表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/371

決着!


北遺跡ドームにモアブ親衛騎士団が突入したことを知らぬまま死闘を続ける俺達。

タマちゃんと記憶同期する間も、カナちゃんズ情報をチェックする余裕もない。


北遺跡から出撃したエルディー先生とメガドーラ夢魔女王。

魔道士としての力量は疑うべくもないが、戦士としてとなるといささか不安。

お二人とも重たいものぶら下げてるし。二つずつね。

特にメガドーラさん。

先生はご自分が企画に加わったブラジャーを着用しておられる。

だが、メガドーラさんは何回か試着したが、今は頑なに使用を拒否なさっている。

そのお心は計り知れない。

エロいコスチュームに対するこだわりは並々ならぬものが有る様だ。

この辺、キラすけの黒好みと通ずるものがある。

ダット姐さんを始めとする服飾工房の面々。

夢魔女王を満足させるべく、エロ下着の開発に余念がないという。

うん、いいことだ。


魔王機を挟み込むように馬獣機を走らせる二人。

「ほほう、接近? 接触発動の魔法ですかな?」

「おお怖い、怖い。」

バンカーに読まれてるな。簡単に触れそうにもない。

先生が護符を発射!

発射? 筒型、リレーのバトンみたいなやつだ。

スカイエクソンのミサイルから発想したのか?

これ、ベータ君が開発した送風魔法付き護符だよね!?

後方へ風を噴射して飛行する護符ミサイル!

だが、そのスピードでは魔王機の高機動を捕らえられるはずはない。

難なくかわすバンカー。

むなしくその脇を通過する護符ミサイル。

だが後方へ通過した後、筒がパカっと割れた。

その中から護符本体が現れる。

こ、この護符、形が紙飛行機!?

反転、滑空して魔王機を追尾する。

ホーミング? いや、巡航ミサイルだ!

先生は続けざまに数発の護符ミサイルを打ち上げた。

ミサイルって言うか…ロケットだよね。

上空まで上がってから、同様に紙飛行機護符を放出。

しかも、一本当たり複数。

クラスター巡航ミサイルという新兵器!

落下滑空させて、同時に魔王機を追尾する。

「お? おおおーーー?」

さすがのバンカーも焦った。

身をひねって躱そうとするが複数同時攻撃に対応しきれない。

一機をかわし、一機はソードで掃ったが、もう一機が命中。

「冷たき玉鎧、彼の者を閉ざせ【氷雪結界ニヴルヘイム】改!」

氷雪虎スノーレパードと水筒護符の複合魔法。

キラすけ発案の氷バリヤーの改良型。

突然生じた氷塊に半身を包まれてバランスを崩す!

護符を払ったアーマーソードにも氷塊が発生!

「ば、馬鹿な? こんなでかい氷がー?」

「マビカに詰めさせた水筒護符を使ったからな。」

固有魔法使いが水を詰めると水筒護符の容量が二桁違いになる。

凄い複合攻撃だ。

あらかじめ空飛ぶ魔道機に対抗する策を練っていたのか?

さすが先生!

あれ? 空飛ぶ魔道機って…俺のことだよね?

墜落するバンカー。

その落下地点にはすでにメガドーラさんの馬獣機が走り込む。

「もらったわいの!」

触れるだけで遅延拘束タイムラプスを発動できる。

こっちの勝ちだ!


地面に激突する寸前、氷雪結界が爆発した!

氷が粉々に砕け、破片が弾丸のように降り注ぐ。

魔王機の動きを止めるべく追尾していた俺にも破片がぶつかる。

痛い! なにこれ、超振動波?

いかん、これ、石礫いしつぶて並みの衝撃だぞ。

「メガドーラさん!」

ほぼ真下に居た夢魔女王、危ない!!

氷のつぶてを食らった馬獣機が横転した。

装甲板に氷片が食い込んでいる!

こんなの人間がくらったらひとたまりもないぞ!

メガドーラさんは…

「あいたたた! ちょっと当たったぞえ!」

おう! 無事か!?

