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脱出!女王神殿


ベータ君の召喚合体によって飛行ユニットと合体した俺。

反撃開始だ!


魔王鎧バンカーも驚愕。

引き寄せ(アポーツ)能力者か!」

問答無用! 機首ビームをぶっぱなす!

目標はもちろん魔力核!

魔王鎧がエクソアーマーソードでカバー!

さすが神代魔道機の装甲だ。ぶち抜けなかった!

「ぬ、う!」

バンカーがうなる!

連続照射! このまま、押し切る!

そこへメデュウサ魔道機がタックル!

照準がずれる。

「少年を人質にとれ! 魔力核を守れ!!」

矢継ぎ早に指示を出すバンカー。

騎士団と魔道士が祭壇に取り付く。

核周囲に対光線防御盾を並べる。

治癒魔法のため魔力封じ陣の外側に居た騎士たちが、ケガをおして立ち上がる。

ベータ君の身柄を確保すべく突進。

迎え撃つベータ君。

器機召喚アポーツ! 雷神槌攻壁サンダーウオール!」

左腕を手刀のごとく振る!

その指先から次々とディスク型護符が出現。

垂直方向に発動!

前面に雷撃の壁が発生する!

突っ込んだ騎士たちが絶叫を上げて硬直する!

そこへ飛び込んできたのはU-69。

ヘッドアームを開き、回転ハンマーアタックで薙ぎ払う。

頼むぞ、U-69、ベータ君を守って!


ブースト! ジャンプして祭壇へせまり、拳骨シュート!

左腕を核めがけて放つ!

「ええい! 鬱陶しい!!」

アーマーソードを振るバンカー、拳骨シュートがはじかれる。

「メデュウサ! こっちへ来い! 核を守れ。ここを任す!」

装甲のスリットからパワーファイヤを吹き出す魔王鎧!

ブーストジャンプ、あいつも出来るのか!?

空中でアーマーソードがうなる!

受けたらひとたまりもない感じ。

冷や汗出るわ! ま、出ないですけど。

プロジェクタービーム発射! 床をランダムに焼き払う。

魔法封じの法陣が切断される。

被甲身バンパー!」

やった、魔法が使えるぞ。

襲ってきた巨大な刃を受け止め、跳ね返す。


魔王鎧とほぼ同時に着地。対峙する。

「ほほう、魔法を使えるのか? ま、そうだろうな。」

アーマーソードを構えるバンカー。

こっちの手持ちの武器は…兄貴の鉄棍。

残念ながらワイヤーで巻かれて転げ落ちた時に手放した。

転がっているのは魔王鎧の向こう。

ちょっと拾いに行ってる暇はないかなあ。

いや、待てよ…あの鉄棍なら…

先生から学んだ消磁魔法マグセーフ

そして鉄蜘蛛を修理した時の回復技法。

高速思考、魔法構成を再編成。

タマちゃん状態でジジイ導師、ベータ君から講義を受けた知識を応用。

ピロリーーーン!

久しぶり!

『磁力発生を習得しました』

マグネパワー!! 今の俺はマグネロボ!

石の床の上に転がっていた鉄棍が引き寄せられる。

磁場集束! この辺は魔法のいい加減さ。

飛び上がった鉄棍が俺めがけてすっ飛んできた。

そして魔王鎧の後頭部に激突。

が、きーーーん! といい音した。

「な、なにい!」

驚くバンカー。というか驚いただけ。

全然ダメージはない。

弾かれた鉄棍は空中を飛んで俺の腕に。

「ふざけおって!!」

ダメージがない分、余計に馬鹿にされたような気がしたらしい。

アーマーソードを振り下ろしてきた。

バンパーを纏わせた鉄棍で受ける!

「が!」

ゴリアテぶん殴られた並みの衝撃。

力まかせに押し返す。

バンパーを変形させる。天空無双剣!

いや、薙刀か!? いや違うな!

対双極半月鎌ダブルハーケン

鉄棍の両端にバリヤーの刃をまとわせた斬撃。

棍を振るって薙ぎ払う。下段から斬り上げる、腹から胸!

装甲に深々と切り込む。

後退する魔王鎧。


装甲に入った傷を愕然としたように見下ろすバンカー。

「なんと!? 棍で?」

今だ! 装甲の傷めがけてビーム発射!

「晶結! 直角三面反射鏡コーナーキューブ!」

突如、魔王鎧の前面に鏡が出現した。

ちょうど立方体のスミの角みたいな、3枚の鏡の組み合わせ。

ビームがキューブ内部で反射を繰り返し、俺の方へ戻って来た!

