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暴走!アイザクソン


遂に出現した異世界召喚ロボ・アイザクソン!

そして暴走!

魔力酔い状態に陥った俺本体。

大陸全土への脅威と化した。


ゴリアテすべてが動きを止めた。

破壊しつくしたのか?

それとも操縦器がすべて破壊され自動モードの設定も解かれたのか?

どちらにせよ、レガシ、いや北遺跡に対する脅威はすべて取り除かれた。

『状況終了』

『付属機体、オプションの回収作業に移行します』

【俺】は方向を変え、再び遺跡に向かって歩き始めた。

すべての神代魔道機を回収し、その後【ストレージ】の消去作業を行う。

この惑星から異世界テクノロジーをアンインストールする。

容量を確保するためにクリーンナップを行うのだ。

異世界テクノロジーには当然「ヒト獣人」も含まれる。

必要なデータはクラウド(アカシックレコード)へバックアップを行なう。

その後、フォーマットしてからクリーンインストールだ。


淡々と物騒なこと考えてる【俺】

サガっ原で掃討作業を行っている間に、先生たちの鉄蜘蛛は北遺跡に帰還した。

「さーて、どうする?」

トンちゃんなオレとタマちゃんなオレに問いかける先生。

いや、オレに聞かれてもねえ…

「とにかく、本体に正気に戻ってもらわないと。」

「なんせ、魔力酔いだからなあ…」

「直接、中のヒトと話が出来るといいんだが…」

アイツ、どうにもおかしな考えを垂れ流しているだけでこっちの話が聞こえてない。

そうこうしてる間にアイザクソンはレガシに進路を変えた。

カナちゃん経由でモニターに映し出される巨体。

「試して見るかの…」

何ですか? 夢魔女王。

「エルディー、キララ。こっち来い。」

隅っこの方で相談。

夢幻投影ドリームキャストを使う。」

「なるほど、あれなら直接話が出来るかもしれんな。」

「キララ、お前なら何度かやってるから繋がりやすい。」

「ふひ!?」

なるほど、でもあれって、くっついてないと無理なんじゃ…

「儂がブーストするから近づけば何とかなるがの。」

「見たところ、頭のあたりにいるはずじゃろ?」

「そうは言ってもあのでかさじゃ…」

ミネルヴァを呼び寄せる先生。

「お前、キララとメガドーラを抱えてアレの肩まで飛べるか?」

「あの高さじゃ無理です。」

「ナントカソードでも無理か?」

「サーフィンモードですか? ボクではあんまり高度な制御は…」

「キララさんだけならともかく、二人を乗せて飛ぶのは無理ですよ。」

「そうかー…」

考え込む先生。

「バンカーに頼むか。」


敵であるバンカー・モアブ魔王機。

危険すぎる判断かもしれない。

だが、飛行ユニットが故障中。

俺本体がアレ、となると今一番強力な魔道機はこれ。

ひと筋縄でいく相手じゃないが…

まあ、アイザクソンよりはなんぼかマシ。

と、言うことで、遅延拘束を解いて復活させることになった。

もちろん、いつでも再拘束できるように準備はしておく。

念のためエクソアーマーソードの方を遅延拘束。

バンカー説得にはニュース王子にも協力してもらうことにした。


魔王機を北遺跡ドームの前に引っ張り出す。

拘束解除!