被甲身バンパーで防いだのか?

いや、これは……

身体の一部がぼやけたようになって……霧化してる!


氷塊を砕いた魔王機はそのまま地面に激突。

だが、何事もなく立ち上がった、頑丈。

「なんとまあ、これが純血の夢魔族サキュバスの力か。」

そうか、組合長のヴァンパイアの力と同じ。

ヴァンパイアとサキュバス、先生が言う所の半霊の存在。

そのまま、全身を霧化すると魔王機にまとわりついた。

「だ、ダメか!? やっぱり実体化して触れなきゃ無理じゃの。」

「アイザック! コイツ捕まえてろ。」

「な? ええい! 薄気味の悪い! 送風!」

つむじ風が巻き起こる。バンカーの魔法。

「あ、ちょっ! あーれー!」

吹き飛ばされるメガドーラさん(の霧)。

「私自身は、他種族をそれほど嫌いってわけではありませんがね…」

「さすがに今のは気持ち悪いですぞ。」

バンカーがこぼす。

うーん、まあ、俺も触られるんなら生身の方がいいよね。

特に夢魔女王様にならね。


「ちいいぃーーー! 失敗か!」

「アイザック! 何とか動きを止めろ!」

先生が駆け寄ってくる。

俺も魔王機にタックル!

だが、パワーの差はいかんともしがたい。

力任せに引きはがされた。

くそ、何か方法は…

これだ! ワイヤーシュート!

拳骨シュートを打ち出す! ワイヤー付き。

魔王機の周りを旋回。アーマーソードごと縛り上げた!

俺本体のフルパワーでも引きちぎれなかったワイヤーだ。

「な、何!? き、切れんだと!?」

「でかした!」

馬獣機から飛び降りた先生。

魔王機に駆け寄る!

「高周波振動!」

バンカーが叫ぶ。何!?

アーマーソードが振動する!

将軍機の高周波振動剣をコピーしたのか?

魔王鎧自身をも傷つけながら切断。

ワイヤーがはじけ飛んだ。

「おおう!?」

急ブレーキ、先生。

飛び退る魔王機、ソードを振り上げる。

「なるほど、おっしゃる通り。動きを止めるのが先ですな。」

投げた! 縦回転で馬獣機を胴で真っ二つ!!

帰って来たアーマーソードを受け止める。

「来い! 神代魔道機。決着をつけるぞ。」

パワーブーストでドームに迫る。

徒歩の先生ではついていけない!

俺もブーストジャンプ! 一瞬で飛行ユニットと合体。

加速! 高度とスピードで魔王機を追い越す!

反転してドームの前に立ちふさがる。

「ここから先には行かせん!」


「そう来なくちゃ、面白くない!」

不敵なセリフとともに突き出されたアーマーソード。

グリップ、柄の先から回転を始めた!

ドリル状、刃の部分全体が高速回転!!

こ、これ!? そうか!

神殿の川べりへの通路を封鎖した時、岩を削っていたのはコイツの音か!

柄の部分に動力があるわけじゃない。

スラスター噴射で回転!超高速回転している。

被甲身バンパーでガード。

一瞬、防いだが…次の瞬間、防護壁が砕け散った!

『被甲身は何でも防げるわけじゃない。魔力も物理的衝撃もしょせん程度の問題だよ。』

先生はそう言っていた。

俺のバンパーの魔力を、アーマードリルの衝撃が上回った。

魔法を物理でぶち壊しやがったぞ!

つまりこれ、ゴリアテの全力殴打よりダメージ大ってこと?

もの凄く危険な攻撃って事だよね?

必死で身をよじって避ける。

わき腹をかすめる! ガリガリ削れてるぞ!

神代魔道機装甲が削られた!

脇腹に深々と傷跡がついてる。

傷って言うか…穴開いてるよね、これ。

まともに受けたら危ない!

新たに被甲身を発動。アーマーソードを防ぐ。

防いでなお、ダメージでバンパーが消滅する。

新たなバンパーを次々と展開しながら後退!