直角に組み合わせた3枚の鏡は入射した光線を光源方向に反射するのだ。

再帰性反射!

かすった! 自分のビームかすった!

あちち! 熱い!

自分のビーム食らうの初めてだけど、熱いわ、これ。

ケースガンのパルスビームより熱っつい!

「ふふ、どうだね? 光線反射のオリジナル魔法だよ。」

「ま、もっとも、学長先生の論文からパクったんだけどね。」

雀竜の盾といい、ビーム攻撃の対策を練ってきている。

そして、魔道士としての並々ならぬ力量。

あれ、もしかして…魔法封じを解除したのって…

むしろ、まずかった? 墓穴掘った?


「魔法戦闘なら勝てると思ったか?」

バンカーが手をかざすと前面に球体が出現。

バレーボールくらいの球体が何個も。

何だ? だが、何かまずい感じ。

押し出すようなしぐさとともに球体が飛んできた。

いかん、被甲身でガード!

バンパーにぶつかって止まる球体。

?? この球もバンパーで出来てる?

俺の展開したバンパーと魔王鎧が放ったバンパーボールが融合。

次の瞬間、シャボン玉がはじけるように球体が消滅した。

被甲身のその部分には穴が!

その穴めがけてアーマーソードが伸びてきた。

装甲板がスライドし先端がまるで針のように尖る!

「エクソアーマースピアー!」

被甲身に穿たれた穴を突き通してスピアーが刺さる!

左肩を貫かれた!!

「あああああーー!」

痛い! 激痛!

なんの! 今の俺には「痛み」は単なる情報に過ぎない。

伸びたエクソアーマーソードを掴む。

抜かなければ…

が、突き通ったアーマーソードの先がさらに変形。

矢の返し型に! 抜けない!!

そのまま、ソードの刃が縮む!

縮んだだけじゃない、当然その分刃が分厚くなる。

刺さった傷口が広げられ、破損した装甲がきしむ!

ぐあああああ! 痛ってえええ!

収縮したソードによって魔王鎧に引き寄せられる。

正確には、バンカーの方が間合いを詰めて来たんだけどね。

魔王鎧が掴みかかる。

「首を捻じ切ってやる!」

「オーバードライブ!」

俺機体の装甲板が拡張展開!

パワーファイヤが吹き出す!

だが、今の狙いはそこじゃない。

肩の装甲板のスリットがさらに広がる。

限界を超えたその先に!

ありえない幅に広がる。

うん、スカスカ。

スリットを利用してアーマーソードの刃を抜く。

これ、完全に離れているような気がするけど?

収縮! 肩装甲がもどる。

「な、何なんだ! 貴様は! 機械じゃないのか!?」

驚くバンカー。

いや、アンタに言われたくないよ。

魔王鎧だって大概だよね。

前蹴りで突き離し鉄棍でぶん殴る。

あんまりっていうか、全然効いてない。


左腕がぶらぶらだ。動かない…いや? 指は動くな!?

まあ、拳骨シュートは飛ばしても動くんだから、そりゃそうか。

だが、これ、無理っぽい。

魔法戦闘でも向こうが上。

機体のパワーも、アーマーソードにもかなわない。

しかも今、神殿坑内に駆け込んできたのは…

魔犬将機! ご到着、早かったね。

こりゃ、あきまへんわ! 魔道機人口でも負け。


視界に入ったのは床に落ちていた紙。

ウェイナさんの魔道具。

実は一枚一枚エンチャントが施してある。

静電気を発生してまとわりついて視界や呼吸を妨げる攻撃魔法。

ミーハ村で受けたことある。

だから…

『習得済みです』

送風魔法! 先生が湯治場で使ったお掃除ハリケーン!

舞い上がった紙の魔法附与エンチャントが発動。

魔王鎧や騎士たちの顔面に張り付く。

「うわわー、なんだこりゃ! 見えん!」

「くあ、息が…」


「ベータさん! 逃げますよ!」

「ええ? はい!」

走る!

鉄棍を振り回して負傷騎士を牽制し、川べりからの通路への扉を開く。

「そ、そんなところに通路が!?」

「ええー、迷宮内を下ってきた俺たちの苦労って…」

愚痴る、親衛騎士団。

U-69、お前先に行け。全速力で脱出だ!

「ピーー!(了解)」

続けてベータ君を押し込み、俺も続く。

それでは皆さん、さーよーおーなぁーらー!

あ、ちょっ! がっつん!

飛行ユニットの翼が入り口に引っ掛かった! おう!