時間進行が元に戻る。

身じろぎする魔王機。

「む?」

「今のは…時間遅延魔法?」

さすがだ。あの一瞬だけで状況を把握していたらしい。

周囲を見て、先生に気づく。

「どうして解呪を? あれから何年くらい経ったんです?」

「いや、数時間しか経ってない。」

「え? 何かありましたか?」

気まずそうに頭を掻く先生。

「いや、こんなことお前に頼むのは筋違いだと思うけど…」

「あれ、何とかしてくれない?」

「え?」

先生が指さした方を振り向く魔王機。

ちょうど山影から現れるアイザクソン。

「な」

しばらく固まった、絶句。

「な、んです? あれ?」

「遺跡に収納されていた神代魔道機の究極体。【仲裁者】だ。」

「そして、魔力核コアの魔力のみなもと。」

「あ、なるほど……そういう事でしたか!」

納得したようにうなづく魔王機。

伊達に王国の政務、外交を取り仕切っていたわけじゃない。

現状認識が早い。こまごま説明する必要もない。

「お前と戦った魔道機、アイザックは今、あの中だ。」

「軍用獣機軍団はすでにアイツが片付けた。」

「そして魔力酔いで絶賛暴走中。」

「ええええ!」

これにはさすがに驚いた。

「お前さんたち神代魔道機を回収した後、大陸…いやこの星全体を灰にするつもりらしい。」

「……」

「…お人が悪いですなあ、私にそんなのの相手をしろと?」

「お前さんがレガシに攻め込んできたせいで起動したんだから…」

「責任がないとは言えないだろ?」

「どっちみち、あれは魔王鎧を【回収】するつもりだぞ。」

しばらく無言のバンカー。

目線を下げると、魔王鎧の腰のあたりを見る。

ちょうどベルトのバックルのあたり。

赤いマークが光ってる。

あれ? さっきまでそんなのあったっけ?

ちょっと間をおいて…

「時間魔法で止められないんですか? 私みたいに。」

「あの大きさじゃ無理だ。それに…」

「中身がアイザックだから、遅延拘束はレジストできる。」

「何か方策はお持ちで? さすがにアレの相手は魔王鎧でも無理ですよ。」

「戦闘しろとは言わん。アレの肩まで人を運んでくれればいい。」

「人を?」

先生が指さす二人を見る。

「大魔女メガドーラと…キララ嬢…夢魔族…そうか! 夢幻投影!」

察しが早い。夢魔族についても知識があるようだ。

「だけど、通じますかね? あれに?」

「やってみるしかあるまい?」


「バンカー!」

ニュース王子が近づくと頭を下げた。

「あれはすべての神代魔道機を回収つもりだという。」

「あれが各都市に攻め込んだら、王都のみならず王国そのものが崩壊する危機だ。」

「力を貸してくれ。」

「殿下……」

未だにバンカー・モアブの行動の動機も、行動原理もさっぱり不明だ。

だが、少なくとも王子や王様に対する敬意を失っては居ないように見える。

「ま、選択肢は無いようですな。」

「私も【回収】されたくはないですからな。」

ゆっくりと立ち上がる。

さすがにタマちゃんボディでまじかに見ると圧倒される。

「かっこいいなあ…それ。」

王子様が趣味丸出し。

「ふふふ、最高でしょう。」

自慢するバンカー。

「ま、ちょっと、うかつではありましたが…」

「え? 何?」

答えずに周囲に指示を出す。

「まず、あの飛行する魔道機をここへ。」

仕切るよ、このヒト。

「故障して動かないぞ?」

「だからです。どうやって回収するのかわかりませんが…」

「飛行できない以上、あのでかいのが持ち上げるとしたら身をかがめる可能性が高い。」

「そこへドームの上から飛びつきます。」

さすがに有能だ。

しかも、命令することになれた人間。

その指示は的確でわかりやすい。

ごく自然に工兵機も職人衆も、そして動ける親衛騎士たちも作業に加わった。

『ジョーイ君、ここは私達もいう通りにしましょう。』

『はい。』


「アーマーソードは使えますかな?」

「ああ、使ってくれ。」

あっさり認める先生。

「いいんですか? そんな簡単に認めて。」

「ここまで来たら駆け引きとか無しだ。」

管制室に上がる。

「ほおおおーーー」

さすがにドーム内の設備には驚いたようだ。

状況を映し出すモニターに感心。

「これはまた…情報収集力がすごい。」

「これじゃあ、かないませんなあ。」

すでにタンケイちゃんが飛行ユニット用のストラップを調節、改造。

魔王鎧の背中にキラすけを乗せられるようにセッティング。

「ふひふ…」

びびってるな、キラすけ。青くなってるぞ。

今のうちトイレ行っとけよ。

メガドーラさんは…ずいぶん簡単なストラップ。

「儂は何とでもなるからの。」

そうか【霧化】があるもんな。


アイザクソンは街を避け、川筋に沿って移動してきた。

行った道を帰る感じで近づいて来た。

街を壊さないよう気をつかってるようにも見える。

それでもレガシに対する想いは残っているんだろうか?

