくん、次男のトリニート君は今は学園寮。
王立学園はエアボウド大賢者が復帰して改革を実施中。
カリキュラムも変更になって大変らしい。
奥さまの後ろから、チョロッと顔を出したのはルミごん。
三女トリルミナ、凶暴小動物系野獣令嬢。
あまりの凶暴さに学園に通うのはあきらめて家庭教師付で教育を受けているらしい。
「うが、どーし!」
「おおー、ルミナ。元気か?」
わりとエルディー先生とは気が合うらしい。
挨拶もそこそこに施術の準備を始める先生。
メイドやら、執事っぽい人やらに指示を出し、できぱき。
「場所は、汚れてもいいように浴室とかがいいかな。」
「汚れるのですか?」
「いや、まあ……潮…いや、汗…とかかくしな。」
ん?
「あと、施術中は人払いした方がいいな。」
「やっぱり秘術なんですか?」
「いや、まあ……お前さんも恥ず……いや、そうだ。うん、秘密。」
ん?
さすがは侯爵家のお屋敷、温泉ホテル並みの浴場がある。
そこに飾り気のないベッドというか施術台をセット。
なぜか、周囲をカーテン付きの衝立で囲む。
なんかこう…診察室って言うか、保健室って言うか…
クオリアさんも戸惑った様子。
「アンチエイジング魔法にもレベルがあってな。」
「お前さん、魔法の方はどうなんだ?」
「いちおう、王立学園の卒業生ですので…人並でしょうか。」
「道士号は持ってるわけだな。」
うんうん頷く先生。
「なら、コツをつかめば自分でコントロールできるようになるかもな。」
魔法の素人が相手だと、一度若返らせてもその後は普通通り老化するそうだ。
夢魔族ハーフの旦那と添い遂げるってことになると、やっぱ持続が重要か。
まずは口頭での説明から。
理論から入るのが先生のスタイルだね。
「要は肉体に魔力を循環させること。」
「物質的な肉体の器官を魔法回路として利用する。」
「漠然と魔法回路をイメージするより現実に存在する器官を使った方が認識しやすくなる。」
「自身の肉体を一つの魔法陣として再構成する感じだ。」
難しい顔のクオリア侯爵夫人。
「私に出来るでしょうか?」
「ま、実際やってみてからだな。向き不向きもあるしな。」
持ち込んだ荷物の中をごそごそかき混ぜると、何やらタオルみたいのを取り出した。
「とりあえずこれに着替えてもらおう。」
「え? こ、これにですか?」
着替え? それにしちゃ布が少ないような?
「で、でも……」
ちらりと俺の方を見る。
「男型をしとっても、コイツは単なる魔道機だ。」
「恥ずかしがることはないだろ。なあ。」
と俺の方を見て、にやりする先生。
ええ、まあ。渾身の力を込めて魔道機演技。
「マ!!」
さて、浴場の脱衣場で施術着に着替えて来たクオリア奥さま。
布は少ない。セパレートの湯浴み着って感じ。
上はごく短い肩ひもキャミソール的な。
どのくらいごく短いかと言うと、豊かなふくらみの下の円弧が見えるくらい。
下は、この世界ではおなじみ、ふんどし風紐パン。
「こ、これは恥ずかしいです…」
「女同士で何を言っとる。」
「で、でも……」
奥さま、色っぽい! 柔らかボディライン。
思えば、すでに5児の母。
そりゃあ、エルフや夢魔族の異次元ボディに比べれば年相応。
トップはやや下がり、腰回りにもふくよかお肉が付いてます。
だが、それがいい!!
確実に需要のある、いや、これでなきゃいかん的な成熟肢体。
甘えたい! 膝枕してほしい。
「いやいや。いけるじゃないか。こんな体を何年も放っておくとか、」
「ベガ坊主も罪な奴だ。」
先生、言い方!
施術台の上に横坐りさせる。
「アイツの留守中、パートナーはいなかったのか?」
パートナー?
ああ、なるほど。
戦国時代、衆道(男性同性愛)が盛んだったのは良く知られている。
戦場には女性を連れて行けず、小姓が主君のお相手を務めることが多かったとか。
だが、残された女性たちはどうだったのか?
