練習するよ
更新再開するにあたりタイトルも変更しました。
グレートアイザクソンとかアイザクソンGとか
シン・アイザクソンとかアイザクソン熱闘編とか
考えたんですが、ちょっぴり長文化しました。
ベータ君は机の上に置かれたロウソクをにらんでる。
触媒魔法じゃなくてごく普通のロウソク。
炎が揺らめいている。
その下に敷かれているのは魔法陣。
時間遅延魔法陣だ。
夢魔女王メガドーラさん考案の魔法。
外部魔法陣と脳内イメージの併用で発動する。
魔法陣は主に必要な魔力供給を担当し、時間魔法本体は脳内イメージによるところが大きい。
これが難しい!
時間軸に作用する魔法。
何でも4次元の図形として魔法陣をイメージする必要があるとのこと。
俺には習得不可能。
今のところ使えるのは夢魔女王、先生、そしてお兄ちゃんエルフだけ。
ベータ君が習得にチャレンジ中。
魔力供給は護符から行なうので【護符魔法】という扱い。
普通魔法が使えない若年固有魔法持ちでも発動可能なはずだという。
「うーーーー、ううん? ダメですね…」
ため息をつくベータ君。
先生が助け舟を出した。
「難しく考える必要はない。」
「たとえば……」
「平面上に描かれた魔法陣を認識するためには上から見る必要がある。」
「2次元の情報を認識するためには3次元の視点が必要だってことだ。」
あー、ふむふむ。なるほど。
「どうも、近頃の魔道士は平面積層魔法陣に逃げるきらいがあるが…」
「魔力核のクリスタルみたいな完全立体魔法陣は、3次元立体に視点を設定せず、むしろ触覚的に認識するイメージだろ。」
「つまりはそれが4次元の視点てことなんだ。」
難しくなってきたぞ。立体を視点移動ではなく全体を同時に認識するってこと?
「ベータはもう立体魔法陣が認識できるだろ?」
「あ、はい。」
「無意識の内にすでに4次元的視点を獲得してるのさ。」
「その延長として5次元的視点でもって4次元図形をイメージすればいい。」
は? すでに俺の理解をはるかに超えてるわ。
「やれ縦、横、高さだとか、4次元軸が時間だとか、5次元軸が多元宇宙だとか……」
「ベクトルに個別にホントかどうかわからない意味を持たせようとするから混乱する。」
「単にX,Y,ZにVとWが増えただけ、純粋に数学的にイメージするんだ。」
『なるほど』
え? ヘルプ君? キミは『なるほど』なの?
「あ、そうか! こう……」
魔法陣が光を放つ。
おお、発動!
ロウソクの揺らめきがぴたりと静止。
実際には極ゆっくり動いてるわけだが。
さすが、ベータ君。タイムラプス起動をマスター。
「あ、キララちゃん……」
どした? マビカ?
ああ、キラすけ。
タイムラプスの護符をいじりながら先生の話聞いてた。
「固まってる…」
ついうっかり発動。
自分自身を時間遅延状態でカチコチ。
ええ? 起動出来ちゃったの?
苦笑い、エルディー先生。
「まあ、ベータやキララの固有魔法は高次元認識による空間干渉に由来してるはずだからな。」
「もともと、素養はあるはずだ。」
いやいや、先生。笑いごとじゃないですよ。
「誰もいないとこで、うっかり自分に発動したらまずいですよ。」
物理護符の魔力が切れるまで固まりっぱなしだよ。
それでなくても、発育遅れてるんですから、こいつは。
魔王城山で夢魔女王から時間遅延魔法で拘束されたときの記憶が蘇る。
周囲がものすごいスピードで動いているような感覚。
早送り。
周囲がスローモーションに見える加速装置を使ってるときの逆。
ん? 遅くできるんなら…
「逆に早くすることも可能なのでは?」
先生がハタと手を打つ。
「なるほど! だが…」
「役に立つか? それ?」
うーん、味方の動きを早くするとか、弓矢の速度を上げるとか?
「発動できる術者が付いて回るのか?」
「いや、術者自身が加速すればいいのでは?」
「ワタシは動くのいやだ。」
先生ぇ……
でも、加速装置は戦闘ですごく役に立ちますよ。
周囲がスローモーションになるあの感じ。
スーパースロー、BGMは「オリンピア」(世界最強タッグのテーマ)
「アイザックの加速装置は思考加速で早く動いてるだけだが、」
「時間の流れそのものを加速した場合、物理現象にどう作用するか?」
「作用範囲の問題もあるから、ちょっと何が起こるかわからんな。」
ベータ君がちょっと遠い目で思案。
「ご飯の仕度…煮込みが早く終わるとか…」
なるほど、ベータ君。目の付け所がシャープだ。
「む、そうか、発酵…酒の醸造とかが早くなるかも。」
「メガドーラやおやっさんと相談してみるか。」
「ほふっ、ほわ!」
遅延拘束を解いてもらって、目をぱちくりさせていたキラすけ。
「それ使えば、我も急速成長が可能に?」
やっぱ気にしてるんだな、発育。
首を振るベータ君。
「いや、成長だけ速くなると…」
「ご飯の支度が間に合わなくて、加速してる間に飢え死にするとかありそうですね。」
「ひふ!」
震え上がったキラすけ。
のんびりぼつぼつだらだら更新したいと思っています。
腰が痛いです。あとブキヤのアルシアの予約には失敗しました。