エクソアーマーソードを滑走路にセット。

その上にうつ伏せに乗る魔王機、ボディボード。

その背中にキラすけを乗せる。おんぶ状態。

「お嬢さんを乗せるなんて、責任重大ですな。」

本気ともおどけともつかないバンカーの言。

さらにその上にメガドーラさん。

「ある程度は儂が被甲身バンパーを張る。」

「わかりました。…発進する瞬間、お嬢さんだけに遅延魔法をかけられませんかね?」

「ん?」

「加速の衝撃をキャンセルできれば…本気が出せます。」

「なるほどの。」

このヒト、味方ならホンマ心強いヒトだわ。

「ほふひ…おい! タマかトン!!」

キラすけが情けない声。

「どっちか、ついてこい!」

ええ? オレですかあ…

「わ、我だけ行かせる気かよ!」

いや、メガドーラさんも居るし、オレなんか役に立たないでやんすよ。

「うるさい! 来い。」

わがままだなあ。

「ふむ、たしかに…何かの役に立つかもしれんの。」

仕方ない、タマちゃんでどこかにしがみつきますか。

え? 長い方がいい? トンちゃん?

夢魔女王の指示で、羽をたたんで防水バイブ形態に変形。

そしてそれを挟んだ! てゆうか挿し込んだ!

夢魔おっぱい! メガドーラさんの谷間にイン!

あふあっ!

タマちゃんに比べると影の薄い感あったトンちゃん。

ここへ来てこんな役得が!

ほわわわーーー、暖ったか柔らかい!

ちょっと振動していいデスか? バイブレーっション!!

デイエートが凄い顔でにらんでる。

いや、ちょっと。

くやしいからってタマちゃんを握りしめるのはやめて!

握力強い! 痛い、痛い!


北遺跡の前に立ったアイザクソン。

強大な混沌の意志たる【俺】の前に「俺」は風前の灯火。

もう、こっちからはその意識は感じられな…感じるわ!

『たすけてー! 止めてー!』

『こんなことなら、ミネルヴァ無視して女湯を…』

『デイヴィーさんの入浴…』

『あああ! もう一度おティンティンしたかった!』

えーい! 見苦しい!!


おっと! 再び回収命令が発信された。

俺やタマちゃん、トンちゃんの意識に命令が伝わる。

「オレ」の意識があるせいだろうか?

トンタマドローンズはこれには従わない。

魔王鎧エクソアーマーも…大丈夫だ。

バンカー・モアブの意識に支配されているからオッケー。

ミネルヴァは…こちらも大丈夫。

自意識が確立していれば問題ないようだ。

「アイツ、イラついてますよ。ボクらが命令聞かないから。」

ぼんやりと気持ちが伝わってくる。

「俺」本体とは別の意志。


だが、一斉に集まって来たのは…カナちゃんズ!

回収命令を受信したらしい。

遺跡や迷宮、レガシの街に居た個体が飛来してきた。

雲霞のようにアイザクソンの周囲に群がる。

あらためて見るとすげえ数だな。

まだ、王都にいる奴、中継してるやつは帰還してないから、ホントはもっと多い。

「うおっと!」

先生や兄貴、カナちゃんインカムを装備していた人がびっくり。

耳にくっついていた奴が一斉に飛び立った。

アイザクソンの胸の装甲が左右にスライドして開く。

そこにあるのは巨大な球体。

ええ? これ…魔力核?

いや、なんか…これ、物質じゃないのか?

そこへなだれ込むカナちゃんズ。

たちまち全てが【回収】された。

いや、これ【収納】だ。

アイザクソン内部の高次元構造に収納されたのか。

王都との通信も周辺の監視体制も途切れた。

『犬獣機ネットに切り替えます。』

サンキュ、ジョーイ君。


北遺跡ドームの前、前方後円墳の前方部分。

そこに置かれた飛行ユニット。

完全にスリープ状態。

以前、俺本体が破損したときの状態と同じ。

アイザクソンの胸の球体内部が何やら発光しているのが見える。

ゆっくりと身をかがめる。

うおう! 腹部のあたりから別の腕が出て来た。

作業用の腕? 掌は軟質素材でできてるみたいだ。

飛行ユニットを作業用両腕でつかむ。


その瞬間を狙って魔王機発進!

ソードライダー魔王機!


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