いかん、これ、ジリ貧。

追い詰められてるぞ! なんとか距離を…

閃光輝ライトニングだ!」

おう、先生のアドバイス。

その手があった。

「ライトニング!」

手の甲に発生した魔法陣。至近距離で閃光!

サービスでもう一発!

さすがにひるんだ。追撃の手が止まった。

この隙に対応策を。

【収納】から頑丈剣を取り出す。

刀身にバンパーをまとわせる!

心に鳴り響く「レーザーブレードのテーマ」

宙明先生ーーー!

天空無双剣!

カッターシールドを変形。

三角錐を魔王機に向かって突きつけるイメージ。

思い出せ、モアブ親衛騎士団の盾の使い方。

先生と夢魔女王が被甲身で火炎魔法避けた方法。

そう、受け止めるのではなく受け流す。

空力バリヤーと同じだ。


付きこんだドリルソードが逸らされるのを見たバンカー。

今度は振ってきた!

横殴り!

慣性モーメントを無視する怪力!

高速で回転するソードの軸の向きを変更するのは困難なはずだが…

ものともしない!

いや、違う!?

ソード自体がスラスターからのタイミングパルス噴射で向きを変えているんだ!

頭上から円弧を描いて炸裂!

「魔王機、ダイナミック!!」

あんたが使うんかよ!

無双剣で受けるが、魔法障壁ゴリゴリ削られる。

障壁が霧散! 頑丈剣ごと弾き飛ばされた。

「もらったあーー!!」

回転が停止したソードを禍々しく尖らせて突き込んできた。

なんの! 頑丈剣が無くても被甲身は発生できるんだぜ。

手の甲に発生させたバリヤーでガードだ!!

…パカッと開いた!!

アーマーソードの刃が二つに分かれる。

ハサミ!? え? 先っちょ尖らせたの、ブラフ?

シザースソード!

意表を突かれた。受け流そうとしたバンパーごと挟まれる。

ソードのスラスターが全力噴射! 左右から俺の身体を圧迫。

身動きが取れない!

衝撃増強インパクトブースト!」

弩弓に魔法附与エンチャントしてミネルヴァ将機ボディを破壊したあの技?

いや、エンチャントじゃない! バンカー自身が直接、発動!

さっき氷雪結界を破壊したのはこれか!

衝撃が身体を襲う!

「驚いたか? インパクトブーストは人間が直接発動すれば自分の身体が破壊されてしまう。」

「普通は飛び道具へのエンチャントでしか使えない魔法だが…」

「我は魔王機!! 至高の戦闘メカだ!」

一発目で被甲身防壁が吹っ飛んだ!

続けて発動!! エンチャントでは不可能な連発!

凄まじい衝撃、振動! 2発! 3発!

バキンっ!と嫌な音がする。

うおお!? まずい、どこかやられた?

拳骨シュート! 両腕を発射!

とにかく、ここを逃れなくては!

弧を描いて飛ぶ拳骨シュート、点棒型護符を握る間は無かった。

バンパー強化されていないフツーのシュート!

アーマーソードを握る魔王機の腕に、

もう一機は顔面に炸裂!

「むう!」

ソードの衝撃がおさまった。

柄から手が離れたのだ。

繋がっていなければ魔法は発動できない。

この辺は俺と同じか。

シザースソードを押し広げ振り払って脱出。

飛行ユニット、ブーストして距離をとれ。

と、片側の噴射ユニットが突然沈黙!

バランスが崩れて墜落した。

地面に突っ込む。

飛行ユニットの噴射が不調だ。

拳骨シュートを回収。

顔面を殴りつけたほうの拳の指が折れている。

追って来た魔王機。振りかぶるエクソアーマーソード。

「終わりだ!!」

大ピンチ!


「アイザッーーーク!!」

そこへお兄ちゃんエルフの矢が飛んできた。

振りかぶった腕、ソードのグリップに命中!

こちらの矢にも衝撃増強のエンチャント発動!