奥方のお相手を侍女が務める事も多かったとする研究者もいる。
江戸時代に入ると参勤交代で江戸に残された大名の奥方様たちはどうしていたのか?
たった一人の将軍のための後宮である大奥ではどうだったのか?
実際、大奥で使われていたとされる張形が残されていたりする。
奥女中同士の行為を描いた春画なども残っている。
もっとも、百合マンガが男性向けだったりする現在を思えば、男性向けファンタジー春画と言う可能性もあるが。
この異世界での性事情は俺の知識や常識では測れない。
ベガ侯爵はもう何年も湾岸都市に単身赴任している。
そのことを思えば、クオリアさんにそういう相手がいても不思議はないか。
「そ、その…サターナお姉さまが亡くなられてからは…そういう人は…」
「サターナ…、なるほど、キララの母親か。」
「立場的には正妻の私の方が姉と言うことになるのですが…」
「彼女は夢魔ハーフで、私よりずっと年上でしたので。」
なるほど、一夫多妻系の呼称でそう言う習慣があるのね。
だが、キラすけの母とそういう関係だったのか。
キラすけに対するクオリアさんの想いと言うのがちょっぴりわかった気がするな。
「さて、始めるか。」
着替えを待ってる間にお茶を飲んでた先生。
バシッと膝を叩いてよっこら立ち上がった。
オジサンクサイですよ、そーゆーの。
なにやらお茶菓子も出てた。黒い四角い塊。
チョコレートかと思ったが、表面をスペクトル分析した結果、羊羹的なものと判明。
だから何だ、って話ですがね。
「まずは、このロー…ポーションを全身に塗るんだ。」
先生が瓶のフタを開けようとするが、意外と固い。
「ん? んん! うんっ!」
ポコンっと音を立てて開いたが、勢い余って中身が飛び散った。
一部がクオリア奥さまの顔と胸元に!
「きゃっ!」
てっきり透明ジェル状かと思ってたら、白濁。
ええ、白濁液。
顔についた白濁液を指先でぬぐい取る奥さま。
「白いんですね、これは?」
「ミーハ村特産のソープ液に肌香油を懸濁し、各種薬草を配合したものだ。」
「まず、うつ伏せに寝てもらおうか。」
「は、はい。」
施術台に横たわるクオリアさん。
防水っぽい革製カバーのクッションを使っておっぱいの退避スペースを確保。
「よし、アイザック。全身に塗り伸ばしていけ。なじませるようにな。」
取り出したロー……ポーション。
ああ、うん。予想通りぬるぬるしてる。
ヒートハンド発動。人肌ローションぬりぬり。
「ひゃ! これ、くすぐったい!」
「ヒトの皮膚は身体を保護するための物だ。」
「そのため、同時に心理的にも防壁として認識されている。」
「そのことで無意識に弱い魔力的障壁が発生しているんだ。」
誰もが持っている心の壁、A〇フィールドですね。
「魔力をを流すためにまずこのロー…ポーションで障壁を解除する。」
「うふぅ…でも…これ、何だか…とても…」
「よし、アイザック。ここからはマッサージも併用だ。」
ぬるぬるする人妻ボディの首筋から肩、背中へといつものマッサージ。
ヒートハンド、バイブレーターを併用。
「まず、筋肉をほぐし、血行を良くする。」
「リラックスするのが第一だ。」
肩から背中を温めつつ、振動を加えていく。
「あああ、これ、ものすごく気持ちいいです。」
思わず声の出る、奥さま。
「よし、じゃあ、行くぞ。血液の流れに沿って魔力を意識するんだ。」
先生が俺の背中に手を当てる。
え? 何だこれ!?
先生の手から、俺の身体を通って何かが流れていく。
これが、魔力の流れ?
「う、ふ…う?」
びくり、と背筋を伸ばすクオリアさん。
「あ、あ、あ……」
「背骨に沿って魔力を流すぞ、意識しろ。」
先生の言葉とともに、まるで操られるように俺の手が動く。
背骨の通る凹みに沿って中指を当て、肩甲骨の間から尾てい骨まで滑らせる。
最後に手首を返し尾骨の末端を押さえる。
まあ、おしりの割れ目の端に指突っ込む感じですね。ぐいっ!