う、かっこ悪い。

あわてて翼端噴射ユニットをたたむ。

狭い、けっこうギリギリ。

奥まで走りこむ。

周辺にいたのは怪我人ばっかりだから…

追っ手は来てないな、今んとこ。

「ベータさん、このあたりで。」

「はい、アポーツ!」

通路内に巨大な岩が出現する。

みっちり通路を塞いだ。

黄泉比良坂、千引の岩。

やれやれ。

「さあ、戻りましょう。」

「はい…」


意気消沈、魔力核の起動は防げなかったし、ミネルヴァボディと将軍機も失ってしまった。

ボロ負けと言っていい。

「ん?」

なんか音する?

岩の向こう…削るような音。

「アイザックさんこれ…」

「削ってますね。」

いかーん!

エクソアーマーソードがあれば岩くらいぶち抜けるのか?

まずい、この通路から外に出られたらまずい。

バンカーはエレベーターの使い方はわからないはず。

迷宮内を戻ればまた三日ぐらいかかる。

だが、ここを使われたら1時間ほどで外へ出られちゃう。

どどど、どうする?

坑内を崩してでも止めなきゃ…爆破する?

「あれ、使いますか?」

何? ベータ君、あれ?

「北遺跡の倉庫にあった奴…」

飛行ユニット用の、爆弾か!

「取り寄せ、できるんですか?」

「はい。」

ああー、触ってたもんなー。

「お願いします。」

『あ、ちょっと待ってください』

何かな、山本ヘルプ君。

『あれ、爆撃投下用ですから…時限信管の設定時間短いですよ。』

え?

この狭い通路で爆発させたら…逃げ場無いよね。

でも、やるしかない!

「飛行ユニットで通路内を飛びます。脱出時間と最大時限セットの釣り合った場所で投下します。」

アポーツ! 爆弾を引き寄せ。

先行したU-69の脱出は間に合うだろうか?

岩の向こうからの音は大きくなったような気がするぞ。


王都へ飛んだときはうつ伏せ状態のベータ君を吊り下げてた。

だが、今は少しでもスペースを詰めるために向かい合わせ。

「しっかり掴まってください。」

ベータ君、俺の首に両腕を回してぎゅっと抱きつく。

ベータ君の顔が目の前に、どきどき。

うーん、ちょっと恥ずかしい。きっとほっぺた赤くなる。

ソードで貫かれた左腕が上がらない。うーん…

左前腕を外す。ワイヤーシュート。

ワイヤーで俺とベータ君をぐるっと巻いて縛る。

左腕を右手で掴んでベータ君を支えると…

はて、爆弾はどうやって?

仕方ないので、股にはさむ。素股!|(違う)

かなりかっこ悪い。

「飛びます!」

噴射ユニットはたたんだままだから制御が難しい。

通路は狭い。バンパーを展開してもぶつかったらただじゃ済まないかも。

発進!

マッハ飛行とは比べ物にならないほど速度は遅い。

だが、体感速度は何倍、何十倍だ!

もの凄いスピードで通路側面が視界を流れる!

空力バリヤーが時々壁面をこする。

ああー、これ映画でよくあるシーンだよなー。

エアバイクとか、トロッコとか…

『時限装置セット、投下準備、3、2、1、投下!』

股開く、くぱぁ!|(違う)

爆弾を投下! 全速力のまま出口へ急ぐ!

『予定より2パーセントの遅れ』

ええ、まずくね?

『トンネル内での空気抵抗の特殊性が計算外でした。』

マジ!?

トンネル内では逃げ場がないんで、車両前面の空気が圧縮され抵抗が大きくなる。そのへん?

『前方抵抗は計算済みでしたが…』

『この通路、通常のトンネルと違い、片端が封鎖密閉されているため後方の減圧が大きく、想定以上の引っ張り抵抗が生じています。』

いやーん!

もう、爆弾投下しちゃったよ。

間に合うのか!

『無理かも』

ヘルプくーーーん!

『タイムアップ、爆破!』

うわあああーーー!

後方から閃光! 炎が見える!

爆風が追っかけてくるぞ!

前方に出口、光が見える。

夜、明けてる?

あー、U-69のお尻が見えた。

間に合う…か!?

脱出!

と同時に川に向かって爆炎が噴き出す!

ジャンプするU-69!

朝日に向かって飛び出す俺たち。

映画だったらスローモーションで撮るとこだよね。

なんとか間に合いました。

『爆破による空気膨張により押し出されることで加速されたようです』

あー、はいはい。


川べりの洞窟は炎に包まれ、見る影もない。

ホームレス女騎士の家財道具は全部吹っ飛びました。

何かの布切れが燃えながら舞っている。

あー、これ、女騎士パンツ。

せっかく取り込んだおパンツも全部焼失。



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