溜まらずソードを取り落とす魔王機。

「おおう!?」

ドームの上に立つハイエート。

となりにはデイエート。

お兄ちゃんのサポートに徹している。

次々に矢を渡す。兄エルフがそれを連射。

頭部、肩口、首筋に連続して矢が命中する。

続けざまの衝撃に、さすがの魔王機もたじろぐ。

魔王鎧の内部高次元構造が無かったら間違いなく失神する衝撃。

だが、バンカーにもその装甲にもダメージは見られない。

バンパーも併用してるのか?

「なんという射手だ!」

たまらず手を伸ばして、ソードを拾おうとする。

幅広刃のエクソアーマーソードは盾としても優秀だ。

そこへ! 伸ばした手の先へ! 矢が命中。

魔王機の親指が破損、吹っ飛んだ。

「な、何だと!?」

物をつかむその瞬間、その部位には被甲身が無い。

あったら掴めないからね。

「ね、狙ったのか? 指一本を?」

破損した手を呆然と見つめるバンカー。

人間の身体で一番細いところは指だ。

魔王機といえどもそこは変わらない。

指一本を、バンパーを解除する一瞬のタイミングで狙った狙撃!

鳥肌が立つような神技。

「お、おお……そうか…」

「辺境で噂される狩猟神アポロンの化身、神弾の射手…お前か!」

ええ? ハイエートの噂、ミーハ村だけじゃなくてかなり広がってるの?

「なんと言う危険な男だ!」

ぐっとこぶしを握る、指を守るように。

「ならば!」

そのまま進み出ると、エクソアーマーソードを踏んだ?

踏みつけるようにソードの上に立つ。

「ソードライダー!」

ソードからパワーファイヤが噴射! 飛び上がった!!

サーフィンボードのように乗りこなす。

俺本体を無視して北遺跡ドームへ突進!

「う、待て!」

後を追おうとするが、飛行ユニットが反応しない!

分離! パワーブースト! だが、後れを取った!

俺単体のブーストでは魔王機に追いつけない。

魔王機は前面にバンパーを展開しつつ身体を丸め矢を弾きながら突進。

エクソアーマーソードの先端がドームの外壁に突き立った!

北遺跡全体に衝撃が伝わる。

元々、すべりやすい、足場の不安定なドーム頂上。

「おお!」

さすがのハイエートも膝をつき、片手をついて身を支える。

「きゃっ!」

デイエートは四つん這い。

ソード上からジャンプしてハイエートの眼前に降り立つ魔王機。

もはやこの距離では矢が使えない!

ハイエートの構えていた長弓を掴む。

「良い弓だ!」

「ヒト族の身で至高の魔道機たる魔王鎧に傷をつけるとは……」

「見事なり!」

「もう、退くがいい! ここは破壊する!!」


魔王機の威圧にも動じることのないハイエート。

飄々とした態度のまま、笑みを浮かべる。

弓を握る魔王機の剛掌に手をかぶせた。

「やっと引っ掛かりましたねえ。」

「何?」

遅延拘束タイムラプス!」

時間遅延拘束魔法、魔王機の背中に張り付けた護符が発動!!

ああー、そういえば使ってた。

使ってたよ、お兄ちゃん。

獲物のお肉保存に便利だとか言って。

高次元脳内イメージ、時間魔法起動!

ジーニアス! チートキャラだよ、お兄ちゃん!

「馬鹿な! お前は 弓  つ  か   い    じゃ      」

「ま、必要なものくらいはね、魔法も使いますよ。」

主観時間を引き延ばされ、動きを止める魔王機。

俺の時は高速思考があったけど、人間のバンカー・モアブには無理な話。

転倒し、ドームの斜面を滑り落ちる。


決着!! 俺たちは勝った。

ブーストジャンプでハイエートのとなりに降り立つ。

「やりましたね! ハイエートさん。」

「お兄ぃ! カッコイイ!!」

デイエートが抱きつく。

「おっとと、ここは足場悪いから、早く中に入ろう。」

「どう、アイザック。お兄ちゃんはカッコイイでしょ!」

ふふーん顔でにまにまする妹エルフ。

はい、はい。いくらでも自慢していいぜ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