「ひぃ、あ、そそ、そんな…ダメ、これ…」
「だめですうぅー、いいい、あっ!」
ビクンビクン。
ぐったりする奥さま。一休み。
施術台に横座り、足をたらすクオリアさん。
「こ、これ…ホントにアンチエイジング魔法なんですか?」
ちょっとまだ朦朧とした状態で、侯爵夫人がもっともな疑問。
「もちろん!」
力強く肯定する先生。ホントですよね?
なんか、セ〇クスレス人妻NTR性感マッサージ的な流れになってるんですけど?
「よしっ、次は前の方だ。仰向けになってくれ。」
「え? ええ?? 前の方は自分で……」
「心配するな、アイザックは慣れてるからな。」
まあ、たしかに経験値は高いですね、このへん。
仰向けになるクオリアさん。
すでに施術着はローションで濡れて張り付き&透け透け。
色々と色や形が見えちゃってるわけなんですが。
顔を赤らめ、両手で胸と下の方を隠す。
この恥じらい! 素敵ですよ。
このステキ人妻に何年も会えてないなんて、気の毒バッソ侯。
「これ、恥ずかしいです、導師。」
「気にすんな、人払いはしたろ?」
「ええ? そういう意味の?」
なるほど、こりゃ、見せらんないよね。
イオニアさんにも、ベータ君にも。
仰向けになった奥さまボディにローションを塗り伸ばしていく。
うーん、やっぱ背中にやるのとはちょっとレベルが違う。
言い訳できない感じ。
「ええ? あ、そ、そんなところまで…」
「くふぅ! んんう。」
首筋、肩口、胸から脇の下へ。
そして施術着の下へも。
両手に伸ばしてすべりを良くして…
結果として寄せるとか持ち上げるとか、そんな感じ。
「よーし、流していくぞ。」
再び先生が俺の背中に手を当てる。
魔力の流れ! そして俺の手が先生の手のように勝手に動く。
脇の下から大胸筋の付け根を揉み上げる。
ま、手は勝手に動いてますが、感覚はちゃんと伝わってきてますよ、俺に。
「骨格、血管、神経…そして…」
「リンパの流れが重要なんだ!」
あー、言っちゃったよ、リンパ。
さらに、肋骨から腹筋へ。脇腹、お腹。
おヘソのした、すなわち下腹部。
「ここは重要だ、古来より丹田などと呼ばれ…」
説明しながら続ける先生だが、クオリアさんはそれどころじゃない。
びくん、びくん!
いやもう、ずり上がった施術着は用をなしていない。
二つの柔らかふくらみは、もうはみ出しまくり。
「よし、アイザック、次は鼠径部だ!」
鼠径部! S・K・B!!
そうですね、リンパの流れには重要ですね、鼠径部S・K・B!
くぱぁな感じになるけど仕方ないですね。
もう、下穿きはぐちょぐちょでずれちゃってますけどね。
太股基部、下腹部と大腿部の境目を掴むようにして鼠径部を親指で圧迫。
「くふぅ!」
クオリアさん。
腰を突き出すように反り返る。
「はあ、あ、あ、あ」
「よし、魔力を流すぞ、支えろアイザック。」
「あ、ひ! だめ、ふわあー、あああーーっ!」
施術台から転がり落ちんばかりに身を震わせる侯爵夫人さま。
びくん、びくん!
なんかもう、水気が噴き出してるんですけど。
「よし!」
背中から手を離し、一歩下がる先生。
「お前も手を離していいぞ。」
え? あ、はい、そうですね。
あわてて奥さまボディから離れる。
ぐったりしたクオリアさんを上から覗き込む。
「導師……お、終わりました?」
先生にっこり。
「ああ、半分はな。」
えええー!
その後、改めて正中線とか、チャクラとか、クンダリーニとか、経絡秘孔とか、北斗〇拳とか説明しながら施術をした先生。
朝から始めた施術が終わったのは夕方だった。
最後は入浴して、特製ポーション(飲み薬)を飲ませる。
心配しておろおろしてた家人にぐったり奥さまを引き渡し、一晩ゆっくり休むよう指示。
「明日、様子を見て施術は一応終了だな。」
馬車で送ってもらってカロツェ家へ帰還となった。